相良良晴無双   作:空気破壊者

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注:久しぶりすぎて文章がおかしくなってるが構わない






9戦目

 

 

蘭丸に連れられている道中、良晴は蘭丸について少しばかり疑問が浮かんだ。

 

「そういえば蘭丸、お前って何歳なんだ?」

 

「僕ですか?15です」

 

「その身長と顔で15かよ……あれ?15ってことは元服は済んでるはずだよな?なんで小姓なんかやってるんだよ?」

 

「ははは……確かに僕は元服していますが、信勝様に

『是が非でも僕の小姓になってもらいたい!』

と半ば強引に詰め寄られてしまいまして……断りきれずに小姓になってしまったという訳です。

名前も本当は森成利(なりとし)に改名したのですが

『成利っていう名前は堅苦しいから蘭丸のままの方が華々しくていいじゃないか!』

というので……」

 

「……なんていうか、お前…信勝に振り回されてんだな…」

 

良晴は蘭丸に哀れみの目で見つめ、蘭丸はハハハ…と乾いた笑い声を出した。

そして、なんとなく良晴はある事について聞いてみた。

 

「蘭丸……俺、何歳に見えるか?」

 

「え?サル様のですか?……えーっと」

 

幼顔に見える蘭丸からしてみれば老け顔である良晴が何歳に見えるのか気にしていた。

頼むから三十路以上には見えないでくれと心の底から願う良晴。

 

 

 

「17ですよね?」

 

 

 

良晴はしばし無言になり、そして顔を伏せ、泣いた。

はじめて実年齢で見られたことに感動した。

蘭丸は急に泣き出した良晴に驚き、目的地に着くまでオロオロしていた。

 

 

 

 

「信勝様ー、サル様をお連れしましたー」

 

「ご苦労だったね、蘭丸。ほら、ご褒美にういろうをあげよう」

 

良晴と蘭丸が歩いて数分、『酢鍵屋』という看板掲げた店の店先に数人の若侍たちが屯っていた。

その中の肌が白く顔立ちが人形のように整っている少年に向かって蘭丸が挨拶をした。

どうやらアレが信勝のようだ。

『ういろう』と呼ばれているお菓子を蘭丸に餌付けをしているせいかこちらに気づいていない。

そして、蘭丸に餌付けを終えるとゆっくりと良晴のほうを見た。

 

「やあやあ、キミが姉上のサル君……って、でかっ!」

 

「おう、俺は相良良晴、通称サルだ」

 

良晴は皆がサルサルというので自虐的にサルと言った。慣れというのは恐ろしいものである。

 

 

「なるほど、貴様がサルか。確かにおかしな格好をしている、そう思いませんか若様」

 

「頭もサル並ですね。礼儀がなってない、そうですよね若殿」

 

信勝の取り巻きの若侍達が、哄笑をたてた。

その取り巻き達を見て良晴は少しだが苛立ちを覚えた。

まるで信勝に同調を求める口調。信勝を盾にしている身の素振り。

良晴から見てみればこいつらは虎の威を借る狐……

いや、虎に寄生しているノミやダニのような存在。

信勝は目を左右に動かし口をもごもごと動かしようやく言葉を出した。

 

「そ、そうだねぇ!あ、あの姉上にはお似合いのサルだ!」

 

良晴の背丈が思いのほか大きかったせいで怖がっているのか、

信勝はしどろもどろした口調で言った。

その信勝を見て良晴は哀れんだ目で見てしまった。

信勝はおそらく囃し立てる若侍達の手前、引っ込むことができないと思い

ようやく振り絞って言った言葉だろう。

そうは思わない。違う。といった意見を出すのは信勝には許されない。そんな感じだろう。

 

「キ、キミ!ぼ、ぼくを上から見下ろすな!」

 

「悪いな、信勝。これでいいか?」

 

良晴は信勝の脇をヒョイと持ち上げ自分の目線よりも高く持ち上げた。

こどもに高い高いをする様に。

 

「……キミはぼくを馬鹿にしているのか?」

 

「なら、これでどうだ?」

 

良晴は持ち上げていた信勝を自分の肩の上に乗せた。こどもに肩車をする様に。

 

「やっぱりぼくを馬鹿にして……ヒィッ!高い!」

 

信勝が文句を言おうとしたを向いたとき驚きの声を上げた。

なにしろ良晴の身長は195cmで馬に乗った時よりも目線が高い。

若侍達が無礼者!若様になんていうことを!と騒いでいるが良晴は無視した。

 

「信勝、お前が今見ている光景は現在誰よりも高い視線で見てんだぜ。どうだ?」

 

「……確かに普段馬の上から見ている光景とは違うね」

 

信勝は怖さがなくなったのか落ち着いた口調で言った。

若様!サルの言うことを聞いてはなりませぬ!早くお降りください!と騒ぐ若侍達。

良晴は信勝の本音を聞くためにある提案を出した。

 

「そうだ、信勝。いつもと違う視点で町を歩いてみないか?きっと面白いぜ」

 

「いつもと違う視点?」

 

「ああ」

 

「……うん、行ってみたい」

 

