ソードアート・オンライン00-A wakening of the Trailblazer-   作:〜レオス〜

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今回は氷のスナイパーことシノンさんが登場します!


第二十四話 狙撃手たちースナイパーー

 

リンクスタートと言ってしばらく経ち、再び目を開ける。

 

俺の目の前に広がった世界はSAOともALOとも雰囲気の違ったなんとも言えない世界だった。

 

周りを見渡すといかつい装備をしたプレイヤー、そして建物も重厚感満載だった。それと何か油臭い気が……気のせいか

 

周りを見渡すために首を回しているといつもより髪が鬱陶しい、知らないあいだに伸びたのか?いや俺は重度の癖っ毛だ。こんな伸び方はしない…

 

近くのガラスに写った自分を見て確認する。ガラスの中には髪が肩のあたりまで伸び、ところどころが跳ねている。そして身体つきも少しだが細くなり、見ようによっては女にも見えなくもない。

 

………どうりで周りの男どもの視線が刺さるわけだ。

 

「お、お姉ちゃん可愛いね!俺たちとお茶しない?」

 

チャラ男風なやつが数人引き連れて俺に声をかけてきた。こういう馬鹿なやつが来るんだ……まったく…

 

「残念だったな、俺は男だ。」

 

声は元のままだったか…よかった…だがこの容姿でこの声というのも……

 

「お、お前!男だったのか!?」

 

ナンパをしてきたチャラ男は驚いていた。

 

「………これからは男をナンパしたという黒歴史を胸に秘めながら生きていくんだな」

 

俺はそう言い放ちその場から離れる。離れる際に少し後ろを見たがナンパしてきた男は随分と沈んでいた。……少しやりすぎたか…まぁいい…

 

俺はしばらく街中を歩いていた。その目的は武器屋と総督府?という建物の場所を誰かに聞きたいからだ。……当然だが周りにいる男どもは信用ならん…俺のことを好奇の目線で見てきたからな……どこかにいい人物は…

 

信用出来そうな人物を探して街を少し歩いているとこの世界に珍しい女性プレイヤーを発見した。

 

「すまない、聞きたいことがあるんだが」

 

そこまで言って俺は気付いた、これでは先程まで俺をナンパしてきたやつらと変わらないではないか……

 

その女性プレイヤーは俺のほうをジッと見てから返事をした。

 

「なに、どうしたの?」

 

おそらくこの外見がここで役に立ったのだろう。…そうとわかったら不本意だがこれを活用しよう。

 

「あの…安い武器屋と総督府ってところを探してて…もし良かったら連れてってほしいんですが」

 

完璧だ、我ながらこの声真似は完璧だと思う。(実際には「あぁ、こんな声の女子もたまにいるよね」レベル(声の創造はグラハム、ビリーと初めて会った時の刹那の感じで))

 

「…あなた、見たとこ初心者よね?安い武器屋はわかるけどなんで総督府に?」

 

「えっと…BoB?という大会に参加するために…」

 

「始めてすぐにBoB参加とは勇気があるのかそれともただの馬鹿なのか…いいわ、案内してあげる。まずは安い武器屋のほうでいいわね?」

 

「あぁ、助かる…助かります。おr…自分はセツナといいます、よろしくお願いします」

 

「私はシノンよ、よろしくね。さぁ行きましょ」

 

シノンは快く案内を引き受けてくれた。……それにしても油断すると素が出てしまうな…気をつけなければ……

 

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武器屋に着いた。シノンの話ではこの武器屋は街でもトップクラスの品揃えらしい。

 

「あなた今どのくらいお金あるの?」

 

「……1000くらいだな」

 

「バリッバリの初期金額ね………もし良かったら足りない分出してあげよっか?」

 

「…そんな、悪いですよ……どこかバッと稼げるところとかないですか?」

 

「………基本的には対人かモンスター狩りで稼ぐしかないけど…あとはオススメはしないけどアレ…とか?」

 

シノンが指差した先を見てみると25mほどのトラックの先に小屋があり、その前に機械仕掛けのガンマンが立っていた。

 

「?あれは何のゲームなんだ?」

 

「手前のゲートから進んで行って奥のガンマンにタッチすれば上に書いてある金額全額貰えますよってゲームよ」

 

「全額だと…!?」

 

上の金額の表示は30万程度あった。ケタ違いの額だ。

 

「だって無理だもん、あのガンマン8mラインを越えるとチート並の早撃ちしてくるんだから。予測線が見えた時にはもう手遅れ」

 

「予測線……?」

 

俺が首をかしげてるとシノンが説明してくれた。親切でいい子だな…騙してると思うと心が痛い…

 

すると1人の男が挑戦するらしくそのゲート前に立っていた。

 

「見て、またプール箱増やしてくれるみたいよ」

 

「………」

 

…お手並み拝見といくか………

 

「へへっ!今回はクリアしてやるぜ!」

 

その男は参加料の支払いをするパネルに触り、ゲートの前でスタートの姿勢を取る。3....2....1....!!開始のブザーが鳴るとその男は走り出す。数m進むとその男は左足と左手を奇妙な方向に上げて静止した。

