転生して主人公の姉になりました。SAO編   作:フリーメア

25 / 90
先月は投稿出来ずまことに申し訳御座いませんでしたぁぁぁぁあ!!!(スライディング土下座)
和葉「死になさい」
ちょっ!!せめて言い訳だけでもギャァァァァア!!!?


ラフコフ討伐戦 祖の参 キリハVSジョニー&PoH

キリハVSジョニー&PoH side

 

 

 

 時は少しさかのぼり

 

「「Its show time!!」」

 

 キリハもPoHは同時に同じことを叫び、互いの距離を縮めた。そして距離がゼロになった瞬間、得物をぶつけ合う。キリハは刀で、PoHは短剣で、つばぜり合いになる、が

 

「俺を忘れんじゃねぇ!」

 

 そこにジョニーが毒ナイフでキリハを狙う。それをキリハはバックステップで回避。回避されるのを予測していたのかジョニーはナイフを投げる。それに対し、キリハは腰からピックを出しナイフへ投げつけ弾く。普通に考えたらサイズの問題で弾くのは不可能に近いが、攻略組最強クラスのステータスが可能にしていた。その間にジョニーは新しいナイフを取り出す。勿論、毒ナイフだ。

 お互いの距離が開いた時、PoHが口を開いた。

 

「おいジョニー、俺の楽しみを邪魔してんじゃねえよ」

 

「ヘッドは俺のこと忘れてたっしょ。これでお相子ッスよ」

 

「チッ」

 

 PoH達が会話している間に、キリハは今まで被っていたフードをとり、素顔をあらわにした。

 

「なぁ!?」

 

「やっぱりな。BoyではなくGirlだったか。それで?キリハ、何故今更フードを外した?」

 

 見たジョニーはキリハが女だったことに驚愕し、PoHは口元に笑みを浮かべながら何故フードを外したのかを問うた。キリハは対照的に無表情で答える。

 

「フードは視界を遮るんでな、邪魔だったから外しただけだが?

それと、準備運動は終わりだ。ここからは─」

 

 キリハは腰を落とし左手で持った鞘を左腰に構え、右手を刀に添えた。

 

「─本気で相手してやる」

 

 瞬間、キリハから今までと比べものにならない殺気が放出される。ジョニーは圧倒的な殺気に硬直し、PoHも呆気にとられた、が

 

「ククク、アッハハハハハハ!!!アッハハハハハ!!!?」

 

 突然PoHは嗤いだした。その顔にあふれているのは、“歓喜”。まるで、やっと強敵との殺し合いを楽しめるかのように...。

 否、ように、ではない。PoHは何よりも、強敵との殺し合いを楽しむ。相手が自分より強かろうと関係ない。それでPoH自身が死んでも本望と思うだけだろう。

 

「ハァ...。なるほど、本気じゃあなかったか。だがキリハよぉ、本気出してないのがお前だけだと思わねぇ方がいいぜ?」

 

 PoHがそう言った直後、彼からも今までと比べものにならない殺気が放出された。だが、その程度の殺気ではキリハはおろかアスカにすら通じないだろう。何故なら現実世界(リアル)にて毎日のように殺気を()()()()()()()()()()()のだから。

 自身の殺気に微動だにしないキリハを見てPoHは更に笑みを深める。そしてジョニーに指示を出した。

 

「ジョニー、行ってこい」

 

「え?俺が行くんスか?てっきりヘッドが行くと思ってただけど…」

 

 ジョニーは軽く驚いた。PoHが強者との殺し合いを好んでいることはラフコフ全員が知っている。だから本気で来るキリハと真っ先に戦い出すと思ったのだ。

 

「あいつが本気で来ると言っても俺が楽しめなきゃあ意味がねぇ。だからジョニー、お前であいつの実力を測るんだよ」

 

「なぁるほど」

 

 自分が楽しむためにジョニーを捨て駒にする、言外にそう言っているPoHに対しジョニーはなにも反論することなく納得し、ニィっと嗤う。

 

「じゃあ俺が殺しても文句はないっスよね?」

 

「そうなったら所詮それまでの奴だったって話だ」

 

「─話は終わったか?」

 

