GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回から本戦開始と第一部の最終リポートとなります。一部めちゃくちゃ激しい戦闘を交えて、最終リポートを盛り上げていこうと思うので楽しみにしていてください。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


リポート25 GS試験本戦 ~終焉の前奏曲~
その1


 

リポート25 GS試験本戦 ~終焉の前奏曲~ その1

 

恐ろしい結果じゃったなあ……ワシは机の上のPCの機械の電源を切り天井を見上げながら呟いた

 

「マリア、テレサ。そっちの分析の結果は?」

 

多分ワシと同じ結果だと思うが、一応念の為に尋ねて見る。マリアの顔色は悪いが、テレサは良く判らないという顔をしながら

 

「伊達雪之丞が67マイト。鎌田勘九朗が89マイト。陰念が72マイトだって」

 

むう……やはり同じ結果か……美神とかの優秀所が90マイト……それで考えると最早GS試験に参加していいレベルの能力ではない。少なくともB級……最悪A級クラスのGS並みの霊力を保有している

 

(むう、こんな所にも逆行の弊害か……?)

 

あの時は呆けておったからマイト数の分析などしておらんかったが、マリアはちゃんと逆行前の3人のマイト数を記録していた。逆行前のマイト数は、伊達雪之丞44マイト。鎌田勘九朗81マイト、陰念27マイト……鎌田のほうは正直誤差の範囲じゃが、伊達・陰念の両名は既に別人と言わざるを得ないほどの霊力を溜め込んでいる

 

(これがガープの力と言う奴か……末恐ろしい)

 

ソロモンの魔神の恐ろしさは知っているつもりじゃったが、それはあくまで個人の力の脅威度だ。まさか人間の力をここまで強化するなんて想定外にも程がある

 

「ドクターカオス。私は今すぐにでも横島さんに棄権させることを提案します」

 

マリアの意見には賛成じゃ、小僧がGS試験に参加すれば東京壊滅は回避出来るとの予言なのだから、この段階でもう十分にその役割は果たしたと言えるだろう。ワシとマリアがそんな話をしているとテレサが

 

「でもさ?横島のマイトも一瞬だけど75~100って出てるから大丈夫じゃないの?」

 

確かにそれだけの膨大なマイト数を小僧は一瞬とは言え叩き出している。それは通常時が30マイト前後の事を考えれば破格のマイト数と言えるが……恐らくそのマイト数の大半は心眼のものじゃろう。仮にそれだけの霊力をもっていたとしてもそれを制御できるか?となるとそれは別問題。やはり1回戦でこちら側の事情をしる蛍のお嬢ちゃんか、ブリュンヒルデと対戦させて敗退させるのがベストじゃろう。これは琉璃や美神にも相談しておいたほうがいいじゃろう

 

「テレサ?貴女は横島さんが怪我をする所を見たいですか?」

 

「見たくない。姉さんが横島を棄権させろって言うのはそう言うこと?」

 

「そうです。あの人はとても優しいいい人です、そんな人が絶対怪我をすると判っている戦いに出るというのは嫌でしょう?」

 

「うん、嫌」

 

「もしもの可能性を私は危惧しているのです、テレサ。私は横島さんに怪我をして欲しくないですから」

 

マリアがテレサに感情の教育をしているのを見て、このまま少し怪我等に関する知識と人を心配する心を学ばせた方が良いとと判断し

 

「少し打ち合わせに行って来る。ここで待っておるんじゃぞ?」

 

はーいっと返事を返すテレサと判りましたと返事を返すマリアに小さく手を振り、ワシは琉璃達が待機しているモニタールームへと向かうのだった……

 

 

 

負傷者に棄権者を含めて予定人数よりも大分参加人数が減ってしまった今年のGS試験

 

(こうなると残った面子が不幸に見えてくるから不思議だわ……)

 

毎年GS試験に参加しているが、大体2試合目で落ちる「蛮・玄人」基礎霊力も体力も悪くないんだけど、相手を見下すその性格が災いしていつも不合格になっているらしい。それともう2人

 

(なんとも不気味な参加者ね……本当なら出場取り消しにしたい人物だわ)

 

都津根毬夫(とつね・まりお)。これなんか確実に偽名を堂々と名乗ってる。GSと言うよりかは呪術師に近いのか、死んだ動物を自らの除霊道具としてエントリーしている。しかも顔もゴムマスクで隠し、身体には漆黒のマントと怪しい所の人間ではない。そもそも使っているのがキョンシーなどの札で操作するのではなく、自身の霊力を糸の様にしマリオネットのようにして操っているのが余計に反感を抱く理由になっていると思う

