意図せず世界を手中に収めよう   作:マーズ

1 / 22

日記の中ではわりとクズ。
ヒロインからみれば聖人。
そんな主人公にしていきたいです。


0章 院長
院長のクズ日記


 

 

 

 

 

 

 

 

Q月Q日

 

 

今日も俺は生きていた。

よかった……本当によかった……。

 

まさか日本に住めないことがこんなにもつらいことだったとは……。

人は失って初めてそのものの大切さに気付くとか言うけど、本当それですわ。

 

ボタン一つで明かりが手に入り、蛇口をひねるだけで綺麗な水が流れ出す。

あぁ……文明の利器って素晴らしい。

 

本当、俺を転生してくれたのはいいんだけど、何でこんな土人国家になんて生まれさせてんだよ。

薄汚い野郎どもがピストル持って撃ち合うのが当たり前の国っておかしいだろう。

 

国家権力仕事しろ。

そもそもこの国ってどこだよ。

 

世界地図見たけど、俺が元いた世界にはなかったぞ、こんな国。

肌の色も統一されていないし、一体どういうことなんだ。

 

あー、ちくしょう。色々考えていると腹立ってくる。

俺を転生させたやつめ、いずれ痛い目に合わせてやる。

 

……勿論俺じゃなくて孤児院の奴らだがな。

しかしこの国で孤児院やっていて正解だったな。

 

戦争ばっかりなんでもしやと思って作ってみたが、やはり戦争孤児の数が凄まじい。

そんな彼ら彼女らを、餞別にともらった大量のお金を使ってかき集めてできたのが孤児院だ。

 

こうすることで俺はいざというときの盾を手に入れた。

やったね、俺くん!老衰で死ぬ未来予想図に一歩近づけたよ!

 

しかし、俺って中々年取らないよね。

怖い奴らに銃とか持って追い掛け回されたこともあって、自分の年齢が何歳かという詳しいことは分からないけど、中々いい年していると思う。

 

そんな長い間孤児院をやっていると、餓鬼だった奴らもどんどんと大人になる。

子供より役に立つ盾が手に入ったと喜ぶが、そいつらは薄情にも次々にこの場所から出ていきやがった。

 

……ちっ、恩知らずめ。

とくに何だか有能そうだった金髪くしゃくしゃ女と男勝りのレズ女、ちっこくて中々の中二病の女、あざとビッチ女に明るいを通り越してうるさい女、マジ有能で俺の劣等感をくすぐりまくる二人の女に、おっぱいお化け女。

 

あいつら全員出ていきやがって……。

将来の俺を何とか守ってもらおうと一生懸命に世話してやったのに……。

 

くっ、涙が止まらない……。

ま、まあ一応無愛想な女と子供煩悩女が残ってくれたし、大丈夫だろう。

 

二人とも俺の何十倍も有能だし、面倒なこともいろいろやってくれている。

これからも俺…………………とまあ子供たちをよろしくお願いします!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q月W日

 

 

最近武装勢力の奴らがうざい。

事あるごとに餓鬼どもを『貸せ』やら『くれ』やら……黙れよ。

 

前々からちょくちょくこういった脅迫は来ていたが、最近やけに多い。

また大きな衝突でもするのか?

 

マジ余所でやれよ。迷惑なんだよ、死ね。

大体俺が餓鬼どもを貸し出すわけねえだろ。

 

あいつらめちゃくちゃ強いし、俺を守る有能すぎる盾だぞ。

いや、ほんと……強すぎて何だか腹立ってくるくらい。

 

この前餓鬼が『かけっこしよう!』なんてことを言ってくるから、大人の力を以てして圧倒しようと嬉々として走ったのに、逆に圧倒されたの俺だったし。

でもあんなのってないよ……一桁の年齢のガキが、五十メートルを六秒台って……。

 

……思い出すのはやめよう。ムカつく。

そうそう、ムカつくのは武装勢力のくそどもだ。

 

