GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回からは横島がどんな日常を送っているのか、それを書いてみようと思います。なので視点は今回は横島オンリーとなります。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


別件リポート 

 

 

別件リポート 横島君の日常 

 

ジリリリっと目覚ましの音が鳴り響く、反射的に目覚ましを止めてもう少し眠ろうかと思ったが

 

(あかんあかん。起きな)

 

蛍が迎えに来るだろうし、チビとモグラちゃんの散歩にも行かないと……だから少し気合を入れてベッドから身体を起こす

 

「ふあああーおはよう。心眼」

 

【うむ、おはよう。良く眠れたか?】

 

ベッドサイドの机の上に広げてある心眼にバッチリなと返事を返し、顔を洗おうと思い立ち上がると

 

「うおっ!?ち、チビか?」

 

机の上でもごもご動いている毛玉を見てビクッとする。

 

「みむう?」

 

どうも背中の毛並みを整えようとしていたようだが、微妙に届かなかったらしい……普段見ている姿と違うので暗い所で見るとなんか怖いし、驚く……チビはそのままぐぐーっと背伸びをして背中の小さな翼を飛び上がり俺の肩の上に着地し

 

「みむー!」

 

おはよーとでも言いたげに小さい手を振るチビに苦笑しながら、モグラちゃんとタマモを確認する

 

「すぷーすぷー」

 

まだ籠で眠っているモグラちゃんは鼻提灯を出している、本当アレどうなっているんだろうな?たまーに見るけど、モグラがどうやって鼻提灯を作っているのか凄まじく気になる。タマモはっと振り返ろうとすると

 

「わったた」

 

「コーン♪」

 

「みむううう!?」

 

箪笥の上からタマモが飛び降りてきて、頭に割りと強めの衝撃が来る。チビはその衝撃で落ちかけて、両手で俺のポケットを掴んで耐えている

 

「こーら!驚くじゃないか!」

 

「クウ?」

 

私知らないよ?ときょとんとした顔をしているので、頭の上のタマモを捕まえて

 

「この!悪戯狐ー♪」

 

「クウウウ!?!?」

 

暴れるタマモを逃がさないように捕まえてくすぐっていると、この騒動で目を覚ましたのかモグラちゃんが俺達の方を見てから、眠気を覚ますように数回頭を振ってから籠から這い出し

 

「うきゅー?うきゅーん!」

 

構って構ってと跳ねて来るモグラちゃんが足元にじゃれ付いてくるので、タマモを頭の上に乗せ、モグラちゃんを拾い上げて肩の上に乗せる

 

「うきゅー!」

 

頬に擦り寄ってくるモグラちゃん、やっぱり甘えん坊だなあと思いながら顔を洗いに行くと

 

「……おはよう横島。そろそろランニングに出掛ける時間だが、今日は少し寝過ごしたのではないか?」

 

キッチンから顔を出してそう尋ねて来るシズクに心眼が

 

【なに、朝からチビ達と少し遊んで居たんだ。時間的にはいつも通りの時間に起きている】

 

うーむチビとか構ってくれと来るとつい遊んでやりたくなるんだよなあと苦笑しながら、心眼を広げたまま机の上において顔を洗う

 

「みむ」

 

「うきゅ」

 

ペットボトルのキャップに水を溜めてやると、短い手で器用に顔を洗ってから……

 

「「ごっきゅごっきゅ」」

 

揃ってキャップを抱えて水を飲み干している、顔を洗った水を飲んで大丈夫なのだろうか?だが朝良く見るが、特に不調になっている所を見た事がないので大丈夫なんだよな?

 

「はーい、タマモおいで」

 

「コン」

 

タマモは自分で顔を洗えないのでタオルを絞って、顔を軽く拭いてやってからリビングに戻る。すると顔を洗う前は気付かなかったが、リビングの隅に巨大な氷塊が見えた

 

「ねえ?シズク、怒ってる?」

 

「……さぁな」

 

嘘だ絶対怒っている。ニヤリと悪い顔をしているから間違いない、それに氷塊の下から長い黒髪が見えているし、苦しそうな呻き声が聞こえてくる

 

(あそこってノッブちゃんが寝てた所だよな……)

 

幽霊だから大丈夫だと思うけど……でもどうしようかと考えていると

 

『横島ー?今日はランニング行かないのー?』

 

