リメイク版:技術チートとロトムってどう思います? 作:4E/あかいひと
加筆修正のみ。
月日が経つのはとても早い。
具体的にはアレから3年が過ぎた。
いわゆるキングクリムゾンとかいうやつである。でも俺第二部までしか読んでねーけど。
学校卒業、トレーナーライセンスをゲット。
其の間、アチャモだったりチラーミィだったりが仲間になったことなんて、些細なことである。
そしてバシャーモに進化してたり、チラチーノが可愛かったりすることは、もっと些細なことである。
そして、ロトの憑依する機材がめちゃんこ増えちまったことも、本当に些細なことである。
そして俺の亜空間にパルキアだけでなく、ディアルガとかギラティナとかアルセウスが遊びにきたことなぞ、目クソ程の価値すらない程、些細なことである。
因みにその一環で、空間操作、時間操作、反転操作、創造の能力を身につけさせられたことは、割とどうでもいいことである。
…………あ、ごめんなさい。ふざけるのやめるんで白い目で見ないで。
ボールに捕まえることはできなくても、ロトの様に一緒にいる家族としてポケモンを探してたら、チラーミィと遭遇。翻訳機を用いた対話の結果、俺についてくることに。
名前:ミィ、性別:♀、性格:ドS、特性:テクニシャン。
アチャモは、ホウエン地方にしかない鉱石を注文し、その品を受け取りに港まで行ったときに、その貨物船の中に紛れ込んでいた。走ってたら運悪く船の中に入っちまったらしい。
特に行く当ても無かったようなので、スカウトしたら一発OKだったのは僥倖である。
名前:ホノオ(命名俺)、性別:♂、性格:速度狂、特性:加速。
そんなこんなで新しい相棒を増やしつつ、準備をしながら幸せに暮らしていた。
その間、ロトが装備する機体を大量に開発した。ネタ機体からガチ機体まで。まあコレが役に立つ機会は訪れないだろう。てか訪れるな。物騒なの多いし。
ロトが喜んでいるのでよしとする。
…………偶に、ロボット大戦する位ならOKだよね?
んで、パルキアのみならず、シンオウの伝説軍団が俺の亜空間に来た件は、パルキアのヤローが『面白い人間がいる』とか吹聴したらしい。心臓が止まるかと思ったわあのドラゴンが。
だがみんな、(無理矢理自分の能力を教え込ませるという代償を突き付けながら)俺の研究を協力してくれた。
その産物が『亜空切断グラインドブレード』だったり『時の咆哮ヒュージキャノン』だったり『超逆転マスブレード』だったり『裁きの礫マルチプルパルス』である。
…………なに、物騒だって? 一応モノホンの50%ぐらいの威力しかねーよ。まあそれでも出力完全の本気モードで使えば世界の半分は終わるがな。
直接使用することはないだろうが、脅しに使えるかもしれない。ありがとう、シンオウのみんな。でももう教え込ませるのは勘弁な!! 今度はダークライが夢で『ダークホール』教えてきそうで怖いんだよ!!
