機動戦士ガンダムSEED Destiny 凍て付く翼 作:K-15
もしかしたら見た事がある人も居るかもしれません。
大筋はそのままに文章表現などを変えて以前よりも上手になった文で書いて見ました。
地球への落下コースを進むユニウスセブン。
20万人以上が住むことの出来るこのプラントが地球に落下したときの被害は計り知れない。
政府プラント直属の軍事組織であるザフト軍はすぐに対策に打って出た。
ザフト軍の所属であるミネルバもまた、ユニウスセブンが地球への落下するのを阻止する為に駆けつける。
ミネルバに所属しているパイロット、シン・アスカと、偶然にも艦に搭乗する事になったアレックス・ディノはモビルスーツに乗り最後の破壊活動を行っていた。
艦隊からの砲撃、モビルスーツによる内部からの破壊活動も、そのあまりにも大きすぎる質量を前に苦戦を強いられている。
原型が崩れないまま地球へと迫っていくユニウスセブン、ミネルバのブリッジで艦長であるタリア・グラディスは苦汁の決断を迫られていた。
これ以上の破壊活動はミネルバの破損やクルーの安全を考えると、出撃しているモビルスーツも帰艦させなくてはならない。
続々と送られてくる戦況報告を耳にしながらも次に取るべき行動を思考するタリア。
艦長シートに座って、タリアはプラント最高議長のギルバード・デュランダルに自らの決断を言った。
「議長、これ以上はクルーにも危険が及びます。無念ではありますがここは撤退を」
「そうか、悲劇はまた繰り返されてしまったか。なら後の事は君に任せるよ艦長。私はこれからの事を考えなくてはならないようだ」
ギルバードは静かに目をつむり、ブリッジから踵を返す。
無重力空間での移動で肩まで伸びた長髪が揺れる。
エアロックが解除され圧縮されたエアーが抜ける音が鳴り、ギルバードはブリッジから出て行った。
音だけでギルバードがブリッジから出て行ったのを確認したタリアは、すぐに通信兵に命令を伝達させる。
「メイリン、出撃しているパイロットに帰艦命令を。本艦はユニウスセブンの破壊を放棄し、そのまま大気圏へ突入します」
「了解しました」
通信管制を担当するメイリン・ホーク、赤毛のツインテールが特徴の10代半ばの彼女も、ミネルバの正規クルーである。
耳に付けたインカムのマイクに声を発し、出撃中のモビルスーツにミネルバに戻るように通信を送った。
「ミネルバから各機へ。これより本艦はモビルスーツを回収後、大気圏に突入します。撤退を始めてください」
ミネルバから出撃しているモビルスーツは4機、その内の2機のザクからはすぐに応答が返って来た。
白い色をしたブレイズザクファントムに搭乗するレイ・ザ・バレル。
赤い色をしたガナーザクウォーリアに搭乗しているルナマリア・ホーク。
レイは通信を返し、共闘しているルナマリアにも声を掛けた。
「了解した、帰艦する。ルナマリア」
「わかってるわよ。でもこんな……」
目の前に見えるユニウスセブンはまだまだ破壊には程遠い。
時間も足りない、人員も足りない、資材も足りない。
さらにはテロリストの反抗によりただでさえ少ないのを削られてしまった。
ルナマリア1人でどうにか出来るモノではないが、地球に落ちるのを見る事しか出来ない状況に悔しさがにじみ出る。
「出来るだけのことはした。もう諦めるしかない、すぐに帰艦するぞ」
「くっ!! 了解」
ルナマリアはザクに装備されているオルトロス砲を構え、最後に1発だけユニウスセブンに放った。
通常兵器よりも大火力であるにも関わらず、ビームはユニウスセブンに消えていく。
もうすでにこの巨大な物体を止める術などはない。
それでもまだ諦めていない男が1人居る。
『ミネルバは大気圏突入シークエンスに入ります。全機帰艦してください』
ミネルバから通信が入るもアレックスは破壊活動を止めて戻ろうとはしなかった。
