スマホを拾ったので異世界を救います   作:TOLI

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皆さん、始めまして。初投稿です。
少し短いですが、お楽しみ頂ければ幸いです。


第1話 謎のスマホとスリーサイズ 

 スマホを拾った。普通なら警察に届けるべきだろう。ただ、スマホが落ちていた場所がおかしかった。

俺がスマホを拾った場所はズバリ、自分の部屋だ。 

 

 見た目は俺の持っているスマホと同じなのだが、俺のスマホは現在進行形で充電中だ。つまり、俺の物ではない。

 

 同じ見た目のスマホが二台、存在している。見分け方は簡単だ。いつも使用しているパスワードで、ロック解除できるのが俺のスマホだ。もう片方はロック解除が出来なかった。

 

 取り敢えず俺は、謎のスマホを放置する事にした。わざわざ警察を届けるのが面倒だからだ。それに、このスマホは不可思議な点が多すぎる。警察に「すいません、落とし物です。このスマホが自分の部屋に落ちてました」と言っても相手にされないだろう。

 

 今日はもう寝ようと思ったが、不意に晩飯の時に見た、テレビの内容を思い出した。『真夏の心霊現象スペシャル』という番組で、確か話の一つに、自分の部屋の物が、勝手に動いたりして振り向くと……

 

「……いや、え?いやいや!それはない。そもそも動いてないしセーフ──」

 

 セーフでしょ、と言い切ろうとした瞬間。スマホのバイブが作動した。

 

「……」

 

 俺はすぐさま毛布を被り、背中を壁に背中を預けた。何故か下半身の一部がジワリときた気がしなくもないが、気のせいだろう。そうに決まってる。いや、それは大した問題ではない。このバイブは何なのだ。こっちの方が問題だ。とにかくまずは様子見だ。

 

 毛布の隙間からスマホを確認すると画面に明かりが付いていた。電源はパスワードを試した後に消したはずだ。仕方ないので、確認するとすることにした。

 

 しかし、スマホに手を伸ばした瞬間、俺の部屋にスマホの着信音が流れた。着信音は俺のスマホと同じ、好きなアニメの音楽だった。それで確信した。俺がスマホを拾ったのは偶然ではないと。何者かが、俺を狙って意図的にスマホを用意したと。

 

 異常な事態、そう解っていても。俺の手は、謎のスマホに向かっていた。いつの間にか恐怖心が、好奇心に変わっていた。スマホの画面を見ると、本来、相手の名前が表示される所に謎の文字が表示されていた。そして俺は着信に応じた。

 

『……聞こえるかい?』

 

 少しノイズが入った後、聞こえてきたのは、男性の声とも女性の声とも言えるような、中性的な声だった。得体の知れない相手だが、不思議と怖いとは思わなかった。

 

「……聞こえてるぞ」

『それは良かった、早速だけど確認させてもらうね。』

「確認?」

『君の名前は幽奇、誕生日は八月二十日、○×高校一年生、住所は──』

 

 謎の人物は次々と俺の個人情報をしゃべりだした。いや、個人情報というレベルじゃない、誰にも言っていない、俺しか知らない情報──俺の考えている事すらも、言い当てていた。

 

『──なるほど、貧乳が好きか』

「何故知ってる!?」

『すまんな、ご期待に添えなくて』

「期待なんざ、してねぇよ!」

 

 駄目だ、思考が追いつかない。

 

『どうした?』

「……聞きたいことが山ほどあるんだが」

『性別とスリーサイズ以外なら、教えてやろう』

 

 性別はともかく、スリーサイズって何だ……

 

「……まず最初に聞きたいことがある」

『何だね?』

「目的は何だ」

『単刀直入に言おう、異世界を救って見たくはないか?

「……はい?」

『OK、契約成立だ。詳しくはスマホを見れ、じゃあな』

「いや!今の“はい”は疑問の──あれ?切った?もしもーし!」

 

 切りやがった、あの野郎。まあいいか。アレで契約成立とか馬鹿げている。一応確認しとくか、流石に謎の文字で書かれてはいないだろう。ん?何だこのカウントダウンは?

 

     『強制転送まで、残り三分』

 

「いやー良かった。日本語で書かれていて……いや良くねぇよ!残り三分て、何?強制転送て何?マジで異世界行くの?カップ麺もギリギリ間に合わないじゃないか!アイツに連絡……連絡先どころか、名前も性別すらも知らねぇよ!」

 

 ……一端落ち着こう。夜中だというのに、思わず大声で叫んでしまった。冷静になろう。もし、仮にだ。本当に異世界に転送されたらどうなる?いや、そもそも異世界とは何だ?駄目だ、考えてもどうしたら良いのか解らない。取り敢えずカウントダウンを確認しよう。

 

     『強制転送まで、残り二分』

 

 ……今気付いたけど、秒数は?とにかく何か役立ちそうな物だけでも持って置こう。

 

     『強制転送まで、残り一分』

 

「……今の服装、寝間着なんだけど。コレって──」

 

       『転送開始します』

 

 その瞬間、俺の部屋は、謎のスマホから放たれた光で埋め尽くされた。俺は結局自分の部屋にあった物しか、用意出来なかった。

 転送が始まる。俺の体は段々と薄くなっていた。そして──

 

 

 


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