復讐者の仲間のような感じの人   作:345

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外伝主人公がちょっとだけあれじゃない感じになります。


外伝4もう1人の転生者その名は?

全てが終わった。

凄まじい脱力感だ、もう足元フラフラ。

自分の計画は無残な結果に終わったのだ。

ユリアンちゃん、いやユリアン君だった何ておかしいよ。。

あの時ヒソカが何かを言わなかったのは知ってたが、まさかこんな大事な事だとは思ってなかった。

はめられた、嵌められた。

まだハメた事ないのにハメられた。

泣いたね、人知れずワンワン泣いたよ。

 

真実に気付いたのは、自分がユリアン君の保護者になるために、ハンター権限を使いまくり、ユリアンの親から受け継いだ遺産目当ての親戚、金目当ての亡者共をハンターの権力&腕っ節で蹴散らしてやった。

仕舞いには殺し屋とか雇って来る始末、無論返り討ち&仕返しでこの世からバイバイして貰った。

うまく事が運び、ユリアンを自分の弟子にして自分が保護者になってそれに気付いた。

色々面倒だったけど必要な書類を役所に行き書類に目を通していると、性別の欄が♀ではなく♂になっていた。

目を疑ったよ、瞼が千切れるのではいのかと言うぐらい瞼をゴシゴシした。

何だコイツみたいな目で自分を見ている職員何か構っている余裕なんかある訳ない。

自分が茫然となっている隙に仕事に取り組みチャチャーと作業を進めて何か終わってた。

 

溜め息しかでない、自分の目の前で眠る男児ユリアン君が寝息を立てている。

どうした物だこの糞餓鬼、この胸のモヤモヤを晴らすためにこのまま捻り潰して永眠させてやりたいが、僅かに残っている、自分の良心がそれを止める。

子供を殺すような事なんか比較的善人である自分には出来ないけど、どうしよう、この若さである意味子持ちだぞ。

童貞が子育てしちゃいかんでしょ。

まず子供作る行為すらしたことないのにどれだけ段階飛ばしてるんだよ。

駄目だ泣けてくる。

ユリアン君の面倒を見出してから数週間立つが、未だに寝ているユリアン君のそばにこうやって座って色々葛藤している。

漫画で出てくるようにムニャムニャとユリアン君が言うと目を覚ました。

 

「おはようございます」

 

自分を見ると無邪気に目ぼけ眼で挨拶してくる。

ちなみに今は小さいがマ借りたマンションの一室に住んでいる。

本来なら将来有望な幼女とキャッキャッウフフみたいな感じで楽しい未来を想像していたけど。

 

「おはようございます?」

 

返事しない自分に顔を傾けもう一度挨拶してくる。

自分も適当に相槌を打ち、特に会話もする事なく最近日課となっている朝食作りを始める。

料理なんか出来ません、パンを焼いてチーンよ。

後はオレンジジュースとサラダこれで完成、朝食が出来た事を知らせ一緒に食べる。

ユリアン君の服装はパジャマである、男だがピンクを着ている、私服も女の子が着るような物ばっかりだ。

ユリアン君がここに来る前に用意したからユリアンちゃん用しかない、買いに行くのも面倒である。

特に嫌がる事なく着ているし、つか凄い似合ってる違和感ないもん、こりゃ騙されるわ。

モグモグとハムスターの如く食べている、最初の内は子供らしくない上品な食べ方していたが注意してやった。

ぶっちゃけしゃくに障る、生まれの違い漂う金持ちの気品って言うのか、それがウザくてしょうがなかった。

自分のガキの頃なんて悲惨すぎたからな、決して僻みではない、自分に合わせろって事よ。

 

「今日はどうするんですか?」

 

朝食を食べ終えゆっくりしているとユリアン君が俺に話しかけて来る。

当初は結構自分に脅えている感じだったけど、それが少しマシになって来た。

それでも自分に気を使っているのだろ、一々何をするにしても自分のご機嫌を取るような態度で接して来る。

何度も言うがガキらしくない態度にイラつくが、自分もコミュ力0人間だ、どうしていいのか全く分からない、だから放置だ。

 

「あ、あの……」

 