 これまでずっと黙っていたキリハが話しかけ、PoHが応えた。

 

「あぁ、終わったぜ?」

 

「テメェを殺すのは俺だって話がなぁ!!」

 

 PoHが応えた直後、ジョニーが飛び出した。先ほどよりも速い。どうやらジョニーも本気ではなかったようだ。

 キリハは構えを解かずその場から動かない。それをジョニーは好機と睨み更に速度を上げ、キリハの周りを跳び回る。自分を目で追っていないことを確認したジョニーはキリハの死角から接近する。あと一歩でナイフが届く距離まで来たジョニーは─後ろへと飛んだ、手を前に交差しながら。PoHはその行動に怪訝な表情をし、ジョニー自身は驚いていた。自分の意思とは関係なく後ろへ飛んだのだから。しかし、その意思とは関係ない行動は、正解だ。

 直後、いつの間にか自身の目の前にいたキリハの体が─正確には右腕が─ぶれた。そして、ジョニーの両腕を同時に切り落とす。

 

「ッ!?ぐぁ─」

 

「うるせぇよ」

 

 ジョニーが悲鳴を上げる前に、キリハは自身で持っていた毒ナイフで刺した。毒レベルは5、二十分は動けない。キリハは、動けなくしたジョニーに興味を失い、自分の中からジョニーという存在を意識から─視覚や聴覚、五感からの情報から─外し、PoHに向き直る。

 

「Wao、ジョニーは弱いわけじゃあないんだが、お前にとってはeasyすぎたか?

だが、それでこそ楽しめるってもんだよなぁ!!」

 

 キリハはなにも言わず、代わりに居合いの構えをとる。そして、キリハは最終目的を達成するための作戦を考えようとしたが、やめた。無駄だからである。いくら考えたところでPoHがそれ以上の動きをしてくれば無意味なのだから。

 キリハの最終目的は二通りある。一つ目はPoHの捕縛、そしてもう一つが

 

─PoHの殺害─

 

 和葉(キリハ)は、大事な者達にとっての脅威が少しでも無くなるなら、殺人すらも犯す危うい一面を持つ。自己犠牲が強すぎるのだ。それこそ、自分一人の命で皆が救えるのなら喜んで命を投げ出すほどに…。

 

 先に仕掛けたのはPoHだ。両手に一本ずつ短剣を持っている。対してキリハは、自分から、動いた。真正面からPoHに向かい横に一閃、がPoHは上に跳び回避、キリハの後ろに着地し、振り向きざまに武器を振るう。キリハは刀を逆手に持ち前を向いたままガード、刀を逆手に持ちながら反時計回りに回転しながら斬る。PoHはバックステップをしてこれを回避、両者の距離が開いた、瞬間、キリハが刀を鞘に収めPoHに迫り開いた距離を縮める。PoHは焦らず左手に持っている短剣を投げる。キリハは顔をそらし短剣の柄をつかみすぐに投げかえした。PoHはそれに少し驚きながらも体を伏せ回避、次には加速する。そして再びつばぜり合いが起こる。金属の擦れる音と火花が飛び散る。そして互いを弾き合った瞬間、激しい攻防戦が始まった。キリハが刀を振るえば、PoHは短剣で防ぎ、PoHが短剣を振るえばキリハは鞘で防ぐ。リーチはキリハの方が長いが、PoHは攻撃を防ぎながら近づき得物を振るおうとする。が近づかれる前にキリハは蹴りを入れ短剣の間合いに入らない。お互いが一歩間違えれば即座に攻撃を食らうぎりぎりの戦いをしている。だが、その中でPoHは違和感がした。少しずつ、だが確実にキリハに()()()()()()()()()()()()()。これはPoHのスピードが落ちているわけではない。ここはゲームの世界だから実際に体を動かしているわけでは無いが、これだけぎりぎりの戦いをしていれば精神に疲れが出てくるはずだ。しかし彼は疲れを見せない、否、疲れていないのだ。それだけ彼の精神力が高い事を示す。そんな精神力を持っているPoHがキリハに追いつけなくなっている理由は一つしか無い。キリハのスピードが時間が経つごとに()()()()()()()()

