留学生は侵略者!? メフィラス星人現る!   作:あじめし

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24話「主人公はこの俺、草津が務めさせてもらうぞぉぉ!!!」(後編)

 

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「ニル。おはよう」

 

 校門付近で、私は早馴に出くわした。

 12月も半ばを過ぎ、沙流市の気温も一気に下がり始めた。そんな中でも短いスカートを貫く女子生徒の忍耐力たるや、私の理解を超えるばかりである。

 とはいえ早馴も寒さには勝てないらしく、ピンクのマフラーを首に巻いて登校し始めたようだった。

 

「寒いですし、早いところ教室へ行きましょう、早馴さん」

「あのさ、これ……」

「そのマフラー、以前一緒に買い物へ行ったときですね」

「覚えてたんだ?」

「もちろんです」

「ふ、ふーん。ところでさ、今日提出の課題、もうやった?」

「ええ」

「ノート見せて欲し――」

「そういうことはいけませんわ!!」

 

 私たちに追い付くように、杏城が息を切らせながらやって来た。

 

「逢夜乃、いつもより遅いね」

「朝、急に草津さんから電話がありまして……今日風邪でお休みなんですって」

「草津って風邪ひくんだ……」

「それより愛美さん! 今レオルトンさんの課題ノートを見せてもらうとかおっしゃってましたわね?」

「逢夜乃。6組のコが、逢夜乃とお話したいってさ。逢夜乃のお上品さに感激したんだって」

「な、なんと嬉しいことおっしゃってくれるでしょう! 早速行ってきますわ!!」

 

 杏城は意気揚々として、走り出していった。

 

「早馴さん、今の本当ですか?」

「……うそ」

「やはり。ところで私のノートですが、既に別の方に持っていかれてしまいました」

「じゃあ課題どうしよう……めんどくさいよぉ」

「提出は4時限目でしょう?私がお手伝いしますから、それまで頑張りましょう」

「あ、うん。ありがと」

 

 早馴の言う通り、草津が風邪をひくというのは何となく不自然なようにも思われた。(この国には『馬鹿は風邪をひかない』という言葉もあるぐらいだからな)

 

「ところで、昨日は零洸さんがお休みでしたが、今日は来れるでしょうか」

「多分休みだと思うよ。何か親戚の所に行ってるんだってさ」

 

 早馴は特に気にかけてはいないようだったが、私には非常に興味深い事であった。

 昨夜0時ごろ、謎の飛行物体がGUYSスペーシーの防衛線を抜けて大気圏内に突入、日本領空内でCREW GUYS JAPANと戦闘になったという情報を入手した。私の家からは遠かったため実際に戦闘を目にすることは出来なかったが、GUYSの報告によれば、一機の宇宙船が地上に不時着し、搭乗者は行方不明になっているという。

 そうであれば、CREW GUYSの一員である零洸がその捜索に参加している可能性は否定できないし、むしろ濃厚だ。

 

 

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「おぉ……! やはり美女には何を着せても似合うものだ」

 

 感動のため息を漏らす草津の前には、二日前の土曜日に注文した服に袖を通したアリアが立っていた。彼女は、姿見に映った自分の姿を見て困惑していた。

 

「これが綺麗なの?」

 

 アリアはスカートの裾を指でつまみながら、草津の方へ向いた。

 

「当り前だ! アリアほどの美人に、オレが選んだ服を着せているのだからな!」

「そう言われると、そんな気がしてきた」

 

 アリアは少しだけ、今の自分の姿を気に入り始めた。服を着た自分の記憶を失っている彼女にとっては、初めてまじまじと自分の姿を見つめる経験となった。

 

「よし、外へ出てみよう」

 

 草津はジャケットに袖を通しながら言った。

 

「外を歩けば、思い出せることがあるかもしれないからな」

「……うん。分かったわ」

 

 2人は草津の部屋を出て、階段を下りた。

 

「では、まずは駅前でも――」

 

