GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話でレポート13は終わりです。レポート14はドラゴンへの道に入っていくつもりです、その前に別件リポートを入れるつもりです、色々と今後の話の伏線があるので楽しみにしていてください。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


その5

 

リポート13 無邪気なゾンビと人斬妖刀と未熟なGS その5

 

シメサバ丸の除霊は刀の破壊と言う結果で終わった。元々破壊しても良いと言う内容だったから問題ないのだが

 

「これどうしようかしら?」

 

机の上に置かれているシメサバ丸の柄と刀身を見て如何するかなあと悩む。依頼主はそんな刀なもう見たくないと言って回収を拒否した。かなりの妖力を溜め込んでいるので普通の方法では処理できないし、何よりも物を切りたいって言うシメサバ丸の想いが染み付いているので刀とかに打ち直すしかないのだが、恐らく斬ると言う概念が染み付いているので下手な人間に渡すとまた妖刀化しかねない。信用できる人間にしか渡せない物になるだろう

 

(どうしようかな)

 

本当にこれどうしよう?唐巣先生に相談しようかなあっと思っているとふと思い出す

 

(そう言えばおキヌちゃんが新しい包丁を欲しいって言ってたわね)

 

人を切っている所は嫌だけど、柄の方は包丁に打ち直して残りは……

 

「蛍ちゃんと横島君に回そうかしら……琉璃にもいいかもしれないわね」

 

サバイバルナイフ程度の大きさに加工して貰って蛍ちゃんと横島君に持たせれば、多少は霊力の節約になるし、懐刀と言うのは儀式に用いられることもあるので琉璃に渡しておこう。会長とのパイプを作っておけば、今後多少無理な頼みを聞いてくれる可能性もあるし……

 

「さーて、次は依頼の確認でもしましょうかー」

 

今日は蛍ちゃんとおキヌちゃんに横島君は休みにしている。昨日の今日で除霊の依頼をいれるほど私も鬼ではない、休むときは休ませる。これは大事な鉄則だ、なんせGSと言う仕事は身体が第一なのだから

 

「んーこれは微妙。これも微妙ねえ……」

 

大親分さんから回された依頼はかなりの数があるが、どれもこれも難易度の高い物ばかりだ。そのうちの半分くらいは自縛霊となっている元持ち主がいる土地の除霊、もう半分はお化け屋敷とかここを通ると怪我をすると言われている場所の調査

 

(結構大親分さんはしっかりしているのね)

 

自分のシマを大事にするタイプの極道だったらしく、ここは子供の通学路なので優先してくれるとありがたいや、子供が何人も怪我をしているのでここも早く。など直筆で優先して欲しい書類には一言書いてある

 

「これから良い付き合いが出来そうね」

 

地獄組と極悪組の組長も大親分さんを見習いなさいよねと思いながら、明日の除霊のスケジュールを組むのだった……

 

 

 

 

 

その日俺の家は今までにない緊張感に包まれていた。普段はこういう時に俺の傍にきてくれるタマモは現在吊るされている、シズクが横島を護るときにいなかった罪とかで朝から布で包んでから縄で縛って天井から吊るしたのだ

 

「きゅーんきゅーん」

 

助けてと俺を呼んでいる声がするがすまない。今は自分の危機に対応するだけで手いっぱいなんだ。それほどまでに今目の前で起きている光景は衝撃的だった

 

「……お兄ちゃん」

 

にやっと悪い顔をして俺を兄と呼ぶシズク。なんだ突然どうしたんだ?悪戯か?それとも何か考えがあるのか?

