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「今日は楽しかった?」
「うん!」
人通りの少ない住宅街の間を、逢夜乃とリュールは手をつないで歩いていた。その手は、どちらからというわけでもなく強く握られていた。
「また……一緒に遊べるよね?」
もちろん――そんな言葉が喉まで出かかり、ついには消えた。
「アヤねーちゃん?」
「……リュール。あなたのお父さまから連絡がありましたの」
「お父さんから!?」
一瞬、リュールの顔に笑顔が浮かぶが、すぐに彼の表情は沈んだ。
「……どうしてそんな顔をしますの?」
「だって、だって……! そしたら、もうアヤねーちゃんと――」
その言葉は、逢夜乃の抱擁によって途切れた。彼女はしゃがみ、きつくリュールの小さな身体を抱きしめた。
「そんな顔しないでっ!」
「アヤねーちゃん……」
「そんな顔されたら、もっと辛くなるから……!」
リュールの耳元に、逢夜乃のすすり泣く声が届いた。
そして、その声をかき消すような高笑いが響いた。
「おやおやぁ? こーんなところにおいでだったんだなぁ!!」
涙を拭うこともせずに逢夜乃は後ろを振り向いた。その瞬間、一目で人間ではないと判るほどに“異形な”影が2人の前に現れる。逢夜乃の腹に強烈な衝撃が放たれ、その身体は2メートルほど後ろの電柱まで飛ばされた。
「アヤねーちゃ――」
逢夜乃に蹴りをくらわせた宇宙人が左腕で、今度はリュールの首を締めあげた。しかしリュールの首を掴んでいるのは手ではなく、触手であった。リュールの力ではそれを振り払うことはかなわなかったが、彼は触手に噛み付き、その腕を振り払った。そして逢夜乃の所へ走って行った。
「あ……あ……」
「しっかりして! アヤねーちゃん!」
身体への瞬間的な衝撃が、逢夜乃の呼吸を激しく乱していた。彼女には呼吸だけで精一杯で、声を出すことはかなわなかった。
「人間に匿ってもらうってのはなかなか良い手だったな。でもなぁ、俺らからは逃げらんねーんだよ!」
すぐ近くの曲がり角から、同じような宇宙人たちが6人現れた。それぞれ異なった姿をしており、まるで一体の宇宙人に複数の宇宙人の特徴を混ぜ合わせたような“雑種”の宇宙人たちだった。そのうちの2人に腕を掴まれ、縛りあげられた形でリュールの前に現れたのは、彼の父親だった。
「こいつの行方はすぐに分かったからさぁ、お前を迎えに行くところを狙ったってわけよぉ!」
「とーちゃん!!」
リュールの必死な叫び声に、アッシュは朦朧とした意識を覚醒させた。しかし抵抗できるほどの体力は彼には残っていない。
「り、リュール……!」
「ガキぃ! もう鬼ごっこは終わりだぁ! さっさとこっちへ来い!」
「ふざけんなっ! とーちゃんを離せぇっ!!」
縛られた父の元に走ろうとしたリュールの腕を、逢夜乃は咄嗟に握った。逢夜乃の腕の中でリュールはもがいた。
「離してよっ!」
「行ったら、駄目ですわ……」
呼吸を取り戻しつつあった逢夜乃は、激痛をこらえながら立ちあがり、リュールを引っ張って走り出そうとするが、先程逢夜乃を蹴り飛ばした宇宙人が再び近づき、彼女を突き飛ばした。
「来い、ガキ」
「絶対に嫌だっ!!」
リュールは手に持っていたバッグを男に思い切り投げつけた。バッグは宇宙人の醜い顔面にぶつかり、その中から空になった弁当箱が地面に落ちる。
「………てめぇ、自分の置かれてる立場も状況も分かってねぇようだから、ちょっと仕置きだ」
そう言って宇宙人は、足元の弁当箱を踏みにじった。そして触手ではない右手で拳銃を構え、その銃口をアッシュに向けた。
「止めてぇっ!!!!」
逢夜乃の絶叫と、その銃声は同時に空気を揺るがせた。
放たれた光線は、リュールの父の胸を貫いた。彼は声を発することも無くこと切れた。
「あーあ。死んじゃった」
