リポート18 アリスちゃんと魔法の箒と騒がしき日々 その2
愛子に手紙を託され、蛍と美神を探していてチビだが、まだ子供のチビはそれほど長時間飛んでいることが出来ず
「みむう……」
手紙を落とさないように気をつけてはいるが、目に見えて失速している。それでも蛍と美神を探し飛ぶのを諦めないチビだったが……
「み……むう」
モグラちゃんが進めない所を持ち上げて運んでいた事もあり、今ちょうど川を飛び越えた所で力尽きてふらふらと地面に向かって落ちていく
「うきゅ!」
チビが地面に叩きつけられる前、モグラちゃんがその下に割り込んでチビを受け止める
「み……むう」
「うきゅ!うー!きゅ!」
モグラちゃんの言葉に小さく頷いたチビは手紙を大事そうに抱え、空いている手でモグラちゃんの毛を掴む
「うきゅう!」
モグラちゃんは勇ましくそう一鳴きするとチビを乗せたまま。美神達を探して走り出すのだった……
なお全く関係の無い話だが、この日モグラに乗る小人と言う奇妙な都市伝説が生まれたりするのだが、当事者(?)のモグラちゃんとチビが気付くことは当然ながら無いのだった……
秘法展の近くがドクターカオスの家だったので直ぐに呼びに行くことが出来た。マリアさんとテレサは家の掃除があるとかで留守番だ、あくまで今回は魔法の箒の捜索だ。だからマリアさんとテレサは必要ないとドクターカオスは判断したのだろう
「ふむ。魔法の箒か……懐かしいのう……」
ゆっくりと歩きながら何かを懐かしむように言うドクターカオス。未来ではカオスフライヤー4号とか在ったけど、もしかしてドクターカオスも魔法の箒を作ったことがあるのかしら?私の思案顔を見てドクターカオスは笑いながら
「ワシの作ったカオスフライヤー1号を見て、魔女達が作ったのが魔法の箒の始まりじゃ!つまりワシが魔法の箒の開祖なのじゃよ」
自慢げに言うドクターカオス。それなら……1個頼んでみようかなあ……
「今度私のバイク改造してくれません?」
エンジン周りとかは改造しているけど、出来れば除霊に使えるバイクにしたいと思っていたのでそう頼むと
「ふむう……まぁ考えておくかの、小僧と一緒のバイクを作る方が良いんじゃないのか?
からかうように言うドクターカオス。一瞬何を言われたか判らなかったが直ぐに耳まで熱くなるのが判る
「な、なななんあ、なにおを?」
「ふっははは。その反応で丸わかりじゃの!」
くっ、完全にからかわれている。今本気で殴りたいけど、どうしよう。感情に任せて拳を振るうことを真剣に考えていると
「う、うきゅう……」
足元から聞こえてくるモグラちゃんの声、足元を見ると
「モグラちゃん!?チビ!?」
ぐったりとしているチビをその背中に乗せたモグラちゃんが居た。慌ててしゃがみ込むとチビが大事そうに抱えている何かを見つける
「み……みむう……」
苦しそうに鳴きながら差し出された何かを受け取る。それは小さく畳まれた大学ノートのページだった
『横島君が魔法の箒?とか言うのに拉致されました。アリスちゃんって言う幽霊の女の子も一緒ですが、人間がいつまでも何の装備もなく空中に居れるとは思いません!美神さん!蛍ちゃん!早く助けてあげてください 机妖怪愛子より』
それは愛子さんからの手紙だった。学校からここまで大分離れている、それなのにここまで頑張って……
「みーむ……」
「うきゆう……」
ぐったりとアスファルトの上に伏せているチビとモグラちゃんを抱き抱えて
「ドクターカオス。時間がありません、急ぎましょう」
「うむ!判っておる!」
肩越しに手紙を見ていたドクターカオスも状況が危険だと判っている。真剣な表情をして頷いてくれる、私はここまで手紙を運んできてくれたチビとモグラちゃんに小さくありがとうと呟いて秘法展へと走るのだった……
ピコピコッ!こっち!こっち!