アレだけ平穏を願っていたのにも関わらず、ヤケに騒がしく、モブな暮らしは程遠くなってしまったが、ロトやミィやホノオに囲まれ、気のいい幼馴染達とつるみ、幸せな生活を送っている。どうだ、満足か上の連中? 因みに俺はコレで死ぬ程満足だ。これから厄介事に巻き込まれると思うと嫌んなる。
だってトウコもチェレンもベルも普通の子供で、俺の親友なんだぜ? それがこれから大変な目にあってくんだから酷い話だ。それは、おそらく巻き込まれる俺の、相棒達にも言える。
だから決めた。
巻き込まれることが定められているのなら。
俺の相棒達や幼馴染達、そしてそれらを取り巻く環境を害する敵は、螺子り潰す。
俺の持てる、全てを用いてだ。
◇◇◇
そして今日、3人がアラギラ博士からポケモンをもらう日。
本来なら俺にもあげると言って下さったのだが、俺には相棒達がいるからいいですと断った。
「いつも間違えるよねトウヤは。博士の名前はアララギよ」
「おっと失礼。噛んじまった」
「わざとでしょ?」
「噛んじめった」
「噛んだか噛んでないか、微妙なラインね」
「かんじへった」
「それはトウヤの台詞からよ」
今現在、俺とチェレンはトウコの家にお邪魔してる。彼女の机の上に、プレゼントボックスが置いてある。
とりあえず、トウコがツッコミ役なのはいつも通りだな。
「こんな時でもいつも通りなんだね君たちは…………遅刻してるベルも含めて」
「チェレンも相変わらずクールだぜ? それに、こういう時こそいつも通りが1番なんだよ」
「コレばっかりはトウヤに同意ね。慌ててピリピリして、これからのパートナーをビビらせたら嫌だもの」
「…………だね。トウヤとトウコの言う通りだ。でも、遅刻するのはどうなんだろう?」
「「それは弁明の余地はない」」
流石にね。
時間は守らないとダメだよ。
と、一階から玄関が開く音が。
そして、階段からバタバタと音がする。
「あのう………ごめんねみんな。遅刻しちゃった…………」
「ねえベル? 君がマイペースなのは10年も前から知っているけど、今日は大事な日だって何回も何回も言い聞かせたはずだよね?」
「緊張して寝れなくなる可能性も考慮して、あれこれとアドバイスもしたわ」
「特製の目覚ましもプレゼントしたぜ? その結果5分遅刻。まあいつものベルに比べたら随分な進歩だけど」
「あぅぅ…………ごめんなさぁい」
ま、集中砲火はここまでだ。
これ以上はイジメになっちまう。
「さて、ベルも来たとこだし、早いとこ進めようや。時の咆哮換算で、1秒の持つエネルギーは、カノコタウンで消費する1日の電力エネルギーの何十倍、何百倍もあるぐらい、時間の価値というのは高い」
「ヤケに具体的な例を持ち出してきたね…………分かりやすいけれど」
「人間は、自分の物差しで測れることだと理解がしやすいんだよチェレン」
ほにゃららジュールとか言ってもピンと来ないだろ?
◇◇◇
とりあえず、みんないがみ合うことなく、
トウコ→ツタージャ
チェレン→ポカブ
ベル→ミジュマル
という風になった。
「わぁい! よろしくねぇミジュマル!」
「ミジュミジュ!」
…………うん、和むよね、ベル見てると。
「これからあなたのパートナーになるトウコよ。よろしくねツタージャ」
「タージャッ!」
君は笑顔がいい感じだよトウコ。
いつものクールな君はどこに行った?
「よろしくポカブ。一緒に強くなろう」
「ポカブゥ‼︎」
おおふ、君はいつも通りクールだチェレン。対してポカブは熱血君か?
「ねぇ、これでみんな選んだよね。…………ならポケモンバトルしようよ!」
『バトルしようぜ!』
トレーナー志望なら1度は憧れる言ってみたい言葉のトップランカーである。
「それについては大いに賛成だけど、家でやると流石にマズイし、あまり暴れると…………トウコの母さんから頭突きを喰らうぞ?」
「「「…………レッツゴーアウトドア‼︎」」」
トウコ母の頭突き。
俺たち全員が1度は食らったことのある技。
アレはマジで痛い。
ゲームでは許してくれたが、現実でどうなるかはわからない。
危ない橋は渡らないに限るのだ。
…………え? 伝説ポケモンとどっちが怖いだって?