 

「どう思います?美神さん。この都津根毬夫って」

 

私の霊感ではろくでもない人物だと思う。特に動物の死体を自分の武器として使っているあたりどうしても好きになれない、きっと横島君なら速攻で殴りかかるタイプだ。

 

「横島君と絶対に気が合わないタイプの人種よね」

 

「そうですよ……ってそうじゃないですよ。私が聞いてるのは別派閥の魔族からのアプローチじゃないかって事ですよ」

 

美神さんはうーんと腕組みをしながら、書類を見て

 

「見た目も怪しい、使う術も怪しい。でもなんか違うのよね……」

 

違う?違うってどういうことですか?と尋ねると美神さんは

 

「説明しにくいんだけど……今は何もしないと思う。今は……」

 

今は……って事は後で行動を起すかもしれないって事じゃないんですか?と尋ねると私と美神さんの話を聞いていたブリュンヒルデさん……いや聖奈さんが

 

「私も同意見ですね。ソロモンや魔族にしたとしてもここまで魔力の残滓を残していないと考えると、魔族ではないと言う線が濃いかと」

 

聖奈さんの説明では人間に化けたとしても魔族は魔族。僅かながらにも魔力の波動が残る、しかし都津根毬夫には一切の魔力の残滓がない。つまり魔族やそれに関係する人物ではないと断言できますとまで言われた。まぁあの術は魔術に似てますが、人間の作り出した邪法ではないでしょうか?と自らの考えを教えてくれた。それに付け加えるように美神さんが

 

「でも何もして無いんじゃ捕らえることも出来ないでしょ?せめて柩がここに居れば予言って言い張れるけど」

 

柩は今魔界の隔離結界の中で護られている。連絡を取ることは出来ないし、怪しいからっていう理由で逮捕出来る訳じゃない。あれだけ悪辣な術を使うから魔族関係だと思ったんだけど、違うみたいね……

 

「要警戒って事でGS協会でリストアップしておけば?」

 

美神さんの言うとおりだ、今出来る対策とすればこれくらいだろう。殺人などを犯していれば参加資格の剥奪とかも出来たのだが、そう言う事もせず自分と対戦した相手の治療をするなど驚くほどに紳士的だった。格好さえ除けばだが

 

「それとこのもう1人どう思います?」

 

「馬鹿じゃないかしら?」

 

美神さんの即答に苦笑する兵部幽介。衰退しつつある霊媒師の一族兵部家の現当主。霊力はやはり衰えているが、それを補って余りある神通棍・破魔札の扱いはGS試験に参加するに十分な素質を言えるだろうが

 

「ナルシストってのは駄目ですよね」

 

恐ろしいまでの自意識過剰、しかも口調もまるで俳優のような言い回しをするなど正直言って除霊を舐めているとしか思えない。丁度いいので2回戦で白竜会の相手とぶつけて様子を見ましょうか?と美神さんと話し合っていると

 

「失礼するぞ」

 

扉を叩いてからドクターカオスがモニタールームに入ってくる。その手には何かの情報を纏めたと思われる書類の束……

 

「マイト数の測定が終わったんですか?」

 

霊力測定を頼んでいたのでその結果が出たのですか?と尋ねるとうむっと頷きながら、私と美神さんの前にその書類を置く

 

「……これ間違いじゃないの?」

 

一通り目を通してから美神さんが呟く、その意見には私も同意だ。白竜会の面子の殆どが60マイトを超えている。一般的なGSのマイトが40~50と考えると既に通常のGSを超えているという試算になる

 

「何度も測定したから間違いないの、ちなみにこっちが味方のマイト数じゃ」

 

次に差し出された紙には横島君達のマイト数が記録されていた

 

横島忠夫 30マイト(暴走時110マイト 恐らく小竜姫の竜気が暴走していると推測。小僧の体に強い負荷をかける危険性高し)

 

芦蛍 61マイト

 

タイガー・寅吉 33マイト(自身に精神感応を行った場合47マイト)

 

ピエトロ・ド・ブラドー 50マイト

 

ブリュンヒルデ 97マイト(ただし自らのマイトを大幅に封印している為。正しくは1950マイト)

 

「普段なら間違いなく合格なんだけどね」

 

GS試験では40マイトを超えればまず合格間違いなしだ。無論技術などの基本能力の問題もあるがボーダーとしてはそれくらいだろう。それを完全に上回っている白竜会の面子がどれだけ規格外なのだろうか?

