リメイク版:技術チートとロトムってどう思います? 作:4E/あかいひと
あれは嘘だ。
「……おい、おいおいおいおい!!! いきなり乱入してきてなんだお前は!!?」
ようやっと事態が飲み込めたのか、プラズマ団の下っ端の1人が声を荒げた。
だがしかし、そんなことを言われても俺がどうにかなると言われたら、否だ。
「五月蝿い黙れ自殺志願者。ポケモン解放を謳う組織のくせにポケモンを虐待? アレは建前かクソッタレ」
実際には又聞きだが、本当はその内情を知っているが。それでも、そう言わざるをえない。
「ガキのクセに偉そうなことを言うなッ‼︎ 世界を変えるのに、多少の犠牲は仕方ねえんだよ‼︎」
…………ほう、言ったな? 俺はちゃんと聞いたぞ?
「……今からすることに文句は言うんじゃねぇぞ」
ポケットから取り出す、今俺の持つ最強の武器…………を操作する端末。
「ユーザーネーム:トウヤ、パスワードJN8195で防衛システム起動。敵の脅威度3の為、衛星兵器No.3《ストームブースター》の起動」
【ユーザーネーム:トウヤ、パスワード、声紋、指紋認証……確認。防衛システム《ラストディザスター》を起動します。衛星No.3との通信を開始……接続完了。No.3変形開始……完了《ストームブースター》セットアップ】
防衛システムの起動キーであるスマホ型端末がボイスに合わせて変形、拳銃型となったそれは、衛星兵器のポインターである。
ラストディザスターと総称される衛星兵器のうちの一つ《ストームブースター》。これはルギアの『エアロブラスト』から着想を得た、『試作型局地気候操作衛星兵器』。要はポインターで照射した位置に竜巻を起こすだけのシンプルなものだ。
「ぶっ飛べ」
「そ、そんな虚仮威──────」
ポインターを向けられた団員は、最後まで言い切ることなく、発生した竜巻に巻き上げられて飛んでいった。
「…………ちっ、弱め過ぎたな」
「「「な、な、なぁぁぁぁあああああッッッ!!!!?」」」
「大丈夫大丈夫、(この世界の)人間は30メートルの高さから突き落とされてもピンピンしてんだ。落ちても死にはしねーよ」
ほんと、この世界の人間って無駄に頑丈だよね。ま、だからこそ容赦のない攻撃ができるわけですが。
「と、いうわけでテメーらがこの場を退かなければ飛ばす。退かなくても飛ばす」
ブチ切れた以上、容赦なんてするつもりはない。
「け、結局ぶっ飛ばすんじゃないか!?」
「たりまえだろ」
「こんなことをして、許されると思っているのか?」
「多少の犠牲は止むなし、なんだろ?」
「た、頼むやめてくれ、ムンナを蹴ったことは謝る! あの2人を脅したことも謝る! だから─────」
ふーん、そんなことをしたんだ。
「許すと思ってんのかこの野郎がァァァァァアアアアアアアッッッ!!!!!」
拳銃型ポインターで、今起こせる最大出力の竜巻を、向けた先に起こす。
「少しは頭冷やして反省しやがれッ!!!!」
『緊急速報です。サンヨウシティ付近で原因不明の竜巻が発生しました。近隣住民の方は直ちに避難してください』
◇◇◇
「やり過ぎよこのバカ」
「あうっ」
まるで竜巻が発生した痕の見える夢の跡地にて、俺はトウコに頭を軽く小突かれていた。
「確かにキレる理由も分からないでもないけど、もうちょっと周りの被害についても目を向けなさい。まあ、廃工場が壊れてないあたりちゃんと調整したんだろうけどね」
「はぁい」
「間延びした返事しないっ!」
まあいいじゃんいいじゃん! とは言え勿論そのままにすることはできないので、時間を少し逆巻きにして戻しておく。この辺りは、クソ師匠共に感謝するところである。
「…………ふぅ」
そうして落ち着いてくると、今度は逆に守れなかった場合の不安が湧いてくる。
「…………無事で良かった。本当に無事で良かった。久々に肝が冷えたぜ」
「うん、本当に助かったわ…………ありがとトウヤ」
「わたしも、ありがとうトウヤ」
いえいえ、別にどーってことないさ。俺も2人が無事で良かったさ。
「お前も無事でよかったな」
「む、むにぃ……(ガタガタ」
あ、あるぅえ? 俺、怖がられてる?