…………トウコのかあさ…………いや、止しておこう。
◇◇◇
「と、いうわけで男女に分かれてバトルすることになったけど…………いいの、チェレン?」
「ああ構わない。君がロトと過ごした分のアドバンテージがあることは重々承知している。胸を借りる気分でやらせてもらうよ」
なんという清々しさ。
「と言っても、俺もバトル初めてだけどね。そんじゃあ行こうぜロト!!!」
「キュイキュイッ!!!」
「頼むよポカブ! 初めてだけれど、頑張って君の強さを引き出してみせる‼︎」
「ポカブゥ!!!」
俺のライブキャスターに侵入してたロトと、チェレンの後ろに控えていたポカブが飛び出す。
「先手はもらうよッ! ポカブ、火の粉!」
「避けてワイルドボルト!」
因みに、この世界はゲームではなく現実であるが故にゲームとは異なる点が多々ある。技に関しては特に顕著といえよう。
確かに、成長することで技を覚えたりすることはある。しかし、成長の具合に関しては曖昧だ。
そして何より、訓練しだいではゲームでは覚えられない技すらも覚えることができる。
そこに気が付いて、ロトと一緒に訓練して得た技の一つ『ワイルドボルト』。物理値の高くないロトムには無用の長物に見えるかもしれないが、ロトムの身体が超高温であるプラズマ体であることを忘れている。ここも、ゲームと現実の違いである。
「避けられることは想定内! 後ろに回り込んで噛みつく!」
「ポカァ…………ブッ!!!」
「ギュイッ!?」
ワイルドボルトの欠点、反動により隙が生まれてしまうこと。
普通ならロトのほうが数段速くとも、とろくなってはどうしようもない。
にしても、畜生、指示ミスだ。すまないロト。
だがしかし…………
「ロト、電磁波」
「キュイッ!!」
「カブカブカブカブッ!!?」
こっちからしてみても、想定内である。
「ポカブ!?」
「大人気無くて悪いけど、これで決めるぞ! ロト、祟り目‼︎」
「キュイ〜〜〜〜!」
ロトから放たれた紫色のオーラがポカブを襲う。
「ポカブ!?」
「ブ、ブゥ…………」
そして、
「…………戦闘不能、ロトの勝ち。ごめんなチェレン」
「謝らないでトウヤ。僕らは戦って、僕は負けたんだ。ただ、それだけだ」
どことなく悔しさを滲ませながらも、爽やかな表情でそう言った。
「けれど宣言するよ。いつか君に追いついてみせる。そして勝つ」
「OK分かった。いつでもかかってくるがいい」
…………でも、割と近い未来に負けそうな気がするのは気のせいじゃないだろう。
◇◇◇
その後一旦身支度を整えるために、皆が家に戻る。その後博士にお礼を言う予定だ。
「でだね母さん。多分旅することになる」
「はぁ…………あっさりし過ぎよもう」
いやいや、表面上はそうなだけだって。
「真面目に、だよ。それで、間違いなく厄介事に巻き込まれるよ」
「巻き込まれに行くんじゃなくて? 昔から何かと突っ込む性格だからねぇ…………」
…………や、その通りですが。
「…………ま、余程のことがない限り首は突っ込まない。俺も、命が惜しい」
「分かってるのなら、言うことは一つだけ。本来なら行けた筈の高等教育をすっぽかしてまで旅するんだから、悔いを残さぬよう好き勝手やってきなさい。人様やポケモン達に過剰な迷惑をかけない範囲で」
好き勝手、ね。
「…………分かった。行ってくるよ母さん」
「行ってらっしゃい。偶には顔を見せなさいね」
◇◇◇
アララギ博士の研究所の前にて。
「おそーいトウヤ!」
「悪りぃ悪りぃ。母さんとの話が長引いてさ」
俺が最後ってのは中々新鮮だな。
「それじゃあ行こう」
◇◇◇
「あ、どうもアララギ博士」
「あら? 今日は間違えないのね」
「1日1回が限界ですから」
普通に挨拶するだけでこうも突っ込まれる俺。自業自得とはいえ、少し悲しい。
「ではあらためまして…………私の名前はアララギ! ポケモンという種族がいつ誕生したのか…その起源に到達するのが私の研究テーマね」
そう言って、博士が3人のポケモンを見る。
「あっ、すごーい! もうポケモンバトルをしたのね。バトルを通してポケモン達が君達を信頼しはじめた…そんな感じかしら?」
「そうなんでしょうか………まだパートナーになったばかりで、少し実感がわかないんですけど………」
「そういうものよトウコ。そのうち分かるわ」
まあ信頼するきっかけは様々だしね。
「さて、もう知っているかもしれないけど、あなた達にポケモンを託したのは、あることを手伝って欲しいからなの」
「確か、ポケモン図鑑を持って、イッシュのポケモン全てに会って欲しいんでしたっけ」
「その通りよチェレン。流石ね」
軽く拍手をする博士。
「ちなみに、イッシュのポケモンはどんなにいるんですかぁ?」
「確か、156匹ね」
「ふぇぇ……多いよぅ……」
「問題ねえだろベル。分担すりゃなんとかなるさ」
156×1/4=39
である。なんとなくいけそうな気がする数字である。
…………まあ序盤に遭遇するポケモンはかぶるから、実際はもっと探さないとダメなんだが。
「お願いしてもいいかしら? 強制はしないわ。でも君たちが手伝ってくれるなら、間違いなく研究は目覚ましいほど進むでしょう」
「無論です。ポカブに逢えたお礼としては軽すぎるぐらいです」
「わたしもわたしも〜」
「わたしも手伝いますアララギ博士」
ワォ! 皆さん決めるのが早い早い!
