【GE作者合同投稿企画】アニメ化ですよ、神喰さん!   作:GE二次作者一同

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題名・作者名:ゴッドイーター大運動会・クトゥルフ時計

投稿作品名:転生したらブラック企業に就職させられました

登場キャラ:神薙ユウ、明石ミラ、神威ヒロ、極東組ほぼ全員、ブラッド隊

ジャンル:神様転生(今回ほぼ関係ない)、クソ茶番、笑えないネタ、妙なテンション、ネタバレ、キャラ崩壊、本編に出ていないのに出てくるキャラ、なぜか生きているキャラ、時系列めちゃくちゃ


ゴッドイーター大運動会 (作:クトゥルフ時計)

 フライアの一室。部屋と言うよりかは体育館と言ったほうがいいかもしれないこの場所に、マイクを通して声が響き渡る。

 

『それではこれより、《ドキ☆ゴッドイーターだらけの大運動会(ポロリは)ないです》を始めたいと思いまーす!!』

 

『オオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

 

(どうしてこうなった?!)

 

という大歓声の中、混乱するミラがいた。

 

◇◆◇

 

――――時は少しさかのぼる。

 

 フライアの高層フロア。そこにカツカツと響く足音。その足音の主はジュリウス。

 ジュリウスはまっすぐ歩いていき、とある扉の前まで行くと、勢いよく扉を開け放ち、目の前の人物―――ラケルに言い放った。

 

「助けてラケえもん!」

 

「誰がラケえもんですか誰が」

 

渾身のネタも額に青筋を浮かべ手元のリモコンをジュリウスに向かって投げつけるラケルには敵わなかった。

 

それはともかく

 

「で、なんでいきなりラケえもんとか言いながら私の部屋に来るんです?」

 

「わかりました話しますからとりあえずその手に持ったリモコンを下ろしてくださいお願いします」

 

ハァ、とため息をついてリモコンを下げる。ジュリウスはほっと息を吐く。

 

「実はですね、さっき天の声(作者)が

 

『あー、なんかいいネタないかなー』

 

って言ってたのでミラに相談したところ

 

『あの博士に聞けばいいんじゃね?あと、そういうときは『助けて!ド○えもん!』って言うといいよ』

 

って言われたので」

 

「あなたはバカですか」

 

メリィ、と凡そ人間の体が出せるとは思えない音を立ててジュリウスの顔面にリモコンがめり込む。ジュリウスは床に倒れピクピク痙攣する。今のジュリウスの顔面は見事に『*』になっている。

 

「そんな話を鵜呑みにするあなたが悪いんです」

 

「ひょっほほへはひほふはひへふは(ちょっとこれはひどくないですか)」

 

「黙らっしゃい」

 

起き上がろうとするジュリウスにラケルは更に追撃をかける。全身にリモコンが突き刺さり倒れるジュリウスはとても直視できるものではなく、絵にしようものならば『見せられないよ!』のモザイクが多重にかかっていることだろう。そして、指と指の間にリモコンを挟みジュリウスを見下ろすラケルは紅○館の某メイド長のようだ。

 

「で、いいネタですか……そうですね、どのようなものがいいのでしょう?」

 

そこに、ゴッドイーター特有の超人的な回復力で復活したジュリウスが話す。

 

「天の声(作者)が言うには大人数が参加できて、尚且つそれなりに分量が稼げそうなものがいいそうです」

 

「メタいわ」

 

「知ってます」

 

そろそろツッコミにも疲れてきたラケルだったが、ふととある考えが浮かぶ。

 

「そうですね……なら無難に運動会辺りでいいんじゃないでしょうか」

 

「運動会ですか。あの黒い笑顔のラケル博士とは思えないほどのいいアイデアでびっくりしました」

 

「黙りなさい」

 

一体何個あるのかもわからないリモコンが更にジュリウスに突き刺さる。が、ジュリウスもさすがに慣れてきたのか復活が早い。

 

「それでは伝えてきますね」

 

