演習当日、ナルトは集合時間の8時より1時間早く来て周囲を探索し、それが終われば昨日の自己紹介後に集めた情報を整理していた。
「……今の俺じゃ100%勝てないってばね……」
ナルトは幼少期から現在に到るまで、時間のほとんどを修行に回し、少しずつではあるが確実に力をつけてきた。
しかし、その力があれば『誰にも負けない!』と思うほど馬鹿でも自惚れ屋でもない。
「随分早いんだな……」
「そんなの見てどうしたのよ?」
考え事に集中していたナルトはやって来たサスケとサクラに気づかなかった。
しかし、二人を見て名案が閃いたのか二人をジッと見つめて口を開いた。
「サスケとサクラ…今回の演習について話さなきゃいけないことがあるってばね。」
「「!?!?」」
ナルトから珍しく話しかけてきた事に二人は驚くが、先ずは話を聞くことにしたのか大人しく座った。
「昨日、じいちゃ…三代目にカカシ先生のこと含めて色々聞いてみたってばね。それで分かった事は5つ。
1つ目はこの演習こそが本当の下忍昇格試験である可能性が高いってこと。
2つ目はカカシ先生は四代目火影の弟子で、この里でもかなり強いってこと。
3つ目はこれが本当の昇格試験で内容が演習なら、 俺達はそのカカシ先生と戦わなきゃいけないってこと。
4つ目は今の俺達じゃ束になっても傷1つつけられないくらい実力差があるってこと。
5つ目はそんな俺達が合格に値するだけの何かを示さなきゃいけないってこと。」
「なっ、そんなの無理よ!!火影様の弟子だった人に勝つなんて100%無理っ!!」
「チッ!!ナルトの話が本当ならアイツに負ければアカデミーに逆戻りってことじゃねぇーか!」
「ちゃんと話を聞けってばね……勝てないこと前提での勝負って事は、勝ち負け以外の『何か』を示して認めて貰えれば試験は合格出来るはずだってばね!」
二人は頭を悩ませ始めた。
演習で勝ち負け以外の『何か』って何なんだ……しばらく考えていると色々浮かび始めたらしい。
「『何か』ってのは技術の事か?」
「もしかしたら罠や忍術の知識なんじゃない?」
「いや、術や技術だけなら演習なんて面倒臭いことしないで組手とかで足りるはずだ……」
「もしかしてスリーマンセルって関係ないかな?イルカ先生が忍は3人1組が言ってたし!」
「演習が個人戦かチーム戦は分からないが、もしチーム戦なら連携…むしろチームワークか?」
「そこまで絞りこむのは流石に難しいってばね……だけど俺達より遥かに強いカカシ先生に一泡吹かせるには協力と連携は必要だってばね。」
確かに3人の間には深い溝と高い壁がある。
特にナルトは今まで自分から深く関わろうとしてこなかった……そんなナルトが一時的かもしれないが、壁と溝を飛び越え歩み寄ってきた。
それを見た、2人は不思議と嬉しくなった。
自分達がナルトに抱く気持ちはハッキリせず、未だ不透明だが自分達がなんとなく嬉しいのは分かった。
「此処で組んだのも何かの縁だってばね!」
「それもそうね…どうせならギャフンと言わせましょ!」
「ならアイツが来るまで作戦でも練るか……」
3人は円を作るように座り、互いの長所短所、使える忍術を話し合った。
カカシはこの日遅刻し、3人に時間を与えた事を後悔すると同時に自力で答えに辿り着いた3人を誇りに思うのだった。
こんばんは!
予想以上に早い段階ではありますが3人の距離は一歩縮まりました!
このまま少しずつ距離を縮めて行こうかなと考えています!