留学生は侵略者!? メフィラス星人現る!   作:あじめし

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第6話「ソル捕獲作戦」(前編)

 雷を操る怪獣――巨大雷獣ガルガイオンが暴れた次の夜、巨大な地響きと爆音が深夜の街に響いた。新たに現れた飛行能力を持った怪獣を、ソルが地上で倒したのだ。

 私はその光景を暗い工場の陰から見ていた。そこで、GUYS隊員二人組の興味深い話を聞くことができた。

 

「これを見てくれ」

 

 佐久間と呼ばれていた隊員が、タブレット端末をもう一人の隊員に見せていた。

 

「リョータ、これなんだと思う?」

「これは円盤か?」

「せやろな。さっきの怪獣を倒した周辺を探っていたら見つけたんや。こちらに気づいていたかは分からん」

「いや、こうも長い時間カメラに収められたんだ。こいつは気づいてないだろう」

「しかしこの円盤、どこかで見た気がするんよなぁ」

「あぁ……思い出したぞ。これは数十年前に地球に飛来したーー」

「分身宇宙人ガッツ星人の円盤!」

「昨日からの連続の怪獣。裏で糸を引いていたのは奴なのかもしれない」

「よし、調査隊の設置を要請してみる」

「よろ」

 

 この事実をガッツ星人に伝えるべきか、それとも……。

 

 

 

 

第6話「ソル捕獲作戦」

 

 

分身宇宙人 ガッツ星人

 

              登場

 

 

 

 工場から戻り帰宅すると、アパートの前に人間に変装したガッツ星人が立っていた。

 

『メフィラスよ』

「何の用です」

『話がしたい』

「分かりました。少し先の公衆電話まで歩いてください。その後を追います」

 

 やがて公衆電話に辿り着き、怪しまれない程度の距離を奴と取ってテレパシーで話しかける。

 

「それで、用事とはなんです?」

『貴様が分かったことを話してもらおう』

「正直に言います。ソルの人間体についてはまったく分かりませんでした。ただし、戦闘面については多少。奴と正面から戦っても勝率はせいぜい五分止まりでしょうね」

『奴も馬鹿ではないからな。そう簡単に正体は晒さないだろうな』

「一つ確実な方法がありますよ」

『何?』

「奴を捕えてしまえばいい。あなたが使える駒を最大限使って奴を疲弊させ、あなたが直接戦う」

『……いいだろう。ならば次は私が自ら出よう』

「それが得策です。もはや怪獣たちだけではどうにもなりません。ソルは……強い」

『今まで得たデータを用いれば、ソルを捕えることなど容易だ。メフィラスよ、面白いものを見せてやる』

「それは楽しみですね。私も陰ながら応援しましょう」

『ふん、その必要はない。貴様は何もせずに見ているだけでいい。ではさらばだ』

 

 奴は人通りの多い商店街へ消えていった。

 その翌日、私はガッツ星人が何か行動を起こすと期待しながら学園に来たが、午前中は何事もなく終わりそうだった。

 

「零洸さんはお休みですか?」

「……」

「早馴さん」

「え、今の、私に聞いてたの?」

「ええ」

 

 早馴はぼんやりと外の風景に目を向けていたが、こちらに向き直った。

 

「あー、また休みっぽい。ていうか、何で私に聞いたの?」

「いえ、零洸さんと仲が良い印象なので」

 

 早馴は「うん」と即答したものの、一瞬だけ、不安げな表情を見せた。しかしすぐに普段通りの無気力な顔に戻った。

 

「いつものことだから、気にしなくていいんじゃない?」

「そうですね」

 

 そう言いつつ彼女は、その後も外を気にするそぶりばかり見せていた。

 この時間は自習だった。紫苑レムの現代文の授業のはずだったが、彼女は出張とやらで学園に来ていないらしい。それが理由か、教室内の男子たちはどこか覇気に欠けていた。

 特に草津は……もはや屍のように机に突っ伏していた。

 結局いつもとなんら変わらない午前中を終えることになりそうだ。

 

 ゴゴゴゴゴゴ

 

「今の何?」

 

 早馴が声を上げた。

 

「地震、いや地響きですか」

「お、おい!外を見ろっ!」

 

 ある男子生徒が外を指さす。そこには怪獣が現われていた。しかも5体。かなり離れた場所だ。

 ガッツ星人、ついに動いたか。

 

 

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 ソルは若干の苦戦を強いられながらも5体の怪獣を葬ったが、ソルの疲労は限界に達していた。

 

『はぁ、はぁ……』

『この程度で疲れて良いのか、光の戦士よ』

 

 そこに何者かの声が木霊した。

 

『我が名はガッツ星人。いかなる戦いにも負けたことのない無敵のガッツ星人だ』

『お前か……何度も怪獣を送り込んだのは!』

『気に入らなかったか。ならば私が直接相手をしよう』

 

 ソルの目の前に現れたのは、縞模様の身体に鳥らしき頭部の宇宙人だった。

 ソルはソールブレードで応戦、ガッツ星人は一瞬で切り裂かれた。

 

(もう、終わりか……?)

 

 ソルが構えを一瞬説いた瞬間、先ほどの声が再び響いた。

 

『ふっふっふ……知っているぞ、その技は』

『っ!』

 

 突如、切り裂かれたはずのガッツ星人が立ち上がり、2体に分身した。

 

『そんなこけおどしが!』

 

 ガッツ星人は再び切り裂かれても、光線を受けようと幾度となく分身する。その数は、既に10体に上っていた。

 

『はぁ……はぁ……』

『疲れてきたようだな、ソル。残念だが、貴様が私の駒に放った技は全てお見通し。どれも私には通用しない。これまでの怪獣との戦いをじっくり分析させてもらったからな』

 

 ソルの体力は限界だった。光の戦士の地球での活動時間――3分間――は、残り30秒も残っていない。

 

『そろそろ休ませてやろう』

 

 分身したガッツ星人は次々に一つに集まり、残るのは2体のガッツ星人。そしてそのうちの一体が、透明な十字架に変形した。

 

『眠れ、光の戦士よ!』

 

 十字架はソルに向かって高速で飛んでいった。そしてソルは十字架に身動きをとられてしまった。

 

『くっ!貴様…これを外せっ』

『制限時間まであと19秒。それまで苦しめ、ソル!』

『うっ……!く、くそ……』

 

 ソルのタイマーの点滅速度が上がり、ついにタイマーから輝きが失われた。

 

『邪魔者は消えた。地球は私のものだ!』

 

 十字架に縛られたソルを前に、ガッツ星人は高らかに嗤った。

 

 

―――後編に続く


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