リメイク版:技術チートとロトムってどう思います?   作:4E/あかいひと

4 / 8
長らくお待たせしました申し訳ありません…………大分チーロト放置してたレッゾっす。久しぶりに書けそうだなって思って、でも流石に『出落ちゲーチスはないわー』と思って書き直ししました。



レポートその4-イベント見逃しってどう思います?

 

カノコタウンからカラクサタウンまでの道程で特筆すべきことはない。そもそも隣町なので、親同伴(俺は結構な頻度で1人)で行くことも多い。カノコタウンは一応田舎町で、お店なんかの品物もカラクサの方が良かったりするのだ。

まあ、せめて書くことがあるとするなら、襲いかかってくるミネズミやらヨーテリーやらを撃退したって話ぐらいだろう。

(あと、ちーとばかしとある機材を運用したぐらいか。そのせいで小さなクレーターができたことは割りかしどうでもいいかな? うん)

 

ちなみにこの世界に厳密な意味での経験値は存在しない。オマケに努力値なんてモノも存在しない。日々の訓練及び実戦経験で成長する。

そして原作の始まった先ほどまでの2年、それを見越して必死に訓練してきた俺と相棒達にとっては、あまり言いたくはないが、ミネズミやヨーテリー程度なら相手にすらならない程弱かった。

この辺りは特別強いトレーナーやポケモンが頻繁に闊歩するわけでもないので、此処に生息していたポケモン達は、彼我の力関係を把握する能力が劣っているように感じた。だから俺らのことを襲ってきたのだろう。

 

まあそんなことはともかく。

 

原作だと、カラクサタウンでは『ゲーチスの演説その1』的なイベントが発生した。

が、何もかも原作通りではないのか、あるいはトウコが着いてからが演説のスタートなのか、俺が着いた時にはまだプラズマ団達の影も形も無かった。

 

ぶっちゃけた話をしよう…………暇である。

 

いやね? 無視して行っても大丈夫だろうけど、敵の御大将のツラ(の実物)は拝んでおきたいし。

 

「と言うわけで暇なんだけど、どうしようか?」

『機械弄りっ!』

『ちぃとばかし身体を動かしておきたいな』

『私は自分の毛の手入れをしたいわ』

 

…………この2年の間で、俺も随分人外化したものだ。いや、身体的にはホモサピエンスだけど。

 

シンオウ伝説組のスパルタ(という言葉も霞むぐらいの厳しい)訓練を熟させられた結果、各々の司る能力を半ば無理矢理身に付けさせられたが、その余波が俺の身体の別のところにも作用したようで。

即ち、ちょっぴり身体能力が人間離れしたし(この世界の基準から見てである。ちなみにこの世界の人間の基礎スペックは前世からしてみれば人間離れである)、多少長く接したポケモンの言葉なら理解できるように。

…………うーん、相棒達との会話に翻訳機をつけなくてもいいのはとっても助かるんだけどね。

 

それにしても、見事に全員バラバラである。まあ全員趣味も性格も違うので当然のことだとは思うけど。

 

「んじゃあ、町のはずれに行くか。そこでなら多少動いても構わんだろうし」

 

みんなが頷くのを確認して、俺たちは時間潰しのために移動を始めるのだった。

 

…………それにしてもヤケに視線を感じるのは、イッシュでは珍しいポケモンをパーティーに加えているからなのだろうか?

 

 

◇◇◇

 

 

『にゅふふふー…………ああ、ここをこう弄るのもいい。あ、ここをこうしてもいいっ! うふふあははー♪』

「あまりはしゃぎ過ぎるんじゃないぞロトー」

 

ウチのロトムであるロトさんは、とにかく機械弄りが好きである。しかも、他のロトムと比して悪戯をあまりしないという、そこの点に関して言えばロトムらしからぬロトムである。まあその辺の事情はロトの出自と傷に関わるのであまりは語れないけど。んまあそんなこんなでまるで水を吸うスポンジのように、俺の技術チートによる知識を吸い込んでいくものだから、俺がいなくとも自分で機械を作ったり、俺が作った物の調整をしたりするのだ…………まあそれに関してはいいんだけど、前に学校にロボット姿で襲撃された時は死ぬかと思った。割とはっちゃけてる相棒である。