誰にだ、と思うラケルに軽く礼をして部屋を出ていった。

 

◇◆◇

 

そして今に至る。ちなみに、前でマイクを持って音頭をとっているのは極東の整備士リッカ。普段の彼女からは考えられないはっちゃけぶりだ。

 

『それでは、運動会を始めるにあたってとりあえず色々やりたいと思いますが正直宣誓とか始めの言葉とかめんどくさいからさっさと始めるよー!』

 

おい、と総ツッコミが入る。

 

『それじゃ極東支部は無駄に人数が多いので予選をやりたいと思いまーす!まあ大体のモブキャラはここで落ちると思うからがんばってくださいねー!』

 

ふざけるなー!とどっかの死のノートを使う月のような叫びが響く。しかし、リッカはそんなの知らないといったように話を続ける。

 

『それじゃ準備出来たら出撃ゲートまで来てくださいねー!』

 

それだけ言い残してリッカは去っていった。

 

◇◆◇

 

「で……なんで運動会に神機が必要なんだよ」

 

今ミラのいるところは神機保管庫。運動会をやるのにこれが必要なのか?と疑問に思うが当たり前だろう。その疑問に隣で準備していたヒロが答える。

 

「なんかアラガミに襲われないようにだってさ。運営も死人が出ないようにがんばるらしいけど」

 

「そんな殺伐とした運動会嫌だよ!」

 

ミラは思わず叫ぶ。ヒロはそれを見て苦笑した。

 

「まあ僕たちもがんばろうよ。優勝したら有給15日貰えるって」

 

「よーし、がんばるぞー!」

 

「態度変わりすぎでしょ」

 

ヒロは更に苦笑する。が、ミラはそんなことは知らなかった。休暇が貰える、それだけで心が軽くなったからだ。が、ヒロは何かに気づく。

 

「ミラのミッションって特務なんだよね?それって休暇適応されるの?」

 

「………………」

 

ミラは先程とはうって変わって絶望した表情になる。今の顔はまさしく『その発想は無かった』という感じだ。ヒロは心の中で人知れず合掌した。

 

「もう……俺が優勝して他のやつに有給を渡さないでやる……」

 

ミラは黒いオーラを放ちながら淡々と準備を進める。ヒロは若干のやらかした感を感じた。

 

◇◆◇

 

――――黎明の亡都

 

そこの広場に多数のゴッドイーター達が集まっていた。多くの話し声で賑わっているそこに、マイクを通して声が響き渡る。

 

『えー、皆さん大変お待たせいたしました。それではこれより、予選を始めたいと思いまーす! ルールは簡単、追いかけてくる神機兵から逃げるだけ! 制限時間は二時間! まあ簡単に言えば逃○中だね』

 

おい、と総ツッコミが入る。が、リッカはそんなの気にせず淡々と進める。

 

『それじゃあ始めるよー! さーん! にー! いーち! スターーーーーート!!』

 

開始の合図と共に三体の神機兵が放たれ、逃○中が始まった。

 

◇◆◇

 

「はあ………はあ………」

 

ミラは走っていた。理由は簡単、後ろから神機兵が追いかけてくるからだ。……それもスーツを着て。

 

 確かに○走中とは言っていたがここまでやることないだろうとミラは思う。笑えるから走りにくいのだ。現に今も必死で笑いをこらえている。想像してみてくれ、黒いスーツにサングラスをかけてゴリラみたいに走る神機兵を。

 

 それはともかく、ミラは神機兵から逃げている時に思った。なんでこいつはこんなにこっちに来るんだろうかと。理由はすぐに判明した。―――隣にヒロがいるからこいつも狙っているのだ。諦めて他のやつを探すのと、目の前にいる二人を狙うのと、AIは後者を選んだのだ。ミラにとってははた迷惑な話である。しかし、バッテリーが続く限り安定したペースで走る神機兵と、一応人間のゴッドイーター。スタミナが尽きればゴッドイーターの負けだ。しかも神機兵は今神機を持っておらず、ゴッドイーターは皆神機を持っている。オラクル細胞で身体能力が強化されてるとはいえ、明らかにゴッドイーターの方が不利である。捕まるの覚悟で壊してもいいが、恐らく――というか絶対に弁償させられる。それだけは嫌だ。ならどうするか。ミラの出した結論は、

 

――――壊したらダメだけど

 

――――不慮の事故で足止めするならアリだよね!