 

【動きましたね】

 

「ええ、アリスちゃんとの遭遇で今がチャンスと思ったのかもしれないわ」

 

なにかひそひそ話をしつつ、鋭い眼光で俺を見てくる蛍とおキヌちゃん。俺が何をしたって言うんだ……とりあえず深呼吸してから

 

「なんで急にお兄ちゃん?」

 

シズクにそう尋ねる。俺としてはいつもの横島と呼ばれるほうが良いんだけど……

 

「……アリスに呼ばれて嬉しそうにしていた。だから私もそうしたほうがいいと思った」

 

……シズクの考えている事が俺には判らない。どこをどうやったらそんな結論になるのだろう……それにシズクとアリスちゃんでは致命的に違うことがある。それは

 

「いや、打算的にお兄ちゃんってないやろ?」

 

いや確かにまぁぐっと来ないわけではないけど、シズクの場合その言葉の裏に隠された打算的な考えが見えるようでなにか嫌だ。視界の隅でガッツポーズをしている蛍とおキヌちゃんは気にしない方向で行こう。シズクは手を組んで何かを考えている素振りを見せている

 

「まぁそれは置いといて、遊びに行くんじゃなかったのか?」

 

折角美神さんが休みをくれたので皆で遊びに行こうという話になっていた。だから良い天気ならピクニック、天気が悪かったら映画とかにしようと話をしていた。今日はとても良い天気だったので朝から来ていた蛍やおキヌちゃんにシズクが作った弁当を持ってピクニックに行こうと話をしていたのにシズクの一言のせいで出発時間より大幅に遅れてしまっている。バスケットの上でチビが

 

「みー?みー?」

 

まだ?まだ出かけないの?と言う感じで何度も小首を傾げている。人形用の帽子を被っているその姿が実に可愛い。タマモのお仕置きももう良いだろうと思い縄を解いて抱き抱えていると何かを閃いた様子のシズクが近寄ってきて

 

「……駄目なの?お兄ちゃん?」

 

(なんだこの破壊力は!?)

 

上目遣い&胸の前で手を組んでいる姿に思わずドキンとする。打算的な考えがあるとわかっているのに可愛いと思ってしまった。

 

「かぷ」

 

「あっ!あーサンキュタマモ」

 

軽く俺の指を噛むタマモに我に帰る。シズクはシズクで蛍に梅干をされおキヌちゃんにほっぺたを引っ張られていた……なんで?

 

「今横島を操ろうとしたでしょ!この蛇娘~」

 

【そう言うのは許しませんよ~】

 

「いひゃい!いひゃいいい!たひぃけええ!ひょこひぃまああ!」

 

手足をじたばたさせて助けてと叫んでいるシズク。どうやら俺に何かをしていたようだ、でもシズクに世話になっているのも事実なので

 

「そろそろ行こうぜ?今日は折角の良い天気なんだからさ」

 

遊園地とかは何か違うし、買い物だとお金を使う。だからピクニックが丁度良いのだ、何せ俺の家には料理上手な女の子が3人もいるから

 

「それもそうね、行きましょうか。横島」

 

シズクへの梅干をやめて笑う蛍。やっぱり蛍は怒らせたら駄目だなと思いながらバスケットを持ち

 

「チビ行くぞー」

 

「みー!」

 

嬉しそうに鳴いて頭の上に乗るチビ。落ちないように髪を掴まれているせいか、少しだけ頭が痛い

 

「くーん」

 

弱っているタマモは片手で抱っこする。バスケットはそんなに重くないし、何よりGSのアルバイトで体力も筋力も上がっているのでこの程度の重さは全く気にならない。玄関に鍵をしてピクニックに向かう所で

 

「どした?」

 

俺のGジャンの裾を掴むシズク気になって振り返るが、シズクは目を逸らして答えない。

 

「チビ」

 

頭の上のチビに声を掛けながらGジャンのポケットを広げる。チビは俺が何を言いたいのか即座に理解して

 

「みー」

 

頭の上から飛び降りてGジャンのポケットに滑り込むチビ、抱えていたタマモを頭の上に乗せて

 

「ほい」

 

空いている左手をシズクに向けると笑顔で俺の手を握るシズク。なんだかんだでシズクも甘えたいんだなあと思いながら先にあるいていた蛍達に合流すると眉を顰めて俺と手を繋いでるシズクを見て

