リメイク版:技術チートとロトムってどう思います?   作:4E/あかいひと

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1話に1回、新アイテムor新機能!


レポートその7-彼は彼女の『    』ってどう思います?

 

翌朝、寝れなかった為に目の下にデカい隈をこさえ、朝食のクッキーバーを齧る。

 

…………別に、女の子が部屋に居たから寝れなかったわけではない。予想以上にしなければならないことが多かったからである。俺の名誉の為に、そこはちゃんと言っておこう。

 

と言うわけでおはよーごぜーます。あなたの暮らしにビックリする程の科学を! カノコタウンのトーヤでございますん。

 

『ねぇどんな気持ち? ヘタレって言われてどんな気持ち?』

「うっせえ黙ってろ。追々どうにかするんだから良いだろ?」

『ちぇっ。つまんねーの』

 

そんなことを宣うロトは、一回オハナシをしないといけない気がする。こうやってからかわれ続けるのは流石にイラっとくる。

…………おいそこ、ならサッサとどうにかしろとか言ってるそこのお前だよ。人にそんなこと言えるってことは、勿論お前もそうしてきたんだよな? じゃねぇと納得しねぇ。

 

まあ、そんな愚痴はともかくだ。

 

「ふぁぁああ……おはよートウヤ」

「おう、おはようトウコ。悪いが朝ご飯は経費削減の為クッキーバーと紅茶オンリーだ」

「あふ…………厄介になってる分際でケチなんか付けたりしないってば」

 

そう言いながらトウコは部屋に戻る。まあ十中八九着替えだろうが。

 

そんなこんなで、今日も1日頑張ろうかね。

 

 

◇◇◇

 

 

まあ、トウコにもトウコの旅のペースがあるのだし部屋を文字通り片付けて別れることに。

…………だからトウコ、なんでそんな意味深な目で俺を見る。

 

まあそれはともかく。俺は今回の旅でバッジを積極的に集める予定はない。というのも、バッジを集める意味が薄いのだ。

別に、ポケモンリーグに挑戦するつもりはない。相棒達は強いけど、俺自体のトレーナー能力はお察しである。行けるとこまで挑戦する気概もねーので、参加しない。

ついでに、他の人の育てたポケモンを使う予定もない。他人のポケモンである以上、やはり相棒達との扱いの差は生まれる確信がある。だって身内の方がやはり大事だろう? だから、やっぱり自分の相棒以外は連れ回さないことに決めたのだ。こうなるって分かってるのに下手に他人のポケモンを預かるのは無責任極まりないと思うんだ。

バッジの数で力量を測られる場合? いや、トレーナーとして大成するつもりはねーから気にしない。本職は昨日短パン小僧の子にも言った通り、研究職で技術屋なのだ。

秘伝技? まあバッジの個数で解禁されるのはそうなんだけど、肝心の『空を飛ぶ』と『波乗り』に関しては使う必要のある人が多過ぎて解禁されてるし、他の技にしたって自力でどうにかできるモノばかりである。

 

だから、俺にバッジは必要ない。というかあればあるだけ厄介事を引き込みかねないブツである。

 

「だから俺たちがサンヨウシティに行く意味は凄くないと思うんだ」

『『『ぶっ飛ばすよ?』』』

 

そう言うと、相棒達にキレられた。解せぬ。

 

『たしか、夢の跡地って名前の廃工場があるんでしょ!? 是非とも技術屋見習いとしては覗いてみたいし、その拠点のためにサンヨウシティに滞在するのは必要だと思うんだ!!』

『腕試しのためにも、サンヨウジムには行きたいところなんだがなぁ? ほら、ジムリーダーって強いんだろ? そうなんだろ?』

『別にホノオちゃんみたいに戦いたいわけじゃないけど、サンヨウジムはレストランも兼ねてるのよね? せっかくだし行ってみたいわ』

 

