GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!!   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回からやっと「横島」を出して行こうと思います!原作の横島らしさ全開とまでは言いませんが、出来る限りその雰囲気で勧めていこうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



その3

 

その3

 

街中で目の幅の涙を流している少年。まだ若干のあどけなさと男らしさの片鱗を見せているその少年は、声も枯れよと言わんばかりに

 

「男は顔だって言うんか!!どちくしょおおおおおお!!!」

 

血の涙を流す少年にうんうんと頷いている男達の姿。彼の名前は「横島忠夫」さっき振られた女性で見事18回目のナンパ失敗の大記録を樹立した少年だった……

 

「くそお……やっぱ中坊じゃ駄目かあ」

 

来年には高校生だから、もしかしたらナンパが成功するかも?なんて甘い考えで挑戦してみたが、結果は惨敗。その大半が「子供が生意気言ってるんじゃない」といわれた事を考えると、俺はまだ若いのかもしれない

 

「はぁーお袋に怒られる前に帰ろう」

 

やっぱり俺にはまだ早かったんだなあと思いながら、帰路に着こうとした瞬間、首筋にちりっとした刺激が走る。思わず振り返る

 

(あ……)

 

夕日の中を鼻歌交じりで歩くショートカットの同年代に見える超がつく美少女がいた。もう頭で考えるよりも身体が動いてしまった

 

「生まれる前から愛していましたぁ~!!!」

 

そう叫んで飛び掛る。それを見ていた横島の言葉に賛同していた男達があっと言う顔をした次の瞬間

 

「ええ。わたしも生まれる前から愛してたわよ?」

 

柔らかい笑みと共に俺を抱きしめ返して来て、初めて間近に感じた女子の体温に赤面しながら

 

「え、えええええ~~~!?」

 

まさかのナンパ成功に俺は思わず、自分でも信じられないような大声を出してしまうのだった

 

「何にします?」

 

そして俺はその少女に手を引かれるように喫茶店に連れ込まれていた。メニューを見てそう尋ねてくる少女……こうして見るととても整った顔をしていて、もしかしたらモデルとかでも活躍できるような美少女だった

 

(なんでワイなんか……)

 

馬鹿でスケベで良いところ無しの俺にあんなことを言ってくれたのだろうか?と少し考え、思い浮かんだのは

 

(ドッキリ?)

 

どこかでTVカメラでも回ってるのかもしれないと思い辺りを見ていると

 

「ねえ?何にするの?」

 

もう1度飲み物は何にする?と尋ねてくる少女に我に帰り

 

「え、えーとカフェオレ」

 

「じゃあ私もそれで」

 

カフェオレ2つを注文した少女と俺はとても目立っている。いや、正確には俺ではなく目の前の少女が目立っていると言えるだろう

 

「えーと……」

 

「なに?」

 

嬉しそうな顔をしている少女を見ていると、ドッキリとかの悪意とかはなさそうだけど……

 

「生まれる前からって冗談やよな?」

 

「あら?違うわよ?私は貴方を知っていたし、ずっと会いたいと思っていたのよ?」

 

くすくすと笑いながら言う少女。その笑顔がとても綺麗でなんと言えば良いのかわからないでいたが

 

(あれ?俺を知ってたってどういう意味や?)

 

如何して俺を知っているのか?もしかして大阪のときのクラスメイト」

 

「残念だけど、私は東京生まれの東京育ちよ?大阪には行った事は無いわ」

 

「しもた!?口に出てたか!?」

 

自分の考えていたことが口に出ていたことに軽くショックを受けていると目の前の少女は

 

「名乗るのが遅れたわね。私は蛍。芦蛍……GS見習いになる予定よ」

 

そう名乗りながらにこりと笑う。俺も直ぐに我に帰り

 

「横島。横島忠夫だ」

 

「そう、じゃあ横島って呼ぶから、貴方は蛍って呼んでくれれば良いわ」

 

「え。ええ?芦「蛍」……」

 

ギロリと睨みつける眼光に負けて俺は少しだけ顔が赤くなるのを感じながら

 

「ほ、蛍さん?」

 

「ん♪それで良いわ。「お待たせしました」ありがとう」

 

