さてさて、見事にFクラス入りを果たしてしまいました黒白涼華です。現在僕は廊下を歩いている所なんですが、今はAクラスの設備に釘付けです。
「うわ~パソコンやドリンクバーにお菓子…………小説書き放題です!」
羨ましい。僕もAクラスに入りたかったな………
まぁいいや、とりあえず僕は再びFクラスに向かった。
「……ボロイです」
中に入ってないのに何故かそう理解できました。
というか、2-Fの札がボロボロですし。
(とりあえず入ろうか……)
そうして僕はFクラスの扉を開き、
「こんにち「早く座れこのウジ虫野郎!」………」
入った瞬間に罵倒されました。
ウジ虫野郎って僕のこと? ていうか、何で入った瞬間に罵倒されなきゃならないんだろう。
もしかして僕って、他人にとって害虫と等しい存在と思われているのかも。
あれ? 何だか目から汗が出てきた。
「生まれてきて、ごめんなさい」
鬱だ。死のう。
「ちょっ、涼華落ち着け! 今のはちょっとした人違いでお前に言ったんじゃない! だから窓から飛び降りようとするな!」
「えぇい、雄二め紛らわしい事を、落ち着くのじゃ涼華! ここでお主に死なれたらワシは姉上に殺されかねぬ!」
飛び降りようとする僕を必死で止めようとする友人二人。
というか、
「秀吉、雄二。君達Fクラスだったんだね……」
2分くらいで正気を取り戻し、僕は疲れて息切れしている二人に呟く。
「ま、まぁな。というかお前、怪我の方は大丈夫なのか?」
「そうじゃ、姉上も心配しておったが、もう大丈夫なのか?」
「あ、うん。怪我はたいしたことないんだけど……」
「どうしたのじゃ? 何か問題があったのか?」
「入院中全然小説が書けなかったから……電撃大賞に間に合わなかった……」
「ど、ドンマイじゃ」
秀吉が僕を慰める。
あぁあれは地獄だったよ。物語を書く事ができない何て、僕にとっては死活問題だ。
「まぁ良い。とりあえず席は自由だから、適当なところに座ってくれ」
「あ、解った」
さて、改めて今日室内を見る。
ボロボロの畳。
卓袱台の机。
少し割れた窓。
綿の少ない座布団。
普通の学生が見たら唖然とする教室なのだが、
(これ、ネタになるかも……)
僕だけは例外であった。
とりあえず僕は友人達の中で一番付き合いが長い秀吉の隣に座り、カバンから『空の境界』を取り出す。
「ほぉ、ライトノベルとは、涼華にしては珍しいのぉ」
「この作者の作品。結構気に入っているからね」
他愛のない話をしながら、僕は読書し始める。
「すいませーん。ちょっと送れちゃいま「とっとと座りやがれ害虫野郎!」入った瞬間いきなりの罵倒!?」
あ、あれ明久に言うつもりだったんだ。
夏休みなのに休んでいる感じがしないのは何故だろう?