ぬ…………見事に全員サンヨウシティに用事がありやがる。しかもホノオはこれからのジム戦でも戦いたいと言いそうだ。

 

「…………ハァ、しゃーねーな」

 

内心で涙を流しながら、サンヨウシティでの予定を立てる。うう、まあ他ならぬ相棒達の希望だ、なるべく意に沿いたいと思うのは仕方がないよな。

 

「…………じゃあまぁ、今からだと5日と6時間ぐらい…………時間帯はジムも閉まる頃だろうし、着いたら夢の跡地に向かうか。で、その後はポケセンで寝泊まりして、翌日のジム戦に備える。…………それとは別に、ATMでお金おろさないとジムで飯食えねぇな。ま、ポケセンにあるはずだしそれはいいとして」

 

でも、何か忘れているような気がしてならないのだが…………。

 

まあそんなアテにならない勘を振り払って、俺たちはサンヨウシティを目指し歩みを進め始めたのであった。

 

 

◇◇◇

 

 

「うし、ついたー」

「キュイ!」

「ッシャーモ!」

「チラッ!」

 

サンヨウシティ。住むには割といい街である。ポケセンもフレンドリィショップもあるし、学校とは別個にトレーナーズスクールもある。意外とここ出身のトレーナーは、後々大成していることが多いのだ。

 

まあそんな、野営とも言えぬ野営を重ねてようやっとたどり着いたところで、休憩しようと真っ先にポケセンへ駆け込もうとしたら。

 

「あれ、トウヤくん?」

 

後ろから、よく知った声が聞こえてきた。振り返ると、俺と同じく白衣を着た女性で、やはり俺もよく知る人物であった。

 

「あらま、マコモさん。おひさっしーですね」

「その挨拶は謎だけど、久しぶり」

 

原作ではCギアをくれる人、という認識だったマコモさんだが、ぶっちゃけゲームでの情報よりも俺は彼女の事を知っている。と言うか、同業だしアララギ博士繋がりで頻繁に情報交換してるし。

 

「でも、そっか。トウヤくんも旅に出る歳なんだねぇ…………」

「そのセリフからすっごく年齢を感じられて痛い痛い痛い痛いィィイイイッッッ!!!?」

「あはは、女性にそんなこと言っちゃう生意気坊やはお仕置きねー」

 

ギリギリとアイアンクローを決められて悲鳴をあげる俺の頭。謝るから勘弁してくださいよぉ…………。

 

「というか、博士から聞いてなかったんですか?」

「うん、聞いてたんだけど、トウヤくんが旅に出ると思ってなくて冗談かなって聞き流してた」

「え、えぇ…………」

「だって、トレーナーよりも研究者を目指しそうだったもん。でもまあ、トウヤくんもやっぱり男の子ってことなのかな?」

「ま、そーいうことです」

 

本当は違うのだが、まあ面倒なことを言うわけにもいかんのでそういうことにしておく。

 

「それにしても、遅いなぁ…………」

「遅いって、誰か待ってたりしているんですか?」

 

この人、無駄に他人をお使いに出す悪癖があるのよねぇ…………まだトレーナーじゃなかった俺に『目覚めの祠』とか『テンガン山槍の柱』とか調査させるし。

本人曰く、できない人には任せないとのことだが。

 

「んー、あのね。トウヤくんの友達でトウコちゃんっているでしょ? 彼女に夢の跡地で、ムンナの出す夢の煙を取ってもらおうと頼んだんだけど…………」

「ふぅん、なんかあったんすかね」

 

いや待て。

 

夢の跡地…………ムンナ…………夢の煙…………あっ。

 

「…………すんませんマコモさん、ちょっと夢の跡地に行ってきます」

「うん、よろしくお願いするね」

 

思い出した原作イベントに、背中を汗で濡らしながら、とある機械を取り出すのだった。

 

 

◇◇◇

 

 

