リメイク版:技術チートとロトムってどう思います?   作:4E/あかいひと

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大きな変更はナシです。


レポートその2-最高で最悪の組み合わせってどう思います?

 

俺、トウヤ。

 

年齢、10歳。

 

丁度さっき前世の記憶が戻ったところ。今頭の中で、前世と今世の記憶がごっちゃになっている。

 

とりあえず、羞恥プレイな赤ん坊期間からのスタートでなくてホッとした。

 

しかし…………まずい。

BWでトウヤという名前はまずい。

 

「うがー…………」

「またトウヤが唸ってるよ」

「まあいつものことね」

「トウヤ大丈夫?」

「…………あんがとベル」

 

テンションだだ下がりの中で学校に向かい、授業が始まるまでうなだれていると、幼馴染であるチェレン、トウコ、ベルが俺を見てそんなことを言う。

確かにいつも通りだ。記憶の通りなら。

 

因みに、イッシュ地方の教育システムは12歳または13歳までは義務教育で、そこからトレーナー資格が貰えるらしい。

ではあのアニメ主人公サトシ君は何故10歳でトレーナー資格を持てていたのか? 理由は単純でカントーは義務教育課程が10歳で終わるからである。

 

小難しい言葉は避けよう。要は、小学校までが義務教育なのである。但しその教育内容は其の比ではなく、どれだけ低く見積もっても、卒業時までに履修する知識レベルは、前世の高校1年レベルに相当する。頭おかしいんじゃねえの? いや俺はやり直しな上に技術チートの恩恵からか頭はめっさいいから問題はないけれどよ。

 

「どーせ、また何かの発明で徹夜でもしたんでしょ? 心配するだけ無駄よベル」

「何気に酷いっすな、トウコさんや…………いやまあ確かにやってましたが」

 

記憶が戻る前の俺も、この身に宿る技術チートを使って、何かと頻繁に発明に時間を捧げていた。

確かこの前『亜空間発生装置』を作ったはいいが、パルキアに邪魔されてプッツン、その後武力衝突込みの交渉を始めた。それのケリが着いたのが昨日ということで。……………………記憶の戻る前の俺は何をやっているんだ。

 

「しかし、毎度毎度思うけれど、君もおかしな性格してるよね。いくら目立ちたくないといっても、多少の自己顕示欲はあってもおかしくないだろうに」

「お前らに見せたら満たされる程度のしか持ち合わせてねーよ。つか、目立ち過ぎると動き辛くなるからいけねえ」

 

まあ過去の俺がその分マイペースにいろんなことやらかしやがったせいで、付いた渾名は『ハカセ』である。この街にはかの有名なアラララギ博士がいるというのに。全く、俺はガキだぞ?

 

「一文字多いわ。博士の名前はアララギよ」

「失礼、噛みました」

「違う、わざとよ…………」

「噛みまみた」

「わざとじゃない!?」

「神は居た」

「何処によ!?」

「彼の世にだ!!」

「…………相変わらずの夫婦漫才だね」

「「夫婦じゃないッ!!」」

「あ、あはははは…………」

 

ああ、楽しい。とても楽しい。こうやって気兼ねなく言葉を交わし合うのはとても楽しい!

 

だがしかしッ!!!

あと3年後になれば、俺たちは面倒なことに巻き込まれる‼︎ 何故ならばクッソ腹立つことに俺の名前は『トウヤ』なのだから!!

 

「(いや待てよ?)」

 

ここで俺は、目を向けた。

 

「じー…………」

「な、何よ?」

 

トウコ、『トウコ』である。親友相手にこんなことを言うのは嫌だが、『BW』の女性主人公である。

 

元になったゲームでは、主人公は1人。

で、俺は転生したチート持ちイレギュラー。

 

じーっ。

 

「だ、だから何よトウヤ………?」

「…………頑張れよ、具体的には3年後」

「不穏なセリフを吐かないでこの馬鹿‼︎」

「君は英雄として、巨悪に立ち向かうことになるでしょう…………いや、本当に頑張ってトウコ。必要とあらばどんなものでも作ってあげるから」

「ちょ、それ真面目な話?」

「……………………(サッ」

 

心配そうに顔を蒼ざめるトウコが、直視できなくなった。

 