「ミネルバに戻りますよ!」
「だが、まだユニウスセブンは破壊出来ていないんだぞ!!」
破壊活動を続けるアレックスのザクに、インパルスに搭乗するシンも呼びかけるが、それでもまだ止めはしなかった。
大気圏突入の姿勢に入りながらも、地球への被害を減らそうとミネルバは攻撃を続けるがそれでも微々たるものでしかない。
主砲でユニウスセブンを破壊しながら進むミネルバに2人は一向に戻ろうとはしない。
「艦長!! シンとアレックスさんがまだ戻っていません!!」
飛び交うビームとミサイルの雨、砕け散るユニウスセブンと飛び散る残骸がミネルバにぶつかって来る。
損傷はしないが、残骸がミネルバに雨のように当たる度にすさまじい轟音が鳴り響き、メイリンは叫び気味にタリアに報告した。
「インパルスには大気圏突入装備があるから心配いらないわ!! それより周囲の破片の警戒を!!」
タリアも大声で叫び返さないとメイリンまで声が届かなかった。
地球に近づくミネルバは次第に引力に引っ張られて行く。
返って来た返事に、今のメイリンには2人の無事を祈るしか出来ない。
「シン、アレックスさん。ちゃんと帰って来てね」
引力に引っ張られるデブリは真っ赤に発熱して燃え尽きる。
ユニウスセブンからこぼれ落ちる残骸も地球の引力に呑み込まれて行く。
情報も錯乱し、もう止められないユニウスセブンを諦め自身の生存の為に動いている者が大半だ。
そんな中で流星が通り過ぎて行った事に気が付いた者はいない。
刻一刻と地球へ迫るユニウスセブンにシンとアレックスはまだ居た。
「これ以上は無理です!!」
「だが、これでは地球が」
「こっちも焼け死んじゃいますよ!!」
開発されたばかりの新型モビルスーツ、インパルスとザクウォーリアはまだユニウスセブンに残っていた。
引力に引っ張られ、メインスラスターを吹かしても宇宙へは戻れない。
周囲の景色も断熱圧縮の熱で赤く変わってきていた。
内部から破壊するために来た他のモビルスーツ達は皆、既に見切りをつけて脱出してしまっている。
それでもザクに搭乗しているアレックスはまだここから離れようとはしない。
だが今までの戦闘でザクの左腕は破壊されてしまっている。
片腕のないモビルスーツでは満足に動かすのもやっとでこれ以上の行動は出来ない。
残ったマニピュレーターが握っているビームライフルのトリガーを引きユニウスセブンへ撃つが、着弾したのも確認出来ないくらいに真っ赤に発熱していた。
そしてビームライフルのエネルギーも底をつき、トリガーを何度引いても銃口からビームは出ない。
「ここまでなのか」
手段がなくなり、握っていたビームライフルを投げ捨てた。
しかし今からではミネルバに帰還する事は不可能。
距離も離れすぎているし、引力を振りきってミネルバに行くだけのエネルギーも残っていない。
「クソ、ここからじゃミネルバに追いつけない。シミュレーションでやったけど行けるか?」
新型のインパルスは従来のモビルスーツとは違い、換装やオプションパーツがなしでも単独で大気圏突入が可能である。
だがシンはインパルスに乗って日が浅いせいで、実戦で試した事はない。
一抹の不安が頭によぎるが、インパルスはザクの腕を掴みメインスラスターを吹かして無理やり移動を始めた。
このままここに居たのでは地球の引力に引っ張られ大気圏で燃え尽きるだけだ。
インパルスに連れられてユニウスセブンから離れていくザク、目の前には青い水の惑星が広がっている。
シンとアレックスはミネルバに続いて急いで大気圏突入に姿勢に入った。
機体の姿勢を整え地球の引力に引っ張られるようにして進んで行く。
そのすぐ隣には破壊出来なかったユニウスセブンの巨大な姿が目に映る。
「くっ!! 何も出来ないで」
アレックスは苦虫を潰したような表情を浮かべながらもザクの姿勢制御に集中した。
