IS学園の中心で「ロマン」を叫んだ男   作:葉川柚介

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第51話「ISには機能低下だけじゃなく、低周波とか聞いたら暴走するコードも仕込まれてそう」

「今回の襲撃の状況について説明する。いまのところ、所在が確認されている生徒、教師に負傷者はいない。……だが、行方不明者が一人。知っての通り、篠ノ之だ」

 

 IS学園地下区画にある作戦会議室。千冬さんと山田先生を中心に、先生たちに引率されるという形で俺たち専用機持ちが集められていた。

 

「篠ノ之の行方は現在捜索中。そして、この一件に関しては箝口令が敷かれている。口外はするなよ」

 

 千冬さんの背後に広がるスクリーンには、様々な情報が表示されている。

 IS学園を中心とした周辺地図は虱潰しにあちこち探索終了を示す範囲が広がりつつあり、巨大な世界地図には並んだ波線が描かれていることからして、偵察衛星も動員してそれこそ世界中を調べているのだろう。

 ……それで見つかれば苦労はないと思うけど。

 

「……それより! 箒は無事なのか!?」

「紅椿からのバイタルサインは途切れ途切れだが反応があり、異常がないことは確認できてる。それに、わざわざ攫ったということは生きたまま確保する必要があるということだ。殺す気なら神上のときのようにもっと確実にやっている」

「俺は生きてますけどね」

「……たくさんの無人機にしがみつかれて自爆されたのに、真宏さんなら死ぬわけがないと全く心配していなかった自分が少しイヤになりましたわ」

 

 状況は悪い。

 無人機のおかわりこそなくIS学園は表面上落ち着いているものの、箒の身柄を奪われたというのは由々しき事態だ。

 ただでさえ束さんの妹で重要人物。それが謎の無人機に連れ去られるなんて、それこそ過去に何度となく襲撃されつつもなんとかかんとかやってきたIS学園存亡の危機にすらなりかねない。

 

「そんな……相手が何をするかなんてわからないだろ!? 早く、早く助けに行かないと……!」

 

 が、今はそれより目の前のことだ。

 どこにいるかわからない箒のことも心配だが、かつてないほど取り乱して声を荒げている一夏も見ていられない。

 いてもたってもいられず千冬さんにまで噛みつくなんて。慌てたら助けられるってものじゃないんだから、ここは燃えるハートでクールに戦わなきゃいけないのに。

 まったく、仕方ないやつだ。

 

「一夏」

「なんだよ!?」

 

 だから、千冬さんに食って掛かる一夏の横から近づいて。

 

 ドス、と胸に重く手の甲を。

 

 

「まず君が落ち着け」

 

 

 頭を冷やせ、と言ってやる。

 一夏のことを「君」なんて呼んだの、ひょっとしたら初めてかもしれない。

 その違和感が不意打ちになったのだろう。目を丸くした一夏は、さっきまでの剣幕がウソのようにきょとんとしている。

 

「ほれ」

「あ、ああ。……すまん」

 

 一夏の胸を叩いた手に持っていたモノを渡してやると、素直に受け取った。

 やれやれ、手間のかかるヤツだ。それでも飲んで落ち着けよ。

 

「……いやちょっと待て真宏。水かと思ったらゼリー飲料じゃないか」

「しかもそれ、最近IS学園で流通してるよくわかんないヤツじゃない」

「体力の50%とか100%回復するっていう、アレだよね。その妙に具体的な数字が不気味だよ……」

「噂によると、飲めば飲むだけ限界を超えて体力を蓄えておけるとか。人間の体をなんだと思っているのだ」

 

「ち、ちがう。これはただのスクラッシュゼリーじゃ……!」\ロボットイングリィィス!/

「真宏、私にもちょうだい」

「簪ちゃん!? なんかそのゼリー鳴いたわよ!?」

 

 その後、ゼリー飲料は没収されました。解せぬ。

 

 

 

 

「……いろいろあったが、話を続けるぞ。篠ノ之を攫った目的だが、見当はついている」

 

 頭が痛そうに額を押さえる千冬さんが、会議の進行を再開する。

 いつもの襲撃のみならず、箒が攫われたことで心労が溜まってるんですね千冬さん。おいたわしい!

