家族(仲間)と自分探しの旅[一時凍結] 作:Eucliwood
これからはなるべく説明話は控えるつもりです。
次話ではフルボッk……もとい、戦闘を入れますので、今回はお見逃しください。
では、そんな話でもいいという寛大な心をお持ちの方はどうぞ見てやってください。
*???:シキ:朝*
「…………」
僕は目が覚めた。
まだ少し身体に疲労がたまっているが、それは致し方ない。
僕は身体を起こし、あたりを見る。
キングサイズのとても大きな黒色のベッドに僕は寝ていた。
室内は漆黒に塗られている壁。
大きなロッカータンスタイプのクローゼットとマルチ収納タイプのクローゼットが二つずつ部屋の隅に置いてあり、その横には大きなロールトップデスクが置いてある。
そして複数人が話すのに便利なゲートレッグテーブルが部屋の中央付近に配置してある。
勿論椅子もあるし、数は四つもある。
うむ、イメージした通りになっている。
僕はイメージと正しかったか確認し、満足していると、ドアがノックされた。
「シキお嬢様、起きていらっしゃいますか?」
僕はベッドサイドテーブルに付けられた金で出来た手首ほどの大きさの輪を引っ張る。
すると、ドア付近でパチッと音がした。
これは僕が考えた装置だ。
僕は喋っても通じない、つまり喋れないのと同じだ。
だから誰かが来ても、返事ができるようにこの装置を考えた。
この装置は輪を一度引っ張ると、『いい』の合図。
二度引っ張ると、『駄目』の合図。
三度引っ張ると、『少し待て』の合図となっている。
もちろん、ただ引っ張るだけでは通じない。
だからドアノブの上に台形の彫りがあり、そこの絵が合図ごとに変わるのだ。
さっきのパチッという音はその切り替えの音だろう。
クロはその絵を見て入っていいと判断するだろう。
案の定クロは自然とした、だが隙がないような動作で此方に来る。
「お目覚めになられましたか、シキお嬢様。」
『先程』
その文面を見ると、クロは手に持っていた水の入ったグラスを僕に差し出す。
「具合はどうですか?」
『八割回復』
「そうですか、あまり無理をしないようにお願いします。
それと、この船を一通り見させて頂きました。
とても良い船ですね。
流石シキお嬢様がお創りになるだけあります。」
それほど褒められると駄目な子になってしまいそうだ。
僕はクロにご苦労と返事をして、もう少し、寝かせてもらう事にした。
クロにはこのまま船を真っ直ぐ進行させるとだけ言ってある。
あとはクロが何とかしてくれるだろう。
しかし、航海士等が必要だな。
専門職がいないとまずいし、なによりこれから二人だけじゃ淋しいし、気まずい。
まず一番は航海士だ。
そして船医や船大工、料理人や船員も欲しい。
とにかく今は人手不足だ。
どこかで誘うしかない。
クロのようにいくとは限らないし、そもそもあれは特殊な例だ。
まずないと言っていい。
優先順位は航海士>船医>船大工>船員>副船長>料理人>音楽家>etc...だな。
航海士は必要不可欠だ。
船大工は万が一の為に必要な人員だ。
普通、船員と副船長の順位が逆だが、副船長は船長の僕がまとめてすればいいから、船員が必要だ。
料理人はクロが暫くは代理でしてもらうが、それでもやはり本職にやらせたほうがいいだろうし、クロもその方が疲れないだろう。
音楽家等の他は一番最後だ。
近くに人員募集が出来そうな町があればいいんだが。
そう簡単にはありそうにないな。
……取り敢えずクロに聞いてみるか。
僕は扉輪の隣にある呼び鈴を鳴らす。
すると数秒もせずクロがドアをノックした。
僕は扉輪を引っ張り、クロを中に入れる。
「お呼びでしょうか、シキお嬢様。」
『誰でもいい、いい航海士は知っている?』
「…航海士ですか……。
申し訳ございませんが、シキお嬢様が期待できるような航海士は存じ上げません。」
やはりそうか。
有能な航海士なんていればこの世界なら殆どのものが欲しがるだろう。
となると最初に向かうは大きな町となるな。
それも船に詳しいものがたくさんいる町。
『船に詳しいものが多くいる町は?』
「船に……。
そうですね、名前を聞いた事しかありませんがウォーターセブンでしょうか。」
全く知らないな、当たり前か。
でも行く価値はありそうだ。
『行こう。』
「ウォーターセブンにですか!?
