スマホを拾ったので異世界を救います   作:TOLI

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第6話 魔女の結界と魔改造

「もしかして、魔法少女になる気か?」

 

 俺の問いに、二人の少女は露骨に目をそらした。どうやら答えづらいようだ。しかし、暁美ほむらに、契約をする可能性はゼロと言った手前、素直に契約させるつもりはなかった。

 もし、鹿目まどかが契約したら、間違いなくほむらによって、俺のライフがゼロになりかねないからだ。

 

 何故そう判断したかというと。アプリで見た彼女の情報の中に…………いや、もう忘れよう。彼女の家のタンスの中に、鹿目まどかの隠し撮り写真が入ってるとか、一日の半分は鹿目まどかのすぐ近くにいるとか、数え出すとキリがない。というか、プロフィールの九割がそんな内容だ。

 

 そのため、彼女だけ他の重要人物よりプロフィールの量が半端なく多かった。とにかく、そういう訳だから、絶対に契約させるつもりはない。

 

「頼む、答えてくれ!(俺の)命がかかっているんだ!」

「ええ!?」

「どういうことですか!?」

「二人が契約すると、撃たれるんだ!」

「「何で!?」」

 

 二人の声が見事にハモる。

 

「……あれ?マミさんは契約済みですよね?」

「そうじゃん!マミさんは撃たれた何て一言も言ってなかったよ!」

「いや、巴マミは撃たれた。そのせいで一度、首から上が無くなっている」

「でも、この前会った時はちゃんと頭があったような……」

「残像だ」

「そういう問題なの!?」

 

 何か色々と嘘を言ったり、巴マミに失礼なことを言った気がするが、本当に命がかかってるから、しょうがないだろう。

 

「そういう訳だから、魔法少女になるのは諦めてくれ。……一応聞くが、何で魔法少女になろうと思ったんだ?」

「誰かの役に立ちたくて」

「早期契約特典を使って、キュゥべえを踏みた──」

「おい待て、一人おかしい」

「ちょっと!まどかはおかしくなんてないわよ!」

「いや、おかしいのはお前だよ!」

 

 というか、よく早期契約特典とか覚えてたな……

 

「誰の頭がメルヘンですって!?」

「お呼びでしょうか、お客様?」 

「呼んでないよ!?」

「そうでしたか、失礼しました」

 

そう言うと、ホスト風で茶髪の店員は帰って行った。

……空を飛んで。

 

「何か、天使の羽みたいのが現れたと思ったら、大空に飛び立って行った……」

「すごいなぁ、最近の店員さんは、空をとべるんですね」

「くー!私も空を飛びたいわー」

「……もうやだ、このファミレス」

 

 

 俺が、うなだれているとスマホにメールに送られてきた。差出人は巴マミ、先ほど必殺技を作るときに連絡先を交換したのが、早速役に立ったようだ。俺はすぐにメールを確認した。

 

「……遂に来たか」

 

 メールの内容は、見滝原市に2体の魔女が同時に出現し、そのうち1体を殲滅して欲しいとの事だった。

幸か不幸か、魔女が出現した場所は、ファミレスからそう遠くはなかった。

 

「二人とも、すぐ家に帰るんだ。どうやら近くに魔女がいるらしい。黒咲──あれ?さっきまで、キュゥべえと一緒に寝てたはずなんだが……」

 

 すぐに店内を見渡してみるも、不審者らしき服装は見つからなかった。仕方ないので、キュゥべえを起こし、黒咲の行方を聞くことにした。

 

「キュゥべえ、二人がお前の事を踏みたいそうだ」

「ハッ!今何か、凄く嬉しい事を言われた気がする!」

 

 俺の言葉にキュゥべえは飛び起きた。 

 

「キュゥべえ、黒咲がどこに行ったか知らないか?」

「彼なら、茶髪でホスト風の店員さんとデュエルしているよ」

「……急いで連れ戻して、巴マミの所に行くよう伝えてくれ」

「……?よくわからないけど、わかったよ」

「伝えたら、俺の所に来てくれよ」

「君はどこに行く気なんだい?」

 

 キュゥべえは可愛らしく首を傾げた。いつの間にか、悪徳詐欺師からマスコットにクラスチェンジしたようだ。

 

「近くに魔女が現れたらしいから、そいつを殲滅してくる」

「それは大変だ。黒咲に伝えたらすぐ君の元に行くよ」

 

 そう言い残して、キュゥべえは黒咲の元に走り去っていった。

 

 

 

 

 

 魔女が現れたという場所にスキル《身体能力上昇》をフル活用し向かっている途中で、スマホにガブリエルから、着信が入った。俺は休憩を兼ねて、応じることにした。

 

「今、取り込み中なんだが」

『うん、知ってる♪』

 

 ……都合よく、ハンマー落ちてないだろうか。

 

「切るぞ」

『まあ待て、武器について話そうと思ってな』

「……ああそうか、せっかく《剣の心得》と《銃の心得》の二つのスキルを取ったのに、剣と銃が無いと、意味がないからか」

『その通り。そういう訳だから、好きな剣と銃をスマホを使う事で無限に転送できるようにするぞ』

「じゃあ、聖剣エクスカリバーとか、ロケットランチャーを頼む」

『作るのが面倒だから、魔改造した剣と、ハンドガンをそれぞれ一種類だな』

 

 好きな剣と銃って言ったじゃないか……。それに、面倒という事は、一応作れるのか。

 

「魔改造ってなんだよ……」  

『刀身の長さを調節できたり、オマケ程度のホーミング性能を付けれるぞ』

 

「……だったら、刀身の長さを調節と任意──いや、デフォルトで切れ味を悪くできるようにしてくれ」

『何故わざわざ、切れ味を下げるんだ?』

「あー、鈍器的な?」

『……まあいい、銃の方はどうする』

「弾数無限にできるか?」

『無限に転送できるからな、許可しよう』

「後、俺以外は使えないようにできる?」

『なかなか欲張りだな、それで最後にしてもらうぞ』

 

「そうだ、転送についての詳細が知りたいな」

『スマホから半径一メートル以内、以上。寝る』

 

 そう言って、通話が切れた。話している間に息も整ってきたので、俺は再び魔女の元へ走り出した。

 

 

 

 

 

 しばらく走っていると、俺の肩にキュゥべえが飛び乗ってきた。

 

「まだ、魔女の結界は見つからないのかい?」

「残念ながら、まだだ。それにしても、よく追いついたな」

 

 俺はガブリエルとの通話を除くと、ずっと全力で走っていたはずだ。通話時間だって、たった数分の事だ。何か移動手段でもあったのだろうか?

 

「実は途中まで、黒咲の召還した《RR-バニシングレイニアス》に乗っていたんだ」

 

 《RR-バニシングレイニアス》とは遊戯王というカードゲームにあるカードの一つだ。スマホの機能を使うことで、デュエル中に限り、質量を持ったモンスターが召還されるが、それ以外では召還できないはずだ。気になるから、魔女を倒し終わった後に、黒咲かガブリエルに聞いてみるとしよう。

 

「キュゥべえ、魔女の結界の正確な場所は解るか?」

「このまま進んで行った先にあるよ」

「わかった」 

 

 キュゥべえに言われた通り、俺は走りつづけた。そして──

 

 

 

 

「見つけた。アレが魔女の結界への入り口だよ」

 


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