(うーん?こっちの方角でしたっけ?)
見鬼くんで魔法の箒と横島さんを探しているのですが、私の中の記憶と指している方角が違うような……これも何かのイレギュラーですかね?とりあえず美神さんに連絡しますか……手渡されていたインカムの電源を入れて
【西の方角に反応がありました!】
『早かったわね、流石おキヌちゃん。炎の狐で間違いない?』
多分私の記憶の通りなら炎の狐と横島さんだと思うんですが……記憶と違うので自信が持てない
【多分そうだと思うんですが……とりあえず行って確認して見ます】
まずは自分の目で確認してみないとなんとも言えないのでそう言うと
『了解。私も直ぐ行くわ……「美神さん!」……おキヌちゃん、ちょっと待って。なんか蛍ちゃんが言いたいことがあるらしいわ』
蛍ちゃんがですか?西の方角へ向かいながら
【何の用ですか?】
『今チビとモグラちゃんが必死で愛子さんからの手紙を運んできてくれたわ』
チビちゃんとモグラちゃんが必死で!?何かあったのかもしれないと思い顔を引き締め、蛍ちゃんの次の言葉を待つ
『アリスちゃんが一緒にいるみたいなの、多分大丈夫だと思うけど早く合流して』
アリスちゃんってあの幽霊の女の子!?それは不味い、空中で2人きりなんて羨ましい事この私が認めません!
【判りました!直ぐに合流します!では1度連絡を切りますね】
インカムの電源を切って私は西の方角へと急いで向かうのだった……
「お兄ちゃん。ゆっくりね?魔法の箒は念力で動くから怖がらなくて良いからね?」
「お、おう……こうか?」
アリスちゃんが後ろから横島さんの手に腕を回して、魔法の箒の操作を教えていた
(あああ……なんて羨ましい……)
私だってあんなに密着したこと無いのに……なんとしても引き放さないと!!!
【横島さん!】
「お、おキヌちゃんじゃないか!見てくれよ!魔法の箒だってよ!これなら一緒に空中散歩出来るぜ!」
え?空中散歩?でもこの高度じゃ横島さんが寒いんじゃ
「えへへ。大丈夫だよ、幽霊のお姉ちゃん。私がお兄ちゃんの周りの温度を調整してるから、お兄ちゃんは凍えたりしないよ?一緒にお散歩しよう?」
邪気の無い笑顔で笑うアリスちゃんに怒気が完全にどこかに行ってしまった。それ所か横島さんと一緒に空中散歩……なんて魅力的なお誘いなんでしょうか……私は一切悩む事無く
【はい!一緒にお散歩しましょう♪】
アリスちゃんが横島さんを護ってくれているなら心配ない。このまま美神さん達が来るまでのんびりと空中散歩をしようと思い、インカムの電源をまた入れて
【こちらおキヌ。美神さん?聞こえますか?】
『おキヌちゃん?今青き稲妻で蛍ちゃんとそっちに向かっているんだけど、横島君は見つけた?』
あちゃー連絡するのが遅かったみたいですね。まぁ私には関係ないことなのでどうでも良いですが……
【見つけました。アリスちゃんが魔力で横島さんを護ってくれているみたいなので凍傷とかは大丈夫そうです】
私が今の横島さんの状態を説明すると美神さんは
『それなら大丈夫そうね。出てくる前にカオスが来て魔法の箒の扱いについて説教してたみたいだから、それが終わる位まで散歩しましょうか?』
【それが良いですね。ゆっくり飛んでいるので焦らないで合流してくださいね、では通信終わります】
インカムの電源を切って隣をゆっくり飛んでいる横島さんに視線を向ける。そう言えばこんな風に空中散歩なんかしたことないですね……これは新しい大事な思い出ですね
【楽しいですね。横島さん】
私が笑いながらそう言うと横島さんも穏やかに笑いながら
「そうだなあ……風もあんまり冷たくないし、空を飛ぶのは気持ち良いものだなあ……」
楽しそうな口調でそう言うのだった……それから10分程。私と横島さんとアリスちゃんはのんびりと魔法の箒で空を飛ぶのだった……
「横島ー!」
「横島くーん」
背後から聞こえてくる美神さんと蛍ちゃんの声。私と横島さんはここだよーと言いながら手を振り返し、それからは運営さん達の説教が終わるであろう時間までゆっくりと空中散歩を楽しむのだった……
炎の狐と青き稲妻を秘法展に預け、報酬を鞄の中にしまい1度事務所に戻る事にした。コブラにはこの大人数は乗れないから、面倒だけど1度事務所に帰ってから蛍ちゃんのバイクで近くまで送って貰うしかないわね……少しめんどくさいけど、偶にはコブラも運転しないと調子が悪くなるから仕方ないかと割り切り
「中々楽しかったわね。横島君はどうだった?」
私がそう尋ねると横島君は子供のような笑みを浮かべて
「すっげえ楽しかったっす!!空を飛ぶってあんなに気持ち良いものなんですね!」
確かに私もあんなに気持ちの良いものだとは知らなかったなあ……多少値段が高くても良いからカオスに現代風の魔法の箒でも作って貰おうかしら?