 

何をやっているんだ…コイツ…

 

するとちょうど手や足のあいだを銃弾が通り抜けた。

 

「……なるほど、今のが予測線…」

 

「そう、防御的システムアシスト「バレットライン」狙われたプレイヤーに初撃を除き、弾道が表示される」

 

「…………なるほど」

 

そうこうしてるうちにその男はもう問題の8mラインにまで達していた。

 

「チョロイぜ!」

 

男は残りの距離を一気に詰めようとするがガンマンは素早く5連射し、男の大勢を崩して倒れたところに弾丸を3発撃ち込んでゲームオーバーにした。

 

「はぁ…やっぱダメかぁ」

「行けると思ってたのになぁ」

 

「…横に大きく動けるならまだしもほとんど一直線に突っ込まなきゃ行けないからどうやってもあの辺が限界なのよ」

 

「…予測線が見えた時にはもう遅い…なるほどな……」

 

「あ、ちょっとあなた…!」

 

シノンの説明やあの男のプレイを見てなんとかなると思い俺はゲート前に立ち、パネルに参加料を支払った。

 

「おいおい、ビギナーが挑戦かよ」

「今度のカモは可愛いじゃん!」

「ついでに見てってやるか」

 

「ん?あいつ…シノンか、それにあいつは…」

 

普通の野次馬共とは違う感情でシノンや俺を見ている視線にはこの時の俺はまだ気付かなかった。

 

「…………」

 

3...2...1...!!スタートの合図がなると俺は全速力でコースを走った。数m走ると俺の目の前に赤い線が3本見えた。これが予測線……

 

俺はその予測線をよけるように横に飛ぶ、飛んだと同時くらいに弾丸が俺の横を通り過ぎる。その後進む時は出来るだけ左右に動きながら走ることを意識しているとガンマンもそれに戸惑ったのか撃ってくる数が少なくなった。

 

「おぉ!すげぇ!」

「もう10mだぞ!?」

「なんなんだあの子!」

 

ガンマンの撃ってくる弾丸の数と感覚がケタ違いになり、リロード時間も圧倒的に短縮された。だが俺は問題なくかわし続け、ガンマンのリロードタイミングと重なりちょうど触れそうになった。

 

「これで……終わりだ!…ッッ!」

 

ガンマンは銃から実弾ではなくレーザーを放ってきた。だが俺はその事態をある程度予測していたのといち早く気付いたので上空に飛び回避した。

 

「………チェックメイトだ」

 

俺はガンマンの目の前に着地しガンマンに触った。

 

「Oh!Nooooooooooooooo!!!!!!!」

 

ガンマンがそう叫び膝を折ると小屋から大量のコインが出てきた。150万…やはり多いな。

 

俺はディスプレイを操作し、その150万を受け取った。そして周りを見てみるとシノンはもちろんギャラリーたちも口をあんぐり開けて俺を見ている。しまった…目立ちすぎた……

 

「すげぇ…あの子…」

「何者だよ…」

 

シノンは驚き顔でコチラに近づいてきて

 

「さ、最後…2mくらいのところのレーザー…あの距離なら予測線と実射撃のタイムラグはほとんどないはず…どうやって」

 

シノンの質問だがそれは周りのやつらも気になっているようだ。答えないと感じが悪いよな…

 

「それはだな…ハッ!…それはですね……だってこのゲームって弾道予測線を予測するってゲームなんですよね?」

 

「……だ、弾道予測線を予測するぅ!?」

 

シノンの叫び声がそのフロアに木霊した。

 

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「………どれにするか迷うな…このアサルトライフルとサブマシンガン、何が違うんだ…違うんですか?」

 

シノンはそれを聞き呆れたようにこっちを見た。

 

「そんなことも知らないであの回避技術を……コンバートって言ったわよね?前はどんなゲームやってたの?」

 

「S……ALOというゲームを仲間内でな」

 

「あの飛べるってやつよね?ふーん…あ、それでアサルトライフルとサブマシンガンの違いよね、それは〜〜〜〜〜」

 

「???」

 

俺はシノンに違いを説明してくれと頼んだだけなのだが彼女は銃の歴史を語りだした……よっぽど好きなんだな…

 

「ってこんなこと聞いてないわよね…」

 

シノンは正気に戻ってくれた。

 

その後シノンから武器の説明をいろいろと受けながら店の中を回った。

 

そこで俺はある武器が目に入った。

 

「………これは…」

 

「それはフォトンソード、この世界での近接武器ね。でもみんなライトセイバーやらビームサーベルやら適当に言ってるわ」

 

「ビーム…サーベル……」

 

俺は今まで使ったことのない種類の剣に興奮にも似た感情を抱いた。そして迷うことなく白色のフォトンソード、ビームサーベルを購入した。

 

「ホントにそれでいいの…?超至近距離じゃないと効果を発揮しないのよ?」

 

「売っているということは使い道はある…ありますよ。あとビームサーベルが3本、実体剣が3本欲しいな……」

 

「…………そんなに買ってどうするのよ」

 