「俺も手伝わせていただきます。できることはいろいろ多そうですし」
「期待してるわハカセ」
「貴女までそう言いますか!!? 俺は単に機械いじりが大好きなだけだ!!!」
確かに作るものが常軌を逸してるとは思うけどね!!!?
「服だって何かと白衣を羽織ってるし、」
「てっきりもうトウヤ公認の渾名なんだと思ってたよ?」
「まあでもトウヤと博士を一緒にしたら、博士に失礼だわ。訂正しましょう」
「お前ら酷ぇ!!?」
畜生、グレるぞ!?
「まあまあ、トウヤ君いじりはそこまでにしておきなさい。では、よろしくお願いするわね」
そう言って、博士は俺たちに一つずつポケモン図鑑を手渡す。
へぇー、これがポケモン図鑑ね。
作ろうと思ったけど、流石にマズイと思った品が、今手の中にある。
「それでは、君たちの旅の幸せを願うわ。頑張ってね。それじゃあ、私は少し用事があるから出かけるわね」
と言って、博士は颯爽と行ってしまった。
「なんてーか、行動力あるよな」
「風の噂だと、オダマキ博士なんかもすごいフィールドワーカーって聞くよね」
あ、そういや。
「なあみんな、とりあえず使えるかもしれないから渡しとくよ」
昨日少し時間をかけて作った、
「タウンマップ?」
「そ。現在地確認機能の他に、街毎の地図や、名所旧跡、今人気の場所の情報まで付いてっから。2年前に打ち上げた衛星4基使ってるから位置確認も正確だぜ?」
「…………言い方悪いけど、無駄に高性能ね」
「でもこれは助かる。ありがたくもらうよトウヤ」
「あ、これみんなお揃いだねぇ〜」
確かに。図鑑はみんな色が違ってたもんな。
「…………ちなみに、ロトの送信機能もついてたり」
「キュイッ!」
「訂正するわ。間違いなくこれは無駄に高性能よ」
…………トウコの訂正に、なんだかモヤモヤする俺であったとさ。
◇◇◇
そして、カノコタウンと1番道路の境目。
ベルの提案で、旅の最初の一歩は、みんな一緒がいいとのこと。
「少し緊張するな」
「よく言うよトウヤ。いつだって君とベルはマイペースで、」
「私とチェレンが突っ込みに入るんだから」
「ふぇ? そうなの?」
「どうもそうらしいぜ?」
まあ確かにそーかも。
「あ、ロト。最初の一歩の写真、お願いできるかな?」
「キュイキュイ♪」
ロトモーターを搭載した一眼レフカメラにロトが取り憑き、ふよふよと俺たちの前に来る。
「キュイー!」
準備ができたことを、ロトが知らせる。
あ、それでは皆さんご一緒に!
「「「「せーの‼︎」」」」
『カシャッ!』
そうして撮れた写真は、俺たちの大事な一歩を、鮮明に写していた。
◇◇◇
レポート
場所:1番道路
見つけたポケモン:ツタージャ、ミジュマル、ポカブ
精神状態:気分上々
感想:最初の一歩、大事な一歩。この思いを胸に頑張りたい。
…………あとお前ら俺のこと弄りすぎな?
To Be Continued…………