宇宙人は下品な笑い声を上げ、銃身でリュールの頬を殴りつけた。
「馬鹿で面倒な息子を持つと苦労するなぁ! おかげで死んじまった!!! ぐはははは!」
リュールはただ黙ったまま、地面に倒れているだけだった。決して気絶しているわけではない。茫然としているのだった。
「立て、ガキ」
「……」
「はぁ、分かってねぇのな。これ以上俺に人殺しさせないで欲しいもんだね」
宇宙人の銃口は、今度は逢夜乃に向けられた。
逢夜乃は死への恐怖よりも、リュールを、そしてその父親を守れなかったことへの無力感を抱いていた。
「さよーな――」
逢夜乃が目をつむったのと、銃を構えた宇宙人の胸に穴が開いたのは同時だった。彼の身体はゆっくりと地面に倒れ、逢夜乃は背後に何者かが立っているのを感じた。
「非力な者たちに、銃を構えた者が暴力を振るう……愚劣極まりないですね。」
その声は逢夜乃を安心させるとともに、もっと大きな衝撃を彼女に感じさせた。
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「れ、レオルトンさん?」
「リュールくんを連れて逃げてください」
「な、何言ってるんですの!? レオルトンさんも一緒に――」
「私は奴らを足止めします」
「な、何を言って……」
「いいから」
彼女は私の語気に気圧されたのか、はたまた私から異様な感覚を得たのか、倒れたままのリュールの手を引き、走っていった。彼女らを狙った連中は私を警戒して2人を追うことはしなかった。
「隊長の仇打ちだぁっ!!」
雑種の宇宙人たちは、一斉に銃口をこちらへ向ける。
「撃てぇっ!!」
複数の光線が真っ直ぐに私に集まる。しかしそれは私を捉えることは無い。私は上空に飛び上がり、空中から両手で光線を放つ。
「ぐはぁ!!」
「げぇっ!」
まずは2人。
「くそっ!応援を呼べ―――」
着地と共に、3人目に光線を放つ。
「ひぃっ!」
「退くぞっ!」
もう二人に対しても、私に背を向けたところに光線を撃ち込んだ。
「ま、待ってくれ……」
生き残った1人の首を掴み、無理やり頭を上げた。
「混ぜ物の雑種風情が徒党を組んで、何を企んでいるのですか」
「た、頼む!! しゃべるから殺さないでくれ!!」
彼は観念したと見えて、右手のビーム拳銃を投げ捨てた。
「あ、あのガキは兵器なんだ……」
「兵器?」
「あの種族には特別な能力があって、俺らは連中を兵器として売り払う計画を……」
「それでわざわざここまで追ってきた、と」
「あのガキは特別だ。ヤツの能力は同種でも最強らしい……」
そういえば、ガッツ星人から収奪したデータの中に遠方の銀河における戦乱のデータがあった。ある惑星が宇宙人傭兵を使った人身売買で資金と武器を調達し、近々大規模侵攻を企てているとか。
その傭兵の一人と考えられる宇宙人は、既にこと切れた同胞かには目もくれず、私に命乞いを始めた。
「お前たち傭兵集団の規模は」
「俺たちはほんの一部だ。今頃、あの人間とガキのところに行ってるはずだぜ。ほら、話したんだから命は勘弁ーー」
「っ!」
突如、大きな機械音が遠方から響いてきた。遥か先の上空には、光学迷彩を剥がしながら姿を現す中型の宇宙船があった。
「へへへ!! 同胞が来やがったぜぇ!!」
宇宙人は右腕に仕込んだ隠し銃を私に向けたが、私は放たれた光線を手で弾き跳ね返した。奴は絶命したが、これからもっと厄介な数を相手にしなければならないと思うとため息が漏れた。
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「はぁはぁはぁ……」
逢夜乃とリュールは、近くにあった空き家の庭に身を潜めていた。彼女の息は絶え絶えだが、その腕は力強くリュールの肩に回されていた。
「大丈夫ですよ。わたくしが必ず……護りますから」
「……」
