機動戦士ガンダムSEED Destiny 凍て付く翼   作:K-15

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第32話 シンとアスラン

ミーティアとドッキングするフリーダムはメサイアを陥落させるべく先行するが、それを阻止せんとレジェンドは立ち塞がる。

搭載するドラグーンを全基射出し、無数のビームを発射する事でフリーダムの動きを制限させた。

 

「キラ・ヤマト!! 今度こそ終わらせる、全てを!!」

 

「ミーティアの機動力なら!!」

 

大型バーニアの推進力を駆使して迫り来るビームを全て振り切る。

キラはレジェンドの戦い方を見て、2年前に戦ったラウ・ル・クルーゼの面影を重ねた。

 

「この戦い方……アナタは!?」

 

高い機動性とビームシールドでドラグーンのビームを防いで行く。

視界をクリアにして反応速度を高める。

 

「これはどう言う事なんだ? ラウ・ル・クルーゼは倒した筈なのに?」

 

2年前の大戦で死んだ筈のクルーゼが生きて居る、でもクルーゼとも違う。

戦いながら感じ取るキラはその事に混乱する。

 

「キミは誰だ……誰なんだ?」

 

「キサマには分かるはずだ。俺はラウ・ル・クルーゼだ!!」

 

「ラウ・ル・クルーゼ……ぐぅっ!!」

 

レジェンドのビームスパイクがミーティアの大型バーニアを貫く。

もう使えないと判断したキラはドッキングを素早く解除。

次の瞬間にはドラグーンから発射される無数のビームがミーティアの装甲をズタズタに破壊して行った。

炎に包まれるミーティアを眺めるキラ。

そして数秒後には巨大な爆発に包まれてしまう。

強力な武装を失くしたキラだが、単独でレジェンドと対峙する。

 

「フリーダムはまだ戦える。僕はもう1度、アナタを倒す!!」

 

「キラ・ヤマト、人類が生み出したすばらしき結果。だがその存在を俺は許しはしない!」

 

レイは展開するドラグーンをフリーダムの周囲に展開させる。

それを見るキラも、背部のドラグーンを全基射出させた。

縦横無尽に飛び回るドラグーンは互いに相手のドラグーンを狙いビームを発射する。

スラスター制御で機敏に動き攻撃、そして回避行動。

だが、如何にフリーダムの性能が優れて居ても、ドラグーンの武器としての性能だけを見ればレジェンドに軍配が上がる。

フリーダムのドラグーンは1基に1門のビーム砲しか備わって居ない。

対してレジェンドはドラグーン自体の数も、1基に備わる門数も多かった。

そしてドラグーンの使い方もレイの方が慣れて居る。

無数に飛び交うビームの中で、フリーダムのドラグーンは1基、2基と、着実に落とされて行く。

 

「ドラグーンの使い方は俺の方が上らしいな」

 

「でも!!」

 

両手に握るビームライフルを左右に展開しトリガーを引く。

正確無比に発射されるビームは更にその先を読んでおり、レジェンドのドラグーンを撃ち抜いた。

常人を超える反射神経で機体を動かし、回避と同時に反転し両手のトリガーを引く。

展開するドラグーンを一瞬の内に4基も破壊するキラ。

優位に立てたと思えば一転、キラは簡単にその逆境を跳ね除け、レイはその能力の高さに激昂した。

 

「俺もお前もこの世界には必要ない!!」

 

「それは違う!!」

 

レジェンドが展開した2門のビームスパイクは残り4基のフリーダムのドラグーンを蹴散らす。

そしてスラスターを全開にして、フリーダムの眼前へと迫る。

 

「ラウ・ル・クルーゼは、もう居ない!!」

 

キラは左腕のビームシールドを展開し防御してなぎ払うと同時に、ビームスパイクを斬り裂いた。

ペダルを踏み込むと背部から光の翼を展開、高機動形態に入るフリーダム。

レジェンドが展開する4基のドラグーンを撃ち落とした。

 

「だからその命はキミだ。彼じゃない!」

 

「そうだ!! そしてその俺が決めたんだ。ラウになると!!」

 

レジェンドはビームサーベルを引き抜きフリーダムに振りかぶった。

だが、高機動形態に入ったフリーダムに追い付く事は出来ず、切っ先は空を斬る。

隙を見せるレイ。

素早く2丁のビームライフルを連結させるキラはレジェンドの右脚部を撃ち抜く。

 

「ぐああァァァッ!! だが、まだだ!!」

 

「どうして!? ん、これは……」

 