店員に運ばれてきたカフェオレを受け取る蛍さんに促され、俺もカフェオレのカップを受け取り、ストローでカフェオレを口に含んだ。喉がからからだ、どうしてこんなに緊張するのか判らなかったが

 

(嫌な感じはしないんだよなあ)

 

彼女から向けられる好意?の様な物を感じて、頬が赤くなるのを再度感じるのだった……

 

 

 

 

もじもじしている横島を見て私のテンションは完全に振り切っていた

 

(あ~可愛い~♪)

 

もじもじしているし、ちらちらと私を見るその視線までもが愛らしい

 

(探しにきてよかった~♪)

 

横島の気配を探して歩いていたら広場のほうから聞こえてきた横島の絶叫。間違いなくそこにいると思い歩き出し、やはり居た横島の姿に笑みを零し、鼻歌を歌いながら歩いていると生まれる前から愛していましたーと叫んで飛び掛ってきた横島を抱きしめ返したのは良いが……

 

(胸がドキドキ言ってる。ああ、でも嫌じゃない)

 

この胸の高鳴りは……うん。わるくない……

 

「GS見習いになるんですか?」

 

「もう。敬語じゃなくて良いわよ。私と横島は殆ど同じ歳だと思うし」

 

横島が15歳で私は16歳。殆ど同じ歳のはずだからと思いながら言うと

 

「じゃあGS見習いってことは除霊帰りとか?」

 

ある程度はGSのことを知っているのね。まぁこれだけGSの事が知られてるんだから当然ね……それに少しは知識があるほうが話が進めやすいわよねと思いながら

 

「んーまだそこまでは行って無いわね」

 

とりあえず師匠を見つけて、身元引受人になってもらわないとGSの資格を取れないし……と付け加えていると横島は

 

「俺を知ってたのは霊感っていうやつで?」

 

あ、そうか……この時代の横島はまだ霊力に目覚めてないのね。話によると妙神山での修行の後らしいしね……しかしそれにしても

 

(コンプレックスの塊ね)

 

自分に自信が無いとは聞いていたけど、まさかここまで卑屈だったとは正直予想外だわ。私が会った横島もコンプレックスは持ってたけどここまでじゃあなかったし……

 

(これじゃあ一緒にGSになりましょうって言ってもだめそうね)

 

私の計画では横島と一緒に美神さんの所でアルバイトをする。その後GSになっていくという予定だった、あまり歴史を変えすぎると未来を知っているという私のアドバンテージが消えてしまう。だから出来るだけ歴史にそって動くほうが良いというのは私とお父さんの出した結論だ。ふと窓の外を見るとお父さんの使い魔が私を迎えにきていた、これは近くに神族かGSが居るという合図だ。まだ私の下地が完全に出来てないのに出かけると不味いというお父さんの警告に従って僅かな時間だけでも横島と一緒にと思い許可を得たんだけど、思ったよりも短かったわねと苦笑しながら

 

「あ、ごめん。横島お父さんが呼んでるからそろそろ帰るね。また会いましょう」

 

本当はもっと横島と話して居たいけど、ここで神族・魔族に目をつけられると困るし……

 

「あ、ああ……また」

 

そう笑う横島に手を振り、レジで会計を済ませてから私は早足で芦グループのビルへと帰った。色々と計画を練り直さないといけなさそうだ……

 

夕食の後の第1回作戦会議の場で私はお父さんに

 

「何とかして横島をGSにしないと何もかも変わってしまうわ」

 

「ふむ……考えていた計画では無理そうだしな」

 

私が横島を誘って一緒にGSになる計画だったが、それも難しいだろう。今の横島の心理状態では

 

「自信をつけさせ、なおかつ横島君をGSにさせる方法……ふむ。少々荒っぽいが不可能ではないな」

 

お父さんが自身ありげな顔をするんだけど、何か不安だわ……優しくなってくれたことは良いんだけど、なんか振り切ってはいけないメーターを振り切ってしまったような気がして

 

「少々危ない橋になるが……乗るかね?蛍。上手く行けば横島君とそのご両親からの高い信頼を得る事が出来るぞ?」

 

「聞きましょう」

 