リュールから言葉は返ってこなかった。彼はまだ、父親を失ったショックで口をきけなかったのだ。
「……レオルトンさん」
逢夜乃は小さくそう呟いた。
彼は一体何者なのか。そんな疑問が逢夜乃の心中にくすぶりながらも、彼女は彼を信じる気持ちを失ってはいなかった。
――きっと大丈夫。
自分に言い聞かせるように、そして遠くに居るであろうニルを励ますように、彼女はそんな言葉を自分の心の中で繰り返した。
「……見つけました」
「っ!!」
逢夜乃は、その声に対して咄嗟に身構えた。しかし、塀の陰から姿を現したのは紛れもない、ニルであった。
「れ、レオルトンさん!」
「大丈夫でしたか?お怪我は?」
「わたくしは大丈夫です。リュールも……」
リュールは意識を保ってはいても、正気を失っていた。彼はニルに反応すらせず、黙ったままだ。
「今助けを呼びました。もうすぐあんし――危ないっ!!」
ニルは逢夜乃とリュールを抱きしめるようにして、2人の身を庇った。その瞬間、ニルの背後で巨大な爆発が起こった。
「っ!! に、ニルに―ちゃん!?」
轟音のためか、リュールは正気を取り戻した。
「け、怪我は……あり、ませんか?」
爆発から2人を庇ったニルは背中にダメージを負い、口元から一筋の血を流しながらその場に倒れた。逢夜乃は彼の身体を受け止め、しきりにその名前を叫んだ。
その時リュールの目には、一隻の宇宙船が映っていた。その下部に装備されたビーム砲はこちらに向いている。
「ど、どうして……」
「リュール!! レオルトンさんの身体をっ!!」
逢夜乃はニルの身体をリュールに預け、彼らの前に立って両手を広げた。
リュールには、その行動の意味がはっきりと分かっていた。
――このままじゃアヤねーちゃんまで!!
その時、彼の目に映る世界は、深紅色へと変わった。
「……僕が守る」
彼は自分の内側から、凄まじく熱い何かが込み上げてくるのを悟った。
「うあぁぁぁぁっ!!!!!」
その何かは叫びへと姿を変え、冷えた空気を揺らす。
それと同時に、空中に浮いている宇宙船のビーム砲の砲口に黄色い光が浮かび上がった。それは一筋の光線となり、高温によって空気中の水分を蒸発させながら一直線に3人目がけてやって来る。
しかしその光は3人に届く前に、紅蓮の炎によって消滅した。
続けざまに、宇宙船にも紅蓮の炎が襲いかかる。どこからか放たれる火炎の塊が宇宙船を焼き尽くす。宇宙船はコントロールを失い、よろよろと飛行しながら小さな爆発を起こし続け、一際大きな爆発と共に爆散した。爆風が周辺の屋根を揺るがせる。
そして薄暗い曇り空の中から、深紅の竜が姿を現した。巨大な両翼と赤黒い鱗の巨躯、残忍な輝きを放つ鋭い両眼。竜はゆっくりと、空き家を踏み潰して逢夜乃の前に降り立った。
「2人は……やらせませんわ……」
「大丈夫だよ、アヤねーちゃん」
逢夜乃が振り向くと、肩で息をしながら彼女を見つめていたリュールと、こめかみと口元の血を拭いながら立ち上がるニルが居た。
「そいつは、僕の言う事を聞くから」
紅い目をしたリュールはゆっくりと竜に近付く。竜はリュールが頷くと再び翼を広げて飛び立ち、咆哮と共に雲の中へ消えていった。
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「……驚きましたね」
「えぇ……心臓が止まるかと思いました」
腰を抜かして地面にぺたんと座りこんだ杏城に手を差し伸べる。彼女は力無く立ちあがった。
「迷惑かけてごめんなさい」
リュールは不格好に頭を下げ、私と杏城に背を向けて離れて行こうとした。
「何、しているんですの?」
「僕がこんな所に来たから……2人に怪我させちゃったんだ。だから――」
杏城が駆け出し、リュールの身体を思い切り抱きしめた。
「ばかっ!! リュールは何も悪くありません!! それに、わたくしが少しでも迷惑を感じていると思ってますの!?」
