スマホを拾ったので異世界を救います   作:TOLI

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第5話 ファミレスと不審者

 現在の時刻は午後、12時30分。俺と黒咲、そしてキュゥべえは一足先に、待ち合わせ場所のファミレスに来ていた。巴マミ、鹿目まどか、美樹さやかの三人はまだ来ていない。

 

「……なあ、黒咲」

「……何だ?」

「何だか周りの視線が痛いんだが」

「お前が、寝間着で来たからだろう」

「完全な不審者スタイルのお前にだけは、言われたくねぇよ!」

「不審者だと?俺はただ、スカーフで口元を隠し、サングラスをかけているだけだ」

「まごうことなき不審者じゃねぇか」

「まぁ、一番目立ってるのは僕なんだけどね」

 

 キュゥべえの言うとおり、一番目立ってるのはキュゥべえであった。。何故目立っているかというと、以前のキュゥべえなら、普通の人には見えない。 しかし、どういうことか今は、全ての人に姿が見えているうえ。会話に使うテレパシーも周りの人にだだ漏れであった。

 

「わかってんなら、しゃべるなよ!」

「そういうわけには、いかないよ。君達には先に、僕が犯した罪について、もっと詳しく話しておきたいからね」

 

 そう言うと、キュゥべえは魔法少女の真実について語り出した。……殆どアプリで知っていたので話さなくてもいい。と思ったのだが、キュゥべえが話した内容はの中には、アプリに無かった情報も含まれていた。

 

 

 

 

 

「──というわけなんだ」

「……まじかよ」

「デュエリストの風上にもおけないな」

「その事実を、これから来る三人は知っているのか?」

「実は、鹿目まどかと美樹さやかの二人には、君達がデュエルしている間に、話してきたんだ」

 

 あれ?何か嫌な予感がするな……

 

「今度はちゃんと、踏んでもらったよ!」

「何やってんのお前!?」

「まあ、そんなわけだから、これから来るのは、巴マミ一人だけなんだ」

「巴マミというのは、俺がこの世界に来る前に、あったという少女のことか?」

 

 そういや、黒咲はまだ面識が無かったか。……今の服装、明らかに不審者だけど、これから会わせてもいいのだろうか?

 

「……そうだ、もう彼女は契約してしまっている」

「だから、僕だけでなく、君達もいるこの場所で、彼女に本当の事を話そうと思うんだ」

「なるほど、俺と幽奇でフォローしろということか」

「……色々心配だな」

「僕がいるから、大丈夫だよ!」

「頼むから、余計なことは言うなよ……」

 

 

 

 

 

 待ち合わせ時間の午後一時頃に巴マミはファミレスに着いた。

 

「もう来ていたのね。待たせちゃったかしら?」

「大丈夫、俺達も今来たところだ」

「え、ええと……そちらの方は?」

「安心しろ。ただの不審者だ」

「ええ!?」

「不審者ではない、デュエリストだ」

「でゅえりすと?」

「知らないのか、ならば教えてやろう」

 

 そう言うと、黒咲はスマホをデュエルディスクに変形させる。

 

「今はやらないからな!?」

「えっと……、鹿目さんと美樹さんは、まだ来てないのかしら?」

「今日は、僕からマミに話したいことがあったからね。二人は来ないよ」

「……話したいこと?」

「落ち着いて聞いて欲しい──」

 

 

 

「僕を踏んでくれないか!」

「何言ってんのお前!?」

「しまった!言う順番を間違えたよ!」

「そういう問題じゃねぇ!」

「簡潔に言うとね。君は魔女になるんだ」

「簡潔過ぎるわ!!」

「え……私が魔女になるの?」

「簡単にはならないから大丈夫だよ!いや、絶対に魔女にはさせないから!マミさん気を確かに!」

 

 色々な事があり過ぎたせいか、巴マミは完全に混乱していた。これ以上キュゥべえに任せると、本当にマミが魔女になりかねないので、俺はキュゥべえに変わり、説明する事にした。

 

「ソウルジェムが完全に濁りきると、魔女になってしまうだけだ。魔女を倒して、グリーフシードで穢れを無くせば、君が魔女になることはない」

「たった一人で一生戦い続けろって言うこと?」

「一人じゃない、俺……いや、俺達も一緒に戦うさ。なぁ、黒咲?」

「無論だ」 

「本当に、これから私と一緒に戦ってくれるの?」

「俺達で良ければ」

「技名もちゃんと叫んでくれる?」

「わ、技名?」

 

 あれ?何か雲行きが怪しく……

 

「あなた……必殺技を持っていないの?」 

「持ってないが……」

「なら、作りましょう。黒咲さん、キュゥべえ、ちょっと借りてもいいかしら?」

「構わん」

「僕を踏んでくれるなら構わないよ」

「まだ言うか!」

 

 

 

 

 

 俺の必死の叫びも通じず、結局、巴マミ指導の元必殺技を作ることになった、俺とマミはビルの屋上にいた。

 

「早速、必殺技を作るわよ!」

「どうしてこうなった……」

「あなたは何ができるのかしら?」

「重力を操れるぞ!」

 

 俺がそう言うと、マミは憐れみの視線を俺に向けた。

 

「えっと、頭の方は大丈夫?」

「いや、本当だって!」

「そう言われても、信じられないわ」

「なら、証拠を見せてやるよ。そうだな、今からマミを浮かせてやろう」

 

 そう言って俺は、マミの周りを無重力状態にし、マミの体を浮かせた。

 

「まさか超能力者だったなんて……あなた、キュゥべえと契約して、魔法少女になれば、魔法と超能力を両方──」

「さて、必殺技を考えるとしますか」

「無視!?」

 

 

 

 その後、俺とマミは幾多の苦難を乗り越えて、遂に必殺技を完成させた。

 ……途中で、マミが見本に見せてくれた、ティロ・フィナーレが飛行機にかすったりしたが、大丈夫だろう。何か、ニュースで飛行機に謎の物体が衝突とか、あったけど、怪我人はいないみたいだし。そもそもかすっただけだ。絶対に俺達は関係ないはずだ……多分。

 

  

 

 

 

 

 ファミレスに戻ると、黒咲とキュゥべえ、そして何故か鹿目まどかと、美樹さやかがいた。

 

「いいなー、私もデュエルディスク欲しいわー、ちょっと触ってもいい?」

「わ、私も触っていいですか?」

「好きなだけ触るといい」

 

 黒咲は二人と親しげに会話している。だが、黒咲は未だに不審者スタイルだ。中学生二人に不審者という組み合わせ……通報されないのだろうか。ちなみに、キュゥべえは呑気に寝ていた。

 

「来ないと聞いていたんだが、来てたんだな二人とも」

「あ、こんにちは幽奇さん」

「おかえりー、必殺技はどうなったの?」

「……一応できたよ」 

「お疲れさまです。実は、私達も今、必殺技の名前を考えていたんですよ」

「そうだ!幽奇も必殺技考えるの手伝ってよ!」

 

 必殺技って……、化け物と戦うわけじゃないんだから。魔法少女じゃあるまいし……ん?

 

 

「……もしかして、魔法少女になる気か?」

 

 

 


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