咲-Saki- とりあえずタバコが吸いたい先輩   作:隠戸海斗

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どうしよう、麻雀やってる話より小ネタの方がUA増えてたんだが。
いや、でも麻雀頑張りますよ!


20国広一 罰ゲームと復活

腹ごなしに散歩をしたり昼寝をしたり、調整の為にと軽く麻雀を打ったり。

昼食を終えたメンバーは思い思いに試合の再開を待っていた。

 

全員が揃い、この試合が始まる前のようにわいわいと騒ぎ始めた頃、靖子がパンパンと手を叩いて注意を引く。

 

「さ、全員揃っているな?

 では試合の第二回戦を始めるぞ」

 

その言葉と同時に一同にまた緊張が走る。

点数の低かった者はここで是非とも稼いでおきたいところだし、点数の高かった者もまだまだ伸ばしていかなければ。

 

 

「その前に、お待ちくださいませ」

 

さてメンバーの発表、となる直前、不意に声が上がった。

声や言葉遣いから明らかだが、手を挙げて発言者が自分である事をアピールしているのは龍門渕透華である。

何事?と全員の視線が集まるがそこはお嬢様、特に動じることはない。

 

「どうかしたか? 龍門渕透華」

「試合の組み合わせの前に確認しておきたいことがありますの」

 

そう言うと透華は隣にいる一にビシッと手を向ける。

 

「甚だ不本意ながら一回戦で箱割れ、失格となってしまったわが校の国広一の扱いを教えてくださいませ。

 事前に教えられていたルールでは失格になるということ以外不明でしたわ。

 得点がマイナスのまま続けるというわけにはいかないでしょうし、どなたか代わりを入れるのですか?」

 

透華の言葉に、そういえばと頷く者たちもいる。

 

透華としてはその点は気になって仕方がなかったところだろう。

ただの同じ学校の部員と言うだけの関係ではないのだ。

そんな一がこれから先の試合見学だけなどと言われたらそれこそ抗議ものだ。

何としてもそんな目には遭わせない、と強気で靖子に訴える。

 

が、そんな苦労など不要と言わんばかりに靖子はあっさりと告げた。

 

「ああ、原点の50000点で試合して貰うよ。

 それから改めて稼いでも決勝卓には行けないというペナルティはあるが。

 それでいいだろう?」

「え? あ、はい」

 

最悪の事態を考えていただけにあっさりと参戦が認められ肩透かしを食ってしまう透華。

しかしすぐに笑顔に戻り、一を始めとする龍門渕メンバーは喜びを分かち合った。

さすが藤田プロ、将来有望な学生の芽を摘み取るような真似はしないか、素晴らしい。

逆にいえばそれまで不安に思われていたということなのだが。

 

「まぁ、そういうわけで失格者は決勝卓に行けないだけでまた50000点持って試合に参加できるから、それほど落ち込まないように。

 かと言ってあんまり緊張感なく打つのも良くないがな。

 

 他に確認事はあるかー?

 あ、そうだ、一応現在の順位を発表しておこう」

 

そう言って靖子はムロや南浦プロにも手伝ってもらいながら大きな紙を広げて壁に貼り付ける。

 

「これが今現在の得点と順位だ、間違いないはずだが確認してくれ」

 

その言葉に一同は貼り出された順位表の前に集まる。

 

 

 

妹尾佳織  82900

天江衣   76900

福路美穂子 75700

井上純   64900

夢乃マホ  64200

 

龍門渕透華 57600

深堀純代  55700

原村和   55600

宮永咲   55100

南浦数絵  53100

 

志野崎秀介 52300

東横桃子  52000

加治木ゆみ 50800

染谷まこ  48400

片岡優希  47900

 

竹井久   46600

吉留未春  45100

池田華菜  43800

津山睦月  41400

蒲原智美  39700

 

沢村智紀  36700

文堂星夏  36200

須賀京太郎 17500

国広一      失格

 

 

 

やはり役満を上がった妹尾が圧倒的。

他にも龍門渕メンバーが上位に多かったり、鶴賀は全体的に下寄りだったり、マホが意外にも上位だったりと注目する個所はある。

原点以上を確保しているのがほぼ半数なのは、多いと見るか少ないと見るか。

 

しばらくそうして点数を眺めてざわざわした後、靖子が再び声をかける。

 

「点数が少なくなってしまった者は次の試合に頑張って稼ぐように。

 一回戦で稼げた者も気を抜かずに頑張るように。

 