 そんな千冬さんが目配せすると、山田先生が頷いて会議室へとある人物を招き入れた。

 

「あはは……どーもどーも」

「ヒカルノさん?」

 

 少し申し訳なさそうに苦笑しながら入って来たのは、倉持技研の篝火ヒカルノさんだった。

 それも、あちこち包帯を巻いたりテーピングしたりと傷だらけの様子で。

 

「例の無人機の出所だが、倉持技研だと判明した」

「え、白式の開発元!?」

 

 

 ヒカルノさんの言い分はこうだった。

 以前、エクスカリバー事件の際に提供されたエネルギー増幅・共有装置O.V.E.R.S.。あれは作戦遂行のために供出されたものであると同時に、ヒカルノさん、ひいては倉持技研の目的「量産型紅椿建造計画」に必要なデータを集めることが目的だったのだ、と。

 その成果こそ、さっきIS学園を襲撃してきた新型量産機<緋蜂(あけばち)>。

 さすがに紅椿のように単騎で無尽蔵に近いエネルギー増幅をすることは出来ないが、O.V.E.R.S.を搭載した量産機間でエネルギーを共有することによって擬似的に絢爛舞踏の能力を再現することができる見込みで開発が進められていたのだという。

 

「いえ、待ってくださいまし。その話が本当ならば、緋蜂というISは有人機のはず。それがどうして無人機と化してIS学園を襲うのですか?」

「……決まってるだろ、セシリア。この世の中でISを無人化できる人なんて、俺たちは1人しか知らないはずだ」

「……篠ノ之博士、ね。よく考えてみれば、箒を攫うなんて篠ノ之博士にしかできないじゃない」

「もし第三者が箒に手出ししようとしたら、絶対やる前にひどい目に会うよ」

 

 つまり、紅椿の情報を収集しようとしていた倉持技研側だったが、逆に新型機の開発情報を察知され、完成間近だった機体を丸ごと強奪された形になるわけだ。

 

「いやー、危ないところでした。偶然私が遊びに行ってなかったら、ヒカルノさんも危ない所でしたよ?」

「え、ええ。一応感謝してるわ、ワカ。……まあ、あなたが盗まれた緋蜂相手に暴れてくれたおかげで研究所が一つ更地に還ったけど」

「それは仕方ないです。ヒカルノさんたちを助けるための避けられない犠牲、コラテラルダメージというものですね!」

 

 ちなみに、そんな状況下でヒカルノさんがケガするだけで済んだのは、特に理由もなく倉持技研に遊びに行っていたワカちゃんが緋蜂を叩きのめしてくれたからだとか。だ、大丈夫! 生きてるだけマシですって!

 

「ともあれ、状況は読めた。おそらく束は、倉持から奪った緋蜂を完全なものとするためにオリジナルである紅椿と篠ノ之を必要としている」

「ああ、最近箒のハザードレベルが上がってる気がしたけど、それで……」

「真宏くん、そういう重要な情報は早めに出してね」

 

 そんなこんなで、状況は大体把握できた。

 つまり、束さんが量産型紅椿をむしろ自分の側で作ろうと画策した結果、必要なピースとして箒の身柄を求めた。そういうことになる。

 ……それって、ヤバくないか。

 

「なら、今すぐにでも助けに行かないと!」

「落ち着け! 既に言った通り……」

「箒が『必要』ってことは、人質として交渉に使ったりする気はない! 必要なことを必要なだけする。束さんはそういう人だろ!」

「うーん、反論の余地がない」

 