断熱圧縮により視界に映る映像が赤みが掛かって来ている。
次第に悪くなっていく視界の中でシンはインパルスの操縦に集中していたが、不意に自分達の隣を何かが高速で通り過ぎて行った。
「あれはモビルスーツ?」
はっきりは見えなかったので機種まではわからなかったが、背部に羽を付けた人型のモビルスーツがユニウスセブンへ接近して行く。
大気にかき消されていくそのモビルスーツの残光を見ながら、シンは地球の故郷を思う。
2人は地球へ落ちるユニウスセブンをただ眺めていることしか出来なかった。
そのモビルスーツは白い装甲を真っ赤に発熱させながらも、羽と背部のスラスターを吹かしてさらに加速する。
量産機ならこの段階まで来ると様々な異常が発生するが、このモビルスーツはまだ耐えて、ついにはユニウスセブンを追い抜いてしまう。
機体を反転させ、地球に向かって背中を向けメインスラスターを全開にし機体の落下スピードを少しでも押さえようとする。
左手には巨大なライフルが握られ。それを前方に構えた。
地球に落下する衝撃で銃口が震えて定まらないが、機体に備わっているシステムとパイロットの技量で、一切の狂いもなく照準は合わさる。
『ターゲットロックオン。破壊する』
落下するユニウスセブンの頂点に狙いを定め、パイロットは迷いなくトリガーを引いた。
///
「各員、衝撃に備えて!!」
タリアが指示を出すよりも早くに衝撃波がミネルバを襲う。
艦体が傾き、彼女は自分の座っているシートに何とか這いつくばり目を開けると、そこにあるはずの物が跡形もなく消えていた。
それは誰の目にも鮮明に記憶される。
数秒前までそこにあったユニウスセブンが完全に消滅した。
無事に地球へと降下したミネルバだったが、ブリッジに居る誰も言葉を発することはない。
単独で大気圏に突入したインパルスとザクにもその様子は見て取れた。
「何だったんだ今のは……ユニウスセブンはどうなったんだ?」
突然の出来事にシンもまた状況を把握出来ないでいる。
無事に単独での大気圏突破に成功したインパルスだったが、破壊による衝撃波でアレックスが乗るザクを手放してしまい離ればなれになった。
幸いにも地球に降下してからだったので燃え尽きる事はないが、損傷して武器もない機体でもしも敵と戦闘にでもなれば生き残る道は険しい。
混乱する思考の中で地球に下りたシンは急いでアレックスのザクを探すが、その目に見えたのは1機のモビルスーツだった。
『任務、完了』
地球に降下したミネルバ艦内は慌ただしく動いていた。
周囲の海にはユニウスセブンの残骸がチラホラと浮いている。
この程度の被害で済むなど誰も想像すらしなかっただろう。
そんな中タリアは単独で降下したシンとアレックスに連絡を取るようメイリンに指示を出す。
「シンとアレックスさんとの連絡はどうなったの?」
すぐにタリアに返事を返そうとしたが衝撃波による揺れにより体の節々を少し傷めてしまった。
それでも振動から体が慣れ始めたメイリンはすぐに現状を報告する。
「依然、2人からの応答はありません」
「そう、なら周囲の索敵も急いでちょうだい。2人を早急に見つけて救援に向かいます」
そんな中でギルバード・デュランダルも目の前で起こった事実について考えていた。
誰も口には出さないがミネルバのクルー全員が気になっている。
それを確かめるために安全な自室からブリッジへ向かった。
ブリッジの扉を開けるとクルーは一斉に起立しギルバードに向かって敬礼をした。
「議長、お怪我はありませんか?」
「いや、問題ない。それより艦長、先ほどの事をどう思う?」
ブリッジに居るクルー全員が聞き耳を立ててその様子を見ようとする。
「先ほどのことと言うとやはりユニウスセブンが消滅した事について、ですよね?」
「あれだけの質量を一瞬にして破壊するだけのエネルギー、地上から放たれたのだとしたら相当巨大な兵器と言うことになるがそんな情報はない」
