機動戦士ガンダムSEED Destiny 凍て付く翼   作:K-15

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第2話 帰って来た故郷

オーブへ到着したミネルバは束の間の休息を得て居た。

テロリストとの戦闘により消耗した艦とモビルスーツの修理もありしばらくはここに留まる事になる。

モビルスーツデッキでは帰還したインパルスとザクの整備を急ピッチで進めておりすぐに戦線へ送り出せるように整備兵が汗を流しながら走り回って居た。

艦長であるタリアもオーブ入国に伴い責任者として事務手続きを行わなければならず、戦闘のない安息の地とは言え休む暇はない。

一方、パイロットは戦闘が始まらない現状では体を休ませるのが仕事で、自室に待機しているシンは赤いザフトの制服を着てベッドに寝転がって居た。

 

「まさかもう戻ってくるなんてな、マユ……」

 

妹が残したピンク色の携帯電話を握りしめ誰もいない部屋で1人呟く。

シンの家族は2年前の戦争で彼を残して死んでしまった。

家も戦闘の被害で完全に破壊され、妹が使ってたピンク色の携帯電話だけが唯一の思い出のモノ。

それ以来、シンは戦乱に巻き込まれたオーブを脱出しプラントへ移住。

自分の無力さを目の当たりにし、実感した彼はザフトへ入隊した。

士官アカデミーを卒業したシンは成績上位だった為、それを表す赤服を支給されミネルバに配属する事となる。

夢うつつになりながら天井に設置されたライトを見てると部屋の扉のエアロックが解除され誰かが入って来た。

気だるさの残る体を起き上がらせて扉の向こうで待つ相手を見る。

 

「シン、上陸許可が下りたわよ。みんなでどこか行かない?」

 

入ってきたのは同じアカデミーを卒業したルナマリア・ホークとレイ・サ・バレルだった。

ルナマリアはピンクのプリーツを履き赤いショートヘアーの前髪を揺らす。

2人ともシンと同じように赤い制服に着替えており気分転換も兼ねてシンを誘いに来た。

けれども彼女の誘いを快く受け入れられる程、まだ心の傷は癒えてない。

 

「そんな気分じゃないんだ」

 

「何で……ここはアンタの故郷なんでしょ?」

 

「うるさいなぁ、ほっといてくれ」

「せっかく誘ってやったのに、何よその態度は!!」

 

シンの生まれの事情を知らない彼女には、今のシンの言動はただの癇癪だと思われてしまう。

そんなシンにルナマリアも声を上げるが隣で見てたレイがなだめながらに言う。

「シン、やはりオーブは辛いか?」

「っ!?」

思い出したくもない記憶が鮮明に頭の中で蘇る。

戦闘が始まり家族みんなで林の中を逃げていた。

空には煙が上がり破壊されたモビルスーツの爆発で空気が焼け、抵抗手段のない人々は生き残る為とにかく走るしかない。

シンの家族も抵抗手段を持たない人の1人、避難シェルターに向かって林の中を駆け抜ける。

逃げている途中で妹が携帯を落としてしまう、これが運命の分かれ目になるとは夢にも思わなかった。

(あそこで取りに行かなければ俺も死んでいた。幸運なのか不運なのか、そこでヤツを見たんだ)

 

飛来したビームは跡形もなくすべてを消し去る。

目の前には焼け焦げた地面があるだけで、もうこの場にはシン1人しか居なくなった。

弾幕が飛び交う空を見上げると、その先には6枚の青い翼を持ったモビルスーツ。

 

(6枚の青い翼をもったモビルスーツ、家族の仇。俺はアイツを倒す!!)

アカデミーで出会ったのがこの2人、レイはいつも冷静沈着で感情をあまり表には出さない。

モビルスーツの操縦も正確で戦術的な行動をする事で教官からも評価が高かった。

シンとは対照的な人物だが心を打ち解けあえる仲間と信頼してる。

 

「家族に会いに行ってみたらどうだ?」

「慰霊碑……確かに最近は行ってないな」

 

「次は何時になるかわからない。ミネルバの補給と整備には時間が掛かる。慌てて行く事もないが、きちんと心の整理を付けた方が良い」

 

レイに言われどうするか悩むシン、傷ついた心がそれを邪魔させる。

静寂した空気が支配し誰も何も言わないまま数秒過ぎると、もう一度携帯電話を見つめて決心を固めた。

 