返事しなかったらユリアン君が困っている。

自分は自宅学習していないさい、と言うとコクリと頷き、あてがった部屋の一室に入って行った。

認めたくないがユリアン君は天才である若干7歳の癖に学力は自分より上だえろう。

だって自分は分数の掛け算すら危ういもん。

そんな事はどうでもいいこれからどうするかだ、本音を言うならガキの面倒なんか見たくないし、自分の事で精一杯なのに他人の事に構っている余裕なんぞない。

どこぞの施設にでも預けるか、自分がお仕置きした金目当てだった生き残りの親戚共に返してやるのもありだ。

ユリアン君に一切情なんかないし、もう自分の興味から外れている、何が嬉しくて男何か育てないと行けないのだ。

寧ろ自分は美しいお姉さんに養われてヒモ生活送りたい。

まじでため息しかでない、ちょっと前の自分なら完璧な作戦が色々思い付いたが、何も出て来ない。

無気力だ、いっそヒソカのバトルロードに付き合ってた方が暇つぶしになる。

やっぱりそれはない、今ヒソカとの修羅の道を歩む姿を想像しておしっこちびりそうになった。

そういえばヒソカからの連絡が減ったな、何か遠出してるらしく、しばらくは1人で行動するとか。

本当あいつ死んでくれないかな、あれが死んでも誰も困らんでしょ。

喜ぶ人間は間違いなくここに存在してる、でもあの化け物が死ぬ姿が全く想像出来ないんだよな。

 

「ごめんなさい……」

 

ユリアン君が部屋から出てきて何か謝ってくる、おどおどしてるし、顔まで真っ青だ。

コイツ何しでかしやがった。

自分は馬鹿みたいに冷え切った視線を向けどうしたのかユリアン君に問う。

 

「ごめんなさい……、ごめんなさい……」

 

どうしたものか、今にも泣きそうだ。

目に涙を溜めて小さく震えている。

なぜか軽くパニックになる、子供の泣き顔何て卑怯だろ。

もうどうしていいのかさっぱり分からない。

とりあえず必死でどうしたのか聞き、何が起きても怒らない事を言い落ち着かせる。

理由を聞くと勉強で使ってるノートがなくなっていたとか、慌てて探したけど見つからないらしい。

ごめんそれ自分だ、ユリアン君の寝ている間にどんな勉強してるのか気になってノートの中身を見て、内容の難しさにイラつき窓からポイーしてやってんだ、ウッカリ忘れてた。

真実は秘密にしてユリアン君にはそんな事気にすんな、今日は勉強何かせずに遊びに行こうとみたいな事を言ってごまかして誘う。

涙目で頷くユリアン君を急がせ一緒に外に出る。

特に用事がないのに外をぶらつく何か初めてかもしれない、何も考えずに歩いているとすぐ隣にいた筈のユリアンが結構後ろからちょこちょこと駆け足で追ってくる。

なんだありゃゼンマイ仕掛けの人形か、うーむなかなか滑稽で面白い。

しょうがない待ってやるよ、足を止めて待っているとユリアン君が自分の隣まで来て顔を上げ自分の顔を見て安心したように笑った。

あざとい、あざといぞー、この笑顔自分でなかったらコロリとやられている。

確かに人に笑顔を向けられた経験何て我が弟のヒソカからぐらいの物だ、ただあいつの笑顔は悪意に満ちている。

この糞みたいなやり取りを3回ぐらい続けてやったが、何かアホらしくなって来た。

今はユリアン君も警戒したのか自分の紫色のスーツの端っこをちんまりと握っている、結構な力で握ってるんだろう。スーツにシワが出来まくっている。

その粋やよし、気に入った、今日は良いもの喰わしてやる。

 

はいそんなこんなんあり、ユリアンを預けるアテを探した結果、いいのが一つ見つかった。

ハンターの1人が孤児院を作っているらしい、ジッパーだっけ、自分と同じブラックリストハンターの人にちょいと情報を仕入れた。

偶然協会に出向いた所でばったりと合い、ちょっと話してる内に聞き出した。

聞き出しと言ってもストレートに聞いただけだ、「子供とか預ける、施設とか知らね?」ってな具合に、驚いていたけど深くは聞いて来なかった。

それだけ聞いてポイーよ、何か仕事の話しをして来たけど、知った事ではない。

ハンターの仕事もやりたくないんだよ、今まではヒソカとの付き合いでたまたまこうなっただけで仕事なんかしたくはないんだよ、ニート万歳。

 