リビングを外から覗き込んでいる蛍の姿が見えた。時間を見るといつもの待ち合わせの時間を過ぎていたので、慌ててジャージに着替えて、チビ達にリードを着けて

 

「じゃ!ランニングに行って来る」

 

キッチンで朝食を作っていたシズクにそう声を掛け、氷塊を見ないように心がけて、俺は慌てて家を出るのだった

 

 

「はっはっはっは」

 

いつもと違うランニングのコース。昨日そういえばコースを変えるって聞いてたけど、これはかなりきつい。アップダウンが多いし、全体的に坂を昇って行くので息が切れる

 

「はい、呼吸が乱れてるわよ。それと霊力の収束が全然出来てないわ、疲れていても霊力の循環を意識して」

 

【焦るな、落ち着いて着実に霊力を操るんだ。それはお前の力だ、コントロール出来て当然だと思え】

 

心眼と蛍のアドバイスに判ったと返事を返し、走りながら呼吸を整える

 

「うきゅー♪♪」

 

「みむー♪♪」

 

元気が有り余っているチビとモグラちゃんが足元を走っている。つうか、俺よりも早いな、やっぱ4足歩行だからか?でもタマモは早々にリタイアして蛍の自転車の籠にいるし……

 

(子供は元気ってことか?)

 

目の前の急な上り坂を見て溜息を吐きたくなりながら、坂を上り始めるのだった……

 

「ぜはーぜはー……これきっついわぁ」

 

距離的には普段の川に向かうコースと同じだが、坂の連続で体力をずいぶんと消耗した気がする。自転車に乗っているけど、汗1つ、呼吸すら乱れていない蛍に正直驚いていると

 

「はい、横島。スポーツドリンク」

 

蛍に投げ渡されたペットボトルを受け取り、少し温いそれを一気に飲み干す。チビとモグラちゃんには塩分が多いので、もう1つ持ってきていたペットボトルの水をキャップに入れて与えてやると

 

「みむうっ♪」

 

「うきゅーッ♪」

 

ぷっはあっと言う感じで飲み干し、また元気に周囲を駆け始めるチビとモグラちゃんに驚いていると

 

【霊力の循環とコントロールが出来ていないからそこまで疲れるんだ。良いか、霊力がしっかりと循環出来ていれば、ここまで時間が掛かることも無かったし、疲労も溜まっていない。蛍とも話し合ったが、基礎体力は十分合格点だ。ここからは霊力に重点を置く、惰性で走れば良いと言う物じゃないぞ】

 

そうは言うけどなあ……本当座って霊力をコントロールするだけでもやっとなのに、走りながらはハードルが高いと思うんだけどなあ……

 

「GS試験で出来ていたんだから、それを当たり前にしないと駄目だわ。私もやってるんだから横島も出来るわよ。後はコツを掴むだけだからね」

 

コツかぁ……まぁ蛍に心眼、それにシズクも居るから出来るとは思うけど……それを覚えるまでは大変って事だよなと若干憂鬱な気分になっていると

 

「はい、じゃあこのまま10分座禅したら帰るわよ。学校に遅れるからね」

 

蛍の言葉に忘れていた事を思い出し、うげっと呻いていると蛍が俺を指差して

 

「ちゃんと勉強しておかないと後で困るのは横島よ。私だってアメリカで大学卒業してるんだからね?」

 

それにオカンにも高校卒業しろって言われてるしなぁ……しゃーないか……俺は溜息を吐きながら座禅を組んで霊力のコントロールに勤めたのだが

 

「はい、霊力が乱れてるわよ」

 

【もっと心を静めろ、良いか自然の中と言うのは霊力を認識するのに適した場所なんだ。大事なのは出来て当たり前と思うことだ】

 

心眼と蛍に何度も何度も駄目だしされながらだったので、本当に俺霊力のコントロールが出来るのか?と激しく不安に思うのだった……なおチビとモグラちゃんは俺が座禅している間何をしていたかと言うと……

 

「みーむ」

 

「うきゃー」

 

近くに落ちていたどんぐりを拾って、それでキャッチボールをしているのだった……

 

 

「くふぁあーふあー。よく寝た「寝たら駄目でしょ」あいた」

 

退屈な授業も終わり、漸く帰る時間になったので背伸びしながらそう言うと愛子に頭を叩かれた

 

「いやさ、全然判んないんだよ」

 

蛍にちょくちょく勉強を教えて貰っているけど、それはあくまで課題の範囲だ。授業だと受けてない授業とかも多いので授業の流れが判らないとボヤクとピートとタイガーが

 