「オーブか」

 

///

 

少年はアテもなく、海を眺めながら砂浜を歩いてた。

空を飛ぶカモメの鳴き声と波の音、静かで心地よい空間で満ちて居る。

けれども少年の心情は穏やかではない。

 

(コズミック・イラ73年、それがこの世界での年号。地球と宇宙、ナチュラルとコーディネーター。細かな図式は違うが互いに対立し血を流すのはどこへ行っても同じか。ウイングゼロをこれ以上使うのは今は危険だ。もっと情報が居る。戦う事しか出来ない俺に何が出来るのか……この世界でどう生きる?)

 

少年は感情を口にしない。

水平線に続く海の先を見てるだけ。

ずっと1人で佇みながら自問自答を繰り返し答えを導き出すべく考えてると、砂浜を歩く足音が聞こえて来る。

視線だけを向け様子を伺うと、そこには麦わら帽子を被ったピンク色の長髪の女性と幼い子ども達が居た。

 

「らくすさま、誰か居るよ?」

 

「お兄ちゃん、迷子なの?」

 

「ヒッ!! 何だかこわい」

 

子どもは思い思いの事を口にするが少年はそれが耳に入っても眉1つ動かさない。

ラクスと呼ばれた女性は優しい笑みを浮かべながら少年の元にまで歩み寄って来る。

被ってた麦わら帽子を手に取り胸元で抱えると軽くお辞儀をした。

 

「ごきげんよう。ラクス・クラインと申します。ここへは観光で入らしたのですか?」

 

「あぁ、そんな所だ」

 

「ここオーブは争いのない平和な場所ですものね」

 

「そうだな」

 

無愛想に応える少年。

けれどもラクスは嫌な表情を浮かべたりせず、コミュニケーションを取ろうと続けて言葉を返す。

 

「観光で入らしたと言いましたがどこから来たか教えて頂けませんか?」

 

「宇宙だ……」

 

「まぁ、プラントから。それは長旅ですね」

 

『プラント』

その単語を聞いてもラクスの表情は変わらないが、一緒に居る子どもは違った。

 

「テレビで言ってた。また戦争が始まったって」

 

「何も悪い事してないのに、どうして戦争になるんだよ」

 

一斉にうつ向き、中には涙を浮かべるモノも居る。

ラクスは屈んで子ども達の頭を撫でであげ気分を落ち着かせ何とか泣き止んで貰う。

 

「この方は悪い人ではありません。むしろその逆、人の心がわかるとても優しい人ですわ。だから皆さんが怯える必要はなくってよ」

 

「ほんとうに?」

 

「本当です。彼は優しい方です」

 

そう言ってラクスはまた少年に視線を向ける。

2人は互いの瞳を見つめ視線が交わるが、少年は口を開けはしない。

それでもラクスは笑みを浮かべて立ち上がり数歩歩く。

視線を動かすだけの少年の目の前に立つとまた言葉を続けた。

 

「よろしければお名前、教えて頂けませんか?」

 

少年はジッと動かない。

鋭い視線を彼女に向けるだけで数秒が経過して行く。

波の音が大きくなる中で、ようやく彼は自らの名前を口にした。

 

「ヒイロ・ユイ」

 

「ヒイロさん、良いお名前で。これからの予定は?」

 

「いいや、まだ決めてない」

 

「でしたら慰霊碑に行ってみてはどうでしょう? 少し遠いですが丘の上に作られてますの。アナタもプラントに住む人なら、1度行ってみるのも良い経験かと」

 

そう提案するラクスにヒイロは何も答えない。

振り返り丘の頂上を視界に収めると、長い時間居た砂浜からようやく動き出す。

礼も返事すらも返さないヒイロだが、遠く小さくなってく背中にラクスは笑顔で手を振った。

 

「機会があれば、またお会いしましょう」

 

///

 

戦争により破壊された街並みも今や復旧されており元のように活気に沸いて居た。

あの悲劇から2年、久しぶりに訪れたオーブは復旧に伴い知らない所が幾つもある。

新しく出来たベーカリーショップ、石畳の路地を住民達が大勢歩く。

さんさんと降り注ぐ太陽光。

海を眺めれば海水浴を楽しむ家族連れなども多く居た。

でも今は変化した街並みを見るよりも重要な事がある。

シンはフルフェイスのヘルメットを被りバイクに跨ると岬にある慰霊碑に向かった。

向かっている最中、海から吹く潮風が心地よくオーブに戻ってきたことを実感させてくれる。

 

