武器の鑑定が終わった後、四人は第一層《始まりの街》の《生命の碑》に来た。これにはSAOに入っている一万人すべてのプレイヤーの名前がのっている。さらに死亡者の確認もできる
今回、生死を確認するプレイヤーは二人、グリムロックとカインズだ。カインズの綴りはあらかじめヨルコに聞いていた。綴りは《Kainz》。
《生命の碑》にはSAOにログインしたプレイヤー全員の名前が記されている。死亡してしまったプレイヤーには名前の上に横線が刻まれており死亡した日にち、原因、死亡時刻も記されている。
ここに来たのはグリムロックとカインズの生死の確認に来た。カインズはキリハ達の目の前で消えたのだがそんなことでキリハが納得出来るわけない。
そういうことでまずは《G》の列でグリムロックの生死を確認すると
「...生きてるな」
「ああ」
次はカインズの生死を確認するため《K》の列を探していると
「カインズは、死んでるな...。
日時も一緒だ」
「死亡日時は、四月の二十二日、十八時二十七分、原因は貫通ダメージ...か。
姉さん、これでもまだカインズは生きてるって言うのかよ?」
キリトがキリハの方を見ると《生命の碑》を見ていて何かを探していた。
「和葉、誰を探しているんだ?」
「えぇ、カインズと読める他の綴りを探してました。もう見つけましたが」
そう言ってキリハが指を指したのは《C》の列、そこには《Caynz》という名前があった。横線は無し、つまり死んでいない、だが二人には疑問に思うことがあった。
「なんで他のカインズを探したんだ?」
「ヨルコさんが嘘をついてる可能性もあるからですよ」
キリハはヨルコを疑っているようだ。
「仮に姉さんの言っていることが本当だとして、どうしてそんなことをしたんだ?」
「さぁ、僕は当事者ではないので分かりません。
さて確認は終わりましたし、グリムロック氏は明日探すとして今日はいったん解散しましょうか」
「あのよぉキリハ、オレの本来の職業は戦士じゃなく商業でだなぁ...」
「分かってますよ、助手役は今日で解約です」
別にエギルは事件の真相を探るのが面倒くさいわけではない。だが圏内でプレイヤーを殺したプレイヤーが怖いわけでもない、逆だ、今までモンスターに向けていた怒りが爆発しそうなのだ。そのプレイヤーにあった瞬間に...。
エギルと別れ三人はキリトのホームに向かっていた。最初キリトはアスカについてこなくてもいいと言ったのだが「彼女を家まで送ってくのが彼氏の役目だろ?」と言ってきた。キリトは説得を諦めた。アスカはキリトを送った後キリハも送ってくつもりだ。(二人は別々の宿に泊まっている。)
三人が雑談をしていると七人のプレイヤーに囲まれた。全員に共通点があり、青のプレートアーマーをつけている。元ギルド《ドラゴンナイツ・ブリゲード》、現《青竜連合》通称《DDA》、攻略組三大ギルドの一つだ。
アスカはメンバーのうち、顔見知りに話し掛けた。
「こんばんは、シュミットさん」
シュミットと呼ばれたプレイヤーは眉間にしわを寄せ早口で言った。
「...聞きたいことがあってあんた達を待ってたんだ」
「へぇー、誕生日と血液型、じゃなさそうだな」
そんな冗談を言ったアスカにキリトとキリハは蹴りを入れ、シュミットはさらにしわを寄せた。
シュミットはキリハ達が女だということを知っているプレイヤーの一人だ。キリハ達が女だと知っているプレイヤーにはそのことを言わないという暗黙の了解が存在する。ちなみに破ったプレイヤーはミンチにされる。理由は、まぁおわかり頂けると思う、どうやらシュミットは守っているようだ。
今現在、壁を背にしているキリハ達は《DDA》のメンバーに半円に囲まれている。非マナー行為の一つである《ボックス》まではいかないが輪の外に出るには誰かしらの体に触れなければならず、これもまた非マナー行為の一つ《なんちゃってボックス》だ。
キリハはため息を押し殺し、シュミットに聞いた。
「答えられる範囲なら教えます、何を聞きたいんですか?」
「...今日起きた圏内事件のことだ。
Winner表示が出なかったっていうのは本当なのか?」
その問いにキリハは頷いた。
「少なくとも広場にいたプレイヤーは誰も見ていませんでした。まぁ見逃したという線もなくはないですが...」
シュミットは口元をきつく結んだ。しばらく黙っていたシュミットは口を開いた
「...もう一つ聞きたいことがある。死んだプレイヤーはカインズと聞いたが...」
「それも本当です。《生命の碑》に確認しに行きましたが日にちと死因は一致してました」
シュミットは息が詰まったような声を出した。と今度はキリハが質問をした。
「今度はこちらが質問をします。あなたはカインズ氏と関係あるのですか?」
「...あんた達にはかん「関係ないとは言わせませんよ」」
キリハはシュミットの言葉を遮った。
「事件を目の前で見ている以上、僕達は関わっています」
キリハの言葉にアスカは頷いた。
「あぁそうだな。それに俺達はなんとしても今回の事件の手口を調べないといけない。
じゃないと他の街も危険にさらされるからな」
「手口が分かれば対処策はうてる。アスカ達はどうか知らないがはっきり言って、俺は犯人が誰かなんてどうでもいい」
見つけたら見つけたでぶっ飛ばすけどな、とキリトは言い、キリハとアスカは苦笑した。
「まぁ、そういうことですので、協力しませんか?」
キリハの問いにシュミットは首を
縦に振った。
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