 先に玄関のドアノブに右手をかけた草津の左腕の袖を、アリアが掴む。

 

「……安心しろ」

 

 草津は、かすかな恐れを目で訴えるアリアの手を握った。

 

「怖がることは無い。俺が付いているからな」

「べ、別に……怖くなんてないんだからっ!」

「ああ。決して怖い場所などには行かない」

 

 草津に手を引かれ、アリアはドアの敷居をまたいだ。

 

 

 

「……あれは」

 

 私服姿の零洸未来は、20メートルほど先に見えた人影から、咄嗟に電柱の陰に身を隠した。

 彼女の目に入った人影――草津と見知らぬ少女が並んで歩く姿を、未来は注意深く見詰めた。

 

「……まさかな」

 

 未来はため息交じりに吐き捨てると振り返り、2人とは反対の方向へ歩き始めた。

 しかし、その足は数歩で止まる。

 ――もしもの場合もあるかもしれない。

 未来は行く手を180度回転させ、2人の後ろ姿を追った。

 

 

 

「ふはは! どうだ! 俺の手にかかれば造作も無い!!」

 

 機械の発信音やBGMがけたたましく鳴り響くゲームセンターの出入り口で、草津は両手に商品が詰め込まれたビニール袋を持っていた。

 

「私は一つも取れなかった……」

「そう落胆するな。これは全部アリアへのプレゼントだ」

「全部くれるの?」

「ああ。そのために取ったようなものだ」

「でも、こんなぬいぐるみいらない」

 

 アリアは、草津の右手にぶら下がっていた袋の中から、可愛らしい熊のぬいぐるみを取り出した。

 

「これが欲しそうな顔をしていただろう?」

「こ、こんな子供っぽいものいらないものっ」

「本当か? ならその辺の可愛い子にプレゼント――」

 

 草津が、アリアの手からぬいぐるみを取り返そうとした時、アリアはそれを高く上げて草津の手から逃れた。

 

「いい。私がもらうから」

「ふっ。素直になればよいものを」

「ち、違うから! ただの記念だもの」

「そうかそうか。じゃあ、次へ行こう」

 

 草津は二つの袋を片方の手でまとめて持ち、片手を空けた。

 その空いた手に、アリアの手が繋がれる。

 ごく自然な動作。しかし、2人の頬には普段以上の赤みが差していた。

 

「そうだ。次は少し静かな場所へ行こう」

「どこへ?」

「街の喧騒から外れて、自然に囲まれてみようじゃないか」

「うんっ」

 

 2人の歩調は、次へ次へというように軽やかだった。

 

「ねぇ、カズト」

 

 賑やかな街を抜け、並木道を歩いている時、アリアが不意に口を開いた。

 

「ん?」

「私って、一体何者なんだろう」

「アリアはアリアだろう?」

「そうじゃなくて……どこから来て、どうしてこうなったのかなって」

「……運命だな」

 

 草津は、自身の中で最高の表情と角度でアリアの目を見た。

 

「運命?」

「運命が君を俺に出会わせた」

「……ふふっ」

「可笑しかったか?」

「可笑しい」

「ふっ……少しくさかったな。まるでレオルトンのようだ」

「レオルトン?」

「キザだが熱い男でな。俺の永遠のライバルであり親友だ」

「友達……私にも居たのかな?」

 

 アリアは儚げに笑って見せた。

 

「居るじゃないか」

「誰?」

「俺だ」

「カズトが?」

「おいおい。ここまで一緒に遊んでおいて友達ではないと言われたら、俺は悲しみで爆発してしまう」

「爆発?」

 

 一瞬、彼女は刺すような痛みを頭に覚えた。しかしほんの一瞬のことで、表情に痛みが出る事も無かった。

 

「あはははっ。カズトは、もう友達だね。最初の友達」

「なんなら友達以上と言ってくれてもいいぞ?」

「ふふっ。ほんと、調子がいいのね」

「これはたしなめられてしまったな。お、そろそろ公園に着くぞ」

 