(本当に戻って来たんだな。この場所に……懐かしさと同じくらい悲しみが残るこの場所に)

 

岬にある慰霊碑には戦争で亡くなった人々を祀るため、もう2度と悲劇を繰り返さないよう願いを込めて建てられた。

モビルスーツのビームにより姿を消した家族は髪の毛1本も残ってない。

故に墓参りは慰霊碑へ行くしかなかった。

そこへ行った所で遺骨はない。

名前も『先の大戦で失くなった人々』と一括りにされてるだけ。

でもシンにはここへしか行かなければ心の整理を付ける事は出来ない。

左手でクラッチを握りギアをシフトアップさせアクセルを吹かす。

加速するバイク、風が体へ強くぶつかって来る。

段々と近づいて来る岬、その慰霊碑には人影が見えた。

 

(こんな所に誰か居るのか?)

 

舗装された道路から砂利道に入るとブレーキを駆け減速する。

バイクを停止させると甲高くなるエンジンを止め、ヘルメットを脱ぎ慰霊碑に向かって歩く。

ここでシンは2人の男と出会った。

1人は花束を抱えており、もう1人は小柄な少年のように見える。

少年は慰霊碑に刻まれた文字をじっと見たままこちらには振り向く素振りさえない。

シンは音を立てないように彼らの後ろまで来ると、花束を抱えた男が振り返り優しさの漂う眼差しで見つめる。

 

「キミも花を供えに来てくれたの?」

 

「えっ!? えぇ……」

「ありがとう。ここは潮風で花がすぐに枯れちゃうんだ。時々来ては変えてるんだけどね」

 

「いえ、ここに来たのもたまたまなんで。次に来れるのは何時かわかりません」

 

「そうなんだ、じゃあこの人と一緒だね。この人もたまたま来たらしいんだ」

花束を抱える男はジッと動かない小柄な男へ視線を移す。

シンも釣られて視線を移したが、男は見向きもしない。

 

「この人は何でここに?」

 

「さぁ? 話し掛けてもあまり応えてくれないんだ」

 

「そうですか……」

 

「なら、僕はもう帰るよ。少し用事があるんだ」

 

言うと男は慰霊碑の前に花束を添えて、振り返りざまにシンと正面から向き合う。

ゆっくりと歩を進め体が触れるくらいまで近寄ると、また優しい笑みを浮かべた。

 

「また会えると良いね」

 

そう言い残しシンの横を通り抜けて行ってしまう。

慰霊碑には小柄な少年のシンだけになり、重苦しい空気が流れた。

知らない相手に流暢に話し掛ける程、シンも社交的ではない。

だが何もしないのも感じが悪かった。

慰霊碑の前に立つ少年の横へ並ぶとシンは横目でチラリと表情を覗く。

鋭い瞳に何が映ってるのかは誰にもわからない。

 

「お前はこの世界の事をどう捉える?」

 

「え? 俺に言ってるのか?」

 

「平和は戦争が終わった後の結果でしかない。確かに戦争は終わったが、今のようになってたとは限らない。それにまだ、今と言う時代に納得出来ないヤツは居る」

 

(この前のテロリスト。アイツらみたいなヤツが戦争の火を広げるんだ。コイツはその事を言ってるのか?)

 

「時代に相応しいかどうかを決めるのは民衆だ。その民衆が兵士はもう必要ないと叫んだら、お前はどうする?」

 

(俺は……)

 

「兵士は平和の為に戦う。平和が訪れた時、兵士はどう生きれば良い?」

 

「無口なヤツだと思ったけど、結構ペラペラ喋るんだな。そうだ、兵士は平和の為に戦うんだ。だから俺はこれからも戦い続ける。政治の事とか難しくてよくわからないけど、俺なりに思う事はある。平和は勝ち取るモノだ。誰かに頼るモノじゃない。その平和を維持するのも兵士の役目だろ」

 

「それがお前の答えか?」

 

少年はまた鋭い視線を向ける。

それに応えるようにシンも赤い瞳を少年へ向けた。

冷たい潮風の音だけが聞こえる。

 