いちいちこっちくんなよ。

あとクロもシロも中に入れんじゃねえよ、止めろ。

その人たちいらない人たちだから。俺にまったく必要ない人たちだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q月E日

 

 

風呂っていうのは、俺にとって唯一の逃げ場なのだ。

俺を養い守ってもらうために、餓鬼どもに俺の本性を見せるわけにはいかない。

 

というか見せようと思っても見せられない。

小さなころから培ってきた究極日本人兵器・愛想笑いは鉄壁である。

 

最近いつでもニコニコしているみたいだし……自分ながらキモい。

いや、これはどうでもいいか。風呂の話だ、風呂の話。

 

俺の風呂は特別に個人用となっている。

もともと日本人な俺は大浴場にも入りたいのだが、そこは餓鬼がだいたいいつも誰かしら入っているので行けない。

 

だから今日も俺は小浴場で一人楽しく風呂に入っていたわけだ。

そこに乱入者が入ってくるまでは、本当に楽しかったなぁ……。

 

俺がぼけーっとしていると、いきなり音を立てて扉が開くんだ。ちょっとビビった。

訝しげに扉を見ると、仁王立ちで堂々としているクロがいた。

 

……いやー、突っ込みどころが満載ですな。

何でここにいるの?何で全裸なの?隠す気ないの?ここ俺専用だよね?おっぱい万歳。

 

色々疑問が頭に浮かぶが、俺は相変わらず愛想笑いニコニコ。

しかし相変わらずクロの身体すげえわ。

 

ちまっこい奴なのに、胸の大きさは随一じゃねえか?

うん、頭を洗うのは面倒だが、それに見合った対価だな。

 

それに髪もきれいなものだ。触っていたいって思ってしまう。

頭を洗ってやるとき、あいつは超無防備に俺に背中をさらす。

 

くそぉ……後ろから思い切りあのおっぱい触りたいのに……。

どうしても腕が動かないんだ!どうなってんだ!

完全に欠陥があるじゃねえか!しっかり俺の身体作れよ、ぼけぇ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q月R日

 

 

この前はびっくりしたな。

朝起きたら全裸のクロが、同じベッドで寝ているんだもんな。

 

むにっと形を変えた巨乳が目に毒でした。

本当、触れたらなぁ……。

 

今日はシロが餓鬼たちにしている授業を受けてみた。

小さなガキなので、大人の知識を以てあいつらを打ちのめして優越感に浸ろうと考えたわけだ。

 

まあ結果、俺何にもわからなかったんですけどね。

そもそも自分のやるべきことや面倒なことを周りに押し付けまくっている俺ができるわけがなかった。

 

でもおかしいよ……あんな小さな子供たち相手に何で四則計算とか教えないの?

それだったら俺でもできたのに……。

 

シロの奴も呆れたように見てくるしさぁ……。やめろよっ!そんな目で見るなよっ!

むかついたので、彼女の綺麗に整えられた白髪をぐしゃぐしゃにしてやった。どうだ。

 

ただまあこいつにはいろいろと感謝していたりする。

面倒くさいガキどもの世話を一手に引き受けているからな。

 

でもうるさい餓鬼どもを黙らせる『ご褒美』ってなんだったんだ?

もしかしてエロいこと?

 

クロには一歩劣るものの、かなりグラマラスなシロのエッチなこと?

……俺もご褒美くださいっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q月T日

 

 

シロの授業を受けたあの日から、ちょくちょくシロに勉強を教えてもらうことになった。

……いや、本当勘弁してください。

 

別にいいんです、俺馬鹿でも。

今更勉強なんてしたくないんです。

 

勿論そんなことを言って機嫌を損ねられて出て行かれたら困るので、スーパー愛想笑いを発動させて勉強する。

ただ、あいつもガキどもに教えていることもあって、教え方が非常にうまい。

 

最近少し楽しくなってきたような……気がしないでもない。

たまに甘えてくるクロと鉢合わせしている。

 

まあこいつら仲が良いからな。俺の部屋に来るのも、待ち合わせ感覚なのだろうか?