 草津は顎で、背の低い木々に囲まれた公園の方向を示した。

 

「綺麗ね……」

「この時間帯は静かだし、あまり人も居ないからな。そうだ。あそこの店で昼食を買って食べよう」

「うん」

 

 2人は手をつないだまま、公園の向かい側の店へと向かって歩いて行った。

 

 

 

 弁当の入った袋を持った草津とアリアの後ろ姿を、未来は少し離れた場所から無言で見据えていた。

 彼女の目には、アリアは普通の女の子としか映らなかった。

 

「……私は何をやっているのだろうな」

 

 自分に問いかけるように独り言ちた彼女は、静かにそこから離れようとした。

 

「あら? もしかして零洸さんかしら?」

 

 未来は、突然の声に警戒心をもって振り返った。

 

「……紫苑先生」

「こんにちは」

 

 赤いクラシッククーペが未来のすぐ傍に止まり、その窓から紫苑レムが顔を覗かせていた。

 

「零洸さん、平日のこんな時間に何をしているのかしら?」

「親戚と待ち合わせています」

「あら、そうだったの」

 

 まさか学園の人間と出会うと思ってもみなかった未来は、苦し紛れの言い訳を語ったが、レムは特に疑うそぶりは見せなかった。

 

「私はね、今から出張なの。嫌になっちゃうわ」

「そうですか。お仕事頑張ってください」

「ありがとう。もう行くわ。じゃあね」

「さようなら」

 

 レムは窓を閉め、クラシックカー特有の古めかしいエンジン音を響かせて車を走らせた。残された未来は、それが視界から消えるまで目で追った。ちょうどレムの車が見えなくなったところで、彼女がジャケットのポケットに忍ばせていた携帯端末の呼び出し音が鳴った。

 

「こちら零洸」

『こちら初期対応班ワタベ。ターゲットの足取り予測が上がりました。今データを送ります』

 

 無機質な男性隊員の声と共に、先日の不時着宇宙船から脱走した搭乗者の逃走予測経路が記されたデータが、未来の端末に送信された。

 

「……くそっ」

 

 周辺の地図と、その間を抜ける逃走ルート。その終着点は、数時間前に未来がその足で通った場所に他ならなかった。

 そして、記されたもう一つの情報。それは、ターゲットの宇宙人の正体だった。

 

 

 

 日が沈みかけ、夕暮から薄闇へと空が移りゆく頃、草津とアリアは公園の出入り口を抜けた。

 

「すっかり時間が経ってしまったな」

「うん」

 

 2人はやはり手をつないだまま、草津の自宅へ向かって歩いていた。

 昼食を食べてから、2人はただベンチに座って話していただけだった。草津が自分の住んでいる場所や、その周りの人々について話し、それにアリアが相槌を打ち、時に言葉を返していた。ただそれだけのことではあったが、アリアにとってはこの上なく価値あることに思えたのだった。

 

「カズトの話、面白いね」

「俺は話術においても天才だからな」

「よく言うよ」

 

 草津と話している間、アリアはしきりに考えていた。誰しもが草津の様に明るく、優しい人であれば良いのに、と。それは草津以外の“他人”を知らないアリアにとってみれば、不自然な感情であった。

 ーーやっぱり私の記憶と関係があるの?