 

「【やられた】」

 

ぼそりと呟く蛍とおキヌちゃんに首を傾げながら、俺達は近くの自然公園へと向かうバス停へと足を向けたのだった……なお横島は気付いてないが、シズクは後ろから蛍とおキヌを見て勝ち誇ったような笑みを浮かべているのだった……

 

 

 

 

横島達がピクニックをしている頃妙神山では……徐々に今の自分と同化している小竜姫とヒャクメが会議をしていた

 

「もう少しのはずなのねー?もう少し落ち着いたらどう?」

 

私の前でのんびりとお茶を啜っているヒャクメがぽわぽわと笑いながら話しかけてくる。目の前のカレンダーのは2日後に二重丸がついている。これは私が隠している未来の私とヒャクメ専用のカレンダーだ

 

「だ、だってどんどん横島さんの近くに人が増えてるし、ミズチも行ってるし焦ってくるじゃ無いですか!アシュタロス陣営のメドーサだって絶対敵になっているんですよ!?」

 

私もある程度記憶を戻しているのだから向こうだってきっとそうに違いない。大体私はここから動けないのだから明らかに分が悪い勝負になっている

 

(早く妙神山に来てもらわないとどんどん不利になる)

 

それが判っているからどうしても焦ってしまうのだ。私の焦りに対してヒャクメは冷静な素振りで

 

「そうやってがっつくと余計自分が不利になるのね~どっしり構えているくらいの心構えが大事なのね~」

 

にこにこと笑うヒャクメその目はうろたえている私を見て楽しんでいるようで非常に不快だった。そして気付く

 

「そうですよね~ヒャクメはその目で横島さんをずっと見てるんですよね?」

 

私がそう呟くとビクンと肩を竦めるヒャクメ。ずっと見ていることが出来ているからこそある余裕……それが私とヒャクメの違いだ

 

「そ、そんなことはないのね~」

 

ぶんぶんと手を振るヒャクメ。実に怪しい……疑ってくださいといっているようにしか思えない

 

「そうですか、疑ってすいませんでした」

 

私が謝るとほっとした顔をしているヒャクメ。ここで安心させて

 

「横島さんの寝起きは可愛いですか?」

 

「もうとっても可愛いのね~グレムリンと……」

 

だらだらと汗を流すヒャクメ。語るに落ちたとはこの事だろう、私は拳を鳴らしながら立ち上がり

 

「なにか言いたい事はありますか?」

 

自分だけずっと横島さんを見ていて、私をこうして馬鹿にする。それは間違いなく、私との気持の余裕の差があるのは当然。そしてそれでからかうって事は死にたいって事なんですよね。友人のよしみってことで手加減くらいはしてあげましょうか?ヒャクメを処刑しようとした所で

 

「あ、あら?」

 

ふらっと立ちくらみがする。いやこれは立ちくらみじゃ無い、今の私が目覚めようとしているんだ

 

(ふ、不覚)

 

絶対ヒャクメをとっちめると決めていたのに……とは言えヒャクメの方も頭を抱えているので彼女の方も限界なのだろう……

 

(戻りましょう)

 

もう少し表に出ていたかったですが、あまり無理をして今の時代の私に拒絶されても困る。だから大人しく心の中に戻ることにしよう……それに心の中でも横島さんの事を考えることは出来ますからね

 

(ああ、早く会いたいなあ)

 

今の私がきょときょととしているのを見ながらそんな事を考える。横島さんと会った日それは私にとってとても大切で大きな出来事の会った日

 

(きっと今の私も直ぐに気に入ってくれる)

 

横島さんは確かにスケベで馬鹿をするけれど真摯でどこまでも真っ直ぐな人だ。実際には覗きとかはするかもしれないけど、そこから先に進むことが出来ないし、何よりも逆に攻められると弱いという可愛い所がたくさんある

 

(早く会いたいなー)

 