「何言って……」
「大事な人を守っただけなんです! 大事な、大事なあなたを……!」
「でも……見たでしょ? 僕、普通じゃないんだよ?」
「あなたが普通では無かったら、好きでいてはいけませんか?」
彼女の肩は震えていた。困惑するリュールは泣きじゃくる杏城に抱きしめられ続け、やがて彼も大声で泣き始めた。
「好きなだけ泣くといいですわ。好きなだけ……」
リュールを抱きしめながら、杏城は顔だけ私の方へ向けた。
「……レオルトンさんも?」
「お察しの通り。私は人間ではありません」
もはや隠し立てすることに意味は無かった。爆発で背中を焼かれても平然としている姿を見せられては、彼女も信じるしかないだろう。
「……驚かないのですか?」
「もちろん驚いていますわ。けれど、何故助けて下さったのですか?」
「地球に来る宇宙人は、すべて私の敵です。本当なら貴女に知られぬように抹殺するつもりでしたが、失敗してしまいました」
私はゆっくりと彼女へ近寄った。
「しかし杏城さん。私の正体を、人間である貴女に知られるわけにはいかないのです」
私は2人の前に立ち、まずはリュールの額に触れる。
「ニルにーちゃ――」
リュールの意識が途切れる。彼の頭はことりと、杏城の肩にもたれた。
「な、何をしたのですか!?」
「彼の記憶を、一部消しました。先ほどの一連の出来事から、私が居たことだけ忘れています」
「……私の記憶も、消すのですか?」
「もちろんです」
杏城は言い返すわけでもなく、ただ黙って私を見る。
「……そんなことしなくても、私は秘密にしているつもりですわ」
「私に、それを信じろと?」
「いいえ。そうは申しませんわ。けれど……レオルトンさんは、レオルトンさんですから」
私は思わず、彼女の視線から目を背けた。
「安心してください。リュール君と同様、先程の記憶だけ操作します。日常活動に支障はありません」
私はゆっくりと腕を伸ばした。しかしその腕を、杏城がきつく握りしめた。
「待ってください。わたくし、レオルトンさんが正体を隠すことに、協力できるはずですわ。だってわたくしたち――」
私は彼女の手を振り払い、その額に触れた。
「レオルトンさん、わたくしを、わたくしたちを信じ――」
私は何も言わず、杏城の記憶を消した。意識を失った2人の身体を道路の隅に横たえ、私はその場を去った。
やるべきことは済ませた――そう考えているのにもかかわらず、杏城が最後に見せた表情が頭から離れない。
あの悲壮感に満ちた表情が、何故だか私をいらつかせた。
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――年末に見舞いへ行く。
父親からの久々のメール。そんな文面を目にして、逢夜乃は携帯電話を閉じ、無造作にそれを置いた。
「明日には退院ですわ」
自嘲めいた笑みを浮かべながら、彼女は窓の外を見た。
謎の宇宙人に襲われた次の朝、彼女は久瀬総合病院のベッドの上にいた。背中の軽い打撲と、手足の傷による入院だった。
「どうしたの? アヤねーちゃん」
「何でもないですわ。それより、GUYSの人とのお話は終わりましたの?」
「あーうん。しばらく基地に住んで下さいって」
「それは……」
「でもね、ちょっとしたらあやねーちゃんと一緒に住めるかもって!」
「ほ、本当ですか?」
「うん! でも、僕が、その、人間じゃないことは誰にも言っちゃダメだって。お友達にもダメだって」
「分かりましたわ」
「じゃあ僕、行くね」
「明後日、会いに行きますわ」
「うん! じゃあね!」
リュールが出て行ってから、逢夜乃はしばらく外の風景を見ていた。その時、廊下を走る足音が近づいて来ることに気付いた。それは逢夜乃の病室の前で止まり、思い切り病室の引き戸が開かれた。
「逢夜乃っ!!」
「あ、愛美さん!」