 そう自問してみるが、彼女はその問いの答えを考えることを止めようとしていた。

 そんなことどうでもいい。もう、いっそ思い出さなくたって―――

 

「あら? 草津さん!?」

 

 アリアは初めて聞く声に、神経を尖らせた。そんなアリアの心境を、草津は触れあった彼女の手から感じ取った。

 

「こんなところで奇遇だな。逢夜乃、早坂」

 

 わざとらしく大袈裟に、草津は顔見知りであることを示すように2人の名前を呼んだ。

 

「……カズトの知り合い?」

「そうだ」

 

 そう言われたものの、アリアは目の前の男女に鋭い目線を送らずには居られなかった。

 

「草津さんっ。学校を休んで女性と遊び歩くなんて、いけませんわ」

 

 逢夜乃ははっきりとした口調でそう言った。そんな彼女を、隣に立つ早坂が、まぁまぁとなだめていた。

 

「草津くん、その人は?」

 

 草津は、アリアの手を握る力を若干強め、叫ぶように言った。

 

「俺の運命の女性だ」

「お、おめでとう……草津くん!! ようやく草津くんを受け入れてくれる女性が現れたんだね……」

「草津さんが……ふぅーん……」

 

 早坂はやや感慨深く草津を賞賛したが、逢夜乃は面白くなさそうにその様子を見ていた。

 

「それはそうとして、逢夜乃と早坂のコンビは珍しいな。ま、まさか俺の知らない所で……許さんぞ早坂ぁ!!」

「ち、違いますわよ。先程まで愛美さんとレオルトンさんも一緒でしたわ。ちょっと買い物に付き合ってもらっていたのです」

「だ、ダブルデートということか!」

「とにかく、明日はきちんと学校へ来て下さいね?」

「分かっている。しかし早坂、お前部活はどうしたんだ?」

「今日は休みなんだ。部長もお休みだったしね」

「そうか」

「じゃあ、明日は必ず学校にいらして下さいね。それでは」

 

 逢夜乃は念を押すようにそう言って、別れの言葉を告げて早坂と共にその場を去っていった。

 

「カズト……手が痛いわ」

「おっと、済まない」

 

 草津はしまったという風に、咄嗟に彼女の手を放した。

 

「さっきの2人、カズトの友達?」

「そうだな」

「アヤノって人も?」

「もちろんだ」

「……そっか」

「ほほぅ。まさか妬きもちか?」

「ち。違うからっ! 何も思ってない!」

「俺もついに、妬かれる男になれたのだなぁ」

「だから、妬きもちじゃないってば!」

「ははは。からかって悪かったな、アリア」

「もうっ……このバカ」

「さぁ、家に帰ろう」

 

 草津は、再び彼女に向かって自分の手を差し出した。

 

「うん」

 アリアはその手を取り、2人は歩き始めた。

 

 

 

「カズト、お風呂上がったよ」

 

 キッチンに立っていた草津の背中にアリアの声が届き、彼は振り返った。

 

「……やはり、何度見ても風呂上がりの女性は美しいな」

「な、何言ってるのよ、もう」

「本心を言ってみただけだ。しかし髪を濡らしたままにしてはダメだと言ったじゃないか」

 

 濡れて艶やかなアリアの長い髪の先から、小さな水滴が落ちた。

 

「ドライヤーって道具が上手く使えなくて……」

「そうか。だったらしばらくはこの俺が乾かしてやろう」

「うん」

 

 アリアが喜びの笑顔を見せた時、インターフォンの呼び出し音が部屋に響いた。

 

「こんな時間に何者だろうか」

 

 草津は手を軽く拭き、インターフォンの受話器へ向かった。

 

「こちら草津家」

『こんな時間に済まないな。私だ』

「未来か。珍しいな。ちょっと待っていてくれ」

 

 草津は受話器を置き、無言でアリアの手を取った。彼は戸惑うアリアを2階へ引っ張っていった。

 

「どうかしたの?」

「いいか? 俺の部屋に入り、鍵をかけて大人しくしていてくれ。絶対に部屋から出てはダメだ」

「……分かった」

「じゃあ、待って来てくれ」

 

 草津は部屋から出て、そのドアを閉めた。鍵が閉まる音を聞くとすぐ、彼は玄関へ直行した。

 

「すまん。今料理中だったものでな」

 

 ドアを開け、その前に立っていた未来に向かって草津は詫びの言葉を送った。

 