いくつか挙げられた候補はいずれも確証もなくユニウスセブンが消滅した理由はまだ分からない。
落ち着きを取り戻しつつあるブリッジに同じくミネルバに搭乗していたオーブの首相、カガリ・ユラ・アスハがやって来た。
ブリッジにツカツカと歩いてくると少し高圧的にデュランダルに話す。
「議長の方こそなにかご存知ではないですか? ザフトの新型ではないのですか?」
ギルバードは驚いた素振りであたかも今気がついたかのようにカガリを視線に入れる。
「姫、いらっしいましたか」
「質問に答えてください」
「ザフトにあれを破壊できるほどの兵器はありませんよ。もしかすると連合の新型かもしれません」
「それは信用してもいいのですか?」
「本当に連合軍の兵器かどうかまでは分かりませんがザフトではありません。これは信用して頂きたい」
デュランダルの相手を見透かすかのような態度と感情を表に出さない表情にカガリも今は彼の真意が悟れないで居る。
「わかった。けれどいずれにしてもあれほどの兵器はオーブにとってもザフトにとっても脅威になる」
「仰る通りです。ユニウスセブンにはすぐに調査部隊を派遣させますので」
カガリは1度は納得してこの話を切り上げたが完全に信用はして居なかった。
だがこの世界に居る誰もがまだこの答えを知るものは居ない。
////
「大丈夫ですか?」
無事に地球に降下したシンはアスランと行動をしていた。
「あぁ、だがこれでは満足に動くこともできない」
先ほどの戦闘で損傷したアスランのザクは今、インパルスに支えられながら空を飛んで居る。
しかし、インパルスのバッテリーも限界が近い。
「早くミネルバを見付けないと沈んじゃいますからね」
「そうだな、だがさっきから通信が繋がらない。これじゃ目視で探すしかない」
ユニウスセブンの破壊したときに膨大なプラズマが発生し通信が出来なくなっている。
2人が接触回線で話をしていると機体のレーダーに反応があった。
「ん、反応があった」
「たぶんミネルバでしょう、よかった、これならなんとか持つぞ」
安堵する2人レーダーの反応はミネルバではなかった。
2人はここで異物と遭遇する。
///
メイリンは索的班からの情報を読み上げる。
「艦長、索的班からの報告です。レーダーにモビルスーツ3機反応あり、です」
「3機、もう一機はいったい?」
大気圏突入に伴いインパルスとザク以外の機体はすべてミネルバに収容した。
他部隊の機体も単独で大気圏に突入出来るだけの性能を持っている機体はそう多くない。
それに通常ならば地球へは降りずまだ宇宙に残って居る。
(他の部隊の機体が混じったとは考えにくいわね。敵なのか、それとも……)
疑問が頭で渦巻きながらも声を張り上げ指示を飛ばす。
今はシンパルスとザクを回収するほうが重要だった。
「進路変更、目的地海域B-296。で、よろしいでしょうか議長?」
「あぁ、シンくんとアレックス君を迎えにいかなくては。それにもう1機も気になる」
姫もですよね、とギルバードは無言でカガリに示す。
「あぁ、そうだな!!」
カガリは上ずった返事を返した、アスランの正体をばらさないためにも自分からはあまり言わないようにして居る。
見ただけで様子がおかしいとわかるが彼女にはこれが精一杯だった。
カガリのウソが下手というのもあるがギルバードはすでにアスランに気づいて居る。
「あの機体は!?」
シンは視界に移るあの機体は地球に下りるときに見たモビルスーツだと見てわかった。
まだ敵か味方かもわからないがあのようなモビルスーツはデータにない。
左手に巨大なビーム砲らしきものを持ったそのモビルスーツはこちらを見たまま動こうとはしない。
蛇に睨まれた蛙のように動けないシンだがアスランは冷静に対応する。
「何かはわからないが敵だとしたら不味い。こちらは満足に動けないんだぞ」