「よし!じゃあ行こうぜ!」

 

「ま、待て!」

 

乗り気になってくれた信勝に静止をかける若侍。

流石にこいつらも一緒に連れて行くつもりはない。というかいい加減黙れ。

 

「言っておくがお前らは連れて行くつもりはないぞ、金魚の糞共」

 

「き、金魚の糞…!?」

 

「おのれ、サル如きが!若様からも言ってください!」

 

若侍にまた同調を求められる口調でいわれ、信勝はオロオロとした。

まだ自分で決めることができない年頃。迷うのも無理はない。

だから良晴は信勝にだけ聞こえるようにアドバイスを送った。

 

「お前が決めていいんだぞ」

 

「……え?」

 

「お前の決めることだ。他人の顔色を伺う必要なんかない。お前の意思で言え」

 

信勝は少し悩み、そして小さな声で良晴に言った。

 

「……よろしく頼むよ、サル君」

 

「おう!」

 

信勝の想いに答えるように快活に返事を返し、全速力で『酢鍵屋』から去った。

若侍達が去っていく信勝に対して制止の言葉をかけ、良晴に対しては罵声の声を発した。

後に残された蘭丸はオロオロとしていた。

 

 

 

 

 

「おお、サルの旦那!お元気そうで!」

 

「おう!いつも通りだぜ!」

 

「よっ!良晴!なんだ、また姫様に叱られたのか?」

 

「うるせえ!違…いや、あってたぜ!畜生!」

 

「でっかいおじちゃん!また遊んでねー!」

 

「おじちゃんって言わないでくれ…」

 

 

 

良晴は走りながら道行く人たちに挨拶していった。

時には陽気に、時には怒りながらも笑顔で、時には泣きながら……

その様子を見て肩の上にいた信勝は可笑しくなった。

 

「キミは人気者なんだね」

 

「いや、違えよ。この国の人はみんな人当たりがいいんだよ。

だから俺みたいな身元不明者でも接してくれるんだよ」

 

「え?……キミはこの国出身じゃないのかい?」

 

「あー……遠いところから着たってところか?」

 

良晴は自分が未来から来たと言っても良かったが

そんな怪しさ満点な言い方をしたら腹を割って話ができなくなると思い曖昧な言い方をした。

 

 

 

 

良晴が走り続け数十分後、良晴は寂れた茶屋に足を止めた。

この茶屋は良晴が毎朝釣りに出かける度に通る道の近くにある。

2、3度大量に魚が釣れた時、この店におすそ分けしている。

 

「おーい、婆ちゃんいるか?」

 

良晴が声を上げると、茶屋の奥から腰を曲げた背の小さなお婆さんが出てきた。

 

「はいはい……おお、この前の坊主じゃないか。よく来たねぇ」

 

「婆ちゃんも元気そうでなによりだな。ちょっと休憩させてもらうぜ」

 

「あいよー」

 

良晴は肩車していた信勝を降ろし、店先の椅子に座り信勝も座るように促した。

良晴がフゥ、と一息入れたところにお婆さんが湯呑に入った水と茶菓子を持ってきた。

 

「おっ、悪いな婆ちゃん」

 

「いいんだよ、この前のヤマメやらイワナやらの礼だよ」

 

「そうか、なら遠慮なくいただくぜ」

 

良晴が茶菓子をヒョイと掴み、口にもっていくのを横目に信勝は羨ましげな表情を浮かべていた。

 

「……ぼくはキミが羨ましいよ」

 

「あん?」

 

「キミみたいな大きな体だったら誰からも見下ろされないだろうし、

誰からも親しまれるんだろうな……」

 

良晴は手に持っていた茶菓子を置き、うなだれている信勝の正面に立った。

 

「キミの様に一人で生きれる様な体なら皆頼ってきて…痛っ」

 

信勝のセリフを遮るように良晴は信勝の額にデコピンを軽くぶつけた。

 

「何言ってんだ信勝。俺だって一人で生きていたらとうの昔に死んでいるに決まってるだろ?」

 

良晴はズズーと湯呑に入った水を飲み干し、信勝に言い放った。

 

「人は一人で生きれるほど丈夫じゃないんだよ。

どんなに強い奴でも人に支えられて生きているもんなんだよ」

 

ようやく顔を上げた信勝に対して快い笑顔で返した。

 

「だからお前も俺を頼ってもいいんだぞ?

少なくともお前の周りにいる馬鹿共よりか頼れると思うぞ?」

 

良晴はそう言い切りと再び信勝の横に座り茶菓子を食べ始めた。

一方、信勝はブツブツとつぶやき、手を顎に持っていき考え始めた。

そして、なにか考えが固まったのか、パンッと目の前で手を鳴らし思いもよらない事を言い放った。

 

 

 

 

 

「よし決めた!サル君!!キミはぼくの部下になりたまえ!!」

 

 

 

 

 

「……はぁ?」

 

 

 

 




まず一言
停滞させすぎてすいませんでした!

毎日が忙しくて一切手につけてませんでした!
そして、リハビリがてらに続きを書いたら短すぎてすいませんでした!

これからは時間ができたらできるだけ書いていきたいと思います

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