 では各々自分の順位を確認したところで次の試合の組み合わせを発表する」

 

再び一同に緊張が訪れた。

 

 

「二回戦、

 第一試合、鶴賀学園-蒲原智美、同じく鶴賀学園-加治木ゆみ、龍門渕-井上純、清澄-宮永咲。

 第二試合、龍門渕-国広一、風越女子-池田華菜、同じく風越女子-文堂星夏、清澄-染谷まこ。

 

 以上のメンバーは試合の準備をするように」

 

 

 

「よーし、ゆみちん、共に頑張ろうじゃないか」

 

ポンとゆみの肩を叩きながら蒲原が言うと、ゆみは呆れたように返事をする。

 

「そうだな蒲原、お前はもっと頑張らないとな。

 部長として鶴賀最下位は許されない事だからな」

「わっはっはー、フシギダナー」

 

答えた蒲原の表情は何やら固くなっていた。

 

「頑張ってくださいっす! 先輩!」

「頑張ってね、智美ちゃん」

「お二人とも頑張ってきてください」

 

後輩たちに見送られ、鶴賀最上級生の二人は卓に向かう。

 

 

 

「よーし文堂! ここで何としても点数を稼いで上位陣をあっと言わせるぞ!」

「は、はい! 池田先輩!」

 

こちらでも池田が文堂の肩に手を置いていた。

もう片方の手は空を指差すようにビシッと上を向いている。

その指先が実際にはどこを指しているのかは不明。

しかも文堂の方が池田より頭一つ高いので何だかアンバランスだ。

本人達、特に池田は気合いを入れているつもりだろうが、生温かく見守ってあげたくなるような雰囲気がある。

未春と深堀も何と声をかければよいものかと顔を見合わせる。

 

「二人とも頑張ってきてね」

 

そんな二人の心情を知らないキャプテンは普通に声援を送り見送るのだった。

 

「はいキャプテン! 今度こそ稼いできます!」

「行ってきますキャプテン」

 

 

 

「大丈夫かい? 一くん?」

 

ぐいっと伸びをしながら一に声をかけるのは純。

そんな純に一は笑顔で返した。

 

「うん、大丈夫。

 満月の衣と戦った事もある身だよ、ボクは。

 一回トバされたくらいで麻雀嫌いになったりなんかしないよ」

「ん、そうか」

 

なら安心、と純もニッと笑う。

 

「いってらっしゃいませ、はじめ、純」

「うん、行ってくるよ透華」

「行ってくるぜ」

 

智紀と衣も「いってらっしゃいー」と手を振って見送る。

 

「じゃ、行くか」

「うん!」

 

二人は気合いを入れて卓に向かうのだった。

 

 

 

「うし、今度こそ上位にならんとな」

 

ぐいっと腕まくりするまこ。

咲もそれに続いてぐっと両手を握って気合いを入れる。

 

「よし、原村さん、行ってくるね」

「はい、応援しています、宮永さん」

 

そう言って二人は笑いあった。

 

「あらあら、すっかり空気作っちゃって」

「咲ちゃん! 私達も応援してるんだじぇ!」

「頑張って来いよ、咲!」

 

久、優希、京太郎も声をあげて咲を見送る。

ふと、久が秀介の方に視線を移す。

 

「シュウ、あんたも何か言ってあげなさいよ」

「ん? そうだなぁ、ちょっと考えていたんだが・・・・・・」

 

応援の言葉をわざわざ?と思っていると、秀介は咲とまこに向かって言った。

 

「二人とも2万点以上稼げなかったら罰ゲームね」

「え?」

「えっ!?」

 

キョトンと首を傾げる咲と、ビクッと飛び跳ねるまこ。

 

「ちょ! 志野崎先輩! 罰ゲームって! な、何やらすつもりなんじゃ!?」

「んー・・・・・・以前やったみたいな?」

「いや! ダメ! この面子の前であれは絶対いかんて!」

 

ブンブンと両手と首を振るまこ。

どうやら嫌な思い出があるらしい。

 

「そんなに慌てなくても持ってきてないだろう、「あれ」」

「・・・・・・そりゃ持って来とらんけど・・・・・・。

 じゃあ何やらすんじゃ?」

「言わない方が楽しいだろう?

