「そんじゃな、ニル」
「はい、それではまた明日」
校門で樫尾と別れ、一人帰路を歩く。
今日は比較的早く帰ることができた。
この後もこれといってやることはない。(侵略計画については随時更新中である)
「たまには、違うところにでも行ってみましょうか」
ふと、私は河川敷に足を向けた。
曇り空の、薄暗い河川敷に一匹の怪獣がいた。
ゴモラである。
レッドファイ!
河川敷のゴモラへ向かって、赤と銀色の姿をした人物が駆け出して行った。
仮面のような特徴的な頭、そしてその両脇についたアンテナが特徴的なその姿を、以前資料で見たことがある。
――レッドマンだ。
銀河連邦の一員と言われているが、それ以外のデータはあまり知られていない。
唐突に現れては、怪獣を駆逐する謎の宇宙人である。
そして今、レッドマンがゴモラと対峙した。
駆けた勢いのまま、レッドマンの右手からの一撃。彼の拳はゴモラの側頭部をとらえ、ゴモラは派手に地面に転がされる。
すかさず、レッドマンがマウントをとる。右、左、右と、レッドマンの拳がゴモラをとらえる。
ゴモラはマウントを取られながらも、もがきながら抵抗する。それでもマウントは崩れない。
が、数発の殴打ののち、怪獣の尻尾がレッドマンの脇腹を強打し、レッドマンの体は投げ出された。
ここで、ゴモラの反撃である。起き上がろうとするレッドマンに対し、顔面への前蹴り。よろめくところに、パンチの追撃を加える。
たまらずレッドマンはゴモラに近づき、両腕をつかむことで動きを止めようと試みる。
しかしゴモラの力は強く、完全には動きを止めることはできない。
レッドマンとゴモラは、まるで鏡のように上へ下へと腕をつかみ合い、お互いに何とか優位を取ろうとする。しばしのもみ合いが続いた。
そして、その均衡を崩したのはゴモラである。
ゴモラが両腕を大きく振りかざしレッドマンの腕を払うと、レッドマンの腹に角の一撃をくらわせた。
その衝撃に、レッドマンは大きく後ろに吹き飛ばされた。
レッドアロー!!
起き上がったレッドマンの手には、いつの間にか筒のようなものが握られており、それを天高く掲げた瞬間、掛け声とともに槍へと変化した。
そしてそのまま流れるような動きで、槍をゴモラに投げつける。槍が胸に深々と突き刺さり、ゴモラはその場に崩れおちた。
その様子を確認し、レッドマンは満足そうにうなずくとそこから去っていった。
「……なんだったんだ、今のは」
―――――番外編「赤い赤い赤いあいつ」・終わり