ずーとこの日を待っていた。会いたいと願う気持ちがどんどん強くなる、会えたらどんな話をしよう?また横島さんは私を師匠として受け入れてくれるだろうか?期待と不安が入り混じるこの気持ちがとても嬉しく思える。横島さんを思っている間は神族・小竜姫ではなくて本当の自分で居ることが出来るから……

 

(今回は私の本当の名前を教えてあげますからね)

 

小竜姫と言うのは役職としての名前だ。自分の本当の名前を教えると言うことは龍族にとってとても深い意味を持つ。未来では私は横島さんに本当の名前を教えることが出来なかったけど、今回は絶対に伝えたいと思う……

 

(早く明後日にならないないかあ)

 

早く横島さんに会いたいなあと思いながら、私は今の小竜姫の中で眠りに落ちるのだった……

 

 

 

 

 

自然公園の中を楽しそうに飛び回っているチビを見ながらのんびりと山の中を歩く

 

「みー!みー!!」

 

空中で旋回したり、時々放電しているチビを見ていると何か穏やかな気持ちになってくる

 

(これでもう少し懐いてくれると言うこと無いんだけどね)

 

今のところ横島を除くとシズクにしか懐いていない。私にも懐いてくれればもう少し共通の話題が出来るんだけどなあ……

 

「くーん♪」

 

元気を取り戻したタマモがとととっと走っていく。やはり今の姿のままだと野生の本能の方が強いのかもしれない

 

「さっきの案内板だともう少しで広場があるみたいだからそこで休憩にしましょうか?」

 

案内板の内容を思い出しながら横島に尋ねる。手を繋いでいるシズクの姿は見ないことにする、あの勝ち誇った顔を見ると苛々してくるから

 

「そやなー、近くに公園とかもあるからそれがいいかもなー」

 

横島も久しぶりに穏やかな気持ちなのか表情がかなり柔らかい。見ているだけで楽しい気分になってくる、しかし気がかりなのはおキヌさんだ。さっきから一言も喋らないので

 

(どうかしたの?)

 

小さい声でどうかしたのか?と尋ねるとおキヌさんは渋い顔をしながら

 

【横島さんが妙神山に行ったのってシメサバ丸の時からそんなに時間が経ってないんですよ。大分起きている時間とかは違いますけど、もしかしたらって思って】

 

その言葉に私も眉を顰める。妙神山と言えば小竜姫さん、横島の才能を見出した女性で横島自身もかなり好意的に見ていた人だ。

間違いなくその人の魂も逆行してきている。その事を考えると確かに不安になる

 

【まだ違うと思うんですけど、もしかしてって思うじゃ無いですか】

 

「確かにね」

 

龍族と言うのは情が深いことで有名だ。小竜姫もきっとそのタイプに違いない……隣を浮いているおキヌさんのようなタイプになっているかもしれないと思うと少し怖くなってくる

 

(でも妙神山に行くのは確実だし……)

 

横島の霊力が完全に覚醒するきっかけになるのは小竜姫さんから授けられる心眼だ。つまり横島の霊力が完全に覚醒するには妙神山に行くのは確定だ。確実に敵になると判っている人間の傍に行くのはいやだなあ……まぁ人間じゃなくて神様だけど……

 

(まぁ警戒しておけばいいでしょう)

 

【ですね】

 

神様だからそんなに危険じゃ無いでしょうと思いながら広場に向かって歩き出した。だけど私もおキヌさんも余りに甘く見ていた……神様でも思い詰めるととても危険な存在になるのだと……妙神山で私達を待っていたのは予想を遥かに超える黒さを持っている小竜姫さんだったのだった……

 

別件リポート 横島争奪トトカルチョ 途中経過その2へ続く

 

 




登場キャラも増えてきたので、ここでもう1度途中経過を入れます。アリスとかも参戦しているので魔族側が大きく盛り上がる感じですかね。可愛いは正義の図式です。それとじかいは平日更新を水曜日に予定しています。なので平日更新もどうかよろしくお願いします

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