愛美は髪を乱した姿で逢夜乃のベッドに近付いた。
「怪我は!?」
「全然大丈夫ですわ。この通り――いたたた」
背筋を思い切り伸ばそうとしたのだが、逢夜乃は背中の痛みに顔をしかめた。
「まさかリュールと一緒に宇宙人に襲われるなんて、わたくし自身驚きで――」
逢夜乃の言葉を待たず、愛美はベッドの脇に膝まずき、シーツに顔を埋めて嗚咽を漏らした。
「え、あ、愛美さん!?」
「なんか……安心して……」
「……もう。お顔がぐしゃぐしゃです」
逢夜乃はティッシュで愛美の鼻を拭いてやり、愛美の背中をさすった。
「うっ……」
逢夜乃の頭に、かすかな痛みが走った。
その後愛美と話している間にも、時折軽い痛みが彼女の頭をざわつかせた。そのうちに、自分が何か大切なことを忘れているのではないかと気づいた。
リュールと共に意識を失ったあの時、何故か唐突に逢夜乃の脳裏をかすめた想いがあったはずなのだ。
「……」
「逢夜乃!? どうしたの? どこか痛いの?」
急に涙を流した逢夜乃に、愛美はあたふたしてしまう。
「いいえ……違うんです」
逢夜乃は流れる涙をぬぐいながら、少しずつ言葉を紡いだ。
「……愛美さんは、大切なお友達が何か悩んでいるのを見た時、どうしますか?」
「そんなの、力になってあげるに決まってるじゃん」
「でもそのお友達は、愛美さんのことを信じず、頼ろうとはしてくれません。それでも力になりたい、助けてあげたいと思いますか?」
「うん。言いたくない理由があるんかもしれない……でも、それで諦めたくないよ。私はきっと、その友達のこと、大好きだから」
愛美はそっと、逢夜乃の頭を抱きしめた。
「……ずっと、愛美さんに黙っていたことがあるのです」
逢夜乃は話を続けた。
「わたくしの家、両親が仕事で海外に行ってしまったきり帰ってきませんの。誕生日も、お正月も、クリスマスも……もう10年以上は一緒に過ごしていません。今の学園に上がる前まではメイドさんと二人きりで、今は家に一人です。ですから、親の愛というものを殆んど知りませんし、何でも一人でこなしてきたつもりです」
彼女が話している間、愛美はずっと逢夜乃の髪を優しく撫でていた。
「ですから……誰かに頼ることが、できないんです。手がかかると思われたら、両親のように居なくなってしまうんじゃないかと考えてしまって」
「……逢夜乃のばか」
「え?」
「逢夜乃は大ばかだよっ!」
目に涙をためた愛美は、逢夜乃に向き直った。そして真正面から、逢夜乃を見つめた。
「絶対、居なくならない」
「……もし困ってしまったら、皆さんに頼ってもいいですか? もし泣きたくなったら、寂しくなったら、わたくしを……」
愛美は逢夜乃の背中に、優しく手をまわした。
「いつだって……ずっとそうして欲しかった!」
「はい……!」
「ようやく頼ってくれるようになったんだな、逢夜乃」
「未来さん!」
愛美に抱きしめられたまま、逢夜乃は病室の出入り口に未来の姿を認めた。
「授業をサボった愛美を連れ戻そうと思ったが、私もサボることにした」
「……委員長失格ですわね」
「まったくだ」
未来は2人に歩み寄り、2人をまとめて両腕で包んだ。
「わたくし、お二人のお友達でいて、良いですか?」
「当たり前だろう」
「未来の言う通り」
「……はいっ」
窓から差し込む日の光は、優しく3人の“親友たち”を包んでいた。
―――24話へ続く
名も無き星人たち
(本作オリジナル)
星間交配によって生まれた混血種。漫画ULTRAMANでのエイダシク星人のような容姿。そう考えるとテレビ作品に出てくる宇宙人たちは純血種すぎますね。
イリステイル星人 リュール
(本作オリジナル)
体の一部に特殊な鉱石を持ち生まれてくる星人で、鉱石の力によって龍を操ることができる希少な種族である。その中でもリュールは幼くして操れない龍はいないと言われている。