リメイク版:技術チートとロトムってどう思います? 作:4E/あかいひと
ハロー皆様。今絶賛テンパり中のトウヤでっす。これが麻雀で国士無双13面待ちだったらよかったのにねー。
「少し良いかい? と言われたならば、応えてあげるが世の情け!」
「あー…………えっと、訳:いいですよ、でも場所を移しましょうか? ってことね」
いろんな意味で危ない台詞を吐いたけど、その真意を理解して訳せたトウコってばマジ俺の親友。
「うん、今の話を聞いていたんだろうし、多分そのことについてだよね? そうならば意見交換をしてみたいところだよ。この2人は幼馴染だからか、だいたい考えてることも被るしね」
「う、うん。でも、君たちもそうだけど、君たちのトモダチも興味深いことを言っていたから」
おおーっと! チェレンのすこぶる大人な対応に、あのN君がタジタジだァーッ!! まあ『あの』とは言ったけど、N君とは初対面なんだけどね。
「んじゃま、あっちの喫茶店にでも行きますか」
大丈夫、金ならある。ってこれ、かなりゲスいセリフだよなぁ。
◇◇◇
「つまりこの式は─────」
「いやしかしそれでは─────」
「ちげーよここでこうして合わせたら─────」
「なるほど、しかしそれではここの部分は─────」
「あーそこはどうしようも─────」
「全く、そこはこうすれば─────」
「ああそういう─────」
誰か助けて。あの原作の流れ(ちょっとした問答からのバトルとN君驚愕事案)が終わった後、何故か彼と専門的な話をしているの。というか確か設定ではNってば数学の天才だったよね!? こんなところでそんな特徴が活かされるとは思ってなかったし、そんな天才に食らいつける技術チートってばマジぱねぇ!!
というか見てみろよ!! 途中からトウコとチェレンが口開けてポッカーンだぞ!!
(とは言え、だ)
原作からしてレイプ目だった彼にしては、微妙にだが光が宿ってる気がしないでもない。…………それに、コレだけ真剣に話せて、楽しくないことも、なかったし。
原作云々関係なく、こいつの力にもなってやりたくなってきたぞどーすんだ。
「いやー、実に有意義だった。できればまた、意見交換したいものだね」
「僕も、人間相手にここまで話が続いたのは初めてだ」
本来ならコミュ障という観点から残念すぎるセリフさえ、彼にとっては最上級の褒め言葉なのだろうか? 少し……いや、かなり切なくなってくるんだけど。
「……一つ聞きたい」
「なんなりと」
何か、意を決したように、さっきまでの早口をやめて、ゆっくりと、彼は言う。
「先程の様子を見ていた。どうも、君は君のトモダチと会話をしているようだったんだが…………アレは一体?」
「んー、あーアレ? 単純にとあるポケモン達による魔改造と慣れと経験則とで成り立ってるだけよん? 流石の俺も、初対面のポケモン相手じゃ何も無しじゃ喜怒哀楽とニュアンスしか分からんし」
「そう、か…………」
「だから、もしどんなポケモンの話す言葉でも理解できる人間がいたのならば…………素直に羨ましいと思うよ」
「…………!」
元の記憶が外側から来たものだから、というワケではなく。
確かに、ポケモンと会話できる能力ってのは気味悪がられても仕方のないことだとは思うんだ。人間って出る杭は打つし、異端は村八分にするし。
でも、全員が全員そうではないことも知っている。少なくともカノコタウンでは、ポケモンの言葉を理解できたらって本気で思ってる人が多かったし、記憶が戻る俺自身、理解できたらと思って翻訳機を作ったのだから。
「だからまあ、なんだ。これをやる」
「これは……?」
「タウンマップ……とは名ばかりのタブレット端末だ。その、あれだ。もし疑問に思ったりすることがあれば、メール機能も付いてるし適当に送ってこいや。24時間は無理だが、起きてる間は応対可能だしよ」
ったく、下手すりゃ利用されかねないって分かってるのに、俺ってばなにしてんだか。
そんなことを思いつつも、ぶっきらぼうを装って、タウンマップを投げてよこす。
「使わねーなら捨ててもいいけどな。原価250円だし」
「ある意味凄まじいわね」
ようやっとポカーン地獄から抜け出せたらしいトウコが、会話に戻ってきたようだ。でも第一声がそれってどうなん?
「まあ気にせず貰っておけばいいんじゃないかしら? 例えNがどんな奴で、どんなものを腹に抱えていても気にしない程度には、変人でいい奴よトウヤは」
「それは理解できるけど」
「理解すんなテメーコノヤロウ」
まるで俺がおかしな人扱いになってるじゃないか?