 

とのこと。思い立ったら早速実行に移すという適当っぷりでヒロを連れて建物に入る。それと同時に神機を銃形態に変形し、物陰に隠れた。ミラ達を追って建物に入ってきた神機兵の姿を確認し、そのちょうど真上の天井に弾が当たるように照準を合わせる。そして引き金を引いた。弾はミラの思った通りの弾道を通り、天井に直撃。瓦礫が神機兵の上に降り注ぐ。それを見てミラは密かにガッツポーズをした。あれなら壊れてなくても抜けるのには相当時間がかかるだろうと。

 

安心したミラとヒロは瓦礫に埋まっている神機兵の横を悠々と通り抜け、建物から出た。

 

◇◆◇

 

――――一方その頃。

 

「ふう………」

 

と、息を吐くこの男は雨宮リンドウ。現在活動しているゴッドイーターの中でも最長のキャリアを持ち、そして今回の運動会の優勝候補筆頭である。ちなみに本編にはまだ出ていない。

 

それはともかく、彼が優勝候補筆頭と言われているのには当然ながら訳がある。それはとても簡単。他のゴッドイーターが神機を持っているのに対して、この男は神機を手にしていない。彼の神機は通常時は右腕に収納されている。つまり、神機という重りを持たなくて済むのだ。大したことじゃないかもしれないが、これはかなりのアドバンテージだ。同じくらいの身体能力ならばこちらの方が有利。しかも彼には長いキャリアの中で培われた実力がある。アラガミの討伐はしなくても、ゴッドイーターの体の扱いなら彼が最も長けていた。最早捕まる理由が無い。

 

彼自身もそれを理解していたからか、かなりの余裕がある。取り出したタバコに火をつけ、それを吸い始めた。

 

◇◆◇

 

――――一時間後。

 

「順調すぎて怖い」

 

「唐突だね」

 

ヒロの言うことも最も。確かに今のこの状況は順調と言う他無いだろうが、なんの脈絡もなく言われたら流石に困惑する。が、そんなこと気にしないのがミラである。

 

「でもさ、流石にここまで何も無いとつまんないよな」

 

「否定はしない」

 

互いに顔を見合わせて苦笑する。あと制限時間は一時間もない。なににも出会わなければそれに越したことはないが、それは流石につまらなすぎる。せめてなにかないかと再び歩き始めたその時

 

「……静かに」

 

あの時足止めした神機兵が現れた。スーツはボロボロに破け、サングラスは跡形もない。いつも通りの神機兵に戻ったということなのだろうが、なにか様子がおかしい。なんというか………目が血走ってる。いや神機兵に血は流れていないのだが。

 

 ミラにはすぐに原因がわかった。先ほどの瓦礫、あれがきっと神機兵の触れちゃいけないデリケートゾーンにクリーンヒットしちゃったのだ。だから神機兵の色々大事な機能がパージしちゃってこうなった。つまり………

 

(全部俺のせいじゃん!)