咄嗟に回避行動に移る。

瞬間、目の前を大出力のビームが通り過ぎて行った。

 

「何だ!?」

 

キラが見るその先、そこに居たのはバスターライフルを構えならが接近して来るウイングゼロの姿。

 

「ここで沈めェェェ!!」

 

「ッ!?」

 

メインスラスターを全開にして、青白い炎を噴射する。

加速するレジェンドは、一瞬の気を許したフリーダムに接近し右手のビームサーベルを振り上げた。

それでも反応するキラは連結を解除したビームライフルで、振り上げられた右腕を撃つ。

至近距離で発生する爆発。

攻撃は失敗に終わるが、レジェンドの動きは止まらない。

加速したまま、強引にフリーダムへ組み付いた。

 

「撃てヒイロ!! 俺ごとフリーダムを撃つんだ!!」

 

「アナタは!? 自分も死ぬつもりですか!! そんなの――」

 

「そうだ!! もう俺達のような存在は世界に必要ない!! 撃て、ヒイロ!!」

 

フリーダムはレジェンドに取り付かれて身動きが出来ない。

この状況では腹部のカリドゥス砲を撃ちレジェンドを破壊するしか脱出手段がないが、それではパイロットも殺してしまう。

そのせいでまた、キラは撃てないで居た。

 

「それがお前の導き出した答えか。……了解した」

 

ヒイロは組み付く2機に、ツインバスターライフルの銃口を向けた。。

///

「キラ?」

 

アスランはシンの乗ったデスティニーインパルスと戦闘に入りながらも、直感的にキラの存在を感じ取る。

だが現状では合流する事すらままならず、自身に敵意を向けるシンと戦うしかない。

ミーティアに取り付くデスティニーインパルスは、握るエクスカリバーで装甲を斬り裂いて行く。

 

「クッ!! 切り捨てるしかないか」

 

コンソールパネルに手を伸ばし、ミーティアとのドッキングを解除するアスラン。

単独で動くジャスティスを見たシンは、ミーティアへの攻撃を中断し、ジャスティスへの攻撃を開始した。

 

「落ちろォォォ!!」

「シン!!」

 

2人が戦う間にも、アークエンジェルはメサイアへの侵攻を進めて行く。

量産されたドムトルーパーのお陰で、少ない戦力でもザフトと対等以上に戦う事が出来て居る。

そのアークエンジェルで、ネオは激しい揺れに耐えながらブリッジへ向かって居た。

 

「何か、すごい事になってんな。頼むから撃沈はしないでくれよ」

 

軽口を叩きながらも、戦闘中で誰も居ない通路を進んて行く。

そしてようやくブリッジにまて到着し、エアロックを解除して中へ入ると、艦長シートに座るマリューが目を見開いた。

 

「アナタは!? こんな所で何をしているの!!」

 

「こんなうるさくちゃ満足に寝れねぇよ。こんな所で死ぬなんてゴメンだからな。えぇ、艦長さんよ?」

 

「わかってます。戦況はこちらに傾いてます」

 

「本当だろうな?」

 

「えぇ、だからアナタはすぐに医務室へ戻って。ここに居てもやる事なんてない」

 

言われてネオはブリッジを後にしようとするが、スクリーンに映し出される映像がふと目に入った。

思わず足を止め、注意深くそれを覗き見る。

 

(アレは……ミネルバ? だとしたら、あのボウスもどこかに……)

 

長時間に及ぶ戦闘でミネルバも消耗してい居るのが見て取れた。

ネオはそれを確認すると、マリューに言われた通りにブリッジから出て行く。

 

「確かに、ここに居ても俺の出来そうな事なんてないな。じゃあな、艦長さん」

 

「ムウ……」

 

最後に彼女が呟いた言葉が彼に届く事はない。

ブリッジを後にしたネオは、素早くモビルスーツデッキに向かった。

アークエンジェルに搭載されて居るモビルスーツは少ない。

その中で唯一、誰にも使われてない機体。

かつてキラが乗り、ムウ・ラ・フラガも乗った事のある、ストライクがそこにあった。

フェイズシフト装甲が展開されてない、灰色の機体を見上げるネオは感慨に浸る。

 

「ストライク……2年も前の旧型だが……」

 

無意識に言葉にした機体の名称。

それでも、ムウ・ラ・フラガとして生きた記憶が戻る事はなかった。

リフトに向かうネオはパネルを操作して上昇させると、開放されたままのコクピットに入り込む。

 

「まぁ、何とかなるだろ。助けてくれた礼だ。攻撃はしないで置いてやる」

 