また聞いた事のない単語だ。
それに、クロが取り乱しているという事は相当な場所なのだろうか。
『グランドライン?』
「グランドラインをご存知ないのですね。
世界を一周する航路。
「
悪魔の実の能力者も数多く存在し、でたらめな気候や様々な理由によって一般常識が通用しない危険な場所です。
ふむふむ。
『ワンピース?』
「海賊をしているのにも関わらずご存知ないのですか。」
仕方ないだろう、こっちは未だ精神年齢零歳児だ。
「ワンピースにはこの世の海の全てがそれに詰まっていると言われています。
海賊王ゴールド・ロジャーが残した財宝です。」
なるほど、その海賊王が残した財宝を世の中の連中を海へ駆り立てたのか。
「グランドラインへの入り口は山になっており、運河を経由しなければ入ることはまずできません。
グランドラインは「
なるほど、つまりはグランドラインに入るにはほぼ間違いなく一方通行の道を通らなければならないという事か。
それが通常の、並みの船なら。
残念ながら僕の創った船はそう簡単に壊れてもいいほど甘くイメージしていない。
大砲ぶち込まれても、数発なら無傷でいる。
さらに僕の魔力のシールドを常に張っているからいくらその海王類が強くてもまず傷をつけること自体が不可能だろう。
「まぁ、シキお嬢様ならカームベルトも容易に抜けられるかもしれませんが。」
もっと褒めてもいいのよ?
「話を続けましょう。
グランドラインでは季節・天候・海流・風向きの全てがデタラメで、様々な超常現象が発生するそうです。
各島々が鉱物を多く含むため、強力な磁場が発生しており、通常の方位磁針が使い物にならず、普通の航海術が一切通用しないというのも危険な事の一つです。
そのため代わりに「
長い説明どうもありがとう、クロくん。
だいぶとこの世界の地理が分かった。
となると、ウォーターセブンはまだ無理か。
『ちなみにここはどこ?』
「
イーストブルーか……という事は
っというかあるのだろう。
そうだな、まずイーストブルーには求める人員はいないだろう。
クロがいないと言っているのだから、グランドラインに入らないと求める人員はいないということだな。
結局グランドラインに行かなきゃいけないのか。
でもまぁ、この状態でも行けるか。
クロをもっと強くすれば僕の護衛になれるだろう。
『グランドライン出発』
「……止めたとしてもいくのでしょう?」
『愚問』
その文面を見たクロは呆れながらも付き合ってくれるようだ。
いい仲間に出会えた。
グランドラインに入ったらもっともっと人員を増やして賑やかにしよう。
それまでクロを鍛えるとしよう―――――
*船:シキ:夜*
「ンコウオ マント コロニホヌホスヨハノ……(夜は落ち着くな……)」
僕は真夜中の海の上が好きだ。
船に乗って、いつの間にか海賊モドキとなってからだろうか。
夜の海は、静寂で、闇のように深い色をしていて、吸い込まれそうな雰囲気を感じさせる。
僕はそれが好きだ。
それに合わさって、綺麗な夜空に浮かぶ月が海上を照らす。
僕はその中で、自分の船の甲板でラックを食べながら紅茶を飲む。
この間、一杯の紅茶に角砂糖を二十個投入したのだが、まだ僕の気に入る甘さではなかったので、もっと入れようと角砂糖を入れてあるポットに手を伸ばしたらクロに止められた。
どうやら世間では入れすぎらしい。
僕にとってはまだ苦かったので入れたかったのだが。
まだ苦いから入れるとクロに伝えると、クロは下がってくれたが、思う事があるのか僅かに唇を動かしていた。
それほどまでに僕のこの量は酷いのだろうか。
まぁ、僕は僕の思ったままに動くだけだ。
世間がどうだろうと知ったことではない。
僕はいつも通り砂糖を数十個入れた一杯の紅茶を飲む。
…うむ、ちょうどいい甘さだ。
この海の夜風がさらにいい雰囲気を醸し出している。
僕は紅茶を飲みながらテーブルに置いてある地図を見る。
