ダンジョンで狩人に出会うのは間違ってるだろうか   作:夜明けの戦

4 / 6
子供は特別だ、独自の世界を持ち大人の見えないものをみる
だから彼、彼女等は目に見えないものを視、聴こえないものを聴く
だか、何時か他人や社会を知り自分の世界は何時しか我々の世界に変わる、そして彼、彼女等は視ることも聴くこと無くなる
もしかすれば子供こそが真実に一番近いのかもしれない


3

なんだこれは今までの人生の中でこんな経験は一度も無かった・・・子供とはこんなに恐ろしい生物だったのか・・・

 

狩人はあれから少年、ベル・クラネルの質問攻めに「あれは古い戦闘技術()で」やら「あの圧力(プレッシャー)は周りを警戒していただけ」など対応しながら彼を落ち着けていた。

 

「その凄い銀の剣もどこから出したんですか!?」

相変わらず食い気味に聞いてくるベルに彼は、剣を床に食い込んでいる石槌に差し込み仕掛け部分を固定して担いで見せた。

 

「へぇ~そんな仕掛けに成ってたんですね、凄いな~、やっぱりそれはヘファイストスファミリアやゴブニュファミリアの工房の作品なんですか?」

 

「ヘファイストス?ゴブニュ?(鍛冶の神か?)その工房は知らないがこれは医療教会の工房の品だが、君の装備は、ダンジョンに潜るのには少々心許ないのではないのかい?」

 

狩人は些か気になっていた事を聞いてみた、彼の装備、ハッキリ言って貧弱すぎる、街で取るものも取らずに逃げ回て来たのならわかるが、遺跡(ダンジョン)に挑むとしたらこれは自殺にほかならない、ナイフ一本に胸部プロテクターのみで挑むなど、大昔の危険の有無も分からずに入って行った墓暴き共ならいざ知らず、今は遺跡(ダンジョン)は危険であると閉鎖され聖杯の儀式無しには入ることの(アクセス)出来ない場所になっていたはず、だとすると彼の返答によって答えに近づける可能性がある。

 

「え、僕のはギルドから最初に貰える支援品の物で、恥ずかしながら家のファミリアはできたばかりでお金もないので」

そう彼は恥ずかしそうに少し俯き加減に答えた。

 

「でも、何時か自分で稼いだお金で最高級クラスの装備を手に入れて見せます!!」

そう真っ直ぐに此方を見てくる。

 

「・・・そうか、それじゃ頑張らないといけないな」

 

彼の言う事の正確なものは理解してないが、何と言うか随分と眩しい少年である、遥か昔に自分が失ってしまったものを持つ少年、私も歳か、この子に対して希代とも憧憬とも取れる感情が湧いてくる・・・今は止そう優先すべき事がある。

それにこれでで大体の状況は予想がつく、彼がこれだけの夢を抱ける環境、ギルドと言う支援団体、ファミリアは探索等を行う中小集団だろう、と言うか直訳すると《眷属》になるがまさかな、そして何よりこの私の知るものと似たようで違う感覚の『ダンジョン』である、トゥメル、ローラン、イス等と違い朽ちかけたものではなく明かりなど所々整備されたような通路、壁から生まれいでる先駆けや精霊、または眷属に近い気配のモンスター達、少なくとも此処は私の知る遺跡(ダンジョン)では無さそうだ。

彼はそう判断するとその考えに沿った行動を主におくことを決める、そんな時、少年ベルが声を掛けてくる。

 

「あの~ところでさっきから気になってたんですが、何で魔石を回収しないんですか?」

 

「魔石?」

 

「あ、それとも経験値(エクセリア)稼ぎが目的なんですか?」

 

(やれやれ、魔石に経験値(エクセリア)ね、また考えることが増えたな、これはもう素直に諦めるしかないか情報が多すぎる)

そう考えた彼はベルに声を掛ける。

 

「ベル・クラネル君」

 

「あ、ベルって呼び捨てで良いですよ、危ないところ助けていただいたのに」

 

「そうかい?助けはそんなに必要ないと思ったが、それではベル君、きみを信用して話そうと思うのだが、まず先に魔石とは何だい、あと此処が何処だか教えて欲しいのと、他にも些か質問が少々。」

 

「へっ??」

 

其れからは今度は彼が色々ベルに尋ねる番だった。

ベルから教えられたのは迷宮都市オラリオの存在、魔石と言う未知の資源、神の恩恵(ファルナ)にステイタスなど驚くような力、そして何より

 

「オラリアには神様たちが天界から降りてきて下さって僕ら冒険者たちにファルナをくださってるんですよ」

と彼が言った一言に一瞬、思考が停止した。

 

神と呼ばれる超越存在(デウスデア)という上位種の存在、上位者(ヤツラ)が居るそう聞いた途端身体の奥底から沸き上がるどす黒い感情

 

「上位者が居る」

 

「上位者共が居る」

 