 

哀れミラ、弁償は避けれなさそうである。頭を抱えて悶える。すると、

 

『グオオオオオ!』

 

神機兵に気づかれた。明らかに見えていなかったはずだが、そこはオラクルの超技術あたりでなんとかしたのかもしれない。まあとにかく今、言えることは

 

「逃げるんだよお~! スモーキー!」

 

「待てええええええ?!!」

 

ジョ○ョのように叫びながら逃走を図るミラ。それについていくヒロ。そして追いかけてくる暴走しかけの神機兵。なんともカオスな状況であった。

 

と、その時

 

キシュッ……

 

突然神機兵が停止した。その状況にミラとヒロは困惑するが、耳につけてるオペレート用のインカムからリッカの声が聞こえた。

 

『えー、制限時間が終了しましたので予選を終わりたいと思いまーす! 生き残ってる皆さんはすぐに次の会場に来てくださいねー! モブキャラの皆さんはやけ酒でも煽っててくださーい!それではまた後でー!』

 

リッカは最後に特大の爆弾を残し通信を切った。今頃脱落者達のブーイングがそこらへんで響いているだろう。現に今ミラとヒロはブーイングが聞こえている。二人は苦笑しらがら次の会場に向かった。

 

◇◆◇

 

『次の競技は騎馬戦です! 選手の皆さんは集まってくださーい!』

 

リッカの声が部屋に響く。ブーイングは収まったが所々涙声が聞こえてくるのは気のせいではないだろう。

 

それはいいとして、問題は参加メンバーだ。先ほどリッカの言った通りモブキャラは全員予選で落ちたのだが、流石に全員が落ちると残ったのが少なすぎる。いやまあ落とした理由は投稿する際の条件がなんやら(メタいわ)。

 

 あとの問題は女性陣が騎馬戦に参加するかどうかだ。やったことのある人にはわかるかもしれないが、基本騎馬戦という競技には女子は参加しない。女子と男子の筋力の差もあるかもしれないが、もしも不慮の事故が起きた場合に雰囲気が気まずくなるからだろう。ミラや男性陣が一番気にしているのはそこである。リンドウなんかはセクハラで訴えられたりしないかビクビクしている。それでいいのか最年長。

 

と、リッカが説明を始める。

 

『チームは四人一組。三人が騎馬で一人がハチマキ巻いてねー。あ、ちなみに女性陣も参加するんで気を付けてねー』

 

まじか、と男性陣は一気にテンションが下がる。ジュリウスは男の勝負に入るな! とか思っているが、大半はリンドウと同じ気持ちである。この場でラッキースケベを狙っているのはロミオとハルオミくらいであろう。

 

『そんじゃ、さっさとチーム決めてねー! 一分後に始めるよー!』

 

早いわ! と皆が心の中で叫んだ。が、何を言ってもあの司会は聞かないだろう。諦めろと炎の妖精が話しかけてきそうなくらいだ。

 

 その時リッカがマイクを持って戻ってくる。

 

『あ、言い忘れましたがそこでビクビクしてる男性陣方、今回ばかりは何しても訴えられたりしませんからご安心を。でもやりすぎたら…………わかってるね?』

 

『イエスサー!』

 

ビシッと息の合った返事を返す。人間に残っていた生物としての本能が逆らうのは危険と判断したからだ。リッカは満足したのか笑顔で戻っていった。

 

◇◆◇

 

チーム分け

 

【チームブラッド】ミラ、ヒロ、ジュリウス、ギル

 

【チーム女性陣】アリサ、カノン、ナナ、シエル

 

【チームキグルミ?】キグルミ、???、???、???

 

【チーム余ってしまったかわいそうな人々】ハルオミ、コウタ、ロミオ、エミール

 

『ていうわけで四チーム出揃いました! どう見ますか解説の榊さん!』

 

『いきなり連れてこられたと思ったらこんなワケわかんないことに参加させられて、そのことについて小一時間程問い詰めたいところだね』

 

『はい、ありがたいコメントありがとうごさいました! では進めていきましょう! というより四つ目のチーム名が色々変なのですがそれは』

 

『それ言うならチームキグルミとかなんなんだろうね。キグルミ君はいいとしても残りの三人が頭キグルミでその下水着なんだけど。色黒なのとガントレットしてるのはソーマ君とリンドウ君だね。あとの一人は誰だあれ?』

 

『消去法でわかりますよ』

 

『…………ああ、なるほど』

 

なにやら上で話しているが、選手達には関係ない。いや関係あるのだが。それよりもチームキグルミの格好が話している通りとんでもないので女性陣からは完全に引かれている。哀れなり。