横島とその両親からの高い信頼。それは記憶以上に素晴らしいアドバンテージになる。それが判っているからこそ、多少の不安はあれどお父さんの作戦に従う事にしたのだが

 

「……これ大丈夫?」

 

「大丈夫だ、研究標本として借りておいて良かったよ」

 

合成獣としか言いようの無い化け物を使う、ある意味自作自演の襲撃劇をやるのは良いが

 

(勝てるかしら……)

 

今の私で勝てるかどうか?それが激しく不安になるのだった……

 

 

 

蛍が合成獣を前に作戦を考えている頃、横島の家では

 

「百合子。久しぶりに家族で外食なんてどうだ?」

 

「急にどうしたんだい?」

 

珍しく一緒に外食しようと言う父さんに顔を顰めながら尋ねると

 

「すまん……嵌められた。暫くは大丈夫だが、忠夫が高校になる頃には日本を離れなきゃならん」

 

「部長?」

 

私とお父さんが働いていた「村枝商事」でお父さん、いや大樹は結構なやり手のサラリーマンとして働いていた、なんせこの私が手ほどきしたんだから並のサラリーマンではない。しかしそんなお父さんを妬んでいた部長の事を思い出しながら尋ねると

 

「ああ、あのやろう……まさか提携している会社のほうに俺に出向依頼を出させやがった」

 

それは確かに断れない。今ナルニアで作っている施設のほうに手を回すとは中々やってくれる

 

「と言うわけでだ、なんとか社長と交渉して忠夫が高校生になるまでは時間を作ってもらった。それでどうだろうか?」

 

「出来れば忠夫は連れて行きたいんだけどねえ」

 

とは言え高校生にもなれば自分の意思という物もあるだろう。はいそうですか。と言って着いてくるとは思えない

 

「それについても話し合う。とりあえずゆっくり家族団欒で食事しながら考えたいんだ」

 

お父さんは申し訳ないという顔をしている。嵌められた事に怒りを覚えているのは言うまでも無いだろう

 

「いいよ、明日の夜皆で外食して話し合おうか」

 

忠夫の説得はまだ良いだろう。忠夫がこっちについてきたいというように仕向ければ良いんだから

 

「はーあのはげに出し抜かれるなんて」

 

握り拳を作り悔しそうにしているお父さん。部長に気をつけろとは言って置いたけど、まさかそこまで頭が回るなんて思ってなかったしね……保身に走る人間って言うのは怖いわねえと小さく呟きながら

 

「経験不足だよ。まぁ今度はそう言うことが無いようにね」

 

私の技術の全てを教えはしたが、やはりまだ経験不足だったかと苦笑する

 

(まぁ多分忠夫もついてくるって言うでしょう)

 

日本に居たいと言ってもそこは子供。親とはなれるのは辛いだろうから着いてくるというだろう

 

(まぁ恋人でもいるって言うのなら話は変わるけどね)

 

今の所忠夫に彼女がいるなんて話は聞いてないし、あの子の判りにくい優しさを理解するような見る目のある女の子も居ないしねえと小さく苦笑するのだった。だが百合子は知らない、その横島の判りにくい優しさを全て理解し、そして横島と添い遂げるためだけに2柱の神を完全に掌握し、逆行してきた少女がいるということを……

 

「芦蛍かぁ……なんでだろう?物凄く気になるんやけど」

 

初めて会ったのに、ずっと知り合いだったような奇妙な感覚を感じた横島は枕を抱えてベッドの上でごろごろしていた。無論それは美少女がやって初めて成立する物で横島がやっても見苦しいだけなのだが

 

「まさか恋なんか!?」

 

このドキドキと奇妙な感覚、そしてGS見習いの言葉

 

「もしかして前世の縁者だったり?それだったらまさに運命やなぁ……また会いたいなあ……」

 

初めて自分に友好的に接してくれた蛍にかなりの好感度を持ってしまった横島だったのだった……

 

その4へ続く

 

 

 




登場人物が増えてきて、少しずつ話が長くなって来ましたね。キャラが増えれば増えるほど、私の得意とする混沌の展開をやっていけると思います。それまではゆっくりと話を進めて行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします

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