 まぁ、頑張って来いよ」

「いやぁ! 何企んどんの!?」

 

ぎゃー!と叫びながらまこはとぼとぼと卓に向かう。

それを見て咲も不安そうに何度か振り返りながら行くのであった。

 

「・・・・・・何言ってんの?」

 

久もあきれ顔だ。

 

「いや、緊張感出した方がいいかなーと思って。

 実際まこはやる気出したみたいだし」

「やる気って言うのかしら、あれは」

 

うーん、と首を傾げる久。

と、秀介の前に和が立ちはだかった。

 

「・・・・・・志野崎先輩、罰ゲームって・・・・・・宮永さんに何をやらせるつもりなんですか?」

 

そして秀介は和に睨まれていた。

答えによってはその顔を引っ叩く、とでも言わんばかりに。

まこの反応を見て、相当に嫌な事をさせるつもりなのだろうと推測して。

「いや、何も考えてなかったけど」と言いかけて秀介は少し考える。

そして和に告げた。

 

「・・・・・・膝枕とかどうだ?」

「なっ!?」

 

顔を赤くしながら和は秀介をビシッと指差す。

 

「は、ハレンチです! 何をやらせようというのですか! 先輩は!?」

「いや、原村さんが宮永さんにさせるんだよ。

 逆も可」

 

あっさりと返した言葉で和の顔はボンッと一層赤くなった。

 

「わ、私が、み、宮永さんに・・・・・・ひ、膝、枕・・・・・・!」

 

秀介の一言で和は撃退され、自分の世界に入り込んでしまったようだ。

 

「俺が宮永さんに膝枕させるorするとか、そんな先輩だとでも思われていたのか。

 ヤダネー、心外ダナー」

「ちゃらんぽらんしてるからよ」

 

やれやれと首を振る秀介をビシッと叩く久であった。

 

「ま、応援行くか」

「そうね。

 ほら和、面白い顔してないで応援に行くわよ」

「ふぇ!? まだ心の準備が・・・・・・!」

「何の準備よ」

 

わいわい騒ぎながら清澄一同も応援に向かった。

 

その際「和と咲の膝枕かぁ」と物想いにふけっていた京太郎は完全にスルーされていたのだが、特に話の進行には関係ないのだった。

 

 

 

 

 

第一試合 親順

蒲原→ゆみ→純→咲

 

蒲原 39700

ゆみ 50800

純  64900

咲  55100

 

 

第二試合 親順

池田→文堂→一→まこ

 

池田 43800

文堂 36200

一  50000

まこ 48400

 

 

親番と座席を決め、全員が席に着いたところで挨拶を交わす。

 

「わっはっはー、よろしくお願いします」

「よろしく頼む」

「お願いしまーす」

「よろしくお願いします」

「よろしくお願いしまーす!」

「よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

「どうぞよろしく」

 

 

 

靖子が用意した得点引き継ぎと言うルール、それがこの二回戦で通常ではありえない光景を映し出していた。

純が蒲原相手にすでに25000点のリードを持っているように、試合開始前から得点差があるのだ。

これを覆すのは容易ではない。

仮に蒲原が初っ端の親番で跳満をツモ上がっても逆転しないのだから。

それを踏まえた上で攻めと守りを考えて戦わなければならない。

その状況が各々の試合運びにどう影響するのか、見物である。

 

 

 

 

 

第一試合

東一局0本場 親・蒲原 ドラ{四}

 

第一試合、出親はこの中で既に最下位の蒲原。

上がれば得点力のあるこの親は大事にしたい。

ここで少しでも差を詰めておかないと。

 

そんな思いに牌が応えたのか、初っ端から手が入る。

 

蒲原 39700

 

{二二①②②②②⑤⑥⑥⑦⑧3} {白}

 

何という偏り、配牌で筒子が10枚である。

 

(お、おう・・・・・・さばき方が難しいねぇ)

 

染まるのは容易そうなこの手、明らかな不要牌は{二と3}。

しかしどちらも第一打で手放すには目立ってしまう。

ドラが{四なのに二}をとっとと手放すのは既にドラが面子として成り立っているか、もしくは明らかにドラが不要な状況だ。

第一打{3}も、その周辺の牌が無いから不要と告白しているようなものである。

混一、清一と看破されて有効牌が出てくるような面子ではあるまい。

かと言って役牌の{白}を切るというのも考え物。

誰かに対子で入っていたらあっという間に一翻確保されてしまう。

 

(・・・・・・しかしまぁ、後で切るよりは今切った方が鳴かれる可能性も無いかなー)

 

そう考え、蒲原は{白}を手放す。

 

「ポン」

 

しかし現実は甘くなかった。

北家の咲が{白}を晒し、{西}を切り出す。

あちゃー、これはよろしくないと思いながらツモった蒲原の牌は{中}、やはり不要牌なので切り捨てる。

 