この地図はクロに聞きながら魔法で創ったこの世界の地理を詰め込んだものだ。
簡単に言えば世界地図だ。
この世界の海は、世界を縦断する大陸「
グランドラインはカームベルトに挟まれており、レッドラインによって二分されたグランドライン後半の海は「新世界」と称されているらしい。
グランドライン、レッドラインにより東西南北に区切られた海はそれぞれイーストブルー、ウエストブルー、サウスブルー、ノースブルーと呼ばれているらしい。
そして、この世界の上空には「空島」なるものがあらといわれている。
僕が魔法で創ったこの地図はクロによるととても正確で、これほど精密な世界地図は見た事がないと言っていたが、あれは素直に感じた事か、それともお世辞か。
とにかく僕はこの地図を使ってグランドラインを目指している。
といっても、このまま真っ直ぐ進み、カームベルトを通りすぎれば到着するのだが。
グランドラインへ到着すれば、やる事が山ほどある。
人員探しに、情報収集等忙しくなるだろう。
そうなると必然的に僕はクロのピンチの時に守ってやれなくなる。
そもそも、いくら僕の方が力は上でも経験値はクロの方が上なのだ。
守る事なんて不可能だろう。
だからこそ、クロにはもっと力をつけてもらう必要がある。
だからクロには毎日僕の魔法を使って鍛えさせている。
クロの攻撃方法は鉤爪のような武器を使っての高速攻撃だ。
よって、僕はそのスピードを重視して鍛えさせる。
能力でクロにかかる重力を重くしていき、その重力下で普段通りに動けるようにするという方法と、魔法によってつくった、クロと同等の能力を持った影の分身体と組手をするという方法を用いている。
当初は音速より少し遅いくらいだったが、現在では光速に勝るとも劣らないほどのスピードを手に入れた。
クロには杓子といって完全に姿が消えるほどのスピードで相手を切り刻む技がある。
しかし、自らでコントロールが出来ず、敵味方関係なく攻撃を行うものだった。
それではせっかくのスピードが生かせてないと思い、この練習方法を思いついたのだ。
そして、クロにはもう一つ教えたものがある。
人間の筋肉はゴムに似た性質を持つ「筋線維」がたくさん集まったもので、脳から来た指令を神経が筋肉に伝えることで筋肉が縮むという構造になっている。
ゴムを思いっきり引っ張ると当然切れるが、それと同じように筋肉も強く引っ張りすぎると切れてしまう。
また、筋肉は骨についているが、筋力が強すぎると骨も傷ついてしまう。
身体を動かすたびに損傷していては話にならない。
だから普段、人間は自らの筋力の約二十%程度しか使っていない。
これがリミッターだ。
このリミッターは自らの意思で外す事は不可能に近い。
このリミッターは危機的状況下等で外れる。
つまり命の危険が迫った場合等で発揮する能力だ。
これをクロにはいつでも自分の意思で外せるように鍛えさせている。
頭に命の危機が迫っていると思わせるのだ。
そうする事でリミッターが外れ、とてつもない力が発揮できる。
だが、この能力にもデメリットが存在する。
このリミッターは筋力がその力に耐えられず損傷するからつけられているもので、それを外すという事は身体を壊す事と同じだ。
だからこそ、この能力は長い事使えない。
現在のクロは八十%の力をジャスト一分まで外す事ができる。
こればっかりは鍛え続けるしかない。
今の段階のクロはどれほど通用するのだろうか。
それも確認するためにグランドラインに行くまでに通過するカームベルトでの海王類に試そうと思う。
グランドライン……偉大なる航路か。
僕の興味が出るものがあるといいが―――――
はい、終了です。
分かっております、言わなくても分かってます。
「マジで説明話だったな。」といいたいのは痛いほど伝わります。
しかし次では戦闘をいれます(震え声)
お楽しみください。