『プッ…………ククク、感謝はされてるよ。とてもね。でも、ビックリするほど怯えられてるよトウヤ。そりゃあアレだけブチ切れたら、ねぇ?』
「トウヤには悪いけどぉ……普通のポケモンは怖がられるよぉ」
「そ、そんなぁ…………」
い、いや、頑張ったじゃん俺! 無理矢理自分を情報化しつつ送信して、尚且つトウコのタウンマップを、情報体を元の身体に戻すコンバーターに改造しながら這い出て、そのまま衛星兵器で竜巻起こしてあいつらぶっ飛ばしたじゃん!
…………どこのラスボスだろう? 急に這い出た挙句、片手一つで気候操作だぜ?
「む、むむむ、むしゃっ!(ガタガタ」
一部始終を見ていたらしいムシャーナも、ガタガタ震えて現れるし。
「う、うぅぅ…………俺頑張ったのに」
「あー……はいはい、私は大丈夫だからねー。カッコよかったわよ、トウヤ」
トウコの慰めに、全俺が泣いた。
◇◇◇
「うぐぬぅ、納得がいかん!」
ポケセンにて、俺慟哭す。
嫌だってサァ…………別に見返り求めたわけじゃないんだけど。
『まあまあ良いじゃん。トウヤに適応できるのは、良くも悪くもイロモノだけなんだから』
「自分で言うかてめー!」
胡座をかいたところにスポッと治まってくる、さっきまで夢の跡地を探索していたロトをわちゃわちゃとしながら癒されつつも、そのあんまりな事実にホロリと涙を零す。
『それに別に良いじゃん。1番カッコつけたい相手にはちゃんとキメれたんでしょ?』
「いやぁ、そんなこと考える余裕なかったしってか何言わせてんだよ」
『自分の相棒を応援するのは悪いことなのかな?』
「…………チッ」
そうやって言われる度に恥ずかしいだけなんだよったく。
『まあ割と真面目な話、トウヤのついていけるポケモンは多くはないと思うのは、思うんだけどね。だって、人には言えない事情を抱えてるでしょ?』
「あー……うん、まあ」
俺が転生者だと知ってるのはうちの相棒共と親友共、あと両親ぐらいのものだしなぁ。
『その上、トウヤ自身はハイスペックだから気後れするし』
「後付け才能をハイスペックって言えるのならね」
まあそれとは別に時空操作に反転操作、創造の力を身につけさせられてるから、まあハイスペックだよな。
『あと、何より過激』
「…………それが1番の理由だよなぁ」
記憶が戻る前から色々やらかしているのに、記憶戻ってからも色々やっちゃってるよなぁ俺。
『でも大丈夫! トウヤには僕達がいるからねっ!』
「キュイ〜っ!」と無邪気にじゃれあってくるロトに、すっごく救われながら涙を流す。そうだよな、俺にはお前たちがいるもんな!
まあ、そんな俺のことはともかく。
無事? プラズマ団も撃退し、お礼という形で夢の煙を入手したトウコは、そのままマコモさんのところに行った。ベルは、この一件で懐いたムンナを旅の仲間にするべく、ムシャーナに連れられムンナのお父様のところに向かった。…………娘さんを私に下さいってか? むんむにむしゃっってヤケに緊張感の欠ける娘さんを下さいになりそうね。
そんでもって、2人とも今日既にジムリーダーに勝ってるらしいので、明日はサンヨウシティの中を散策するつもりなんだとか。
余談だけど、チェレンも既にジム戦を勝ち抜いている様で。…………はえーなみんな。俺そんな遅く歩いたわけじゃないよね?
「ふう、じゃ俺らは明日に備えて訓練しますか」
『と言っても、ホノオとミィは既に始めてるけどね』
「まさかミィまでやる気を出すとは思わなかったよなぁ」
ジムリーダーを倒したら、特別メニューを提供して貰える。それを聞いた時のミィのエンジンの掛かりようは凄まじかった。
『【何が何でも勝つわよホノオちゃん!】って、らしくなく気合い入ってたし』
「…………明日は奮発してやるか」
まあそうは言っても、バッジを一つも持ってない相手には、大したポケモンは出てこない。だから楽勝というわけではないけどね。
「そんなら、行きますかね相棒殿」
『はいよ、相棒殿!』
手と手? の間に火花を散らしながらハイタッチしつつ、俺らの仲間たちがいる場所へと向かうのだった。
「…………しゅわん?」
◇◇◇
レポート
場所:サンヨウシティ
見つけたポケモン:ムンナ、ムシャーナ
精神状態:アゲアゲ
一言:明日は勝つ!
To Be Continued…………
や、やり過ぎとちゃう?
→トウヤくんはやり過ぎがデフォです。
ぶっちゃけトウヤくんとトウコちゃんすぐにでもくっつけられる様な…………。
→それだとつまらない(黒笑)
さ、最後の鳴き声は…………(ガクブル
→愉快犯、前倒しで現れるかもねっ!