「わかった。俺が進むべき道が」

 

風にかき消されるくらい小さな声で呟く少年。

2人は暫くの間、慰霊碑の前で立ち尽くす。

 

///

 

シンが少年と出会った数時間後、オーブは大西洋連邦と同盟を結んだ。

オーブの代表であるカガリは理念に反する行為だと会議室で叫ぶが、ここに集まった10人余りの議員にその声は届かない。

父、ウズミの意思を受け継ぎ理想を掲げるカガリだったか、経験の浅い彼女にこの決定を覆すほどの力はなく、数の上で圧倒されてしまう。

 

「今やるべき事はこんな事じゃない!! 戦争による被害の復旧はまだ完全に終わった訳ではないんだ。国家として優先するべきは――」

 

「代表、言いたい事は理解出来ます。ですが現実はそうではありません。宇宙ではまた動乱が始まったのです」

 

カガリの声を1人の議員が遮る。

彼もまた同盟を結ぶ事に賛成派の人間だ。

 

「以前のように戦火がオーブにまで広がる事は充分に考えられます。そうなってからでは遅いのです。軍備を整え拡大させるにも時間と予算か掛かります」

 

「だからそんな事をしてる場合ではないと言った。オーブは争いには関与しない、それが長きに渡り続いて来たこの国の理念だ」

 

「ですが理念で国民は守れません。侵略して来る相手は我々の言葉に耳を貸しません。もしもそうなった時、国民を如何にして守るのですか?」

 

「それは……」

 

カガリにもわかってた、目の前の議員が話す事は正しいと。

現状でオーブ近海で戦闘が起これば防衛出来るだけの力はまだない。

でも父の願いでもあるオーブの理念はどうしても守りたかった。

どちらも天秤に掛けて比べる事など出来はせず、カガリは歯を固く噛み締めながら苦悩するしかない。

 

「だが、以前起こったプラントでの戦闘は一部の過激派に過ぎない。ユニウスセブンも地球には落下せずに終わったんだ。だから――」

 

「だから同盟を結ぶ必要はないと? 国民にも、無事に終わったのだからこのままで良いじゃないか。とでも言うのですか?」

 

再びカガリの声を遮るのはユウナ・ロマ・セイラン。

薄紫の長髪を人差し指でくるくると巻きながら、まだ未熟な彼女を諭すように言葉を続ける。

 

「カガリ、今すぐに理解するのは難しいだろうけどキミは学ぶべきだ。敵対国はこちらの事情など考慮してはくれない。相手が攻撃に打って出た時、オーブはどのような行動するのか? その為の同盟だよ」

 

「だがそれは――」

 

「前代表が続けてきたオーブの理念には反する。それは僕だってわかってるよ。でも時代は変わったんだ。相手に理解を求めるだけでは自国の平和、安全は意地出来ない」

 

「っ!?」

 

ユウナの言葉に反論する事など出来ない。

唇を噛み締め自分の無力さを呪う事しか今のカガリには出来なかった。

 

「別に僕だって理念を無下にしてる訳ではないよ。でもソレとコレとは別問題だ。感情を切り離して考える必要がある。わかってくれるね?」

 

カガリはユウナの言葉に無言で俯向く。

それを肯定したと受け取り、オーブは時代の流れにより変わってく事となる。

 

///

 

連合はユニウスセブン落下に関与したテロリストの受け渡しをプラントへ要求した。

従わない場合、武力により敵勢力を排除すると。

だがこの事件の首謀者は戦闘により死亡してる。

他のテロリストの殆ども同じく戦死してしまった。

そもそもがプラントはこの事件に関係がないため要求に従おうにも無理である。

返事を出せないまま時間が過ぎてしまう。

連合軍はそれを知って居ながら無理な要求を突き出し、一方的にプラント、及びザフトを敵とみなした。

開戦。

連合軍とザフト、地球と宇宙は再び戦う事となる。

当然、連合と同盟を結ぼうとせんオーブも巻き込まれる形になってしまう。

連合軍と敵対するザフトはオーブに留まる事は出来なくなり、補給も間々ならないままミネルバはオーブ領海へ進路を取る。

故郷がまた戦火に巻き込まれるかもしれない。

そう考えるシンの心は穏やかではなかった。

頭の中には現代表であるカガリの顔が浮かぶ。

 

(結局また口だけか!! アスハめ!!)