「横島さんは除霊実習大目ですもんね。僕はそれほどですが、やはりそれだけ期待されているって事では?」

 

「エミさんはどっちかと言うと理論的な観点で除霊しとるけんのー……ワッシは座学メインじゃ」

 

やっぱり師匠によって勉強の方向性も変わるんだよあ……話を聞いている限りでは、ピートやタイガーは俺ほど短いスパンで除霊実習に行っている訳ではないらしい。美神さんが売れっ子と言うこともあるらしいが、唐巣神父もエミさんもどっちかと言うと座学をメインにしているらしいので、その差だろう

 

「なぁ心眼。座学と実践どっちが良いんだ?」

 

心眼にそう尋ねると心眼はどっちが良くて、どっちが悪いと決め付けるものではないがと前置きしてから

 

【座学によって色々な除霊パターンや悪霊の特性や妖怪・魑魅魍魎の行動パターンを学ぶのは確かに正解だ。だがそれを実践をせず知識だけを手にすると、応用力が無くなり、この妖怪はこうだと言う思い込みが生まれる。生き残れれば反省し、次に繋がるが、死んでしまえばそこまでだ。しかし知識が無ければ実践で相手の行動パターンを学ぶ必要がある、要するに適度な知識とその知識に対応出来るだけの身体能力が必要と言うことだ】

 

心眼の言っていることは難しくてよく判らないが、ある程度勉強して、そして身体を動かすことが大事と言う事か

 

「あれ?でも俺そんな勉強したこと無いぞ?」

 

エミさんに貰った妖怪図鑑や、陰陽術の基礎的なことは勉強しているが、対処法とかの勉強はした事が無いと言うと

 

【軽く試算して300近い妖怪の行動パターンとか覚えてられるか?】

 

「無理」

 

絶対頭パンクするし、それに絶対何処かで間違えて覚えてしまうと思う。

 

【そう言う訳だ。まぁ知識の方は私がフォローするから心配ないが、私に甘えっぱなしでも困る。今度時間を見て少しずつ覚えて行くと良い】

 

うげえ……薮蛇だった……GSの事を覚えるだけでも必死なのに

 

「ご愁傷様です。頑張って覚えてください」

 

「大丈夫ですジャー。わっしでも覚えれるけん」

 

とても不安なフォローありがとうよタイガー。はぁすげえ憂鬱な気分になったなあと苦笑しながら立ち上がり

 

「チビー、モグラちゃん。帰るぞー」

 

教室の隅でシルフィーちゃんと対峙しているチビとモグラちゃんに声を掛ける

 

「くっ……隙が無い」

 

「みむう」

 

「うきゅー」

 

放電しているチビと巨大化し、口からちりちりと炎を吐き出す準備をしているモグラちゃんに追い詰められているシルフィーちゃん。本当血を吸おうとしなければ良い子なんだけどなあ

 

「すいません。島育ちだから不器用なんです」

 

「不器用ってレベルじゃないと思うけど?」

 

ピートのフォローを両断する愛子。まぁ島育ちなのは判るけどさ、やっぱ世間一般的な常識は必要だと思うんだ。致死量の血を吸おうとするとか正気じゃないとしか言いようが無い

 

「みむーッ!!!」

 

「ふぎゃあああああ!?!?」

 

バリバリっと言う電撃の音とシルフィーちゃんの悲鳴。痺れを切らして突っ込んでこようとした瞬間。チビが放電していた電撃を全て放出したんだろうなあ……教室の隅で痙攣しているシルフィーちゃんを見て小さく南無と呟く

 

「みーむ」

 

「うきゅー」

 

モグラちゃんを抱えて飛んでくるチビが肩の上に乗ったのを確認してから

 

「じゃ、愛子、月曜日に」

 

「え、ええ。じゃあ月曜日に、遅刻とかしちゃ駄目よ?」

 

愛子の言葉に判っていると返事を返し、土日もやっぱり修行かなあっと考えながら教室を後にし、ゆっくりと家に向かって歩き出すのだった……

 

 

「……大分良い感じだ」

 

夕食も風呂も終わって後は寝る前にシズクに指導を受けながら霊力のコントロールをするだけなんだが

 

「なあ?ノッブちゃん。本当に何したんだ?」

 