コンソールパネルを叩くネオはOSを起動させ、バックパックを装備する作業に移る。

遠隔操作でストライカーパックを背部にマウントさせ、エレベーターでカタパルトに上昇させた。

 

「良し、ここまでは良いな」

 

『ちょっとアナタ!! 何を勝手な事を!!』

 

(チッ!! やっぱバレるか)

 

画面に映し出されるのは艦長であるマリュー。

ストライクが動き出し、発進態勢に入った事はブリッジの彼女に伝わった。

心の中で悪態を付きながらも、この場を何とか潜り抜けようとネオは咄嗟に口からでまかせを言う。

 

「あぁ~、記憶が戻ったんだ。今からフリーダムの援護に行く」

 

『記憶が……ねぇ、本当なの? ムウ……私の事、思い出したの?』

 

「それは……」

 

映像で映る彼女の瞳からは涙が溢れて居た。

それを見てしまい、ネオの心は揺れる。

ウソを貫き通す事は出来ず、良心が勝ってしまった。

 

「ったくよ!! ウソだよ!! ウソ!! この機体は貰ってくからな!!」

 

『ちょっと待って!! まだ――』

 

「10秒以内にハッチを開けろ!! でないと、ビームライフルで内側からぶち破る!!」

 

『ムウ……やっぱり、アナタは……』

 

怒気を孕んだ声で叫ぶと、アークエンジェルのハッチが開放される。

ネオは何も考えないようにして、カタパルトから発進した。

メインスラスターから青白い炎を噴射して、宇宙の暗闇に線を引く。

加速するストライクは、ミネルバの防衛に当たるインパルスの居る場所を目指した。

 

「ミネルバの位置は……あそこか!!」

 

メサイア防衛の為に戦うミネルバだが、状況は思わしくない。

ドムトルーパーの高い戦闘力を前に、メサイアの防衛ラインは確実に後退して行く。

インパルスに搭乗するルナマリアも、初めて相手をする機体に苦戦を強いられて居た。

 

「何なの、コイツ!! ビームシールドなんてインパルスにもないのに!!」

 

最新兵装を持つドムトルーパーはインパルスと対等に戦える。

スクリーミングニンバスを展開し、ビームバズーカを構えて突撃して来るドムトルーパーに、インパルスは回避行動を取りながらビームライフルのトリガーを引く。

発射されるビームはドムトルーパーの前面に展開される赤い粒子の前に無力化される。

 

「ビームが効かない!?」

 

構えるビームバズーカの銃口から大口径のビームが発射される。

咄嗟にシールドを構えるが一撃で破壊されてしまう。

 

「来る!?」

 

『これで終わりだ!!』

 

強化型ビームサーベルを抜いたドムトルーパーが加速する。

スクリーミングニンバスを展開する相手にインパルスの攻撃は通用しない。

目前にまで来る敵機はインパルスの胴体部目掛けてビームサーベルを振り払った。

 

『ナニ!?』

 

「アタシだって赤なのよ!! 舐めるな!!」

 

手応えがない。

ビームサーベルはインパルスの装甲を捉えておらず、斬り抜けた先には何もなかった。

寸前の所でチェストフライヤーとレッグフライヤーを分離させたルナマリアは、ビームサーベルを潜り抜け再びドッキングする。

振り向くと同時にバックパックからビームサーベルを引き抜くと、背を向けるドムトルーパーの背部にその切っ先を突き立てた。

 

「ふぅ、何とかなった」

 

背中に冷たい汗が流れる。

ギリギリに所で撃破したルナマリアだが、その心中は穏やかでない。

敵機の背部からビームサーベルを引き抜くと、ドムトルーパーはモノアイから輝きを失い、力なく宙を漂って行く。

けれどもまだ戦闘は終わってない。

レーダーを確認すると、また新たな機影が接近して来る。

 

「また増援か。GAT-X105ストライク? 2年も前の機体が何で?」

 

表示される形式番号に思わず声を上げるルナマリア。

そうしてる間にもストライクはインパルスの間合いにまで近づいて来た。

操縦桿を動かしビームサーベルを振るおうとするが、それよりも早くに腕を捕まれ、密着した状態で動けなくされてしまう。

すると、相手は接触回線で通信をして来た。

 

「インパルス聞こえるか? 俺だ、ネオ・ロアノークだ」

 

敵機から通信が入るが、ルナマリアは訳の分からない通信を無視して操縦桿を全力で押し込んだ。

互いの機体のフレームがミシミシと悲鳴を上げながら、それでもインパルスはビームサーベルを突き立てようとする。

敵を倒そうとする彼女の行動に、頭に疑問を浮かべながらもネオは再び呼び掛けた。

 