 

『もっと、もっと速く!! 速度の向こう側へ─────ッッッ!!!』

「間違っても火事は起こすなよホノオー」

 

バシャーモであるホノオは、出会いからしておっちょこちょいであることが分かるが、ウチのメンツの中では、真っ当なポケモンバトルでは最強である。速度狂であったのはアチャモの頃から。その速度を活かした高速戦闘で撹乱、一撃必殺(確定死ではなく、威力的に)をぶち込むそのスタイルで、今まで様々な強敵を墜としてきた。前は少し生き急いでる嫌いはあったが、鳴りを潜めた今でも『速さ』を極めんと、こうして走っている。そんなこんなでストイックな求道者ではあるが面倒見がよく、カノコでの研究所でも、小さなポケモン達の世話をしていたこともある一面がヤケに微笑ましい、俺が最強と信じてやまない相棒である。

 

『暴走しないかどうか気になるのはよく分かるけど、こっちにも集中してくれないかしら?』

「おおごめんよミィ」

 

少し悪戯っぽく俺に話しかけてきたチラチーノのミィ。フワフワモコモコで毛繕いするときに気持ち良さげに眼を細める姿がめちゃくちゃ可愛いウチのアイドルである。元々仮住まいを提供するという名目で1年契約でウチにいた彼女ではあるが、なんやかんやあってその後もこうしてそばにいる。まあその辺もやはり彼女の傷に関わることなので今は割愛するけど。

 

『……この毛繕いに私は堕とされたのよ。シクシク』

「嘘泣きやめい」

『あら、つれないわね。クスクス』

 

こうやって誰かをからかってその反応を見て笑うSっ気な性格ではあるが、こうやってあまり毛繕いが上手ではない(・・・・・・)俺を励ましてくれたりするあたり、とても優しい相棒である。

 

「ああ、平和だなぁ」

 

ロトが機械弄りではっちゃけて、ホノオが目視できない速度で疾ってて、ミィがそれを見てクスクス笑っているこのいつもの光景は、我が親友達と過ごすのとはまた違った平和を感じさせる。だから、これからのことに巻き込むのは結構気がひけるのだが。

 

『フン、またロクでもないことを考えているわねトウヤちゃん。私は…………いえ、私だけじゃなくてロトちゃんもホノオちゃんも、何があってもトウヤちゃんに着いて行くことにしてるのよ?』

『そーそー。だから気にしちゃダメだかんね?』

『というか、何があってもぶっちぎったら済む話だろ? 簡単じゃねぇか』

『ホノオ、ちょっと脳筋過ぎないかなぁ?』

『速さは何にも勝る力だ! それを極めたらどんな問題でも跳ね除けられる確信が俺にはあるっ!』

『まあ、否定し辛くはあるわね。普段のホノオちゃん見てたら』

「…………ははっ」

 

なんか、みんなが仲良くワイワイ喋ってるのを聞いてたら、自分がみみっちく感じちゃうな。

 

「ありがと、みんな」

 

彼らとなら、何があっても切り抜けられる。

旅の序盤なのに、後半で再認識しそうなことを思っちゃって、おかしく思いつつも胸が暖かくなるのだった。

 

 

 

『あ、それでも気にするんなら無限動力の作り方教えてよっ!』

『なら俺はトウヤとの組手を』

『フフッ。私はヒウンアイスでいいわ』

「わりと無茶言うね君ら」

 

とはいえ結構いい性格してる、ウチのイロモノな相棒たちだった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

時間も潰せたことだし、と戻ったときには既に演説が終わってた件について。

 

「そ、そんなぁ…………」

 

ザワザワしてる町の広場にて、俺氏膝をつく。

 

くっそぉちくしょぉ…………自信満々な面晒してたらドヤ顔で子供の純粋さ(笑)で追い詰めてやろうと思ってたのにぃ…………!!