 

「恐らくガープでしょう。呪術的な強化をしているのだと思います。多分神魔に対する挑発と人間を攻撃するのか?と言う意味も込めているでしょうね」

 

ほんと悪辣な手を打ってくるわね……いやまぁ魔神だからそれ位してくるとは思っていたけど……

 

「さて。ワシとマリア達からの提案じゃが、明日の第一試合に小僧とブリュンヒルデの試合を組んでもらおうかの?」

 

その言葉を聞いて美神さんも私の方を見て、真剣な顔をして

 

「GS試験に出場すれば東京壊滅の未来は変わるんでしょ?じゃ、横島君はその仕事を十分に果たしたわ。明日の第一試合でブリュン……んんっ、聖奈と戦って貰って敗退してもらいましょう」

 

ドクターカオスと美神さんの迫力に頷きながら、私も同じ考えだと告げる。他の皆はギリギリ50だったり40以上だけど、横島君の霊力はそれと比べて低すぎるし、最近漸く霊力のコントロールを覚えてきたということも考えるとやはりここまでと考えたほうがいいだろう

 

「じゃあピート君・蛍ちゃんのフォローを重点的にして行く方向性で会議をしましょう」

 

明日の10時から始まる第一試合。時間は十分にある、それまでにどうやって白竜会の面子を倒すか?と言う議題で会議を始めるのだった。魔族と繋がっている……いや操られている事は判っているが、何の証拠もなしにGS試験に参加している参加者の出場資格を取り消し、他の参加者に被害を出させずに、魔族と繋がっている証拠を引きずり出し、なおかつソロモンの干渉を受けてもこちらに被害が出ないように束縛する……。考えて見ればかなり難しい条件だが、それを何とかして満たす方法を4人で話し合うのだった……だが話し合いに参加している聖奈ことブリュンヒルデだけは相槌こそ打っていたが、自らの考えを口にすることはなく、何かを考え込んでいるような素振りを見せているのだった……

 

 

 

カズマの子孫か……目の前で緊張した面持ちの少女……神宮寺くえすを見て感慨深い物を感じていた

 

(何年前だったか……)

 

少なくとも魔界統一戦が行われる前だから1000年以上前の話だ……この俺を呼び出したあの馬鹿の事をどうしても思い出す

 

【愛は俺には判らない、何れ判るとしても今は必要ない。今は……だ、俺は強さを、この俺神宮寺カズマが魔術の頂点に立つ。そのための知恵と力を俺に寄越せ】

 

傲慢ではなかった、誇り高く、強さと知識を兼ね備えていた。人間にしては最高レベルと言わざるをえない程の力を秘めていた。だが俺は最初力を貸すつもりなんて全くなかった、カズマは用意周到にこちらの力をそぐ準備をしていた、それもあったという事で、俺は不覚にも結界の中に封じられたから人間界に暫く留まっていたがいつでもこいつを殺せるという気持ちがあったからだ。確かに強力な結界だったが、時間をかければ解析出来ない物では無かった。

 

【聞いてくれビュレト、契約は取り消しだ。ここまで人間界に留めて悪かった、謝罪で足りぬのならば、死後俺の魂を渡そう】

 

突如俺の契約を解除したカズマ。その理由が判らずどうして解放したのか?それを尋ねカズマは

 

【俺は愛を理解した、魔術師として頂点に立つよりも、俺は彼女を守りたい。名声も力も必要ない、ただ彼女を守れるだけの力があればそれでいい】

 

愛は何よりも強い力となる。人として1回りも2回りも成長したカズマを気に入って力を貸したことが昨日の事のように思い出せる

 

「まずはご無礼をお許しください」

 

向かい合って座った喫茶店で深く頭を下げるくえす。まぁ確かに行き成り名前を呼ばれたのは不快だったが、カズマの子孫となれば話は変わる

 

「良い、気にするな。それで聞きたい事ってのは何だ?」

 

周りの人間の視線も痛いので顔を上げるようにして話の内容は何だ?と問いかける。するとくえすは

 

「GS試験にソロモンが動くと神代琉璃に聞きました。それは真実でしょうか?」

 

まぁそれは疑う所だよな。ソロモンの魔神が人間界で動くなんて魔法に関する人間なら、そんな馬鹿なと思う所だろう

 

「言いにくいが真実だな。過激派に属してる魔神が動き出している」

 

周囲の人間に聞き取れないように結界を張ってから返事を返す

 

「そう……なのですか……出来れば信じたくない内容でしたが……同じビュレト様が仰られるのなら真実なのですね」

 

沈鬱そうに呟くくえす。しかしこうして見て見るとカズマと本当に良く似ている……

 

(転生……どちらかと言うと隔世遺伝とでも言うのか?)