「わかってます。気になるけど1度ミネルバに帰艦しますよ」
シンは距離を開けながらここから離脱しようとする。
残りのエネルギーを気にしながらインパルスはザクを連れてミネルバに飛ぶ。
///
インパルスが謎のモビルスーツの空域から離脱してミネルバに向かって来る。
損傷したザクを支えながら飛ぶその姿を見てタリアは言う。
「インパルスとザクの収容準備をするようマッドに伝えて。本艦は2人を収容した後、アンノウンに接触を試みます。レイとルナマリアに出撃の準備をさせて」
カガリはブリッジのモニターに映し出される映像をジッと見てる。
損傷してはいるが無事に戻ってきたザクを見て安堵の息を出した。
「よかった、2人とも無事で」
「アレックス君が、ではないですか?」
すぐ傍に立つギルバードは嫌味のように言うと同時にカガリはまた冷静さを失う。
「そっ!? そんなことはない!! 全員無事に生きているほうが良いに決まっている!!」
そう言いながらカガリはユニウスセブン破壊作戦の出撃前にシンと言い争いになった事を思い出して居た。
ギルバードは彼女の考えを見透かすように言葉を続ける。
「たしかインパルスのパイロットのシン・アスカ君はオーブのご出身でしたね」
ユニウスセブンの落下を阻止する為、シンが出撃する前に言われたことが胸に残る。
2年前の戦争でオーブ国内でも多くの人が死んだ。
今は国家元首となったカガリはこの責任を取らねばならない立場にある。
だがその術を彼女はまだ見いだしていないし、激昂するシンを相手に冷静に対処出来る程に大人でもなかった。
オペレーターのメイリンの声がブリッジに響く。
「インパルス、ザク収容しました。パイロットは両名とも無事です」
「これより本艦はアンノウンと接触します。総員警戒態勢に入れ、モビルスーツ部隊は迎撃準備」
インパルスとザクを収容したミネルバは全集域に通信を出しアンノウンに接触を試みる。
メイリンはタリアの命令を受け、インカムに声を出しアンノウンに呼び掛けた。
「こちらはザフト軍ミネルバである。応答し所属を言いなさい」
『……』
待つこと数秒、アンノウンから応答はない。
タリアは相手を動きを読めない事に焦りはせず冷静に次にどうすべきかを考える。
けれども副艦長のアーサーは汗を流しながら不安になりタリアに詰め寄った。
「やはり危険です、動かれる前に攻撃したほう――」
「相手から応答はあった?」
アーサーが最後まで言うまでにタリアは無視してメイリンへ話した。
「いいえ、アンノウンからの応答はありません」
「もう1度試してみて」
「所属不明機、こちらはザフト軍ミネルバである、応答し所属を言いなさい。繰り返す、こちらは――」
///
『所属不明機、こちらはザフト軍ミネルバである、応答し所属を言いなさい。繰り返す、こちらは――』
通信の途中にもかかわらず何も言わずに回線を切る。
「俺には関係ない」
両手で握る操縦桿を操作すると人型のモビルスーツが鳥のようなフォルムに一瞬で変形した。
白い翼を広げメインスラスターから大出力の推進力を生み出し、空気を切るように加速すとミネルバのブリッジ部分をかすめるように飛んで行く。
///
「通信、途絶しました」
メイリンからの報告で次の行動を考えるタリア、するとアンノウンに動きがあった。
こちらに目掛けて飛んで来るそのモビルスーツは鳥のようなフォルムに変形をし一気にスピードを上げて飛んで来る。
アーサーは攻撃してくるのではと情けなく震えて艦長シートの後ろへ隠れた。
だがアンノウンは攻撃はせず、大空へ青白い炎の影を残してブリッジをかすめるようにして飛び去って行く。
「一体、何だったの?」
ブリッジのクルー全員がそう思いながらアンノウンが飛び去った方向を見た。
そこにはシンの故郷オーブがある。
ご意見、ご感想お待ちしております。