「冗談ですよ、流石にここまで来てセブンソードなんて真似はしませんって。そんなことより他に何か買ったほうがいいものはありますか?」

 

冗談ではなく7割がた本気だったのだが…黙っておこう。

 

「そうね、あとは防具とか……あといくら余ってる?」

 

「15万くらい」

 

「光剣ってやったら高いのね。その値段なら〜〜〜」

 

「あ、あとは任せます」

 

シノンがまたよくわからない専門用語ばっかり言ってきたので残りのことは全てシノンに任せた。

 

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俺はシノンの指示でFN-57?というハンドガンを購入した。

 

「ところでセツナは銃を撃った経験は?」

 

「…ありません」

 

するとシノンはそうなんだと言い、俺の袖を引っ張りどこかへ連れていこうとする。

 

そして連れて行かれた場所は鳴り止むことを知らない銃声が響く場所だった。

 

「…ここは?」

 

俺はあまりのうるささに耳を塞ぎながら質問する。

 

「ここは射撃場、お店で買った銃なら自由に試せるの」

 

なるほど、それでさっきの質問か

 

俺は空いているところへ行き、銃を構える。

 

「軽い…」

 

「強化プラスチックだからね、あと最初のうちは両手で構えて左目も開けたほうがいいわよ」

 

「そうか…」

 

言われたとおり両手で構え、両目を開けた。そして的の中央をしっかりと狙う。すると視界に突然サークルが現れた。しかもそれは大きくなったり小さくなったりしている。

 

「多分セツナの視界にはサークルが大きくなったり小さくなったりしてると思う。それは攻撃的システムアシストの「バレットサークル」弾はそのサークル内にランダムで当たる、つまり命中率に関わるってことね」

 

「…命中率を上げるには?」

 

「一番簡単なのは対処に近づくこと、でも射撃戦でそれは難しい。だからーーーーーーーー落ち着くことよ、それは心臓の鼓動と直結してるから」

 

「なるほど…」

 

俺は言われた通りに落ち着いてみた、するとサークルはどんどんと小さくなっていく。

 

まだだ…まだいける…

 

心を鎮める、何も考えないように……

 

「数発撃ってみてもいいか?」

 

「どうぞ」

 

「………」

 

パンッパンッパンッ!

 

俺は3発連続して撃ってみた。

 

「以外に腕へと衝撃が来るのだな……」

 

俺が銃を撃った感想を述べているとシノンは練習場の横のパネルを操作し的をコチラに寄せた。

 

その的は中心に穴が1つ空いているだけだった。

 

「すごいじゃない、初めてで中心に当てるなんて」

 

「…だが残りの2つは外れた…」

 

「いやいや、上出来よ」

 

そう言い、俺とシノンは店を出た。だがこの時俺達は気付かなかった。俺の撃った弾丸は全て中心を捉えていて全て同じところを通ったということを。

 

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店を出ると外が若干暗くなっていた。

 

「すまない、時間を取らせてしまって…しまいまして」

 

「ううん、大丈夫。それに女の子のプレイヤーってなかなかいないし。私もBoBの予選が始まるまで特に予定もなかったから」

 

「…君も参加するんですか?」

 

「うん、このあと総督府に言ってーーーーー」

 

シノンはそういい俺の後ろにある時計を見た。俺も同じくそれを見た、時間は14:50となっている。

 

「まずい!受付終了まであと10分しかない!」

 

「なに!?すまない、俺のせいで」

 

「いいのいいの、私も不注意だったから。とりあえず急ぎましょ!」

 

シノンは走り出す、それに続き俺も走る。推測だが総督府というのは俺達の目の前にそびえ立ってるデカイ建物のことを言うんだろうな。

 

「ここから総督府までの距離は?」

 

「だいたい3kmってとこね、エントリーに5分はかかると考えて………間に合え……お願い…間に合って…」

 

「…………」

 

彼女は気を使ってくれたが実質俺のせいだ…クソ!これでは何の意味もない!何としても間に合わなければ!

俺は何かいい移動手段はないか辺りを見渡してみるとバイクのようなものが置いてある。

あれを使ってみるか…

俺はシノンの手を取りバイクにまたがった。そしてシノンを俺の後ろに座らせ稼働のための料金を払った。

 

「ちょ、ちょっと!」

 

「黙ってろ、舌を噛むぞ」

 

アクセルをめいっぱい回し、バイクは瞬間的に加速した。

 

そして総督府までのルートを車の間をすり抜けて進んでいく。

 

「どうして!?このバイク、操作が難しくて誰も乗れなかったのに!?」

 

「現実でもつい最近友人の勧めで免許をとったんだ。だから出来て当然だ」

 

「………じゃあもっと速くすることも出来るの?」

 

「当然だ」

 

俺はさらにアクセルを回し加速した。このペースなら総督府まであと1分もかからないだろう。

 

「あははははははは!気持ちいい!」

 

シノンは後ろではしゃしでる。おそらくこのスピードを体感したことがなかったのか……

 

 

 

 

俺達は総督府に向かって進んでいる。




セツナの口調がたまに男に戻ってるけどそれは仕様ですので!

そして!次の話ではついにあの人が!

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