 

『あ、ちなみにエリナさんはエミールさんの過保gゲフンゲフンご厚意で見学です。あしからず』

 

「フッ、エリナよ! そこで僕の勇姿を見ているがいい!」

 

「エミールうるさい」

 

一言で一蹴されるかわいそうなエミール。が、エミールの無駄なポジティブ思考には効かなかったようだ。このへんが余ってしまう原因なのだろうか。確かに組みたくはないが。

 

『それではこれより、騎馬戦を始めようと思いまーす! 正直言って騎馬が四組だけとか少ない気がするけど気にせず行こう! それでは―――――始め!』

 

「オオオオオオオオオオ!!!!」

 

始まって早々雄叫びをあげるエミール。そしてエミールの突進に合わせて突撃してくる余った人々。それを見て若干引いている他の三組。上に乗っているコウタがいきなりバランス崩しそうでかなり怖い。今はエミールの頭を掴んで必死で耐えているが、そのせいでエミールの顔面がすごいことになっている。目の辺りがつり上がり、髪はクシャクシャになり、普段の顔立ちからはかけ離れた姿になっていた。要するに変顔。そんなのがすごい勢いで近づいてきたら誰だって引く。現に男性陣とキグルミ軍団は逃げている。が、そのエミール達の後ろから迫る一つの影が、

 

「取ったどーーーー!!」

 

不安定なコウタの頭に巻かれていたハチマキを奪い取った。

 

「……は?」

 

コウタは何が起こったのかわからなかったが、じきに理解した。スタートしてエミールが突進を始めた瞬間に後ろに回り込み、ずっと張り付いていた女性陣の上、ナナがハチマキを取ったのだ。ご丁寧によ○この掛け声まで添えて。

 

『おーっと! ナナ選手、華麗にハチマキをゲット! 流れるような動きでしたねー!今のをどう考えますか解説の榊さん』

 

『僕はそれよりナナ君がおでんパンと呟き続けているのが気になるね』

 

『なんと……本当におでんパンって言い続けてますね。軽くホラーです』

 

『これがゴッドイーターの食への執念……恐ろしいものだ』

 

『それっぽく言ってますけど要するにただの食いしん坊ですよね』

 

リッカの身も蓋もない言葉に会場全体がずっこける。騎馬はなんとか安定を保っているが。

 

『とにかく、あのおでんパンキラーナナをどうにかしないとね……』

 

『おでんパンキラーってなんですかおでんパンキラーって』

 

上が下らない会話を続けてる間にも三組は動く。おでんパンと呟き続けてハチマキを奪いにくるナナをチームブラッドのミラが防ぐ。が、ナナの手さばきが速すぎて時折ハチマキを掠める。一体何が彼女にここまで働きかけるのか。時は数分前にさかのぼる。

 

◇◆◇

 

「ナナさんが取ったハチマキ×10個おでんパンあげますから頑張ってください」

 

「がんばる!」

 

◇◆◇

 

すごくあっさり終わったけどそういうことである。ナナは未知のおでんパンパワーに侵されてしまったようだ。オデンパンコワイ。

 

そしてミラの心情といえば………

 

(こいつ怖い!)

 

おでんパンと呟き続けて自分の頭(のハチマキ)を狙っているのだ。怖くて当たり前だろう。しかも若干目が死んでる。

 

「おでんパンおでんパンおでんパンおでんパンおでんパンおでんパンおでんパンおでんパンおでんパンハチマキおでんパンハチマキおでんパンハチマキおでんパンハチマキおでんパンハチマキハチマキハチマキハチマキ寄越せええええええええ!!!!」

 

「こえええええええええええええええ!!」

 

もはや人間やめたようになっている。ただただおでんパンを求め続ける食欲の権化。ナナはゴッドイーターやめておでんパンイーターになったほうがいいと思う。

 

とにかく、ナナのこれには下で支える三人がビビっている。提案したシエルは少しやり過ぎたかと自分の行いを反省した。

 