 

どこか冷めた目に、溢れんばかりの魔法の才。そして……危ういほどに魔族に近いその考え……

 

(もしかすると……あいつの目的は……)

 

ガープの事だ。GS試験という大きな舞台の影で暗躍していると見て間違いない。アシュの野郎が協力して情報を流そうとしているが、それも来ないと言うことはよほど隙が無いのだろう。ではあいつの目的は何だ?と考え思い浮かんだのは戦力の強化……人間界でガープの目に付くとしたら神宮寺くえすしか居ないだろう

 

「おい。神宮寺くえす」

 

外れても良いと思いながらくえすの名前を呼ぶ。こちらに顔を向けた瞬間額に人差し指を押し付ける

 

「なにか?」

 

急に額を触られて困惑している仕草のくえす。まぁ当然だよなと苦笑しながら

 

「俺との契約は神宮寺の家全てに今もなお続いている。だから改めて契約することは出来ない」

 

神宮寺の血に既に俺の魔力は浸透している。だから改めて契約することは出来ない、だからくえすの額から指を離しながら

 

「俺の加護をくれてやる。神宮寺カズマに最も似るお前にな」

 

額に浮かんだ三日月の形をした魔力刻印。それが吸い込まれるようにしてくえすの中に消えていく。これでガープからの干渉もある程度は耐えることが出来るだろう、その後はくえすの精神力次第

 

「私は初代様に似ているのですか?」

 

席を立った俺にそう問いかけてくるくえす。俺は少し考えてから

 

「ああ良く似ている。性別の違いこそあれど、お前はカズマとそっくりだ。だから俺から1つだけ助言をしてやろう」

 

きっと今こいつは行き詰っている。カズマと同じ状態だ、自分1人で力を磨くことの出来る限界に達している。ここから先は1人では決してたどり着くことの出来ない境地……

 

「魔族は1人でも生きていける、何故なら既に完成しているからだ」

 

その種族の中で魔族にしろ神族にしろ、伸びしろと言うのは決まっている。自分の限界を自分で知っているのだ

 

「だが人間にはそれが無い、良いか。良く考えろ、人間だけが持ちえる最大の武器を知れ。そうすればお前はもっと優秀な魔術師になれるだろうよ」

 

それこそ人間のまま魔神の領域に辿り着ける程にな……と呟き。今度こそ背を向ける、俺がこれ以上何も言うことは無いと判断したのかくえすは頭を下げ

 

「ご助言大変感謝いたします。魔神ビュレト様と契約した神宮寺の現当主として、その名に恥じないよう己を磨きます」

 

振り返ることなく俺はその場を後にした、人間だけが持つ最大の武器……それにくえすは辿り着けるだろうか?カズマも時間をかけてその答えを得た。だがくえすには時間を掛けるだけの時間がない、もうガープが動いている以上短時間でその答えに辿り着かなければならない

 

(答えにもうお前は手を掛けているぜ)

 

後ほんの少しのきっかけで、くえすは答えを得るだろう。ま、そうなれば色々と問題が起きるだろうが、正直俺には関係のない話。

 

「頑張れよ。くえす」

 

きっとくえすは神宮寺の血を引く者で最高の魔法使いになる。そんな確信を感じながら、俺はその場を後にするのだった……まぁ頑張ったら頑張ったできっと大変なことになるんだろうがなと苦笑したのは、くえすが答えを得た後どんな行動に出るのか全て判っていたからだった……

 

 

 

 

「うーむ……大丈夫かなあ」

 

GS試験の予選を終えたその日の夜。俺は寝る前に思わず不安を口にしていた、明日は参加者同士の試合になる。正直俺はきっと今年のGS試験の参加者の中で一番劣っているだろう。どうせ敗退するにしろ、1回くらいは勝ちたいなと思っていると

 

「……横島」

 

「ん?シズク。なん……だぁ!?」

 

小さく開いた俺の部屋の扉の隙間から、シズクが手を入れて何かを投げ渡してくる。咄嗟にそれを受け止める

 

「お守り?」

 

それは紫色の袋に入ったやけにごつごつした何かが収められたお守りだった。

 

「……明日はGS試験の参加者同士の試合なのだろう?」

 

普段なら話をする時に部屋に入ってくるのに、部屋に入ってくることなく尋ねてくるシズクに少しだけ疑問を感じながら返事を返す。GS試験の会場から帰る時にシズクも蛍と美神さんから一緒に聞いていたはずだけどな……なんでそんな事を聞くんだろ?それにこういうのを聞くのはシズクじゃなくて、俺が聞く側だと思うんだけどなあ

 

「……丁度抜けた牙が2本あった。それとタマモの尻尾の毛を少し頂いて、後モグラの牙とチビの牙を霊水で磨いたものを入れておいた」

 

あーなんか最近チビとモグラちゃんの牙が生え変わりの時期なのか、抜けた牙を掲げるようにして持ってきてたけど……え、まさか……これってあの時の牙?