で、今はユリアン君を連れて施設まで連れて行っている最中だ。

ユリアン君はずっと下を向いてる、泣き出しそうな訳でもなくただ耐えるような顔。

相変わらずガキらしくない、自分何かと一緒に暮らすより施設で健全な生活を送った方がマシだろう。

それに施設のオーナー?って言うのか知らんがそのハンターとちょっと会ったが悪い奴ではないっぽい。

遺跡ハンターとかいう、自分の中では何が楽しいのか分からんハンターだ。

バレチノだっけ、体も2メートルぐらいあってムキムキ、性格も豪快なじいさんだったな、ありゃ結構強いわ、伊達にアホみたいに闘ってきた訳じゃない、ある程度なら相手がどれぐらいやれるのかぐらいわかる。

何で遺跡ハンターの癖に強いのかは謎だ。

ちょっと説教臭いのはうざかったが、しょうがない一度は自分預かりになったユリアン君を施設送りにするのだ、多少の説教は受けて立とう。

男の言葉なぞ右から左よ。

しかし人に説教されたのも初めてだったな、ヒソカ以外に自分にここまで強引に接して来た人はいない。

ジッパー、あれはよそよそしいんだよな、自分もあんなイカれたヘアースタイルの奴に興味ないからどうでもいい。

そんな事考えているとユリアンが自分の手を握ってくる、強く握ってくる手は汗ばんでいる。

どうせこれで最後なんだし、自分はそれを放置した。

小さな本当に小さな手だ、その気になればこんな昆虫みたいな子供の手何て簡単に握りつぶせるだろう。

だからどうしていいのかわからんかった、初めてだったからかもしれない、誰かを傷つけない手加減、安心するような力の加減なんか自分はこの世界で味わった事なんかないし、した事もなかった。

交通機関を使い、ユリアン君と一緒に施設までの道のりでも決して自分の手を離さなかった。

お互い無言、興味もなかったユリアン君との生活を思い出す。

最近は料理も手伝ってくれたな、一緒に買い物までしたし、風呂にまで入れてやった。

そういえば最近はよく笑うようにもなってきてた。

何かこみ上げてくる物がある、だけどコイツ男なんだよな、女の子だったら、例え嫌だと言っても離さなかったのに。

勿体ない、ごめんよ、ユリアン君、大きくなってイケメンになって女の子誑かせるぐらいになったら1人は紹介してね。

結構な時間をかけ施設の近くまでやって来た、後バス一本乗れば施設に辿り着く。

街から離れた周りに草木が少しだけ茂り、田舎の一本道のようなポツンとあるバス停に2人で座っている。

 

糞が油断していた、だからハンターなんか嫌なんだよ。

自分の中で長年培って来た、危険センサーが反応する。

こういう場面とは何回も出くわせたから、たいした焦りはない。

恐らく自分を狙っている馬鹿だろう、どうせ自分とヒソカが殺した奴の身内か何かだろう。

近いのが3人、下手くそな絶を使っている奴が2人、最低でも5人、増える可能性もある。

逃げるか、でも問題がある、ユリアン君だ、このお荷物を抱えて逃げられる可能性は低い。

見捨てるか、それもありだ、後腐れもなくなるしな。

コイツらに今までの胸のイラつきをぶつけてもいいが、何かそんなテンションにならない。

どうする。

至ってクールに考える、自分の心臓は何時もと同じように平静を保っている。

その時隠れていたつもりだったのか、木々の隙間から3人の男がマシンガンを構え飛び出してくる、同時に鼓膜を破るような連射音が響く。

 

無意識だった、何時もなら念の籠もっていない銃弾なんかを使う雑魚何か打ったと同時に殺している。

そういう風に育ったし、それが正解であり、間違いはないと思っていたし。

しかし自分が取った行動はその真逆、ユリアン君の前に立ち銃弾を背に堅で受ける、徹底的な防御姿勢。

目に映るユリアン君の驚きと脅える顔、銃声が鳴り止むまで自分はその顔を見て、今までない、前世ですらあったかどうか忘れてしまった感情が湧き出てくる。

砂埃が巻き上がり、地面には無数の先がひしゃげた弾が転がっている。

脅え俯くユリアン君が顔を上げ自分の顔を見る。

うっすらとだがユリアン君の頬に擦り傷が出来、頬から血が流れ涙のようにポタポタと地面に落ちる。

一発、捉え切れなかった弾が自分の脇をすり抜け、ユリアン君が顔を下げた拍子に出来た一瞬、フォロー仕切れず、ユリアン君の顔をかすったのだ。

自分は誰かを守る闘いなんかした事はない、それが仇となった。

怪我を負ったユリアン君を見て、腹の底から言い知れぬ感情が溢れて来る。

何だこれは凄いムカムカしてきたぞ。

今にも泣き出しそうなユリアン君の瞳、いやーまじで凄いな、この子。

大人でもお漏らししながら絶叫してもいい場面なのに一言も弱音をはかなかった。

今もそうだ、マンションから出てからここまで来る間ずっとしてい耐えるような顔、自分は理解してしてしまった、不安だったんだろう。

それでも耐えて耐えて、今も涙を出さずに耐えている

この子は強い子だ、そしていい子だ。

そんなユリアン君に自分はこの世界で自分のためではない、自分が得するだけの物とは違う、初めて人を安心させるために笑顔を作り、こう言った。

 