「ちょ、ちょっと答えなさい‼︎ どうなるの!? 3年後の私はどうなるの!!?」

「頑張れ…………頑張れトウコ。お前がナンバーワンだ…………」

「だから私どうなるのよぉぉおおおっ!!!?」

 

 

◇◇◇

 

 

しかしいくら主人公ではなくとも、近い位置にいる人間が人質にされる可能性は無きにしも非ず。実際、チェレンやベルにもプラズマ団の魔の手は及んだわけであるからして。

 

故に…………

 

「準備は必要だ」

 

学校から帰り、家の地下にある俺の地下研究室にて計画を立て始める。

 

ふと、カレンダーを見た。

 

「5連休…………」

 

そこからの俺の行動は早かった。

必要な機材、必要な物、通帳を持ち出して、そのまま街を文字通り飛び出るのだった。

 

 

◇◇◇

 

 

「トウヤ! いつまで寝てるの!? みんな来てるわよ────って…………え?」

 

2階、彼の部屋は、もぬけの殻だった。

一つだけ、残されていたのは置き手紙。

 

『ごめんなさい、ちょっと旅に行ってきます。5連休最終日までには帰ってくるので、家出の心配はしないでください』

 

なんと、ツッコミどころ満載の置き手紙だろうか。

 

「どうしたんですおばさん────って」

「はぁ…………頭が痛い」

「あ、あはは…………トウヤらしいねぇ…………」

 

 

◇◇◇

 

 

草むらに入ると、ポケモンに襲われる。

空を飛んでても、稀に襲われる。

 

が、認識されなければ問題はないのである。

光学迷彩と匂い消しスプレーバンザイ。

それを作れるようにした技術チートバンザイ。見た目以外にも不審者真っしぐらな気もするが…………気にしないことにしよう。

 

今回の旅の目的は、いわゆる『道具』と『技マシン』の収集。あとできたらパートナーになりそうなポケモンを捕まえること。

資金は、お年玉を元手にした株での利益があったのでそれを使い。…………てか本当過去の俺は何をやってたんだ。

足りなくなれば、金のタライでも落として『きんのたま』でも大量生産して売却。地味に使えるぜこのタライチート…………舐めてたよ。でもやり過ぎると金の流通的に大打撃を与えそうだから今回で最初で最後にする。

 

まあそんなこんなでお金の力でなんとか道具や技マシンは集めきった。…………字面が嫌な奴なのは気にしないことにする。少なくとも、ポケモンバトルでお金を巻き上げるよりは健全だと思うし。

 

しかし…………しかしながらモンスターボールだけは、どうにもならなかった。

 

「ボールが買えないおこちゃまだからな〜あははははは、はは、は、ハァ…………」

 

アレを買うにはトレーナーライセンスがいる。資格だ、資格がいる。

金でどうにかなるブラックシティでもどうにもならない。

 

一応その道理を無視するできるが、それやっちゃうと外道なので止めておくことにした。

 

そんなこんなで現在俺は、『ショッピングモール R9』の廃家電置き場で黄昏ながら落ち込んでいた。

 

「年齢の壁はでかい…………どうしようもなく、でかい」

「キュイキュイ?」

「慰めてくれるの? ありがとね…………」

「キュイ!」

「あはは、おもしろーい!」

 

……………………って、アレ?

いつの間に俺の隣にロトムが?

 

「…………いつからいた?」

 

翻訳機を取り出して聞いてみる。

 

『最初から居たよ?』

 

おおう、マジですか。じゃああの独り言も聞かれてたわけね。…………恥ずかしくて死にそうですよ、ええ。

 

まあここにロトムがいること自体は驚かない。ここの廃家電置き場は、ゲームではロトムのフォルムチェンジができる場所だからね。住み着いていてもおかしいとは思わない。

 

『それにしても、面白い機械をたくさん持ってるね。入ってもいい?』

「ダメだ、お前イタズラするだろ? そうでなくとも変に動かされるとヤバい代物が詰まってんだよ」

『ちぇー。けちんぼ』

 

ロトムは家電に入ってイタズラするポケモン。動かし方次第ではイッシュを焦土に変えるようなブツを迂闊に動かされちゃかなわない。

 

とはいえ、目の前でウルウルするロトムになんとかしてあげたいとは思うわけで。

 

「ノリで作った機械人形ならあるけど、どう?」

『え、本当!?』

 

