留学生は侵略者!? メフィラス星人現る!   作:あじめし

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タイトルからお察しかとは思いますが、とうとうこの物語も終局を迎えております…!
今週は毎日投稿しまして、最終話まで激走していきますので、最後までお楽しみください!!


第38話「さらばメフィラス星人」その1

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『サクマくんは回避しながら、艦隊の戦闘パターンの解析を急いで! カオルは吉田機の援護、長距離射撃のサポートよ!』

 

 星川聖良率いるCREW・GUYS・JAPANメシア隊は、地上と大気圏に分散して艦隊との戦闘を繰り広げていた。

 しかし戦力を分断されている状態で、大軍を相手取るのは困難を極めていた。特に大気圏で艦隊の地球進入を阻止していた星川、サクマ、カオル、吉田の4機は、まさに死地にあった。

 

『数が違いすぎるよ! このままじゃ……』

『泣き言いわない! 地球は我々の手で守らなきゃいけないのよ!』

 

 カオル隊員の弱気な言葉に、星川隊長の檄が飛ぶ。しかし彼女の言葉にも、わずかとも余裕は無かった。

 

『ですけど、このままじゃ活路がですね……』

『活路ならありますよ!』

 

 サクマ隊員に呼応するように、1人の青年の声が響き渡る。

紫に塗装された機体が星間連合の円盤艦隊の間を潜り抜け、星川機の前に現れた。

 

『その機体はスペーシーの』

『ハルザキ カナタです! 星川さん、絶望の暗雲は取り除けます』

『っ!? ハルザキくん、それは――』

 

 多数の円盤が、オゾン層を越えて現れる。

 

『そんな! 円盤がまだ!』

 

 飛来した円盤からサクマ機は回避できないほどの光線が放たれる。

 

『諦めてはいけない』

 

 集中砲火を食らったサクマ機を、何者かが拾い上げて弾幕を抜けた。

 サクマ機を救ったその声の主は――

 

『せ、セブン……』

 

 呆気にとられたサクマの情けない声に、星川たちの視線が集まった。

 赤い巨躯、全てを切り裂くアイスラッガー――ウルトラセブンが、彼らメシア隊の窮地に現れた!

 

『仲間がいる限りどんな強敵とも勝つことができる。私はそう信じている』

 

 セブンの参戦によって、地球と連合艦隊の戦いは更なる激化を見せる。

 地球の最も長い一日は、まだまだ明けようとはしなかった。

 

 

 

   第38話「さらばメフィラス星人」

 

          異次元王 キングヤプール

          極悪宇宙人 テンペラー星人

          暴君 マグマ星人

 

                       登場

 

 

 

 ビルを出てから、15分が経過した。

 しかし未だに“装置”の隠し場所には到達できていない。敵にエネルギーを感知される恐れがあるため、テレポートなどを使えないができないのだ。

 このままでは埒があかない。少し危険ではあるが、私は人間の文明の利器を使うことにした。道端に放置されていたバイクを動かし、無人の街を疾駆する。

 いや、生者がいなくなった街といったほうが正しいだろう。廃墟ととともに、人の死体が転がっている。

 多くの人間が死んだのだろうか。

 私が人間たちの精神を傷つけ、星間連合が介入し、ヤプールの軍団が地上を席巻している。もはや、地球と人間の命は風前の灯だ。

 ――私が招いた事態だ。

 相手の戦力を、そして侵略作戦を実行に移す機会を見誤った。

 それでも私は、この地を救うと決めた。たとえ災いの原因を、自分が作ってしまったとしても。

 落とし前は、この手で付けなければならない。

 

「……ここは」

 

 私はバイクの足を止めた。

 知らず知らずのうちに、私は通学時に使っていた通りに差し掛かっていた。通りに面していた商店はいずれも、シャッターを閉めている。やはりここからも人間の気配は感じられなかった。

 ……ここに来ることも、もはや無いのだろう。

 

「随分余裕があるじゃないか? メフィラス星人」

 

