今現在バトってます相手13歳俺11歳2歳差ですが、ぶっちゃけ余裕すぎて笑えてくる。
相手の名前はモブゥ名前からしてモブキャラで覚える価値すらない。
これは別に喧嘩じゃないよ、体術の授業の一環で組み手してるだけだし。
「ちょこまか動くんじゃない!」
モブゥのすっとろい上段蹴りを伏せるように避け、そのまま足の下を潜り抜けて背後に回る。
振り向きざまの裏拳をバックステップでかわし距離をとる。
モブゥの悔しそうな顔がたまらない。
「無駄無駄ぁ」
「クソっ! 真面目にやれ!」
怒りの形相で顔を真っ赤に染めて真っ直ぐに俺に向かって来る、直線的で鈍臭い踏み込みに欠伸が出そうだ。
身長や体重もモブゥの方があるためリーチは俺よりあるがどうって事はない、当たらなければ意味がないし、力も速度も俺の方が勝っている。
打ち下ろしの拳打を半身で避け、打撃は当たらないと悟ったのかあからさまに掴みにかかってきた。
掴みかかってきた右手を払いのけ、胴に手加減した前蹴りをかます、一瞬モブゥは怯むも果敢に突進、突っ込んで来る馬鹿の攻撃など容易く読めるのだよ。
先程と同じように俺を掴みにかかる、右腕を伸ばし俺はそれを払をうとした際にモブゥが右手を引っ込め、左の打撃、フェイントのようだけどバレバレなのだよ。
打撃を回し受けの要領で受け流す。
力だけでは勝てない事を知るがいい。
「貧弱貧弱ぅ!」
「馬鹿にしやがって!!」
「ふっはははは!」
とうとう怒りがマックスになったのか大振りもパンチしてきた、それをしっかり目で追い、伸びきった腕をかいくぐり懐に入り、顎に若干力を込めた打ち上げの掌底をぶちかます。
仰け反ると脳がいい感じに揺れたのか、モブゥがぐらりと揺れ倒れそうになる、隙だらけの状態になった。
チャンスだ、我が拳をくらうがいい。
腰を沈ませ腕を引き力を溜める。
「うーむぅぅ! 貴様はチェック・メイトにはまったのだッ! 死ねぃ!」
思わずテンションが上がる、がら空きのボディに渾身の力を込めた直突きをぶち込もうとした瞬間、何者かに手を掴まれた、いつの間に速すぎる。
「何が死ねだ馬鹿者!」
「しぇんしぇい……」
「アルベル! 何度も言ってるが冷静に行動せんか!」
「充分冷静だったと思うんですが、さっきもモブゥの攻撃も全てかわしてましたし」
「そう言う事を言ってるんじゃない! 調子に乗るクセを治せとい言っているんだ! 罰として腕立て100回腹筋100回今すぐやれ!」
頭に先生の拳骨が落ちる。
結構な痛みで涙目になる俺。
「……ういっす」
確かに調子に乗りすぎたようだ反省せねば。やり過ぎたぜ。
日頃からクラピカのパパさんとかにボコボコにされているから、ストレス解消にしてしまった。
最近は同世代のガキ共には負けないぐらいになっている、それと体術のみならクラピカにも勝てる、クルタ二刀流を使われたなら負けるけどね。
俺もクルタ二刀流使えるが、クラピカとの差は広がりっぱなしだ、武器を使ったら素手と違って間合いの取り方や体の動かし方まで変わってくる、いまいちそれに順応できない、つか才能がない。
体術は先生や稽古を付けてくれる大人にはまだ勝ちが遠い、最近やっとクラピカの親父(超手加減、念なし)に触れれるようになったけど、所詮そこまでだ。
壁が高すぎる、念の前に基礎を覚えないと糞ってのは理解したが、流石に悔しい鍛錬あるのみか。
罰の筋トレを終了したと思ったら先生が組み手の相手に俺を選んだ、必死の抵抗虚しく簡単にしばかれた。
やり過ぎでしょ、子供相手にいかんでしょ。
体のアチコチが痛い、骨は折れていないけど痣が出来ている。
早くクラピカに貰った薬を塗らねば、湿布臭いけど割と効くから重宝してる。
痛む箇所を確認していると、クラピカが俺に近寄って来た。
