ソードアート・オンライン00-A wakening of the Trailblazer-   作:〜レオス〜

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更新はだいたい1週間に1回に定まってきましたね

GGO編は専門用語とか多くて難しいなぁ


第二十五話 開幕-BoB(予選)-

「よし、5分前だ」

 

「まだ間に合う、急いで!」

 

俺とシノンはバイクを降りて総督府に急行した。

 

シノンに連れられ総督府の中に入るとたくさん人がいた。

 

この中にデスガンが……

 

俺が周りをキョロキョロと見ているとシノンがはやくしなさい的な目で俺を見てきたので従わざるをえなかった。

 

そしてエントリー用の機械の目の前までやってきた。

 

「よくあるタッチパネル式のだけど…わかる?」

 

「問題ないです」

 

「そう、私はこっちでやってるから何かあったら呼んでね」

 

そう言いシノンは自分のエントリーをしに行った。

 

「さて…俺も」

 

タッチパネルを指示通り操作していき、最終項目までたどり着いた。だが

 

「な…現実の情報だと……」

 

そこには優勝賞金などを自宅や口座に送り届ける用の情報を入力しろと表示されていた。当然入力しなければ賞金も何も現実への還元は出来なくなってしまう。

 

「……………」

 

俺は多分ここ何年かで1番といえるほど悩んだ。

 

もし優勝なりしたら賞金なども当然でる…それこそプロのいるゲームだ…額などは俺の想像を越えてるだろう…だが………

 

「終わった?」

 

「!!!」

 

シノンが急に声をかけてきたため驚いてタッチパネルを触ってしまった。つまり住所などをいれないで登録してしまったということだ。

 

……まぁこれで良かったのかもな…

 

「ブロックどこになった?」

 

「F-37です」

 

「私はF-19だから……良かった当たるとしても決勝ね」

 

「良かった…?」

 

「うん、各ブロックから本戦参加者は上位2名。つまり決勝に進めばその勝敗に関わらずどちらも出場できるってことよ」

 

なるほど…そういうシステムか…何ブロックまであるのかは知らないが決勝リーグは十数人で戦うのだな、面白い

 

「でも、もし決勝で当たったら全力で勝負よ」

 

「……あぁ、こちらも本気で行かせてもらう」

 

 

 

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大会登録をすませて俺達は予選会場に来ていた。

 

そこには大会前で和気藹々としているというより殺気立っているという表現のほうが正しいというくらいの男たちがたくさんいた。

 

死銃……黒いローブに身を包んでいるらしいが……

 

俺はシノンに連れられ控え室に向かった。

 

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シノンは控え室の椅子に座りため息をついた。

 

「まったく……お調子者ばっかりで嫌になるわ」

 

「お調子者?あの人たちが?」

 

「えぇそうよ!30分前からメイン見せびらかして、対策してくださいって言ってるようなもんじゃない」

 

「なるほど…そういう意味か」

 

「あなたも武器はギリギリまで装備しないほうがいいわよ」

 

そう言いシノンは着替えを始めた。

 

「!!!くっ!……」

 

俺はとっさのことで目をそらした。

 

「??どうしたの、あなたもはやく着替えないと?」

 

シノンはこちらを不思議そうに見ている。

 

……この状況ではこれ以上誤魔化しきれないな

 

「………す、すまない…実はこういう者です」

 

俺は頭を下げ自分のプロフィールをシノンに送った。シノンはそれを開いて見ている。

 

「自己紹介ならさっきした………ってMale!?だって…え!?…そのアバターで……確かに男にも見えるけど…喋り方とか……あっ!」

 

どうやらシノンは何か思い当たる節があったようだ。静かになったので顔を上げて見るとシノンが顔を真っ赤にしてワナワナと震えている。

 

「シ、シノン!悪かった、謝る!」

 

俺のイノベイターとしての直感がこの状況は危険だと言っている……早急に対処を…

 

「うるっ!さいっ!」

 

シノンは手を大きく振りかぶって俺の頬にビンタをしてくる。そして控え室にはバシンン!というとてもビンタとは思えないような音が響き渡る。

 

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「す、すまない…シノン待ってくれ」

 

「ついてこないで…」

 

「まだ聞きたいことが」

 

「ついてこないで…!」

 

シノンは俺から逃げようと早歩きをしている。俺は先程頬にビンタを喰らったがまだお許しを得たわけではなかったようだ。シノンとしては騙されたことがよほど悔しかったのだろう……まだ聞きたいことがあるのだが…

 

「他に知り合いもいないんだが…」

 

「…………」

 

シノンはいきなり止まり肩を大きく上げた。しまった…現状は俺が嫌がる女の子をしつこく追いかけているという最悪な状況だ。仮に叫ばれたり騒がれたりすれば俺の社会的死亡は確定だ……

 

「…はぁ…………」

 

シノンは叫ぶのではなく大きくため息をしただけだった。ため息した後俺のことを何か意味ありげな目で見てきた。……なんなんだまったく…

 

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シノンは座れる場所まで歩き、長椅子のようなところに腰をかけた。

 

「それで…何を教えてほしいの?」

 