倉庫と化している亜空間からとあるラジコン人形を取り出す。

 

以前理由もなくロボットが動いているのが見たくて、適当にそれらしいものを作ったのだ。

無限動力なんかは過去の失態から積んでいないが、BB弾とかビームとかレーザーとかを撃てるようにしてある。もちろん飛行機能もある。無駄に高性能である。

 

しかしこのままだとコイツに負担が…………って、

 

「おおうちょっと待てちょっと待て!」

『えー、お預け!?』

「お前に負担が掛からないように改造してやるってんだ! ちったあ待ちやがれ!」

『あ、ごめん。じゃあお願いしますっ!』

 

よっしゃ、気合入れてやりますか!

 

えっと、そこのたくさんあるロトム家電のうちの一つを拝借。扇風機にしよう。

変なモーターを解析し、バラしてダウンサイジング。

人形の動力を抜き取り、ダウンサウジングして形を整えたモーターを入れて閉める。

 

作業時間20分。少し時間かけ過ぎたかな?

 

「うしできた。どうぞ」

「キュイ♪」

 

そして入り込んだロトム。

 

鉄そのままの鈍い銀色だったロボ人形は、その色をロトムらしいオレンジ色へと変え、目を光らせた。

 

『ギュィィィイイイイイン!!!』

 

と、唸り声を上げる人形。

 

「うはっ! 大成功って感じ?」

「ギュイン!」

 

モーター音で返事をするロトムに、思わずこっちも笑顔になる。

 

テンションの上がったロトムは、そのまま飛んだり走ったりし、目からビーム、銃からレーザー、胸からBB弾を乱射する…………って、

 

「ストップロトムストップ! あまりドンバンしちゃ人が来る!」

『ご、ごめん……こんなの動かせてつい…………』

 

まあ楽しいのは分かるがな!

しかし、こんな風に自分の作品を喜んでもらえるとなんだか照れ臭いな。

 

「気に入ってもらえたようで何よりだぜロトム。そのロボ人形はお前にやる」

『本当に?』

「おう! 沈んだテンション上げてくれたのと、喜んでくれたお礼だ!」

『ポケモン探しはどうするのさ?』

「トレーナーになってからにするよ。たかが5連休で探そうと思ったのが間違いだったんだよ。そんな軽いノリで探しに来たから、バチが当たったのかもね」

 

さてと、片付けして帰るか。

 

「じゃあね、ロトム。あ、それで無闇に周りを傷つけるなよ?」

 

と、帰ろうとすると、力なく俺の背中にBB弾が当たる。

それが、攻撃の意思ではないことは言わずとも分かった。

 

「えっと、どうしたんだロトム?」

『僕、君に着いてくよ!』

「へぇー……………………え”?」

 

あれ、あれれ? なんだか気に入られちった?

や、願ったり叶ったりだけどさ。

 

「…………いいの?」

『もちろん! なんか君に着いてったら面白そうっ!』

「えっと、将来危ない目に合うことが確定してても?」

『モチ! 楽しみたいなら、代償は必要ってね!』

 

は、はは…………俺の運も、捨てたもんじゃねえな。

 

「そうか…………ならよろしく! 俺の名前はトウヤな」

『こちらこそよろしくトウヤ! 僕は『ロト』だよ!』

 

 

 

 

──────こうして、後に世界を騒がせるコンビが生まれた。それがいいことだったのか悪いことだったのかはご想像にお任せしよう。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

「ただいまー…………って、」

 

家に帰ると3人の修羅と、あたふたしてるベルが居た。わー、かわいいー…………じゃなくて!?

 

「おかえりなさいトウヤ」

「この5日間、何処をほっつき歩いていたのかしら?」

「流石に弁明の余地はないよね」

 

この後、カノコタウンに情けない俺の叫び声が響き渡る。

 

「キュ、キュイキュイ…………?(だ、大丈夫なのかな…………?)」

 

 

◇◇◇

 

 

レポート

 

場所:カノコタウン

 

見つけたポケモン:ロトム

 

精神状態:瀕死

 

感想:相棒を見つけてテンションマックス。しかし3人の説教によりテンションダウン。よってプラマイゼロ。

まあなんにせよ、これからよろしく頼むよ、ロト。

 

 

To Be Continued…………

 


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