 一夏の懸念ももっともだ。束さんの箒に対する扱いは信用しているが、そもそも束さんという人間そのものが全く信用できない。あっさり心変わりしてそれまでの人間関係その他諸々をバッサリ斬り捨てたとしても、多分俺は驚かない。

 

「だが、篠ノ之の居場所すらわからないのにどうする」

「俺にはわかる。箒は、ここにいる」

 

 そして、一夏には箒の居場所がわかるという。

 目の前に手をかざして展開した白式の空間投影ディスプレイ。

 そこに示された地図上の一点、太平洋のど真ん中、他になんの目印があるわけでもない地点から紅椿の反応が確認されると、白式だけが察知していた。

 

「それは確実に罠だ。どう考えても迎撃の戦力が待ち構えている」

「それでも行く。行かなきゃならない」

「教官、私も一夏の意見に賛成です。篠ノ之博士が明確な目的を持って行動を開始したのであれば、おそらく時間的余裕はありません。罠の可能性が高いことは間違いありませんが、同時に時間を与えれば与えるだけ目的の達成度が上がり、こちらが不利になります」

「わたくしもラウラさんの意見に賛成です。IS学園を襲撃した緋蜂は、無人機仕様であることからしておそらく篠ノ之博士自身が建造した機体でしょう。……つまり、最悪の場合今この瞬間も緋蜂がさらに大量生産されているかもしれませんわ」

「それに、放っておいたら今にも一夏が飛び出していきそうだし、ここは私達も一緒に行った方がまだマシですよ」

「お願いします! 行かせてください織斑先生!」

「みんな……」

 

 理屈を説き、一夏の無鉄砲さを押さえるという名目を掲げ、箒の救出を願い出る。当然だ。仲間が連れ去られたらこうもなる。

 生徒たちからの真摯な眼差しを受けて、千冬さんはしばらく悩み。しかし、どういう経路をたどるにせよ、結論は最初から決まっているも同然で。

 

「……これより篠ノ之箒救出作戦を開始する。いまから40分後に出発だ。各自ISの調整と補給を済ませておけ!」

 

 号令一下、俺たちは揃って駆けだした。

 

 

「ワカちゃん、そんなわけでちょっと暴れることになったんだけど、いい装備ないかな」

「任せてください! こんなこともあろうかと、いつでもイイの持ち歩いてますよ!」

 

「山田先生、あのバカ二人の監視を頼みます」

「私一人でですか!?」

 

 俺も、とりあえずワカちゃんからよさげな装備を貰ったりとか準備しないとね!

 

 

◇◆◇

 

 

「え、真宏は行かないのか!?」

「一夏たちと一緒には、な。そもそも強羅は遅い。同時に出撃しても遅れるのがオチだから、ちょっと準備が必要なのさ」

 

 アリーナ内のカタパルトで待機している一夏に、俺の出撃が少し遅れることを伝えに来た。

 他の専用機持ちの皆もそれぞれのアリーナに分散して、パッケージの装備や出撃準備に忙しくしているだろうけど、俺はそれから少し遅れていくことになる。

 箒のことは心配だし助けに行くけど、そのためにこそやらなきゃいけないことがちょっとあってね。

 

「そうか……変なことするなよ」

「そりゃあ無理な相談だぞ、一夏。箒を助けなきゃいけないからな。出来ることはなんだってするさ。……お前と同じように」

 

 一夏からの返事はなく、無言で俺の目を見てくる。

 なあに、どうせお互い無茶をするんだ。やること決めて、覚悟を決めて、行く。それだけだ。

 そうだろう、一夏?