 

「あ、いた!」

「…………んお?」

 

そんな俺に駆け寄ってきたのは、トウコとチェレンだった。

 

「もう、探してたのよ! 先に着いてたって聞いたのに!」

「まあトウヤの旅だからトウヤの自由なんだけどね。まあ、少しばかり興味深い催しがあったから残念だったねとは思うけど」

「スマンスマン。で、その催しって?」

 

知ってはいるけど、知らぬ風に聞いてみると、やはり思った通りプラズマ団のゲーチスの演説があった模様。

 

「一理ある、とは思うのよねぇ。友達だの、相棒だの、家族だのって言ってる人は多いけど、モンスターボールで縛り付けてることには変わりないしね」

「それに実際にポケモンを虐待している人も、利用している人も世界には少なくないワケだし」

「って口では言ってるけど、賛同はしてないのなお前ら」

 

見た感じ惑わされてる風には感じられず、プラズマ団の掲げた思想を間違っていると断じはしないけど、それは違うと思っている様な雰囲気だし。

 

「だって、演説を鵜呑みにするのってどうなのよ? 私達がするべきなのは、演説を鵜呑みにして思考停止しながらポケモンを解放するんじゃなくて、演説を踏まえた上でポケモン達と意思の疎通を図ることなんだと思うわ」

「その上で、ポケモンを解放するという答えが出たらそうすべきなんだと思う。でも、何も考え無しに解放したら、それこそトレーナーの身勝手に付き合わされているという点で人間とポケモンが対等ではなくなってるし、野生のポケモンの生態系も崩してしまい兼ねないからね」

「……………………お、おう」

 

いや、すごーく納得できるんですが、アンタら本当に12歳? かなりしっかりとした考えをお持ちなのね。

 

「誰かさんが暴れるせいで、しっかりせざるをえなかったからかしらね?」

「ハイハイそいつはわるーござんした」

 

まあそれはともかく。

 

「お前らはどう思う?」

 

モンスターボールに話しかけると、それらが開き、相棒達が飛び出る。

 

『さっき話した通り、だよねぇ。少なくとも僕は拘束されてる感覚はないし』

『まあトレーナーの持つポケモン全員がそうだなんてこたぁ言わねーがよ』

『それに、私達にとってモンスターボールはあってない様なものでしょ? どうなろうと知ったこっちゃないわって言うのが本音ね』

 

そ、そこまで言いますか。

 

「やっぱり、アンタん所は凄く仲がいいわよね。私達も、そうなりたいものだわ。ね、ツタージャ?」

「タージャッ!」

「まだ博士から託されたばかりだからすぐには難しいけど、ゆっくりでも良いからお互いを理解していけたら良いね、ポカブ」

「ポカブゥ!」

 

まあ、何を言ってるのかは長く接したわけじゃないから分かんないけど、少なくともツタージャとポカブの鳴き声のニュアンスは、なったばかりの友達に掛けるそれだったので、そうなるのも割とすぐかなぁなんて思いながら立ち上がる。

 

「さてと、じゃあこの町にいる理由もねーし、行こうかみんな」

 

そう言って立ち去ろうとすると、

 

 

 

 

「君たち……少し良いかい?」

 

 

 

 

ヤケに早口なセリフが、俺の背後からかけられたのだった。

 

ああ、忘れてた。ここにはN君もいたんだった。

 

 

◇◇◇

 

 

レポート

 

場所:カラクサタウン

 

精神状態:安定

 

感想:ゲーチスさんを見れなかったことは残念。まあこれから嫌でも目にする機会は増えるだろうし、縁がなかったんだと納得しよう。

 




おうおう、随分待たせやがって
→本当にすみませんでした。

ちなみにリメイク版でトウヤの手持ちに変化は?
→今の所決めてません。まあ、愉快犯ラティオスとド外道後輩ズルズキンはネタ的に美味しいので変えない可能性は高いです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。