シノンはため息混じりに聞いてくる。

 

「ここから戦場までの移動方法、そして戦闘においての基本ルールだ」

 

「…まず対戦は1対1、フィールドは1km四方の立方体。プレイヤーは最低500mは離れた場所に転送される。勝敗がついたあとの武器のランダムドロップはなし。転移は時間が来れば自動的にするから」

 

「……助かる」

 

なんだかんだ言って説明してくれるシノンはやはり優しい女の子なんだなと思いながら聞いているとこちらを見て

 

「絶対決勝まで勝ち上がりなさいよ…ここまでレクチャーしてあげたんだから…最後のひとつも教えておきたい…」

 

「最後のひとつ?」

 

「敗北を告げる…弾丸の味」

 

「………なるほど、そいつは楽しみだ…だがシノンは決勝まで勝ち残ることが出来るのか?」

 

さっきからシノンは自分が決勝に残るのを当然のように語っている、まぁそのくらいの心意気がなければ勝負には勝てないのだが…

 

「予選負けなんかしたら引退する!」

 

「……君はこのゲームになぜそこまで…」

 

「これはゲームであっても、遊びではないのよ」

 

それを、いやそのフレーズを聞いた瞬間全身の毛が逆立つのに似た感覚を覚えた。こ、こいつ……

 

「決勝リーグまで言って……強いヤツらを全員ぶち殺してやる…」

 

シノンは今まで見たことないような顔をして不気味に笑った。

 

まさか……な……

 

その時俺はこちらに近づいてくる2人の気配を感じた。それはシノンも同じようだった。

 

「シュピーゲル…ロックオン…」

 

1人は長い銀髪を後ろでまとめている青年、もう1人は茶髪を肩の辺りまで伸ばしている青年だ。

 

「シュピーゲルは大会に出ないんじゃないの?」

 

銀髪の青年はシュピーゲルという名前らしい…ゲルマン流忍術を使いそうだ

 

「うん、でも僭越ながらシノンとロックオンの応援にね」

 

「そう、ありがとう。ロックオンは何ブロックなの?」

 

「俺はDブロックだな。それよりシノン、お前来るの遅かったじゃねぇか?何かあったのか?」

 

「ちょっと『ソコの人』に面倒なこと頼まれてね」

 

シノンは俺のほうをジッと見る。

 

俺はそれに対して手を振り答える。

するとシュピーゲルはどうもと挨拶をしてくる。

 

「へぇ、シノンがこんなイケメンな彼氏を連れてくるなんてねぇ」

 

「「!?」」

 

その発言に対して驚いたのが2人、いや俺もわずかばかりか驚いた。喋りさえしなければバレることはないと思っていたのだが…

 

「お、男?」

 

「ロックオン…あなたよくわかったわね…」

 

「座り方や細かな動作、それに決め手は目付きだな…あんな目を出来る女が何人もいてたまるか」

 

ロックオン…こいつは周りのやつらとはひと味もふた味も違うな……面白くなってきた…

 

「それになぁシノン、状況をしっかり観察するのがスナイパーには大切だって教えただろ?」

 

「……そうだけど…とりあえずこんなヤツは彼氏なんかじゃないから!」

 

シノンは少し動揺した様子でいたので俺は少しイタズラをしたくなった。

 

「ふっ……先程までは親切にいろいろ教えてくれてたじゃないか、それに武器選びにも手伝って貰ったし」

 

「そ、それはアンタが女の子だと思ったからでしょ!?」

 

「それはロックオンが言ったようにお前の注意不足ではないのか?」

 

「くっ………いい!必ず決勝まで上がってきなさい!その頭ぶち抜いてやる!」

 

シノンは侮辱されたのがよっぽど恥ずかしいのか顔を赤くしてこっちに言ってきた。少しやりすぎな気もしたが……

 

「招かれたとあらば参上しないわけにはいかないな……俺と当たるまで負けるなよ」

 

俺は少し格好つけてその場から去る。

 

「くっ……」

 

「へぇ、面白いやつじゃないか…決勝リーグで当たるのが楽しみだな」

 

「…………」

 

シノン、ロックオン、シュピーゲルと各々の反応は違った。特にシュピーゲルからの反応は少し痛かったが……流石にやりすぎたな…

 

そう思っていると視界が急に白くなる。どうやら試合開始のテレポートが始まるようだ。

 

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真っ黒な空間に転移された。そして目の前には白い文字で対戦相手の名前が書かれており、試合開始までの時間のカウントダウンもされている。

 

「………武器の装備を」

 

右手側にビームサーベル、左手側にハンドガンを装備した。

 

ちなみに俺の防具は水色と黒と白を基調とした身体に吸い付くタイプだ。それでシノンにこれでは目立つと言われて紺色のジャケットを上から羽織っている。

 

「……ありえるのか…あのシノンが…死銃なんてことが………」

 

俺は今日出会ったばかりだが彼女の色んな面を見れたと思っている。あの「ゲームであって遊びではない」「強いやつらを全員殺してやる」という発言……真意はわからないが…

 

「どっちが本当の顔なんだ……」

 