何か呆れた顔をしているが気にしない。
「やりすぎだよ」
「反省してるって、後でモブゥにも謝っとくよ」
「ハァ……」
「何だよ、ため息なんか付いて」
「何でもない……、薬塗ってあげるから服脱いで」
「自分でやるからいいって」
「いいから早く」
最近やたらお節介になってきたな、原作でもそうか微妙なダメ人間風の初期のレオリオに世話焼いてたしな。
ムリヤリ脱がされそうだったから自分でサッサと服を脱ぐ。
子供なのにムキムキの引き締まったボディだぞ、見て魅了されな。
「相変わらず頑丈な体だね」
そういながら優しくポンポンと俺の背中を叩く。
「鍛えてるからな、それにこれぐらいクラピカ特性の塗り薬使って寝たら、明日には治ってるし」
「ふふっ、あんまり無茶しないでよ」
何嬉しそうにしてんだよ気持ち悪い奴だな。
俺が肉食系男子だったらボコボコにしてたぞ。
「はいもういいよ、ちょうど薬がなくりそうだし補充しとくから僕が持って帰るよ」
「ありがとう、さてもう帰るか腹減ったしな」
「うん」
こんな感じで日々を過ごしてる、脳天気と言われたらそうかも知れないが打つ手がないんだからしょうがない、来るべき日まで出来る事は少ないのだ。
街までの道のりはわかった事はいい事なんだけど、悲しい事に集落から街に逃げ出すのが無理ってのがわかったのだ。
伊達にクルタ族が秘境に隠れ住んでる訳ではなかった。
たった一度だけ、クラピカの親父さんに頼んで大人達と一緒に街の用事にくっついて行ったけど。
道のりがあまりにも険しい、街に付くまで猛獣や魔獣に数回出くわすし、体力的にも厳しいのだ。
3日間山超え谷超え歩き続けねばならん、途中に魔獣などを警戒しながら交代を挟んで休憩仮眠を取りながら街まで進む、一人では100%無理だ街まで辿り着く前に死ぬ。
街並みも覚えていない、街に着いたら体力の限界でぶっ倒れ、挙げ句の果てに大人達の用事が終わり、集落に帰る頃に目が覚めるといった失態をしてまった。
情けない事だが帰り道は大人達が俺を代わる代わる背負ってくれた、お荷物にもほどがある。
クラピカが11歳になってもう3ヶ月すぎた、恐らく旅団襲来まで一年ないだろう。
その期間体力作りのみに励んでもギリギリだ、だがクラピカストーカー作戦より確率が高いかもしれない。
どうする決行するべきか? 明らかに不可能なレベルだが悩むどころだ。
もう時間がないな、こんな時こそ冷静になるべきだ混乱して空回りしてバッドエンド一直線はマズい
失態が多すぎる
一つは念を覚えられなかった事、これはかなりデカい念は身体能力の底上げが出来るこれさえあれば街まで逃亡作戦が楽になっただろう。
二つめは環境に慣れ、クルタ族の皆に情が移りすぎた事だ、感情てのはどうしようもない、頭では見捨てる事前提で進めてるが、如何せん罪悪感がかなりある、人間非情になるのは意外と難しい。
実際クルタ族が皆殺しされた時、この目でそれを見たらどうなるか自分でもどうなるかわからない、想定外な事が起きる可能性もある。
3つめはクラピカと予定以上に仲良くなりすぎた事だ、二つめの失敗と似てるが意味合いが全然違う。
ストーカー作戦の後、俺とクラピカが生き残れば、クラピカは原作通り蜘蛛抹殺に人生の大半を注ぐだろう。
人生どこか命さえ捧げようとしている。
そんなデンジャーな奴に付いて行くつもりはないし、物語の原点【ハンター】になるつもりもない。
クルタ族同様にクラピカは見捨てる気満々だったけど、今は実際そうなったら見捨る事が出来るかどうかはわからない。
甘いと思うかもしれない自分でもそう思ってる、だがどうも感情が爆発しそうな感じだ。
これは鍛錬でもどうにもならん、精神面は人間鍛えようと思っても難しいな。
まぁなるようになるか……。
次の話しから物語が進展していきます。