「ポン」

(えー・・・・・・)

 

今度は純から声が上がる。

好配牌にも関わらず、この局もしかしたら蒲原の出番は無いかもしれない。

 

何とか頑張って蒲原は筒子を集めるが、その手が染まりきるよりも先に咲に手が入る。

 

咲 55100

手牌

 

{(ドラ)五六九九九①①(横6)[5]白} {白白横白}

 

後ろで見ていたメンバーからは感心の声とあり得ないという声が上がる。

 

「カン」

 

{白}を加槓。

そして嶺上牌{4}を表に晒す。

 

「ツモ」

 

さらに新ドラ表示牌が{3}。

 

「白嶺上開花ドラ1赤1、2000・4000です」

 

親の蒲原、倍払いでさらに落ち込む。

一方の咲はこの上がりで純を捲くり、トップに立った。

 

 

 

東二局0本場 親・ゆみ ドラ{②}

 

ゆみ 48800

配牌

 

{一四五[五]八①④⑤⑦569南} {白}

 

まず{9}を切り出す。

 

{一四五[五]八①④⑤⑦(横①)56南白} {南}切り

 

{一四五[五]八①①④⑤(横5)⑦56白} {一}切り

 

{四五[五]八①①④⑤⑦(横三)556白} {白}切り

 

{三四五[五]八①①④⑤(横東)⑦556} {東}切り

 

{三四五[五]八①①④⑤(横⑧)⑦556} {八}切り

 

大して無駄ヅモも無く進んでいく。

好牌ばかりツモっているように見えるが手を広く構えているゆみの打ち方のせいだ。

 

同6巡目。

 

「んー・・・・・・リーチ」

 

蒲原の捨て牌が横に曲がる。

 

(早いな・・・・・・)

 

蒲原捨牌

 

{西中7④六} {横九(リーチ)}

 

字牌整理、中張牌連打、最後に{九}切りでリーチ。

一見読みようがない。

が、ゆみはふむと考え込む。

 

(中張牌連打・・・・・・チャンタ系の手牌か?

 {④、六}切りで端に手牌を寄せて行って、123か789の三色)

 

と、そこまで読めたのが今までのゆみ。

だが昼食前、目の前で披露された秀介の考えを加えてみる。

 

(・・・・・・{九}は蒲原の手牌の一番端から切られた、ということは他に萬子が無いものと読める。

 となると・・・・・・チャンタに寄せて行くつもりが他の色が伸びたので、代わりに萬子を切り捨てた物と思われる。

 ・・・・・・良くあるチャンタを目指すつもりが一通になったとかそういう類のものか。

 そうなると筒子か索子の一通が第一候補)

 

ゆみ手牌

 

{三四五[五]①①④⑤⑦(横④)⑧556}

 

{④をツモったところでゆみは①}に手をかける。

 

(チャンタから一通になった場合良くあるのは123と789の面子が完成していてその間の456が未確定というもの。

 色は把握できないが筒子か索子の4-7か3-6、もしくはカンチャン5待ちの可能性が濃厚。

 なら{(この辺)}は余裕だろう)

 

タン、と切り捨てたところで小さくため息をつく。

 

(・・・・・・この手の読みをする人間は常にどこから牌が切られたまで記憶しているのか・・・・・・。

 私は精々どの牌がツモ切りか程度しか把握していないが・・・・・・凄いものだな。

 読みの精度を見ると風越のキャプテンも把握していそうだ)

 

私もまだ成長の余地があると言ったところか、とゆみは小さく笑った。

 

蒲原のリーチをかわして8巡目、純にも手が入る。

 

純 62900

手牌

 

{七九(ドラ)③⑤[⑤]234(横八)4789}

 

{①-④}待ち、良形の平和聴牌なのだが。

 

(・・・・・・今しがた{①}対子落としされたばっかりだし・・・・・・きついか?)

 

ドラ表示牌に{①、蒲原に④}も捨てられているし、自分の待ちは後山に何牌あるのか。

 

(リーチをかけないと平和ドラ赤で3900。

 対面のリーチを仮に8000とすると、振り込んだ時のリスクが倍でかい・・・・・・。

 早い巡目でのリーチだしそこまで高くないか・・・・・・?