彼女は……とりあえず決勝で…彼女と…剣を…いや銃を交え…対話すれば…分かり合えるはずだ…

 

するとカウントダウンが0になり俺は対戦ステージへとテレポートされる。

 

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「はぁ…はぁ…」

 

俺が転送されたのは古い遺跡あとのような場所だった。そしてマップの中央に向かえば敵と会えると思い俺はそこに向かった。

 

以前テレビか映画かで見たのを見よう見まねして俺は柱の後ろに隠れた。

 

「相手にも動きがない……いや…すでに隠れて俺を狙っているのか」

 

俺は相手が隠れていそうな場所を探すために身を少し柱から出す。

 

するとその瞬間を待っていたかのように相手プレイヤーである[餓丸]は自分の武器であるH&K G3A3から弾を乱射する。

 

「くっ………!」

 

大量の弾道予測線が俺の身体に向かって飛んでくる。このままでは確実に蜂の巣になると思い俺は飛んで避けた。だがそれら全てを交わすことは出来ず足や肩などに被弾してしまう。

 

「弾が多すぎる…!ぐっ……」

 

柱の上に着地するが餓丸は銃の発射を止めない。俺もハンドガンを取り出し応戦しようとするが流石にここでは遠すぎる……

 

再び俺は柱の後ろに隠れ弾丸の嵐から身を隠す。

 

「確実に仕留めるにはもっと近づかなければ…」

 

その時俺は腰のビームサーベルを思い出す。

 

「そうだ……こいつで弾丸をうち落とせれば…だがそれには弾道を正確に予測しなければ……いや弾道予測線がそれを補ってくれる…」

 

気付けば銃弾はもう飛んできていない、つまり敵は位置を変えるために移動をしているということだ。ならばその隙を付く…物音を…僅かな物音を聞き取るんだ…

 

集中して周りに意識を広げていった。そして聞く。相手が移動の際に発する音を…

 

カサ…カサ…と俺の左側で不自然に動く音が聞こえる。

 

今だッ!

 

俺は音の聞こえる先にビームサーベルを出し突っ込んだ。

 

「なにっ!?」

 

相手もその予測外の行動に驚いたようで匍匐前進の状態から立ち上がり再び銃弾を発射する。

 

「弾道予測線は見えている!そんなものぉ!」

 

最初に襲ってきた銃弾をビームサーベルで切り落とした。

 

いける…!この戦法ならば!

 

俺の左手のハンドガンはあらかじめいつでも撃てるようにしてある、ある程度近づけば!

 

「くそっ!」

 

相手の弾幕は止むことなく俺に襲いかからる、だがそれをビームサーベルで切り落とし切り落とせないものは避ける。そうして相手との距離は充分に詰まった。

 

餓丸はマガジンが切れてリロードをしているがそんなことは知ったこっちゃない。

 

「はああああああああああ!」

 

ALO内のソードスキル[ヴォーパルストライク]を再現して餓丸の腹にビームサーベルを突き刺す。

 

「ぐ…!ぐあああああああああああ!」

 

どんどんと相手のゲージは減っていく。緑、黄色、赤となり最終的には消滅した。

 

「………ふぅ」

 

戦闘が終わり肩の荷が降りた。Congratulations Setuna winと表示され自分の勝利を確認する。

 

「この戦闘があと4回…先は長い…か」

 

再び光が俺を包み転移する。対戦相手の試合が終わっていればそのまま戦闘だ、だが終わっていなければ少しの休憩時間が得られる。

 

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俺が目を開けると入ってきた光景は見覚えのある場所。つまりは先程までシノンといた地下の広場だ。

 

シノンはいないかと探しているとモニターを真剣な顔で見ているシュピーゲルの姿が見えた。つまりシノン…あとロックオンとかいうやつもいないのか…

 

「シノンはどこで戦っているんだ…?」

 

シューシュー

 

「ッ!?」

 

後ろから異様な気配を感じ取り俺は大きく飛びその場から離れ腰のビームサーベルに手を伸ばす。

 

「…お前、ホンモノ、か…?」

 

その気配の正体は黒いローブを被った大男、しかもその顔には骸骨のようなマスクをしている。

 

「ホンモノ?何を言っているんだ…?」

 

するとそいつはウィンドウを開き、大会の組み合わせ表を拡大して俺に見せてくる。ちょうどそこは俺の初戦のところだった。

 

「この、名前…もう一度、聞く、この、名前、あの、剣技……ホンモノ、か?」

 

…こいつ何者だ…俺は…こいつとどこかで出会ってるのか…剣を交えて…いるのか……………まさかこいつは俺と同じSAO生還者……なのか………

 

そいつはウィンドウを開いた手を下ろす。そしてその手首から見えたものは……

 

「ッ!!貴様…は……まさか!」

 

そう、その手首に見えたものは俺達SAO生還者ならばほぼ100%知っているであろうギルドエンブレム………かつてヒースクリフやリボンズが率いた血盟騎士団をはじめとする数個のギルドや俺やキリトなどのソロプレイヤーを集い討伐隊を編成してまで討伐に向かったギルド。そう、「笑う棺桶」である。




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