相手になっているミラはこのまずい状況を打開すべく動く。ナナの手の合間を縫ってハチマキに手を伸ばした。が、あっさりと弾かれる。次は左手でアタックするが、これも同じ。そしてナナはがら空きになったミラのハチマキに手を伸ばした。が、

 

「甘い……よっ!」

 

ミラはその手を掴み、自分の方へ引っ張った。前のめりになっていたナナはその勢いのまま騎馬から崩れ、落ちる寸前でミラに止められた。一瞬何が起こったのかわからないといった様子だったが、地面に足がついてからようやく自分が負けたことを理解した。ナナは申し訳なさそうにシエル達を見る。が、三人はナナに頑張ったねと声をかけた。ナナは負けたからおでんパンは無しだと思ったのだが、シエルが

 

「一つ取ったので10個ですね」

 

と言ったので途端に表情が明るくなった。単純である。

 

「さて……」

 

ミラはチームキグルミに向き直る。見た目完全に変態の上に乗っているキグルミはなんともシュールだ。どうやってハチマキを取ろうかとミラが考えていると、チームキグルミが背を向けた。会場の皆が疑問に思ったが、次の瞬間――――

 

――――ムーンウォークでキグルミが迫ってきた。

 

『気持ち悪っ?!』

 

ここで全員の気持ちが一致した。それもそうだろう。なにせ半裸の男三人の上に乗っている謎のキグルミだ。しかもそれがムーンウォークで迫ってきたとなったらその気持ち悪さは計り知れない。さらにそのムーンウォークが無駄に速く、効果音を付けるとすれば恐らくシャカシャカといった感じの…………

 

 シャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカ

 

 なった?! 効果音なった?! 気持ち悪っ?!

 

「退避いいい!お前ら退避いいいいい!!」

 

ミラが騎馬の三人に叫ぶ。その有無を言わさぬ迫力に圧されたのか、元々逃げたかったのかはわからないが、とりあえず三人は逃げた。ミラは頑張ってバランスを保つ。

 

『しかしキグルミ選手、後ろ向きですがどうやってハチマキを取るのでしょう……なんか腕があり得ない方向に曲がってるんですけど?!』

 

リッカが叫んだ。キグルミの腕が人間の駆動域を完全に越えてしまってるからだ。中身はどうなっているんだか本当に疑問だ。

 

 必死に逃げるミラ達だったが、幕切れは突然訪れた。

 

「……………?!」

 

キグルミが驚愕の声?をあげる。理由は

 

「あ………」

 

ミラの前で舞うハチマキ。しかしそれはミラのものではない。それは――――キグルミのものだった。キグルミがミラのハチマキを取ろうと腕を振り回したせいで自分のハチマキが引っ掛かって取れてしまったのだ。

 

『………………………………』

 

全員が黙る。なんともあっけない最後だった。

 

◇◆◇

 

『えー………先ほどはなんか申し訳ない終わりでしたが次いこうと思います。次で最後の競技ですね。まだ二つしかやってないけどこれ以上はバカ作者が書けそうに無いんでどうぞご容赦ください』

 

(誰に話してんだ?!)

 

それは神のみぞ知る。

 

『最後の競技はなんでこれをチョイスした障害物競争です! ルールはもう言うまでもないよね! そんじゃさっさと舞台に上がれや選手共ー!』

 

「あれ?でもさっきので俺達四人しか勝ってないよな? 選手少なくね?」

 

『別に得点とかそういうのじゃないからいいんだよ』

 

「なんで予選やったし」

 

全くである。

 

『ごちゃごちゃ言わずにさっさと上がれー!』

 

「横暴!」

 

それはともかく

 

『そんじゃ、やっていきましょー! 正直言ってこれで一番になれば優勝だから今までの全部前座だと思ってくれていいよー!』

 

「何言ってんだあんた?!」

 

『五秒前ー! よーん! さーん! にー! いーち! スタートオオオオ!!』

 

『オオオオオオオオオオ!!!」

 

一斉に走り出す総勢十六名。出てるのは騎馬戦と全く同じ。エリナファンの皆さんごめんなさい。

 

 そしてその中に混じってる変なの二人。一人はキグルミ。もう一人は……某音速タコの顔を被った誰か。

 

『えー、あれはユウさんですね。てか扱いひどいですね。逃○中では描写もされず、騎馬戦では半裸でムーンウォーク、この競争では音速タコですよ。一回も顔が出ていません。あ、やめてソーマさんそんな目で見ないで。大丈夫あなたは顔が出てるから!』

 

なにやら解説が言っているがそんなの関係ない。ミラは休暇を渡さないようにと奮闘しているし、ヒロや事情を知ってるやつはそれを防ぐために頑張っている。なにやってんだこいつら。

 

『とー、これは!第一の障害です!内容は?! …………………………エロ本トラップです』

 

『なぜ?!』

 

観客がツッコミを入れる。まあ選手の大半は踏みつけたり通りすぎたりするのだが、かわいそうな音速タコは違った。本人の意思とは無関係に手が伸びる。ユウがやめてと叫んでいるが体の自由がきかない。完全に音速タコの意志がユウの体を乗っ取ってしまっている。コスプレにこんな効果があったのか(ありません)。

 

そうこう言ってるうちに第二の障害が見えてきた。

 

『第二の障害はハードルですね。なんか普通でつまんないです』

 

「普通じゃねえだろ!これ何メートルあるんだよ?!」

 

今ミラ達の前に立ちはだかるハードルは異常に高かった。それこそ巨人の進入を阻む壁のように。

 

 が、リンドウは取っ掛かりを見つけてはスイスイ登る。それにはリッカも驚いた。

 

『バカな………あのハードルは50メートルだぞ……?!』

 

「そんなに高かったのかよ?!」

 

そんなこんな言ってる間にリンドウが登りきる。負けじと皆登り始める。最早ハードルではなくロッククライミングみたいだ。

 

 でもユウはまだ第一の障害で止まってたりする。

 

『さて見えてきました第三の障害! これまた定番平均台! しかしこれは非常に細く時間が経つと両側から壁がせり出してくるので注意が必要です!』

 

「もう完全に殺す気だろ!」

 

『大丈夫、死にはしませんよ(多分)』

 

「含みあった! 今含みあった!」

 

『さっさ行ってください。じゃないと先越されますよ』

 

「クソがぁあああああ!!」

 

暴言を吐きながら平均台に乗るミラ。しかし細い。落ちそうになるのをなんとかこらえ、最後まで渡りきった。後ろでガシャンとか不吉な音がなったのは気のせいではないだろう。

 

『さて今のでエミールさんとコウタさんとロミオさんとハルオミさんが脱落しましたね。これかわいそうな余った人々チームじゃないですか』

 

さらっと犠牲者を紹介するリッカ。残った選手は皆得体の知れない悪寒に襲われたという。

 

『それでは最後の障害いってみましょう。最後は……ダミーアラガミ100匹倒してください。できた人から通過です。あ、死なない程度に設定してるから大丈夫ですよ』

 

「…………きつくね?」

 

『大丈夫ですよ。日々生き抜いてきてる皆さんなら余裕ですよ。あ、ユウさんが追い付きましたね。やったね皆! ライバルが増えるよ!』

 

「おいバカやめろ」

 

『それじゃ、頑張ってねー!』

 

「話聞けやぁぁああああ!!」

 

ミラは出現するダミーアラガミを怒声と共に切り伏せる。ミラはこの怒りをダミーアラガミにぶつけて発散することしか頭になかった。

 

 

 

数分後

 

 

 

「キツ…………」

 

100匹倒すまで湧き続けるこの量には流石のミラも参っていた。部屋の上のほうにはモニターがあり、討伐数とランキングが表示されている。一位は流石と言うべきか神薙ユウ。二位はリンドウ、三位はミラだ。討伐数は上から51、49、46だ。一位のユウとは5匹の差がある。強者同士の争いだとほんの少しの差が勝負を分ける。どう巻き返すかとミラが考えたその時、ミラの体に強い力が宿る。

 

「?! これは……?!」

 

さて、本編を見た人ならわかるかもしれないが、ミラは一応血の力に覚醒している。ただ、彼自身との相性が悪いのだ。その力は≪許容≫、時間経過と共に大気中のオラクルを吸収し、身体能力を底上げする力だ。一度発動すれば強力だが、ミラ自身ミッションがすぐに終わってしまうので今まで発動させたことがない。まさか初めての発動が短編だと誰が予想したであろう。

 

 が、ミラにとっては嬉しい誤算。一気に巻き返しをはかる。僅かだが討伐スピードが上がり、ユウに追い付く。そしてその勢いで追い越した。

 

「よしっ………!」

 

『おおっ!ついにミラさんがユウさんを追い越した! これは勝負がわからなくなってきたぞ!』

 

オオオオ! と盛り上がる観客席。ユウも負けられないと踏ん張り、討伐スピードをあげる。追い付け追い越せを続け、いよいよ残り10匹というところで予想だにしない事態が起きた。ダミーアラガミが大型になったのである。 

 

「なっ………?!」

 

確かに、100匹と言ったが大型が出ないとは一言も言っていない。しかし最後の大台で出すとは、企画者は中々の鬼畜である。

 

 が、ここでモタモタしている場合ではない。止まっていればリンドウやヒロ達に追い付かれる可能性もあるし、ノンストップで倒し続けるしか選択肢はない。ならば迷ってる暇は無いと、ミラは走り出した。

 

 

 

 数分後

 

 

 

大型を倒し続け、ついにあと1匹。ユウもほぼ同じタイミングで倒し、二人の記録が並んだ。次のアラガミをどちらが速く倒すかで勝負が決まる。

 

―――――血の力があるミラか

 

―――――経験のあるユウか

 

勝負が決するのは一瞬だ。

 

そして、最後のダミーアラガミが現れた。そのアラガミは

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――アバドン

 

 

「「……………………は?」」

 

ミラとユウの二人の声が重なる。まさか大型の次にこんなのが来るとは予想してなかったからだ。一切の攻撃手段を持たず、ただ逃げるだけ。でも、この状況ではそれが一番面倒だった。

 

 攻撃してこないということは近づいてこないということ

 

 逃げるということは遠ざかるということ

 

 疲れて、動きの鈍っている二人にはキツイ相手だった。事実、追いかけて剣を振り回す二人の神機はアバドンにかすりもしない。まさかここでアバドンの厄介さを知るとは夢にも思わなかった。

 

「クソッ! 当たれ!」

 

 やけになってしまえば攻撃は単調になり、余計に当たらなくなる。が、疲れきった頭ではそんなことにも気づかない。が、その時

 

 ザシュッ

 

 そんな音が響く。そして

 

『そこまでー!』

 

リッカのアナウンスが響く。それと同時にアバドンが消え、誰かが優勝したことを表した。

 

『優勝は―――――――――――――ジュリウスさんです!』

 

「「は?」」

 

 ミラとユウは声を合わせて驚いた。そしてそれよりも驚くことがあった。

 

『一体どうやって最後のアバドンを攻略されたんですか?』

 

『簡単です。その場でピクニックを設営してアバドンを誘き寄せたんです』

 

そう、これだ。あまりにも方法があれすぎてさっきまで必死に神機を振ってた自分達がバカらしくなる。

 

『それで、優勝商品の休暇15日はどうやって使うんですか?』

 

『聖域で農業やります』

 

『ネタバレやめーや』

 

アハハという皆の苦笑で、運動会は幕を閉じた。





ゴッドイーターアニメ化、ゴッドイーターリザレクション発売、色々ありますがこれからもゴッドイーターは賑わいそうですね。

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