「―――それで、どうだった?」
広い砂漠。
その中心に存在する
グリファスの率いる部隊と別れたヘラとゼウス、両【ファミリア】混合の部隊は既に
『どうにか犠牲者無しで討ち取りました。重傷を負った者もいませんしね。海に潜られて逃げられそうになった時はどうなるかと思いましたが……』
「あぁ、アレか……よく
『【
「成程な。とにかく無事に終わった様で何よりだ」
『そちらは?』
「今から接敵する。じきに向こうも気付くだろう」
『……本当に、大丈夫なんですか?』
『―――たった一人で、
そう。
砂漠の中で、彼はたった一人だった。
食糧や莫大な『ドロップアイテム』等の物資を運ぶ第二級冒険者を中心とした部隊もつい先程までいたが、戦闘に巻き込まない様にグリファスが離れた場所に置いて来た。現在彼の傍には誰もいない。
「問題無い」
にも関わらず、彼は断言した。
「何度も戦ったのは黒竜だけでは無い。数度の戦闘でアレの戦闘パターンも大方把握している。大丈夫さ」
『だったら、良いんですけど……』
「クラネル、だったな?気にする必要は無い。老いぼれだからと言って【
『は、ははは……』
そう告げ、苦笑する青年との通話を切る。
(……さて。この距離であればそろそろ気付かれそうな物だが……)
左手に持つ『
直後。
『―――』
ズッッ……!!と。
山が、震えた。
どこまでも重たい存在感が周囲に垂れ流され、明確な敵意をぶつけて来る
そして―――それは、立ち上がった。
視線の先にあった山。
それが揺れ、次にはその
『―――』
遠方からはっきりと目視できる大顎が、開かれる。
『―――オォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
砂嵐をも吹き散らす咆哮が轟いた。
黒竜を上回る八〇
「……さて」
目を細める。
既に
本来Lv.7であろうと一人で挑む様な戦力では無い怪物だ。
でも。
神々が降臨して一〇〇〇年。
負けるつもりは、欠片も無かった。
「っ!!」
グリファスが
光を反射して輝くのは一〇〇年も前、十人近くの
「―――」
そして想起したのは、
彼女からかつて受け継いだ魔力を思い浮かべ。
笑みをその顔立ちに刻んだ。
「さて……」
猛々しい笑みを浮かべ、彼は告げる。
「始めるか」
いよいよ、三大
次話をお楽しみに!