 後方から響く声を聞くと同時に、私はバイクから飛び降りた。

 その瞬間、バイクが爆発する。何者かの攻撃だ。

 

「勘の良い奴め」

 

 上空から現れたのは、テンペラー星人とマグマ星人だった。彼らは不敵な笑い声を上げながら、燃える地面の上に降り立った。

 

「ヤプールに殺されたと思っていましたが」

「ふんっ! 俺様があれしきの攻撃で死ぬと思ったのか?」

「ええ。貴方がたのリーダー共々、死んでくれれば良かったのですが」

「リーダー? あぁ、ババルウのことか……!」

 

 奴は吐き捨てるように言った。

 

「奴のことなどもう知らん。俺はヤプール側に付く」

 

 テンペラー星人がバイクの残骸を踏み潰しながら、私の方ににじり寄る。

 同時に通りの向こう、私の前方と後方の両方から黒い宇宙人の軍勢が接近してくる。ヤプール人だ。

 

「メフィラス! お前“装置”をどこへやった? そいつをよこせ!」

 

 私はテンペラ―の問いには答えず、周囲の状況を分析する。ヤプールの雑兵ならまだしも、テンペラー星人とマグマ星人を同時に相手取るのは至難の業だ。

 どう切り抜けたものか――

 

「むっ!? なんだ、これは!?」

 

 突如、テンペラー星人たちの周りの炎が消え、凄まじい冷気が漂う。

 そして、彼らの足は氷漬けとなって地面に固定されてしまった。

 

「ニル=レオルトン。行って」

 

 路地裏から静かに姿を現したのは、銀色の鎧に身を包み、氷の刃を手に持つ宇宙人――グロルーラだった。

 

「人間たちから、お前の作戦を聞いた。援護する」

「まさか草津たちから?」

「そう」

 

 彼女が既に、かなりのエネルギーを消耗しているだろうことは一目で判った。身体のあちこちに再生しきれていない傷が残っている。

 それに対してテンペラーの戦闘力は強大であり、マグマ星人は狡猾で残忍だ。そこにヤプール人の軍勢とあれば、グロルーラ一人では――

 

「何も考えないで。問題は無い」

 

 グロルーラのぶっきら棒な言葉と共に、周りの建物の間から一斉に、武装した人間たちが現れた。あの制服、あの翼のエンブレムは――GUYSの初期対応班だ。

 

「人間を舐めるんじゃァねェぜ!! なぁ、早坂!」

「はいっ! GUYSの皆さん、お願いします!」

 

 そして、彼らの先頭に立っているのは樫尾と早坂だった。彼らの合図で、GUYSの隊員たちがヤプール人たちに一斉射撃を開始する。

 

「レオルトンっ!! 草津の野郎から全部聞いたぜ!! こっちは任せろやァ!」

 

 銃撃戦のさ中、樫尾は私のもとまで走ってくる。生傷だらけのその姿は、彼がずっと戦いに身を投じていたことを容易に想像させた。

 

「馬鹿な……なぜそんな危ない真似を――」

「馬鹿はてめェだ! 仲間が困ってるんだ! 助けて当たり前だろぅ!」

「私が何者か、あなたたちは知っているのですか?」

「うるせぇ! こういう時は四の五の言わねェで、ダチを信用しろ! オレはお前を信じる!」

 

 彼は、私の胸を握り拳で小突いて早坂とGUYS隊員の方へ向かった。

 

「ニルくん! 後で、必ず会おう!」

 

 離れた所から、場にそぐわない笑顔で手を振る早坂。

 彼らは知っている。私が何者であるのか。何をしたのか。

 それでも、彼らは私を仲間だという。

 

「また、後で――」

 

 私は、早坂たちに背を向けた。そして思い切り跳躍し、近くの建物の屋上に飛び上がった。

 テンペラーたちが怒鳴り声で私の名を呼ぶが、振り返らない。

 戦力的には、樫尾ら人間たちとグロルーラが不利なことは百も承知だ。それでも私は前に進む。

 彼らの奮闘を、その力を信じたいのだ。

 

 

―――その2に続く


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