 

「……必ず帰って来るぞ。箒と、みんなと一緒に」

「おう」

 

 最後にゴツりと拳を打ち合わせ、俺たちはそれぞれのISの下へと急ぐ。

 安心した。一夏は焦ってこそいるみたいだけど冷静さも残ってる。

 

 「みんな」でIS学園に帰って来るんだ。

 その「みんな」の中にお前も入っていることを、忘れるんじゃないぞ。

 口には出さず、拳に込めて送ったその思いは、きっと一夏に届いているだろう。

 

 

 

 

「それじゃあワカちゃん、よろしくね」

「はい、任せてください! IS学園の整備科有志の子たちも手伝ってくれますし、ばっちりです!」

 

『全ては、蔵王重工のために!』

 

「……おいワカ。おいワカお前」

「まっ、待ってください千冬さん! 別に洗脳なんてしてません! ただちょっと、グレネードの良さを伝えただけで!!」

 

 千冬さんの片手アイアンクローで釣り上げられて足をバタバタしてるワカちゃんを横目に、俺は真面目に強羅の調整してました。あれ痛いんだよなー。

 

 

◇◆◇

 

 

「……ここは? 一夏と真宏が『ISの内面世界ってウユニ塩湖っぽい』と言っていたが、それか?」

 

 頬に風を感じた。意識に上った呼吸には潮の香りが混じっている。

 ざざん、と波の音が聞こえ、目蓋を開けば一面に広がる青い水平線。足元には波が打ち寄せる、半ば水没した海上の砂浜とも言うべき場所に、箒は立っていた。

 

 記憶の脈絡なく、唐突に立ち呆けているこういった場所。一夏は、IS関連の事件に関わって死にかけるたびにこういう景色を見た気がすると言っていた。

 だとするならこれはISの、紅椿の見せている景色なのか。

 何ら現実感を伴わないリアルの中で途方に暮れる。一体何がどうなっているのか、どうしても思い出せなかった。

 

 ふらふらとさまよい歩く箒。

 さして広くもない砂浜にただ足跡だけを残して、しばし。

 

「お前は……?」

 

 そこに、自分以外の誰かを見つけた。

 明らかに砂浜なのに、なぜか立っている枯れかけの木。そのそばにたたずむ小柄な少女。つばの大きな帽子とワンピースが海風を受けて揺れるその子の顔は。

 

「なっ!? 私……!?」

 

 箒そのもの、だった。

 だが違う。瞳に宿る真紅の光。明らかに人のものではない、人の情も何もかもかなぐり捨てた、剣鬼の目。箒はあの目を知っている。

 家族と、一夏と引き離されて荒れていた中学時代、剣の道を怒りの矛先にしていたころの胸の内にたしかにあった力への渇望。それに身を焦がしていたころ、何度となく鏡の中で見たものだから。

 

「私が、代わってあげる。あなたの代わりに、あなたが欲しいものを全て手に入れてあげる」

「やめろ、いやだ……! 私は……!」

「大丈夫。心配しないで。……ヘタレでヘタレで仕方のないあなたに代わって男とか手に入れてあげるから。大きいけど使わないから無駄でしかないおっぱいとか有効活用して即落としてあげるから」

「おい待て貴様」

 

 しかも、なんかめっちゃ煽って来た。

 さすがに我慢してらんねえと一歩踏み出した箒だが、それは失敗だった。

 足が沈む。泥のような何かにずぶずぶと包まれていく。

 それはただ体の動きを束縛するだけではなく、箒の心までも縛りつけた。

 

 やめればいい。任せればいい。それだけで願いが叶うなら。

 心の中に沁み込んでくるのは諦めかあるいは怠惰の泥か。抵抗する力はあっても、意思がそがれていく。

 

「私は……私、は……」

「眠りなさい。堕落しなさい。全て、私が片付けてあげるから。……この、『赤月』が」

 

 体が沈み、頭が沈み、救いを求めるように伸ばした手さえもが飲み込まれ。

 世界には、「赤月」だけが残った。

 

 

 

 

「……なんで、最後に手が沈む時に親指立てたのかしら」

 

 箒の最後の抵抗を、刻んで。

 

 

◇◆◇

 

 

「洋上に人工物を発見。……大きい!?」

 