 

「……竜の牙は古来より強い霊力を発し、更には魔避けに、九尾の毛は当然強い霊力に対する抵抗を持つ、チビとモグラの牙は未知数だが……恐らく私の牙と同じような効果があるだろう。きっと横島を守ってくれる」

 

……そっか……皆俺の事を心配してくれてるのか……蛍やピートと比べれば俺は弱い、俺が怪我をしないようにシズク達なりに考えてこのお守りを作ってくれたのか……なんか、嬉しくて思わずジーンっと来ていると

 

「……無理だと思ったら棄権しろ。GS試験は今年だけじゃない、もっと力を蓄えてからでも遅くはない。頼むから無理をしないでくれ」

 

蛍と美神さんの話の中にあった、規格外の3人組の事がある。どうも俺は見ることがなかったけど、相当ヤバイ3人組がいると……

 

「おう、判ってる。無理しないし、危ないと思ったら棄権もする。約束する」

 

なんだかんだで俺も色々と無茶をした。だから今回も無茶をすることをシズクは心配しているのだろう……美神さんや蛍にも口を酸っぱくして危ないと思ったら棄権しろと言われていたので絶対無理をしないと約束する

 

「……判った。明日頑張れよ……私もタマモ達も応援してる」

 

扉がゆっくりと閉まる中シズクの応援の言葉にありがとうと返事を返し、俺はベッドに横になりシズクがくれたお守りを見つめながら

 

「……頑張ろう」

 

正直俺自身も合格できるなんて思っていない、でも自分でやる気を出して、自分の夢を叶える第一歩として挑戦したGS試験……何もしないで諦めることなんて出来ない……だからやれるだけやる。出来る所までやって……どうしても無理だと思ったら棄権する……でも頑張れば……無理すれば届くかもしれないなら……

 

(挑戦してみるかもな……)

 

あのベルトに眼魂。それに制御できるわけじゃないが、最近やっと出来るようになった事がある。右手を天井に向けて、人差し指から握りこんで行くとジジッ!と放電するような音が響き、うっすらとした翡翠色の輝きに右手が包まれる

 

「あん時ほどじゃないけど、こんでも使えるよな」

 

ブラドーから魔族を無理やり殴り飛ばした時ほどの破壊力は残念ながら無いが、これでもある程度の攻撃力は在る筈だ。握り拳を解くと翡翠色の輝きはあっさりと消える。そして枕元に置いてある紫の眼魂に手を伸ばし

 

「なあ、牛若。多少無理しても頑張れば前に進めるとしたらどうする?お前は俺を止めるか?」

 

手の中の牛若丸眼魂の眼が勝手に開き、チカチカを光りながら

 

【私は止めませぬ。私も初陣は無茶をした物です、前に進むと、挑戦する気概があるのなら……この牛若止めは致しません。どうか全力で立ち向かいください。いまだ具現化出来ぬ未熟な身ですが、全力で御手伝いさせていただきます】

 

俺の意見に同意してくれた牛若にサンキュっと呟き、枕元に戻し、空の3つの籠を見る。本当ならチビやモグラちゃんにタマモが寝る所なのだが、明日の事もあるからとシズクが自分の部屋に連れて行ってしまった。だから妙に部屋が静かだなあと思いながら部屋の電気を消し布団をかぶった

 

「明日だな……俺が成長したか、そうじゃないかが判るのは……」

 

GS試験に合格し、GSになる。そうすれば少しは自分の成長を実感できる……ほんの少しは蛍や美神さんの役に立てると思う……なんにせよ。全ては明日……だから今日は霊力と体力を回復させ万全の体制でGS試験に挑めるように早めに眠ることにするのだった……

 

 

リポート25 GS試験本戦 ~終焉の前奏曲~その2へ続く

 

 




今回はGS試験本戦に向けての話となりました。次回からは戦闘がメインになってくると思います、なおGS試験参加者の都津根毬夫(とつね・まりお)は金田一少年の事件簿より地獄の傀儡子こと高遠遙一の偽名です、兵部幽介は絶対可憐チルドレンの兵部から苗字を借りました。モブとなるか、メインキャラクターになるかモブで終わるかは秘密です。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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