 いや、そんな楽観視するのはよくない。

 ここは振り込みのリスクを考えてダマで行くぜ)

 

聴牌にとるが、純はリーチ宣言をしない。

 

そしてそのまま3巡後。

 

(・・・・・・あ・・・・・・)

 

残念な結果が訪れる。

 

「・・・・・・ツモ」

 

{七八九(ドラ)③⑤[⑤]234789} {(ツモ)}

 

「平和ツモドラ赤、1300・2600」

 

点棒を受け取った後、純はチラッと目の前の裏ドラを返してみる。

 

現れたのは{8}だった。

 

(リーチかけてりゃ跳満・・・・・・しくった!)

 

このミスが後にどう影響するか。

 

 

蒲原 33700

ゆみ 45900

純  70800

咲  61100

 

 

 

 

第二試合

東一局0本場 親・池田 ドラ{⑦}

 

池田 43800

 

{八九③④(ドラ)1233788西} {中}

 

悪く無い配牌、{西}から切り出していく。

 

 

3巡目。

 

{八九③④⑥(ドラ)23(横發)3788}

 

無駄ヅモ、と{發}を切り出す。

同時にまこから声が上がった。

 

「ポン」

 

まこ捨牌

 

{⑨③三}

 

染め手と思われる。

 

(どれくらい染まってるのか知らないけど、華菜ちゃんのスピードに追いつけるかにゃー?)

 

カチャッと{②をツモり、萬子八九}の整理へと移っていく。

 

{八②③④⑥(ドラ)23(横1)3788} {八切り}

 

{②③④⑥(ドラ)1123(横⑧)3788} {8切り}

 

{②③④⑥(ドラ)⑧112(横[⑤])3378} {⑧切り}

 

{②③④[⑤]⑥(ドラ)12(横4)3378}

 

{3}を横向きに切り出す。

 

「リーチだし!」

 

他家はまだ手が形になっていないのか降り気味。

そのまま喰いずらされること無く池田は上がり牌を手にした。

 

「ツモ! リーチ平和ドラ赤!」

 

裏ドラを返すと現れたのは{9}、見事頭がドラとなった。

 

「裏2で6000オール!!」

 

池田、絶好のスタートである。

 

 

 

東一局1本場 親・池田 ドラ{白}

 

池田 61800

 

{三五七④⑧⑨378999發} {中}

 

運が良ければ三色まで行けるかも、と池田は{發}を切り出す。

 

そしてちらっと全員の様子を見回した。

 

(一回戦の試合で上家の染谷さんは三着確定上がり、対面の国広さんはトビ。

 言っちゃ悪いけど文堂も最下位だった。

 私もビリだったしずいぶんと負けメンバーが集まったもんだ。

 でも私は東初で跳満ツモ、絶好の出だしだし!

 悪いけどぶっちぎりで勝たせてもらうよ!)

 

そんな池田の想いに応えるようにツモがはかどる。

 

多少無駄ヅモはあったが6巡目。

 

池田手牌

 

{三四五七④⑦⑧⑨7(横[⑤])8999}

 

「ほい来た、リーチ!」

 

{七}を切り出して即リーチと行く。

 

(さぁ、じゃんじゃん稼がせてもらうよー!)

 

「リーチ」

 

池田がにやにやと笑う同巡、対面から声が上る。

 

え?何?とそちらを見ると、一が牌を横向きに捨て、千点棒を取り出したところだった。

 

(嘘! 追いつかれた!? にゃんで!?)

 

あわあわと池田はまこの次に牌をツモり、切る。

そんな池田を尻目に、一は自分のツモ番に山に手を伸ばす。

 

ツモる手にキリッと力が入る。

 

 

(・・・・・・ボクはかつて衣と初めて会った時に、満月の衣に手酷くやられた・・・・・・。

 

 あの時の絶望に比べれば!)

 

 

ダァン!と牌を卓に叩きつける。

 

「ツモ!」

 

ジャララララと手牌が倒された。

 

{一二三四五六七八九2256} {(ツモ)}

 

「リーチ一発ツモ平和一通! 3100・6100!」

 

わぁ!と周囲からも歓声が上がった。

 

 

池田は一と目を合わせ、その視線の奥に何か強い意志のようなものを見た気がした。

 

(こ、こいつ・・・・・・折れてない!)

 

一は油断していたらしい池田にキッと視線を送る。

 

(一回トバされたくらいじゃ何ともないよ!)

 

 

池田 55700

文堂 27100

一  56300

まこ 39300

 

 




一回戦で一ちゃんトバしやがって!とか思った方がいらしたかもしれません。
そんな方の為ってわけではありませんが、ちゃんと最初から活躍させる予定でしたよん。

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