キョンの非日常   作:囲村すき

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にじファンにて投稿していたものです!

性転換キャラが出てきます!苦手な人はバックしてください。
また、オリジナル展開が予想されるので、それも受け付けない方もバックで。

ご意見、ご感想待ってます。






キョンの非日常
プロローグ 六月の微妙な気温となんてことのない普遍的な俺の部屋


 

 世界の最小単位である。

 

 

 

 

 

 

 家というのは自分の領地ってわけで。つまりどんな様相だってここが俺の城。変人ばかりが住むアパートだろうが、大量のススワタリが住みつくおんぼろ屋敷だろうが、天空に浮かぶ移動要塞だろうが、城は城。

 

 ただ城に一人住むだけじゃ寂しいから誰か一緒に住もうぜ、呟く。

 

 そうして誰かと一緒に住んでいると今度は一人にしてくれ、喚く。

 

 バカみたいな話だが、一人は嫌だから二人でいるけど一人になりたいというのが人間であり、それはそれでハッピーか?まさか、で、その願望を実現すべく人間は城に部屋を作った。

 

 部屋を作って鍵をかける。

 

 俺の部屋、鍵ついてないけど。

 

 要するに家の中の部屋というのは人類の欲望の果て、願望を追いかけ続けた結果なのだ。コズミックイラならコーディネイターになってたところである。

 

 部屋は世界の最小単位。

 

 時に、俺の世界は朝を迎える。カーテンの隙間から差し込む偉大な太陽光によって顔面を照らされ、目を覚ます。とにかく鳥類では間違いない動物のさえずりが聞こえる。溜息。

  

「…」

 

 何故だかベッドの脇に落ちている目覚まし時計を見やると、もうそろそろ平日の朝としては、そして平日の朝には学校に行かねばならない学生の身である俺にとしては、もう起きねばならない時刻であった。

 

「あーあ」

 

 特に意味のない呟き。呟きというものにそもそも意味を求めてはいけない。ラリーバードの呟きだって、さして意味なんかないのだ。

 

 昨日は何時に寝たか思い出せない。とても眠いというほどではなかったが、やはり眠いもんは眠い。だが仕方ない。半身起き上がり、大きく伸びをした。

 

 何気なくベッドの左を見た。

 

 毛布に何かがくるまっている。猫のシャミセンだ。寒いと思ったら貴様が毛布を奪っていたのか。シャウ・ミッセン、そこをどきたまえ。いや待て、違う、間違っているぞ、シャミセンにしてはシルエットが大きい。そのなだらかなカーブはなんだ、おい。

 

 頭が働かない俺は眠い目をこすりながら、毛布をはぐった。

 

 そこには小柄な女の子がすやすやと眠っていた。パジャマ姿の。

 

「…」

 

 絶句。

 

 女の子は毛布をはぐられて安眠妨害を訴えるかのように首を横に振り。

 

 目を覚ました。眠たげな目を開けて、少女の世界が開始する。

 

 ぼんやりとあくびをし、その女の子は何気なく右を見た。

 

 右ってことは、つまり俺を見たわけで。

 

 眠そうな目が、段々大きく見開かれる。いや、ちょっと待て。時よ止まれ、永遠に。朝比奈さん出番です。朝比奈さん助けて。

 

「キョーンくーん、朝だよぉー」

 

 母親の命を忠実に実行すべく、妹がばたっと俺の部屋のドアを開けた。

 

 それと同時に、

 

 俺とその女の子は一斉に悲鳴を上げた。 

 

 

 

 

 


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