「みむう?」
「うきゅう?」
横島君の腕の中でモグラちゃんとチビが小さな鳴声を上げる。手紙を届けてくれたのだが、秘法展に来るまでに相当疲れたのか声に普段の元気が無い
「モグラちゃんとチビありがとな。俺を助けてくれようとしたんだよな?本当にありがとな?」
繰り返しありがとうと言う横島君。まさかあんなに小さい身体で自分を助けようとしてくれるなんて想像もしてなかっただろう、私も蛍ちゃんから聞いて驚いた。そしてそれと同時にそれも横島君の才能の1つなのかもしれないと思った、グレムリンも土竜も本来は人間に懐くような種族ではない、それなのにこうして一緒にいるのは横島君の人徳なのか?それとも妖使いの才能の1つなのだろうか?と考えていた。だけど目の前の光景を見て
(そんなんじゃないわね)
モグラちゃんとチビは横島君を心から信用している。人間と妖怪、種族は違うけど確かな絆がそこにはあるのだ。だからこそあの2匹は自分達の体力では無事にたどり着くことが出来ないと言うことを知りつつも、横島君を助けるために走って来たのだ……GSの中でも異質な才能を見せ付けてくれる横島君に苦笑していると蛍ちゃんが
「炎の狐と青き稲妻の扱いが変わりそうで良かったですよね」
炎の狐と青き稲妻は現存する魔法の箒の中でも至高と言われるほどの一品だ。それを碌な手入れもせず、ガラスケースの中に閉じ込めるとは何事じゃ!と凄い剣幕で怒っていたカオスの姿が脳裏に浮かぶ。その一喝で完全に縮み上がっていた素人の運営2人の姿を思い出して思わず笑ってしまいながら
「なるんじゃない?もし今度同じ事をすればカオス絶対回収するわよ?炎の狐」
本人も忘れていたようだが、炎の狐はカオスの製作した箒だったらしく、箒の柄の部分にドクターカオスの名前が刻まれていた、これにより正式な所有権がスペインではなく、ドクターカオスのあることが判り。スペイン政府との交渉をするつもりじゃと言って、長い間碌な手入れもされず閉じ込められていた炎の狐と青き稲妻は一時ドクターカオスの家に持ち帰られ、長い間なんの整備も受けてなかった2本の魔法箒は念入りにメンテナンスされることになった
「後は意思疎通できる何かを用意して空を飛びたいときに飛べるようになるんじゃない?」
青き稲妻は若干の意思はある物の、空を飛ぶことは余り好きではないようでガラスケースの中でもかまわないらしいのだが、炎の狐は空を飛ぶことが好きなので時折空を飛ぶことを認めさせるつもりだと言っていた。それで炎の狐のストレスを発散させれば、今回のような脱走騒動は無くなるだろう
「素人が良い魔術の道具を持つって怖いことなんですね」
しみじみと呟く蛍ちゃんにその通りよと呟く。今回の魔法の箒の脱走騒動は魔法の箒の意思を無視した保管が原因だったのだから……
「ねーお兄ちゃん、アリスお腹減った」
気にしない事にしていたけど、なんでここにアリスちゃんが居るのかしら?言っちゃ悪いけど、アリスちゃんの保護者は高位の魔族だと判っているから積極的に私は関わりたくないんだけど……
「お腹空いた?じゃあアイスクリームでも食べる?」
「アイス?なにそれ?」
蛍ちゃんがしゃがみ込んで尋ねるとアリスちゃんは首を傾げる。魔界で暮らしているからアイスとか知らないんだ……ちょうど近くの公園にアイスクリーム屋があるのを知っていたので
「折角だからよって行きましょうか?」
そこでどうして人間界に来たのかを聞けば良いかと思い、私は横島君達を連れて近くの公園へと足を向けるのだった……