「いいんだ。こんな時間に訪ねた私が悪い」

「茶でも出そう。上がってくれ」

「……そうさせてもらう」

 

 草津は、未来の反応を意外に思いつつも、努めて冷静に彼女をリビングに招いた。

 

「お邪魔します」

「まぁ、くつろいでくれ。紅茶でいいか?」

 

 草津は未来の返事を聞くと、急ぎ紅茶の用意をした。彼はわざと、いつもより温度の低いお湯で紅茶を作った。

 

「ありがとう」

 

 険しくはあるが、冷静な表情で未来は草津を迎えた。

 

「それで、何か重要な話だろうか? ま、まさか……俺に愛の告白を?」

「少しキミと話したくなったんだ。たまたま近くを通りかかってな」

「嬉しいことを言ってくれるじゃないか」

 

 草津は目の前のティーカップを取り、口を付けた。少しぬる過ぎたな、と反省しつつ、言葉には出さずに未来に詫びた。

 

「草津、今日学園を休んだと聞いたが」

「まぁな。少し疲れたが溜まっていてな、気分転換をしていた」

「身体には気を付けてくれ。皆心配していたようだったから」

「明日は行けるように善処するさ」

「そういえばキミは、こんな大きな家に一人暮らしなのか?」

「両親は冒険家で世界を飛び回っている。今頃は……アトランティスを探している頃だろう」

「一人で暮らすなんて、危なくはないか?」

「ははは、未来はそんなに心配性だったか? 早坂でもあるまいし」

「そう、だな。杞憂かもしれない」

 

 未来は紅茶を飲んでいる間も、草津から目を離さなかった。草津も同様に、未来の目を見据えていた。しかし一度だけ、草津が背後を気にするように目線をずらしたことを、未来は見逃さなかった。

 それから他愛もない会話を2,3交わした後、未来は立ちあがった。

 

「……おいしいお茶をありがとう。私はもう帰るよ」

「せっかくだから夕食でもどうだ? 草津スペシャルコースだぞ?」

「ご馳走になりたい気持ちは山々だが、この後どうしても外せない用事があるんだ」

「……そうか」

 

 草津は、玄関へ向かう未来の後ろを付いて行った。

 

「次はゆっくりできる時に来るといい」

「そうさせてもらう。それじゃ」

「家まで送ろう」

「いや、大丈夫。すぐ近くに迎えが来ているんだ」

「そうか。じゃあ」

「ああ。また明日」

 

 未来は手を軽く上げて見せて、草津に背を向けて夜道へ消えて行った。それを見届け、草津はため息をついて家の中へ戻り、2階へ上がった。

 しかし、草津階段を上ろうとしたその前に、アリアが階段を下りて向かってきた。

 

「……アリア」

「今の人……」

「俺の友人だ」

「……そっか」

 

 アリアは俯き加減で、階段を下りて来た。

 

「アリア、髪を乾かそう」

「うん」

 

 2人は洗面所へ入り、大きな鏡の前の椅子にアリアは座った。草津はドライヤーを片手に、その後ろに立つ。

 ドライヤーの熱風と、草津の手がアリアの美しい髪を撫でた。時間が経って渇きかけだった髪は、随分早く水気が抜けていった。

 草津はドライヤーの電源を切った。

 

「アリア、明日は遊園地へ行こう」

「遊園地?」

「ああ。とても楽しい所だ。そこで最高の思い出を作ろう」

「ガッコウ、行かなくていいの?」

「明日は休みだ」

「そっか。すごく楽しみね」

「ああ。じゃあ、夕食にしよう。先にリビングへ行っていてくれ」

 

 草津はアリアの後ろ姿を見送ると、ポケットに入れておいた携帯電話を開いた。

 

「……もしもし」

『こんばんは。どうしました、草津』

 

 電話の相手はニルだった。草津は短い間をおいて、切りだした。

 

「お前に、一生の頼みがある」

 

 

―――25話に続く

 


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