「ボウズ、聞こえないのか?」

 

「誰がボウズよ、誰が!!」

 

通信から聞こえて来るのは、聞いた事がない女の声。

目の前のインパスルのパイロットがシンではないと気が付くネオは、ジャスティスと戦うもう1機のモビルスーツを視界に入れた。

 

「ボウズじゃない。って事はジャスティスと戦ってるアレか?」

 

ネオは組み付いたインパルスから離れるとメインスラスターを吹かす。

離れた瞬間にビームサーベルの切っ先が襲い来るが、簡単にそれを避けジャスティスの元へ向かう。

 

「逃げるな!」

 

「相手をしてる暇がないもんでね。俺よりも向こうをどうにかした方が良いと思うけどな」

 

言われて視線を変えるルナマリア、その先に居るのはミネルバの行く手を阻まんと迫るドムトルーパー。

ストライクの追撃を諦め、ミネルバを防衛する為に機体を反転させる。

追撃を振り切ったストライクは一直線に目的の場所へと向かう。

一方、アスランはデスティニーインパルスとの戦いに苦戦して居た。

 

「アークエンジェルの防御が薄い。それにシン、どうすれば……」

 

回避行動を取りながらビームライフルを向けトリガーを引くが、そんな攻撃に当たるシンではない。

エクスカリバーを構え、光の翼を展開し一瞬の内に距離を詰められる。

 

「くっ!!」

 

大きく振り下ろされるエクスカリバーに、アスランはビームシールドで受け止める。

激しい閃光が両者を照らす。

攻撃を受け止めながらも、脚部のビームブレイドを展開しデスティニーインパルスの脚部を蹴る。

 

「同じ攻撃なんか!!」

 

「反応が早い。だが、俺も負ける訳にはいかないんだ!!」

 

距離を離すデスティニーインパルス。

ジャスティスの蹴りは空を斬る。

それでも接近戦ならジャスティスの方が強く、シールドのワイヤーアンカーを射出して引き寄せようとした。

両手でエクスカリバーを握るデスティニーインパルスは、胸部チェーンガンでワイヤーアンカーを狙う。

無数に吐き出される空薬莢。

ワイヤーアンカーは1度は煙に包まれるが、破壊される事なくデスティニーインパルスに迫る。

 

「このくらい!!」

 

連結させたエクスカリバーを分離させ、右腕のビームシールドを構えた。

寸前の所でワイヤーアンカーは光の盾に消える。

そして背部のテレスコピックバレルを展開するシンはジャスティスに照準を合わせトリガーを引いた。

発射される赤黒い2本のビーム。

メインスラスターを吹かし回避するジャスティスだが、下方から別のビームが飛んで来た。

 

「なんだ!?」

 

ビームはジャスティスのつま先をかすめる。

アスランが視線を向ける先に居たのは、ビームライフルを向けるエールストライク。

 

「ストライク!? 誰が乗ってるんだ?」

 

「聞こえてるなボウズ!! 援護するぞ!!」

 

「その声……フラガ大尉!?」

 

「俺はネオだ!!」

 

接近するストライク。

2機に挟まれるアスランは不利な立ち位置から逃れるべく、メインスラスターを全開にして距離を離す。

その間にもストライクとデスティニーインパルスは合流し、腕を触れさせ接触回線を繋げる。

 

「大丈夫か、ボウズ?」

 

「ネオか!? 生きてたのか?」

 

「あぁ、なんとかな。それよりも、お前がやられたら誰がステラを守るんだ? しっかり頼むぜ」

 

「わかってる。俺はもう負けない!! 誰が相手でも!!」

 

「その意気だ。火力と機動力、俺が牽制で動かす。トドメはお前がやれ」

 

デスティニーインパルスとストライクの2機でジャスティスを一気に攻め落とそうとする。

ストライクはビームライフルでジャスティスをかく乱し、機動力の高いデスティニーインパルスが隙を付いてエクスカリバーを振り下ろす。

2機の連携にアスランは何とか回避していくが、このままではメサイア攻略に支障が出てしまう。

 

「フラガ大尉、アナタを撃ちたくはない」

 

「気に入らないな。その態度!!」

 

「クッ!! 2対1じゃ不利だ。シン、俺は本当にお前を……」

 

視界をクリアにして集中力、反射速度を飛躍的に上昇させる。

ビームライフルと背部に装備したファトゥム-01のビーム砲をストライクに向け、一斉にビームを連射した。

核エンジンが生み出す無限のエネルギーは、強力なビームを無尽蔵に発射する。

シールドを構えるストライクだが、そういつまでも耐えられるモノではない。

 