「おいしー♪アリスこんなの食べたの初めて♪お姉ちゃんありがとう♪」
嬉しそうに苺味のアイスクリームを食べているアリスちゃんに
「どうして人間界に来たの?黒介さん達は?」
私がそう尋ねるとアリスちゃんはアイスをほっぺにつけて楽しそうに笑いながら
「お使いだよ!えーとね人間のお酒を買いに来たの!それでね?お兄ちゃんを探して一緒に買いに行くと良いって黒おじさんが言ってたんだ!」
お、おつかいって……アリスちゃんの言葉に激しい頭痛を感じる。未成年同士なんだから横島君を見つけてもお酒を買うことなんて出来ないだろうに……そう言えばさっきからあそこに止まっている鳥、なんか魔力を感じるって思ったけど、もしかして使い魔?あんなので監視するくらい心配ならついてくれば良いのに……
「お酒か……じゃあアイスを食べたら、美神さんと一緒に買いに行こうか?」
横島君がアリスちゃんのほっぺのアイスをハンカチで拭いてあげながら言うと、アリスちゃんは嬉しそうに笑いながら
「うん♪よろしくねお兄ちゃん♪お姉さん」
おう、任せとけと笑う横島君とその隣でニコニコと笑っているアリスちゃん。子供にお酒を買いに行かせるって……はぁ……なんか頭痛いわ……しかもこの流れだと私が買うのよね……もう少し人間界の常識を覚えて欲しい……私が居なかったら横島君とアリスちゃんでお酒なんて買えないんだから……もうちょっと普通のお使いを頼んで欲しいわよ……
【どこか調子でも悪いんですか?】
心配そうに尋ねてくるおキヌちゃんになんでもないと返事を返し、横島君を助手として雇っている限り、こういうトラブルの頻度は確実に多くなるだろう。だけど今後良いGSになる可能性が高い横島君をリリースするわけにも行かない。
(まぁこれは仕方ないと割り切るしかないわね)
私は小さく溜息を吐きながら、手にしているバニラアイスを頬張りながら、この公園から近い酒屋ってどこだったかしら?と考えるのだった……
「モグラちゃん。おいでー♪」
「うきゅ♪」
リビングに座り込んで、モグラちゃんを抱き抱えているアリスちゃんを見て小さく溜息を吐く、お使いのメモの一番下にネビロスさんからの頼みで
『申し訳ないが今晩だけアリスを預かって欲しい。恐らく赤介との話し合いで家の一部が破損する可能性が高い、そんな状態でアリスを家に戻して怪我をさせるのは可哀想だ。一晩でなんとかして見せるので申し訳ないがよろしく頼む 黒山黒助』
余りに適当すぎる偽名に若干の殺意を感じながらも、アリスちゃんを魔界に帰すことも出来ないので今日横島の家に泊めることになった
「お兄ちゃんのペットは凄く可愛いね♪モグラちゃんもチビもタマモも凄く可愛い♪」
「ペットじゃないぞ?家族だよ。ペットって呼んだらタマモ達が可哀想だ」
タマモを膝の上に乗せながらアリスちゃんにモグラちゃん達はペットじゃ無いぞ?と説明している横島。確かにペット呼ばわりは可哀想よね……横島に注意されたアリスちゃんは
「はーい、もうペットなんて言わないよ。ごめんね?チビ、モグラちゃん。タマモ」
「良し良し、偉い偉いちゃんと謝れたなー」
横島に頭を撫でられて嬉しそうに笑っているアリスちゃん。そしてそれを見ていたシズクが
「……横島は子供のしつけが上手だな。きっと良い父親になる」
「そうかあ?そんな事を言われても判らんぞ?」
にやりと悪い顔をしながら突然横島が良い父親になるとか言い出すシズクに若干嫌な予感を感じつつ、横島達を見ていると