上位者(奴ら)がこちらの次元に降りてきている」

 

 

狩れ、狩れ、狩れ、狩レ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、カレ、

 

ヤツラハ、ヤツラハ、ヤツラハ、ヤツラハ、ヤツラハ、ヤツラハ、ヤツラハ、ヤツラハ、ヤツラハ、ヤツラハ、

ヤツラハ、ヤツラハ、ヤツラハ、ヤツラハ、ヤツラハ、ヤツラハ、ヤツラハ、ヤツラハ、ヤツラハ、ヤツラハ、

 

 

《ミナゴロシダ!!》

 

 

そうだ

 

奴らは皆殺しだ

 

何故なら私は

 

上位者を狩るじょ

 

「・・だ・ょ・ぶ・・、大丈夫ですか!!」

 

そこではたと気が付く、そこには心配そうに私の顔を覗き込むベル君の顔がみえた

 

「大丈夫ですか?やっぱりさっきの戦闘でどこか怪我でもしたんじゃ!」

と顔を青くしだした、何ともこの少年は随分なお人好しのようだ、聞いた限り冒険者とは一種の軍や傭兵の様なものだろうに、このままで大丈夫かと逆に此方の方が心配になってきた。

 

「いや、済まない考えを纏めようとして深く入り込んでしまったようだ、心配をかけたようだね」

 

「いえ、大丈夫ならいいんです、いきなり立ち止まって返事が無かったから焦っちゃって」

彼はそうはにかみながら言う、やはり歳か、この子を見ているとまるで孫をもつ祖父の様な感覚になる、まあ実際、私は見た目とは違い経験した時間で考えれば孫や玄孫どころですむ話ではないのだが。

彼はそんな事を考えながらまた、歩き始めた、先程自分から溢れだしそうになった《自身》の答えに蓋をするように

 

その後ベルと幾つか質問や彼の身辺の話などを聞きながら出口を目指しているとベルが彼に聞いてくる

 

「それにしても本当に良かったんですか?集めた魔石の半分も貰ってしまって?」

 

「なに、道に迷った老人を案内してくれる者に対する御駄賃さ、それに君には神様を紹介してもらうのだから仲介料も含んでいるのさ」

 

「老人って、まだ全然そんな歳じゃ無いじゃないですか」

とベルは笑いながら言う。

 

(?)

彼はそこで少し何かに引っかるようなものを覚えたが、そこで丁度前から溢れる光りによって思考が中断された

 

「ここがダンジョンの出入口、僕ら冒険者の出発点、バベルの地下一階、大広間です。」

そこはとても広い空間だった、彼方此方に冒険者と思われる者たちが居る、中には編隊を組んでいる大掛かりな者たちも見られる、そして何よりこれだけの数の《人》を見るのは彼にとって実に何百、いや何千年分ぶり、それほどぐらいの時が流れただろうか。

 

(人々の喧騒、活気に溢れた話し声、最早二度と聞けぬと思ったものに巡り合うことになるとは、フッ、私にもこう言う感情は残っていたのだな)

彼は一人自らの胸の内に僅かに震えるものを感じ、暫しその感覚に酔いしれる、彼は実に永いあいだ《独り》だった、故にもう殆どと言って良い程度にしか残っていない社会の中での人との繋る感覚、それを感じ取れたことが彼には有難かった。

 

「?どうしました、また考え事ですか?」

また、立ち止まって動かなくなった狩人にベルが声をかける。

 

「いや、少し圧倒されてしまったようだ待たせたね、それじゃこれからファミリアへ向かうのかい?」

そう、少し誤魔化しつつ目的地を確認する。

 

「あ、いえ、その前にギルドに寄って行こうと思っています、いいですか?」

 

「ああ構わんよ、此方は案内して貰う方だ、それにギルドにも興味は有るからね、頼めるかな?」

 

「はい!わかりました、しっかり着いて来てくださいね♪」

なんとも素直で透明な少年だ、私があの齢の頃は世間も時代も変わり目で混乱も多くもっと生きることに汚く、必死だったか?最早遠い、それこそ夢の彼方程に遠い過去であるが。

そう自嘲しながら目の前の小さな背中を見る。

 

(願わくばこの少年は私のような流され、翻弄され続ける選択をしないよう祈るばかりだ・・・)

そんな事を考えながら二人はバベルの外へあるきだす。




やあ、脳筋神秘だよ、みんな車輪を回してるかい?
と、調子にのってみたうP主です。(  ̄▽ ̄)
皆様に大人気な狩人さんですが、実を言えば家の子をモデルにしてるだけで全く同じと言うわけではありません(; ̄ー ̄A
話の都合上ステなどを強化させて頂きます、他にもちょいちょい問題が有るもんですから更新は余り期待されない方がよろしいかと、それでも待ってくださるならば幸いです。


どうでも良いことですが、家の子は容姿、某テイルズのローエンと東方不敗(マスターアジア)をたして2で割った感じです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。