氷の板の上に正座させられ、氷塊を膝の上に乗せているノッブちゃんを見ていると、どうしても集中できないので何をしたのか?と尋ねると

 

【ワシは……ちょっと……そのだな。お前の弁当と朝餉を食って……しまって……】

 

……それで朝シズクバタバタしていたのか、普段は俺が起きる頃には大体の準備を終えて、煎餅を齧りながらTVを見ているので、今日は珍しいなと思った物だ

 

「……居候の癖に家の主よりも先に飯を食う、そんなこと許されると思っているのか?」

 

俺別にそう言うのに気にしないんだけどなあと呟くとシズクが俺の方を振り返り

 

「……そう言うのはちゃんとしないといけない。なぁなぁになってしまっては駄目だ、大体私だってお前が食事に箸をつけるまで食べないだろう」

 

そ、そう言われるとそうだったかも……全然意識した事なかったけど、確かに俺が箸をつけるまでシズクが食事をしているのは見た事が無いような

 

【古風な考え方ですが、昔はこれが当たり前でしたよ。湯に入るのも家の主が先です】

 

牛若丸眼魂の目が光り、そう言ってくるが……そんな昔の常識を出されても俺困るんだけど……

 

【うぐぐ……冷たい……寒い……横島ぁ……助けてくれい……】

 

ぷるぷる震えているノッブちゃんが可哀想だ。助けも求められたし、シズクに止めるように言おうかと考えていると

 

【ふぎゃあ!?】

 

重々しい音を立てて氷塊が巨大化し、ノッブちゃんを押しつぶした。その余りの事に絶句しているとシズクは黒い笑みを浮かべながら

 

「……幽霊だ、死にはしない。それに食事だって本来する必要も無いし、眠る必要も無い。優しいのはお前の良い所だが、そこを利用されては駄目だ」

 

【うむ。優しさは確かに長所にもなるが、短所にもなる。そこまで気にすることは無い】

 

いや、そうは言うけどさ……呻いているのを見るとどうしても心配になって修行所じゃないんだけど……

 

「……判った。今日の霊力の修行は無しだ、どうせ明日と明後日と休みになる。修行はその時でも大丈夫だ」

 

そうと決まったら今日はもう休め。背中をぐいぐい押されながらリビングから追い出される……これはあれだな。完全に俺が何か言える雰囲気じゃないので、心の中でノッブちゃんにごめんと呟き、自分の部屋に向かおうとすると凄まじい水流の音が聞こえて振り返ると、シズクが指を窓の外に向けて険しい顔をしていて

 

「……どうかしたのか?妖怪とか?いる?」

 

もしかしてノスフェラトウのゾンビの生き残りでも居たのか?と思いながら尋ねると、シズクは今まで見た事が無いような険しい顔をして

 

「……お前は知らなくて良い。早く寝ろ」

 

有無を言わさないその口調に判ったと返事を返し、俺は逃げるように自分の部屋へと向かうのだった

 

「みむ?」

 

「うきゅ?」

 

「クウ?」

 

普段よりも早く部屋に戻って来た俺を見て首を傾げるチビ達。遊んでいたであろうボールが足元に転がってきたので、それを拾ってチビの目の前に置きながら

 

「明日休みだからなあ、修行は明日で良いってさ」

 

今日は慣れないランニングコースで疲れたから早く寝よう。GジャンとGパンをハンガーに掛けて布団に潜り込む

 

「じゃ、心眼おやすみ」

 

【うむ。おやすみ】

 

心眼をいつものように目覚まし時計の置いてある机の上に広げたまま置いて、眠ろうと目を閉じると

 

「うきゅうきゅー」

 

前足をベッドに掛けてよじよじと登ってくるモグラちゃんとチビを咥えてベッドに飛び乗ってきたタマモに

 

「ったく、シズクに怒られるのは俺なんだぜ?」

 

コテンと首を傾げるチビ達にしゃーないなと呟き、布団を捲ってモグラちゃんとタマモを布団の中に入れる。まだ寒い時期だから丁度いいが、夏場とかだったら地獄を見るなあと苦笑しながら

 

「じゃ、おやすみ」

 

「みーむ」

 

「うきゅーん」

 

「コーン」

 

俺の言葉に返事を返すチビ達にもう1度おやすみと呟き、俺は眠りに落ちるのだった……

 

 

リポート27 新たな幕開け その1

 

 




次回のリポートで第一部は完結となり、それ以降は新しく小説を作り第二部に入っていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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