隣で料理をしていたおキヌさんに
【蛍ちゃん。お野菜こげちゃいますよ?】
「ああ、いけない!ありがとおキヌさん」
やっぱり料理している間に余所見をしちゃ駄目よね。危うく野菜を焦がすところだった……火を少し弱めて、ヘラでタマネギと人参を炒める。今日の夕ご飯はカレーライスだ、野菜を焦がしてしまっては風味が台無しになってしまう
【いえいえ、私もやっぱり気にしちゃいますもん。だから気持ちは判りますよ】
サラダ用の野菜を切りながらそう呟くおキヌさん。横島が子供に優しいのは私もおキヌさんも良く知っている。優しいと言ってもそこに邪な気持ちなど一切無く純粋な優しさで横島は子供に優しいのだ、だから子供に好かれる。それに横島も年下が好きって訳ではないので……そう言えば私がルシオラだった時は私0歳だったわよね?それで行くと横島はロリコンって事に……
(ううん、違う違う。外見的がロリじゃ無いって事が大事なのよ。うん、きっとそう)
横島はロリコンじゃ無い、うん。だからきっと大丈夫。自分にそう言い聞かせるようにそう呟き、冷蔵庫から牛肉を取り出してカレーの準備を進めるのだった……ただキッチンからも見えていたんだけど、横島がアリスちゃんを膝の上に乗せて髪を梳いてあげているのを見たり、お兄ちゃん大好きー♪と言われて抱きつかれて赤面している姿を見たりして
(横島って実はロリコンなのかしら?)
違うと信じたいんだけど、目の前の光景を見て思わず私は横島がロリコンなんじゃ?と言う疑いを抱かずには居られないのだった……そして翌朝、ちゃんと自分の部屋に寝ていたのシズクと私と一緒に寝ていた筈のアリスちゃんが横島の布団の中に潜り込んでいるのを見て、横島を注意すれば良いのか、それともシズクやアリスちゃんに注意するべきなのか?
「ねえ?どっちを注意すれば良いと思う?おキヌさん」
【む、難しい所だと思います……横島さんは悪くないと思いますし……】
この光景を一緒に見たおキヌさんと真剣に私は悩んでしまうのだった……
蛍とおキヌちゃんが横島がロリコンなのか、横島が異常にロリに好かれるのか?を悩んでいる頃。美神はと言うと
「では暫くの間。お孫さんをお預かりすれば良いのですね?」
目の前の小判はロンさんからの依頼料とモグラちゃんの食費を兼ねた物であり、その枚数を確認しながらロンさんにそう尋ねる美神。ロンさんは若干疲れた様子で
「うむ。あの子の成長には、横島殿と一緒にいるのが最善だと判断したのでな。それにワシも少しばかり調子が悪い、湯治をする間よろしく頼みますぞ」
モグラちゃんのお祖父ちゃんであるロンさんから、モグラちゃんを横島の家で預かるように頼まれていたりするのだった……
「とりあえずモグラちゃんの食費は協力してあげましょう……」
ロンさんが居なくなってから、美神は引き攣った顔でそう呟くのだった……なんせモグラちゃんの食事量は平均的な成人男性の2倍近い量だ。横島達の給料だけでは賄えないと判断し、ロンさんから預かった小判を換金するために事務所を後にしたのだった……
リポート18 アリスちゃんと魔法の箒と騒がしき日々 その3へ続く
次回はほのぼのメインとしつつ、琉璃さんとシルフィーと愛子の話をしていこうと思います。ちょっぴり恋愛風味を出せたら良いなあと思いつつ執筆してみようと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします