作品の世界観もTRIGUNがマカロニウエスタン的な感じで、出てくるキャラも最高です。
アニメなら? TRIGUNよりも血界戦線の方が好き。(ぉぃ)
冬木市では最近、ガス漏れ事件に通り魔事件と、夜は本当に人通りが少なくなる土地になっていた。赤いコートのお気楽で優男のサーヴァント、不殺を心に決め込むヴァッシュは、その事件が起きそうな時には毎回同じ気配を感じていた。
しかし、
「今回も空振りですか……戦いたくないからと言って、わざと遅れて気が付いたふりをしてるんじゃないでしょうね?」
「誤解だぁ! 相手が引き揚げるのが早すぎるんだ。でも多分本人は来てない……」
「使い魔だとでも言うのですか? だとしたら、キャスターか?」
魔術師のサーヴァント【キャスター】ヴァッシュの勘、バゼットの推理は合っていた。しかし、その本体の尻尾までは掴みきれないでいる。
「仕方ありません。しかし、今日もあなたの銃の弾に魔力を込めるだけになりそうですね」
「別に良いよぉ? 戦うわけじゃあるまいしぃ」
「何か言いましたか?」
「……何も(おぉ~怖っ)」
バゼットの視線はガンナーを睨みつけるものではあったが、戦うためのサーヴァントが戦わない事を責めるだけのものではなかった。バゼットは一つの違和感の答えを手に入れていた。それはガンナーのサーヴァントとの契約だった。
令呪は間違いなく繋ぎ治された手にある。しかし、それはガンナーに対する命令権は無い。契約は間違いなくガンナーとバゼットで繋がっている。しかしそれはサーヴァントシステムの契約では無いのではないだろうか。そんな奇妙な感覚だった。
そのままその先の事は何も掴めないまま、日は過ぎて行った。
時は経ち、穂群原学園。学園と言っても学園としては機能していない。何故なら今は夜で先生も生徒も帰っているからだ。しかし、校庭には青と赤の光が剣戟を以って、その存在を誇示する。
「てめぇどこの英雄だ! 二刀使いの弓兵など聞いた事がねぇぞぉ!!」
「ふん、そういう君は分かりやすいな。これほどの槍使いはただ一人」
青いルーンの加護を受けた服に身を包み見事に紅い槍を自在に操るのがランサーのサーヴァント。それに対峙するのが赤い服装の二刀の短剣を手に変幻自在の槍を防ぐ男がランサーの言うとおり、『弓兵』アーチャーのサーヴァントである。
それを観察している人影が4つある。一つは校庭内におり、女子学生の制服に身を包むアーチャーのマスターである遠坂 凛。一つは校庭をフェンスで挟むような形で呆然と事件に遭遇した男子学生である衛宮士郎。そして、その対角線上に位置する茂みにいる2つ、『ガンナー』のサーヴァントのヴァッシュと、そのマスターのバゼットだ。
「ランサー……」
「バゼットちゃんの前のサーヴァントだね。っていうか赤い服の人、僕と被ってるんだよね~。僕の方が良い男だけど」
「……いずれにせよチャンスです。ここで叩きますよ」
「叩きませんってば」
「な、何でですか!?」
自然と漏れた大きな声だった。これが「聞こえませんでした」と言う人はそうそういないだろう。
「誰だ!!」
「あぁ~バレちゃったじゃな~い。バゼットちゃんが大きな声出すから~」
「バゼット! 生きていたのか……俺は見ての通りだ、悪ぃな」
「ランサー……仕方ありませんね。ガンナー、あなたの力、ここで見せなさい!」
「ぼ、僕っすかぁ!?」
「曲がりなりにもサーヴァントでしょうが!!」
変化球すぎる存在、有り得ないはずの『ガンナー』というサーヴァント。アーチャーとそのマスターは新たに現れたそのサーヴァントとマスターを前に、様子見を始めた。
「また赤いやつか、流行ってるのか? ……まぁいい、やる気が無いようだが……その気にさせてやるよぉ!!」
青い砲台から飛んでくる赤い線がヴァッシュに襲いかかる。ヴァッシュはオレンジ色のレンズのメガネを掛け、その赤い線を途中で止めた。
ドンドンドンッ!!
止めたのは3発の銃声だった。
銀色に鈍く光る拳銃。魔術師同士の戦いにお目にかかる事はほとんどなく、一般人としてもモデルガンぐらいしか見る事はないであろうその重厚な拳銃はその場にいた誰もが『本物』であると理解させられた。
「拳銃!? アイツ何のサーヴァントなのよ!?」
「凛、少し離れるぞ」
凛はアーチャーの言葉に従い、アーチャーの言う安全圏まで下がった。そこまで下がれば目の前のサーヴァントは確実に守りきると言っているかのようだった。下がったのは距離にしておよそ50メートルといったところだろうか。遠距離のスペシャリストが言うこの距離に若干の不安を覚えつつも凛はランサーともう一人のサーヴァントの戦いに注視した。
そして、考え始める。拳銃使いのサーヴァント。近接武器ではない事からクラスで言うとアーチャーになりそうなものだが、アーチャーは自分のすぐ真横にいる。では、キャスター? いや、キャスターならこんな近くまで来て戦闘するとは考えにくい。英霊となっている魔術師、更に上の魔法使いが拳銃を使うという事も考えづらいものだった。
では、バーサーカー? ……じゃないのは一目で分かる。あれは理性がある。どこかふざけているようにすら見える。では、自分が召喚出来なかったセイバー? 銃を使っておいて? 有り得ないと更に思考を切り替えていく。
では、アサシン? ……シックリくる気もするが、あの目立つ格好で、しかも大きな銃声でアサシンというのも違和感が残る。それにアサシンなら暗殺だろうから目立って行動もしないか……特殊なアサシンの可能性もあるが。その考えを保留にし、別の思考を立ち上げる。
ライダー? 騎乗している物や、出来そうなものは見当たらないが、現状の可能性としてはアサシンとライダーの可能性が高い気がする。
「アーチャーどう思う?」
「ライダーの可能性が高いか……しかし、銃を使うサーヴァントか……ボンドでも次元でもなさそうだが……」
何でコイツの口からそんな名前が出てくるのだろうという疑問はその時は浮かんでこなかった。しかし、拳銃で英雄とも言える様な有名人というのも難しいものだ。というか魔術師である以上、拳銃に詳しくも無い。
結局は見ているしかない状況であった。
「チッ! 銃か無粋な得物だな……」
サーヴァントとして召喚される以上、召喚された世界の事は大まかに頭にインプットされる。銃という知識も少ないながらもあるのだが、戦うとなると別の話だ。
「あの~止めにしません? ほら、死んじゃったら大変ですしぃ」
「……バカかお前? 再び死ぬのが怖い英霊なんざ、いねぇんだよ!!」
青い槍使いは止まらない。しかし、ことごとくヴァッシュはその槍を撃ち、手足を狙い、ランサーの攻撃の手を止める。弾をリロードするも、その速さに隙は生まれない。
ランサーは苛立つ、攻めきれない事もそうだが、何よりも殺す気でやってないのに苛立つ。どの弾道も致命傷にならない様な手や足、槍自身に向かってくる。使い手である本人の胴体を狙って来ない事が、苛立ちを加速させて行った。
「てめぇ……ふざけるのも大概にしろよぉ!!」
パキッ
その時、枝を踏み折る音が聞こえた。一同が視線をそちらに向けると、男子学生である傍観者の衛宮士郎がそこにいた。見つかった彼はすぐさま逃げ始めた。
「誰だ!」
「しまった、まだ学校に人が残っていたなんて!!」
アーチャーのマスターの声がヴァッシュまで届いてくる。
【聖杯戦争出場者以外の無関係者や一般人に見られた場合は、掟により速やかに口を封じ抹殺しなければならない】
そのルールが頭に浮かびあがった瞬間、ランサーはヴァッシュへの攻撃を止め、男子学生を追った。
「くっ!」
ヴァッシュはそれを追う、アーチャーのマスターも追ってくるが、敵対というわけではないようだ。というか、あまつさえ質問をしてきた。
「あなた、何のサーヴァントなの?」
「ガンナー! 何故倒さずに一緒に行くのですか?」
「凛、敵である者に不用意に近づくのは賛同出来ぬのだが……」
「君、僕と被ってるんだよ! 服の色を変えて出直して来てよねぇ!」
こんな時でさえヴァッシュは軽口を止めない。そして、会話も入り乱れてごちゃごちゃとなる。
「あらアーチャー、このサーヴァントのさっきの戦い方を見て、この場で殺し合うと思ってる? それに銃使いのサーヴァントなんて聞いた事が無いわ? あなたはライダー?」
「僕は乗り物苦手なの、一応【ガンナー】ってクラスらしいんだけど?」
「ガンナ~? 聞いた事が無いわ……真名は?」
「真名? 何それぇ?」
「ガンナー! 敵と慣れ合うのは止めなさい!」
「凛、ストレートに聞いても無駄だと思うが」
「名前よ、あなたの名前」
「僕の名前はヴァッシュ・ザ・スタンピードぉ!!」
「「「……」」」
……答えた。
「何を、何を当然かの様に答えてるんですか!!」
バゼットは手袋を嵌めた拳を惜しみなくヴァッシュの頭に入れまくる。
「あ痛ァっ!! ごめんなさい! ごめんなさい! はぶぁ!」
「何なのよあんた達……でも聞いた事が無いわ……アーチャーは?」
「私も聞いた事が無いな」
そして、ランサーの気配を追って、階段を駆け上り、角を曲がったところで男子学生は見つかった。既に心臓を突かれている状態で。
「……どうしてアンタなのよ!」
アーチャーのマスターの凛と呼ばれる女の子はこの巻き込まれた少年を知っているようだ。
「ガンナー、ここにはもう用はありません、行きますよ。ガンナー? なっ!? まさか泣いてるのですか?」
「だってまだ若いのに……巻き込まれただけなのに……」
「ふん、随分と変わったサーヴァントの様だ……凛、私はランサーを追う、マスターの居場所ぐらいは知りたいからな」
「えぇ」
「待ちなさいアーチャーのサーバント。マスターだけを置いていくつもりですか? このガンナーならともかく、私ならあなたのマスターを殺しますよ? 安心しすぎではないですか?」
それはそうだ。雰囲気に飲まれすぎだろう。しかしと、バゼットは言葉を続けた。
「ここまで手を出して来なかった礼代わりです。ランサーのマスターの居場所なら知っています」
「えっ!?」
「何だと?」
「ランサーのマスターは教会にいます」
「ランサーに指示を出しておきながらリタイアしたとでも言うのか?」
「いえ、今のランサーのマスターは言峰綺礼です」
「なっ!? そんな事あるわけ―――……今の?」
「―――落ち着け凛。信じるには判断材料が少なすぎる」
「では、私達はこれで失礼します。行きますよガンナー……いつまで泣いているんですか!」
「ふぐぅ……えっぐ……」
「―――綺礼がランサーのマスター?」
「凛、深く考えるな。ヤツ等も敵だという事を忘れるな。嘘の情報の可能性が高い。もし本当だったとして、ヤツ等が乗り込まないのが不思議だ」
「わ、分かってるわよ。い、今はそんな事より!」
凛は魔力を溜め続けたとっておきのペンダントを外し、衛宮士郎を蘇生させ始めた。
「全く、君は無駄な事をしているぞ、大事な魔力の宝石を……」
「いいから黙っててアーチャー! 集中できない!」
その日、マスターは8人目が現れ、サーヴァントもまた8人目が確認された。
最後に召喚されたのは最優と呼ばれる『セイバー』のサーヴァント。マスターは死んだと思われていた男子学生だった。
アニメの血界戦線で一番好きなところ?
そりゃおめー『シュガーソングとビターステップ』だろうがよ。(ぉぃ)