夢の跡地にて、夢の煙の採取に訪れたトウコと、偶然そこに居合わせたベル、そしてそんな2人に庇われる位置で怯えているムンナは、4人のプラズマ団下っ端と、8匹のポケモンに囲まれていた。

 

「トウコ…………ど、どうしよう!?」

「落ち着いてベル………とりあえず落ち着くのよ」

 

彼女らのポケモン達も場には出ているが、数の差もあり簡単に蹂躙されてしまうことは容易く想像できてしまう。

 

そうでなくとも敵は大人。自分達が襲われたら、なす術なく取り押さえられてしまい、彼女らのポケモンは奪われてしまう。

 

「さあ‼︎ 無駄な抵抗はやめて、我々にポケモンを引き渡すのだ‼︎」

「お生憎様! ポケモンを虐待するような人に、私の大切な仲間を預けるつもりは無いわ‼︎」

 

しかし彼女は絶対に退けなかった。目の前にいる連中は、自分達の眼の前でムンナを虐待していた人間達だ。そんな人間に、ポケモンを渡すなんて酷いことを、出来ようはずがなかった。

 

「ハン! この数の差で何ができる!?」

「(…………悔しいけど、その通りね)」

 

だがしかし、今から助けを呼ぶこと不可能に近い。そんな隙を、彼らが見逃すはずがない。

 

「(でも、盛大に騒ぐことで人を集めることはできるかもしれない! 流石に諦めるには早過ぎる!)」

 

トウコは、自分を奮いたたせて自分の相棒を見る。

 

「タージャ!!」

「ありがとう、苦労を掛けるわね」

 

まだ仲間になって僅かな期間でも、仲良くなった彼女の相棒は、任せろと言わんばかりに気合をいれた。

 

「さあ、舐めてかかったことを後悔してもらうわッ!!!」

 

そして、彼女達が攻勢に出ようとした、その瞬間。

 

警報音が、鳴った。

 

『『『ッ!!!?』』』

 

皆が動きを止める。これでもかと恐怖を訴えかける音は、どんな人間でも動きを止めてしまえる威力を秘めていた。

 

その警報音の発生源…………トウコの持っていたタウンマップは、オレンジ色に発光しながら宙に浮き、その形を変形させていく。

 

それは円形のナニカ。その円の中は不気味に歪み、相対する存在の精神をかき乱す。

 

しかし、彼女だけは思い出した。

 

このタウンマップを作ったのが、一体どこの技術屋(バカ)だったのか。

 

 

 

 

 

「ふぅ…………久々に無茶な改造をした気がするなぁ」

 

 

 

 

 

 

その円から這い出たのは、トウコとベルがよく知る人間。

 

「…………まったく、まるでヒーローみたいな登場じゃない」

「個人的にはヒーローが遅れるとか論外だと思うんだけど。トウコにベル、無事?」

「だ、大丈夫……ってトウヤがタウンマップから飛び出したぁ!?」

「「今更かよ!?」」

 

そんな軽口を叩きつつも、彼の目はいつになく怒気に塗れていて。

 

「だからまあ、安心できるかどうかは分からんが一応落ち着いとけ。本気で殺る」

 

カノコの誇る最狂の技術屋が牙を剥く。

 

「…………安心するに決まってるじゃない」

 

その事実に、トウコは胸をなで下ろすと同時に、

 

 

 

「…………だってアンタは、私のヘタレな『    』だもの」

 

 

 

その言葉は、その後吹き荒れた風に流された。

 

 

◇◇◇

 

 

レポート

 

場所:夢の跡地

 

精神状態:怒髪天

 

一言:覚悟はよろしいか?

 

To Be Continued…………

 




トウヤ君の強さは?
→『アルセウス≧トウヤ』で察して下さい。

えっと、タウンマップの性能おかしくない?
→今回ばっかりは技術チートをフルに使った裏ワザです。

というわけで、プラズマ団のご冥福を祈って。

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