それはそれでやめてほしいけど。

 

今日は久しぶりにスコールと会った。

あいつは俺を見捨てて孤児院から出て行った薄情ものだが、今の仕事はうまくいっているらしい。

 

もう戻ってきて俺を養ってくれてもいいのよ……?

スコールがこの国でも一番お高いマンションに滞在していると聞いて、意気込んでそこに乗り込んだ。

 

いやー、上から見下ろす世界っていうのもいいものだ。

某大佐の発言も良くわかる。

 

その後スコールと会食したのだが、あいつの露出度高すぎ。

おっぱいなんて大切な場所しか隠れてなかったじゃん。

 

あんなドレス、まああいつには似合っていたけどドギマギしてしまう。

ルパンダイブしてみたいが、やったら多分頭を吹っ飛ばされるからやめておいた。

 

途中で彼女に電話が着ていたらしく、その相手は多分エムだな。

声も聞こえたし、聞き間違えるはずがない。

 

その後はスコールに誘われるがまま、夜のお散歩としゃれ込んだ。

正直動きたくなかったが、スコールほどの美女と歩いていると他の男からの嫉妬の死線が気持ちいい。

 

優越感がパない。

あいつも見せつけるようにして腕を組んでくるし……。

でもおっぱい当てんなよ、興奮するだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Q月Y日

 

 

スコールのやつ、これからちょくちょく顔を出すと言っていた。

よかった……有能な盾がまた一つ増えるんだね……。

 

でも前みたいに飲み屋をはしごすることに付き合わされるのは拒否する。

まだ居酒屋みたいな大衆の場所ならよかったのに、あいつの誘う店って全部おしゃれなんだもん。

 

緊張して酒の味なんてわからねえよ。

あと値段高い。ぼったくりだと思って目玉飛び出そうになったわ。

 

今日は珍しくエムが戻ってきた。

スコールとオータムと一緒に出て行った奴だが、こいつは物凄く強かった。

 

クロといい勝負していたんじゃないだろうか?

まあ戦っているところなんて危ないから、俺ほとんど見たことないけど。

 

そんなエムは俺と日向ぼっこがしたかったらしい。

ああ、ああ、いいとも。のんびり平和なら大歓迎だ。

 

やけに身体を近づけてきていたのも許容する。

まあこいつの身体ってクロやシロ、スコールに比べれば慎ましいものなので、そうそう興奮しないがな。

 

でも均整はとれているし、慎ましながらも女の曲線を描いているのは事実なので、あまり接触したくない。

身体まさぐれるのであればウェルカム。

 

そんなこんなでのんびり平和に過ごしていたのだが、それが唐突に終わりを告げたのはお昼であった。

なんとエムはお昼ご飯を作ってきていたのだ。

 

……もうエムじゃねえよ、お前。完全にエスだよ。魔王だよ。

そりゃあ俺だって美少女に飯作ってもらったら嬉しいさ。

 

多少まずくても喜んで食べる。

でも化学兵器と料理は別物だろう?

 

こんなもの食えるかとちゃぶ台返ししたい気持ちは心中に満ち満ちていたのだが、キラキラと目を輝かせて期待の視線を送ってくるエムに逆らうことはできない。

機嫌損ねられて一発でも殴られたらアウトだからね。

 

そして俺はサンドウィッチを手に持って少しの間逡巡し、覚悟を決めて口に含んだ。

……正直、その後のことはあまり覚えていない。

 

ただ口内に広がるとんでもない刺激とじゃりじゃりした触感だけは覚えている。

次に俺の意識が鮮明になったときには、もう夕方になっていた。

 

うーん……回復が早くなっている……。

嬉しいような、何だか悲しいような……。

とにかくエム一人で飯を作るのは禁止しよう。

 

 

 





大体日記は書き始めて一週間で止まります。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。