 キリハは別に手を抜いていた訳では無い。常に最初から本気だった。キリハからしたらの話だが。キリハは、数年前に自身の“技”で人を殺めてしまったことから同じ過ちを繰り返さないように、無自覚の内に、“技”を使うときに手を抜くようになったのだ。しかしキリハとPoHの実力はほぼ互角、そのためキリハの体が本気になっただけのこと。

 キリハは徐々に、しかし確実にPoHを追い詰めている。そして

 

「ちぃっ!!」

 

 短剣を持っていたPoHの右手を切り落とした。同時に、武器を拾われることがないように短剣を破壊する(拾わせるつもりもないが)。キリハはPoHの首に刀を突きつけた。PoHは諦めたように呟く。

 

「Fuck…これでfinishか…」

 

「あぁそうだ。ここでお前を殺す」

 

 キリハはPoHにトドメをさすために刀を上に上げる。

 

「お前に遺言は必要ない。さよなら」

 

 そして振り下ろす、瞬間、()()が入った。

 

「「「ヒャァァアっ!!!」」」

 

 三人のラフコフが物陰からキリハを奇襲した。キリハは索敵スキルを常に使っていた、にも関わらず奇襲を仕掛けられたのは隠密スキルがカンストしているからだろう。

 PoHが強い者との殺し合いを望み、それを邪魔した者は直接死刑になる。そんなことはラフコフ全員が知っている。ならば何故か?単純に殺される恐怖より殺したい気持ちが(まさ)っていただけだろう。

 キリハが上を向くと既に目の前には自分を狩る凶器が迫っていた。全てがスローに見える。その中でキリハ(和葉)は、四年前に交わしたある青年との約束を思い出していた。

 

─和葉、約束してくれ。もう君の“技”で人を殺めないと。君のその顔を、僕はもう見たくないんだ─

 

(…すいません浩一郎、約束は守れそうにありません)

 

 凶器がキリハに当たった、正確には当たる寸前、目の前からキリハが消えた。それにラフコフは目を見開く、と同時に体が切り刻まれたのを自覚した。いや、自覚せざるを得なかった、と言うべきか。何故なら、自分以外の二人の体がバラバラになっており、体の感覚が全て消えたのだから。三人は恐怖を感じる前にポリゴンとなり、死んだ。それをキリハは無感情に見つめた。だがキリハの表情は見る人が見れば苦痛に満ちているように見えるだろう。

 

「雑魚が乱入してくれたことに感謝したのは初めてだな…」

 

 キリハがPoHに向き直ると、左手に何か黒い玉を持っていた。一瞬怪訝に思ったがすぐにまさかと目を見開いた。

 

「察しがいい、なっ!」

 

 PoHが黒い玉を下に投げつけ地面についた瞬間、黒い煙が充満した。これではPoHに逃げられると思ったキリハは索敵スキルを使おうとしたが

 

「索敵をしようとしてるんだろうが無駄だ。この煙は中にいる全てのプレーヤーの索敵を妨害する機能があるんでな」

 

 どこからか反響する声でPoHは喋り続ける。

 

「俺をここまで追い詰めたのはテメェが初めてだ。いつか必ずテメェに復讐しにいくからなっ…!俺に殺されるまで死ぬんじゃねぇぞ」

 

「待てっ!!」

 

 キリハはその場で独楽のように回り煙を吹き飛ばした。しかしPoHの姿はどこにも見当たらない。その場にはキリハと、身動きが出来ないジョニーだけが取り残された。

 キリハは歯ぎしりをして、勢いよく刀を地面に突き刺す。

 

「ちくしょうっ…!」




はい、ここまで見ていただきありがとうございます。今回でラフコフ討伐戦は終わりです。次回は和葉達へ過去編へ行きます。といっても一話で終わりにするつもりですが

和葉「浩一郎って、原作アスナの兄でしたよね?」
うんまぁね、出すつもりは全くなかったんだけど、ちょっと面白い展開(作者にとって)を思いついたんだよね。だからおっと、ここから先はネタバレになる


誤字脱字がありましたらご報告よろしくお願いします<(_ _)>

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。