「性能に物を言わせやがって」

 

「アナタが誰であろうと、これ以上邪魔はさせない!!」

 

「やってみな!!」

 

シールドからシャイニングエッジを掴み取り、ストライクに目掛け振り投げた。

ビーム刃が回転しながらストライクを襲う。

 

「おおっと!? このくらい」

 

「まだ!!」

 

続けて更にビームライフルとビーム砲のトリガーを引き、弾幕を形成するジャスティス。

ネオはメインスラスターをAMBAC制御で機体を匠に動かし、時にシールドでビームを受け止めて損傷を回避して行く。

それでも防戦一方で反撃に打って出る事は出来ない。

 

「このままだとマズイか? ボウスこのまま――」

 

シンに通信を繋げた一瞬の油断。

投げられたシャイニングエッジが軌道を変えると、ストライクを今度は背後から襲う。

反応が遅れたネオは対処する事が出来ず、機体の右腕が切断された。

 

「しまった!? こんな所で」

 

「悪いが!!」

 

照準をコクピットに定めるアスランはビームライフルのトリガーを引いた。

発射されるビーム。

咄嗟に装備したシールドでコレを防ぐが破壊されてしまい、姿勢制御が追い付かずストライクはどこかへ流されてしまう。

 

「ぐああァァァッ!!」

 

「ネオ!! っ!?」

 

シンはすぐに流されて行くストライクの救護に向かおうとするが、目の前からは回転するビーム刃が迫り来て居た。

右肘のフラッシュエッジを掴み取るデスティニーインパルスは、大きく振り被ると眼前のビーム刃目掛けてそれを投げる。

互いに弾き飛ばされるビームブーメラン。

両者は素早くビームライフルを構えてトリガーを引くと、発射されたビームがぶつかり合い眩い閃光を生む。

 

「シン、まだ戦う気か!!」

 

「俺は、裏切ったアンタを絶対に許さない!!」

 

「過去に囚われたまま戦うんじゃない。そんな事で何も戻りはしない!!」

 

閃光から抜け出す2機は再びビームライフルを向けた。

だが、アスランの方がトリガーを引くのが早い。

瞬きする暇もない一瞬の差。

デスティニーインパルスのビームライフルを撃ち抜かれてしまい、シンは即座にソレを投げ捨てもう1本のフラッシュエッジをジャスティスに投げた。

弧を描き飛んで行くフラッシュエッジは、構えたジャスティスのビームライフルに突き刺さる。

 

「クッ!! やるようになった」

 

アスランも使えなくなったビームライフルを投げ捨て、サイドスカートのビームサーベルを抜き取り連結させる。

メインスラスターを全開にして一気に詰め寄り、連結ビームサーベルで袈裟斬り。

だがビームシールドで受けられてしまう。

 

「シン、もうこんな戦いは止めるんだ!! お前は未来まで殺す気か!!」

 

「俺はステラを守るって約束した。ステラの居る世界に、アンタ達は必要無い!!」

 

光の翼を展開してジャスティスを押し返す。

そしてエクスカリバーを連結させて大きく振り上げた。

 

「はああァァァ!!」

 

「くっ!!」

 

両者のビーム刃がぶつかり合う。

激しい閃光は2機を照らす。

数秒後、エクスカリバーは切断されてしまい、ジャスティスは脚部のビームブレイドを展開してデスティニーインパルスを蹴る。

 

「いいや、まだだ!!」

 

蹴りが装甲に届くよりも前に、マニピュレーターがジャスティスのつま先を掴んだ。

瞬間、パルマフィオキーナが脚部を吹き飛ばした。

 

「なにぃ!?」

 

テレスコピックバレルを展開して赤黒いビームを撃つ。

アスランはシールドでコレを防ぐと同時に、握って居た連結ビームサーベルを振り投げた。

攻撃はビームシールドに防がれてしまい、投げられた連結ビームサーベルはテレスコピックバレルの砲身を切断する。

それでもシンは攻撃の手を緩めず、光の翼を展開して一気に接近した。

目前に迫るデスティニーインパルスに、アスランは残された脚部のビームブレイドを展開して蹴ろうとするが、それよりも早くにマニピュレーターがジャスティスの頭部を掴む。

 

「俺の……勝ちだっ!!」

 

パルマフィオキーナが光る。

頭部は爆発し、戦闘能力を失ったジャスティスは宇宙空間に流されて行く。




次回、最終話!!

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