 

パイロットスーツに着替えるシンは出撃の為にモビルスーツデッキへ走る。

ミネルバの出港を待ち構えてた連合軍は大部隊を展開し目前へ迫っており、後方は出港したと同時にオーブの部隊が展開された。

状況を把握するタリアは親指の爪を噛みストレスを押さえ付ける。

 

「オーブもやってくれるわね。連合との同盟はまだなのに私達を敵対視して来るなんて」

 

「どうしてオーブが?」

 

「それが政治と言うモノよ、アーサー。背中から撃たれないだけマシと思わないと。トリスタン、イゾルテをいつでも撃てるようにして」

 

もう引き返すことは出来ないタリアは肘置きを握り締めるとコンディションレッドを発令する。

ミネルバクルーへ激励の声を上げた。

「前方には地球軍の大艦隊が待ち構えてるが、これを突破する以外に活路はない。各員の持てる技術を全て引き出し勝利への道を切り開いて貰いたい。健闘を期待する」

 

艦内放送で全クルーにそう伝えミネルバも戦闘態勢に入る。

搭乗するモビルスーツを発進させるべくパイロットも各々の機体へ乗り込んだ。

そしてシンも新型モビルスーツ、インパルスで発進する為にシークエンスの終えたコアスプレンダーへ搭乗する。

コンソールパネルを叩きハッチを閉鎖。

両手で操縦桿を握り締め、通信士のメイリンから発せられる発進の合図を待った。

 

『カタパルト固定、水平を維持。進路クリア。コアスプレンダー、発進、どうぞ』

 

「シン・アスカ。コアスプレンダー、行きます!!」

 

カタパルトの先には青い空と海が広がるが、それを汚す火線が飛ぶ。

小型戦闘機であるコアスプレンダーのメインスラスターが火を吹き加速する。

コクピットのシンの体にGが掛かり慣性により背中がシートへ押さえ付けられた。

だが訓練を積んだ彼には造作もなく、ミネルバを飛び立つコアスプレンダーはオーブの領空から離れた場所を飛ぶ。

振り返る先には砲身を突き付けるオーブ艦隊が待ち受けて居る。

 

「退路はナシ、ってか。こんな事ならやっぱり帰って来るんじゃなかった!!」

 

悪態をつきながらも目の前の敵部隊を目視とレーダーで確認する。

シンのコアスプレンダーの発進に続きレイとルナマリアのザクも出撃シークエンスへ入った。

 

『レイ、ルナマリア、発進スタンバイ。ブレイズ・ザク、ガナー・ザクで発進』

 

「了解。レイ・ザ・バレル、発進する」

 

「ルナマリア、行きます!!」

 

バックパックを背負った白と赤のザクがカタパルトへ足を乗せる。

白のザクは背部に2基の大型スラスターを背負う事で機動力を向上。

右手に取り回しの良いビームライフルを握り、右足でペダルを踏み込み機体をジャンプさせミネルバの左側甲板へ着地させる。

ルナマリアの赤いザクは折り畳み式ビーム砲を抱え、背部にエネルギータンクを背負う。

レイと同じくメインスラスターを吹かせてジャンプし右側の甲板へ陣取る。

海上戦になる為、空を飛べないザクはミネルバを足場にして戦うしかない。

 

「ルナマリア、間違っても海へは落ちるなよ。敵の集中砲火を浴びるぞ」

「わかってる。レイもちゃんと仕事しなさいよ」

 

「言われなくとも」

 

レイとルナマリアのザクはミネルバの防衛に付き、空を自由に動けるシンのインパルスは単機で敵陣に斬り込む。

チェストフライヤー、レッグフライヤー、フォースシルエットと合体する事でモビルスーツへ換装するコアスプレンダー。

シンはバックパックからビームサーベルを抜きペダルを踏み込み機体を加速させ、ウインダムの大部隊へ攻撃を開始した。

「こんな事で、やられてたまるかぁぁぁ!!」




当時を思い出すとまだまだ下手だったと実感します。
比べれば上手になっただけで今でもまだまた足りない部分はたくさんありますが。
書き直すだけでも文章量が増えるので時間が掛かり気味にはなってしまいます。
次話も2、3日で更新したいと思います。
ご意見、ご感想お待ちしております。

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