「カノコタウン廃工場爆散事件(ボソッ)」
『他にも色々やっちゃってるよね。研究所火柱事件とか。アレはアレで楽しかったけど、アララギ博士涙目だったよねぇ』
『カノコタウン自走計画なんてこともやろうとしてたな。町そのものを改造して走らせるってのは、中々いいアイデアだったと思うぞ? まあ止められたのは仕方のないことだとは思うがな』
『カノコ住人ロン毛祭り、なんてこともやってたわね。あの時期男女問わず髪の毛がロングでストレートでサラサラしてて、一部絵面的にキモかったわ』
「いやー、俺ってばマジ変人でマッドサイエンティスト(テノヒラクルー)」
ちくしょう、これで勝ったと思うなよてめーら。
「トウヤ、1発殴らせて」
「何故だチェレン!?」
「母さんにあのサラサラロン毛姿の写真を撮られた怨みだ…………ッ!!!」
「がふっ!!?」
こっちも復活したと思ったらまさかの殴られた件について。痛い。
「……君たちみたいな人間ばかりなら、すべてのトモダチが幸せになっていたのかも、しれないね」
「あまり想像したくないわね…………間違いなくカオスよそれ」
うん、仮にそうなったらポケモンには優しいのかもしれないが下手すりゃ文明が滅ぶ。
「でも、もっと世界を見た上で判断しないと…………迷ったときは相談するかもしれないけど、構わないかい?」
「もちろん。なんなら俺だけじゃなくてここにいる2人にもメールすればいいし、今ここにはいないけど俺らの幼馴染で負けず劣らずポケモンには真摯であろう奴にも相談してもいいかもな。後で言っとくし」
「なにさらっと巻き込んでんのよ。まあ、否とは言わないけどね」
「メンドーが省けたと思うことにするよ。よろしくね、N」
初っ端から色々と違ってる気がしないでもないが…………まあこの世界はゲームではなくリアルなのだ、思うような行動をしても問題あるまい。まあ、常識の範囲内では、だけどな。
『『『爆破とか改造とかウィルステロは常識の範囲内ではありません』』』
解せぬ。
◇◇◇
「…………それで、Nのアレはどういうこと?」
『また会おう』と別れた後も、俺たちは喫茶店のテラスにて駄弁っていた…………という割には内容が重いが。
「年齢は…………分からないけど、喋り方と内容から察する精神年齢はそれ程高くない…………でもあの異様な高身長はどういうことなんだろう?」
「あー……やっぱ気になるよな」
「白々しい声出すんじゃないわよ。どーせアンタのことなんだから、
幼馴染の中でも1番俺のことを理解しているであろうトウコが、鋭く俺を射抜く。
「否定はせんよ。でも、だからと言って口にできるか? と問われたら躊躇う。それ級だと認識して置いてくれ」
「君がそこまで苦々しい顔をする位だから、相当ってことか…………」
「…………私達、力になってあげられるかしら?」
「間違いなく、と言っておこう。確証はねーが」
背景は知っているが、そっくりそのままかどうかは分からねーし。
でも、だ。
「まあ、Nのことはこれからだろう。今すぐ俺らがどうにかできることではないしね。というか、どうにかしてあげないとって考えが上から目線でやな感じだし。それこそ、あいつの友達になれるように頑張るしかねーよ」
「あの、トウヤ? その友達になるのが凄く難しそうなんだけど?」
「諦めるなチェレン。諦めたらそこで試合終了だって、アンザイ先生も言ってた」
「誰よアンザイ先生って…………」
まあ、この話はここで打ち切るとしてだ。
「ここに、伝票がある」
「ええ、そうね」
「まさか……やるのかい?」
チェレンのその問いに、俺は手にいろんな力を込めることで答える。
「ふふっ…………久しぶりね。ちょっと本気出そうかしら?」
「ったく、ノリがメンドー過ぎないかな? まあ、やるけどね」
2人もそれに応えるように、席を立ち構えを取る。
「いつかのような失態は犯さないわ。例え、時間を操られようと」
「ハァ……『無理を通す』というのも、偶には悪くない、のかな?」
「フハハ、無駄無駄無駄。こっちの世界に入門でもしない限り無駄だって」
俺も席を立ち、さらに拳に力を込める。この時ばかりは、シンオウの
「─────いくぞ」
「─────いつでも」
「─────いいよ」
そして……………………
「「「最初はグー!! ジャンケンポンッ!!!!」」」
◇◇◇
レポート
場所:カラクサタウン
精神状態:意気消沈
一言:負けた
To Be Continued…………
あのタウンマップ、ゲーチスさんに利用されるんじゃ?
→技術屋がそんな詰めの甘いことをするわけがないのでおま。正確にはトウヤとそれぞれの持ち主にしか反応しない特別製(なお、利用されないとは言ってない)
やたら気合出した結果がコレ(ジャンケン)かよ!!?
→まあ、ポケモンじゃないのでこの辺りが妥当かなぁと(殴り合いをやったことがないとは言ってない)