 

 

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「大丈夫、大丈夫ですよ」

 

僕の前であの人が、僕のためだけに笑った、普段のお面のような笑顔とは違う、慣れない感じで作った歪んだ笑顔。

でもとても優しかったんだ。

 

 

僕の家族が怖い大人達に殺された事は親戚の人達に聞かされた、僕自身も覚えてる、あの日の事をみんなが寝ている時だったんだ。

大きな音がして何が起きたのか分からなかったけど、この目で見たから、母さん父さんお兄ちゃんが僕の前で死んで行く。

1人の大人が僕を見て気持ち悪い声を上げて僕を殴った、そこから記憶がない。

次目覚めたら、あの人が目の前に座っていた、何が起きどうなったかを淡々と説明してくれた。

その話しは難しすぎて僕にはよくわからない事だらけだったけど、一つだけわかった事があった、1人ボッチになってしまったんだと。

それから少し日が立って、親戚の人達が僕を養子にしたい一緒に暮らそうと言って来たけど、その顔は僕を殴った大人達やみんなを殺した大人達の顔にそっくりだった。

怖かった嫌でもあの日の事を思いだす、怖い大人の顔を見ると。

でも結局僕は親戚の人達と暮らす事はなかった、あの人が僕を引き取ってくれたんだ。

全身紫色でずっと笑っている人、すごい事に眠っている時にも笑っているんだ。

気味が悪い人、何を考えているのかもわからないし、僕の事何て興味がないように見ようともしない。

それでも僕はこの人に気に入られるように頑張った、やった事もない家事の手伝い、怒られないように言われる事はちゃんとやったと思う。なぜかマンションには女の子の服しかなかったけど僕は気にせず着ていた。

結局無駄だった、一緒に住んで1ヶ月がぐらいたった日、僕に荷物を纏めるように言うあの人の顔は何時もと同じ、この1ヶ月間毎日見ていた代わらない表情。

泣きそうだったでも泣いたら嫌われてしまう、1人ぼっちは嫌だった、怖い大人達何かよりこの人の方の顔の方がマシだった。

僕は孤児院に預けられるらしい。

そこに行く途中で僕は見たんだ、誰よりも強く、優しく、かっこいいあの人の姿を。

 

 

「これで傷を押さえていなさい」

 

ポケットから紫色のハンカチを取り出し、僕はハンカチを受け取り頬に添える。

そして紫色のスーツの背に手を回し、何かを取り出した。

それは球だった。鉄の塊、その人は球を手の平に乗せ僕の目の前まで持って来る。

 

「安心しなさい、これがあなたを守ってくれます」

 

不思議な事に球は手の平から浮かび、凄い速さで回転し、僕の周りをフワフワ周り出す。

 

「怖ければ目を瞑っていてもいいんですよ」

 

こんな状況でも普段どうりにハンガーにでも吊すようにスーツを脱ぎ、僕にかけてくれる。

暖かい、こんな状況なのに怖さを忘れてしまう、僕の頭に乗せられた手が優しく頭を撫でる。

僕に背を向け、一歩前に出た。

大きくて逞しい背中、5つの鉄球が銃のように腰にぶら下がっていた。

伸ばした右手にはもう一つ鉄球が乗っている。

 

「さっさと済ませましょう、後悔する時間もあげません」

 

怖い大人達に向けて言い放つ。

それだけで十分だった、僕は絶対的な安心感に包まれる。

そして決めたんだ、この時なぜかこう思ったのか分からない、どうしてこんな状況でそう思ったんだろうか。

けど決めたんだ僕はこの背中について行こうと。

きっとこれが憧れなんだと思う。




外伝に力入れすぎな気がして来ました。
話しのストック貯めをしますので作品の投稿ペースが落ちますが更新停止するつもりはありません。
後書きまで読んで下さった方々感謝です。

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