 箒救出のため、白式が感知した太平洋上のポイントにたどり着いた一夏たち。

 何かがあるはずだと思っていた。束の拠点となる船か、あるいは隠されていた未確認の島か。そんな予想を裏切り、ISのハイパーセンサーが捕えたのは巨大な人工物。

 異常なほどの量のコンテナが積み上げられた異形の塔にすら見える、吹き抜け構造の洋上プラットフォームだった。

 

「風が強い日に近づいたら……ISが暴走しそう」

「篠ノ之博士ならありえますわね……」

 

 肉眼でも確認できる距離まで近づいたころ、ギガフロートに動きがあった。しこたま積み上げられたコンテナが開き、中身が姿を現したのだ。当然、その正体は。

 

「あれは……IS学園にも来た倉持の新型じゃない! もちろん無人機仕様だけど!」

「それも、10や20じゃない……すごい数だよ!」

「それよりも、見ろ! あそこに誰かいるぞ!」

「まさか、箒か!?」

 

 ラウラが指示した上空1点、太陽を背負う位置に一夏はハイパーセンサーの目を向ける。

 そこにいたのは明らかに人、紛れもなくIS。

 紅椿のように見えたその色と姿に一瞬箒かと期待したが、違う。箒にしては小さすぎる。あれではせいぜい小学生だ。バイザーで顔を隠した正体不明の少女。この状況で彼女が味方だと思うほど呑気な者は、この場にはいない。

 

「行きなさい、私の『朱蜂(あけばち)』」

 

 号令一下、コンテナから次々と湧き出し続ける無人機、朱蜂。刻々と迫りくるその脅威をまず排除しないことには、箒を探すことすらできそうになかった。

 

「簪ちゃん、指揮をお願い! みんなはひとまず弾幕で牽制! 接敵をなるべく引き延ばして……!」

 

 楯無の下した判断は正しい。現状において最良と言えるものだ。

 ただ一つ、そんなものを待っていられない一夏の心情を除けば、の話だが。

 

「箒! 今行く!」

「ちょっ、一夏くん!?」

 

 サードシフトした白式の、誰にも追いつけない勢いの加速。一夏に当たることを恐れて射撃をためらう仲間たちを一顧だにせず、一夏はすれ違った朱蜂を三機両断。その包囲の中へと迷わず飛び込んだ。

 

「一夏、危ないよ戻って! って、なんだかISの調子がおかしい……? 出力が上がらない!」

「確かに……簪、状況はわかるか!?」

「こっちでも機体の異常は、確認してる。でも外部からの継続的な干渉はされてない……まさか、内部? ……〈コード・レッド〉? ISの出力を抑制する裏コードって……なにこれ!」

 

 一夏を援護しようにも、シャルロットたちも異常に見舞われていた。ISの出力が上がらないという謎の現象。どう考えても束がISに仕込んでいたらしき裏コードによるそれがシャルロットたちの行動をさらに制限し、無数の無人機に包囲されつつある状況では生還すら危ういとさえ思われ。

 

 

 こういう時を狙いすましたかのように「ヤツ」が来る。

 

 

『おーいみんなー。……悪いけどそっちで避けてくれ』

 

「この通信は!?」

「6時方向上空から、高速で飛来する巨大物体を……感知。やっと、来てくれたね」

 

 オープンチャネルに響く声。ISのハイパーセンサーが捕える接近中の不穏な影。

 朱蜂さえその異常さに警戒を向け、白い雲がたなびく青い空の一点にキラリと輝く昼の星。

 

 セシリアがヤな予感を抑えきれずレーザーライフルのスコープで覗き見ると、そこには。

 

 

 距離が遠すぎるせいでいまいちサイズが分からないが、諸々の観測データから推測するに拳部分の直径だけで5mくらいある巨大なパンチが、飛んできていた。

 

 

「……うふふ」

 

 セシリアはスコープから視線を外し、優雅にターン。仲間に向き直り。

 

「みなさん! 今すぐこの空域から離れてください!! 真宏さんがまたやらかしましたわ!!! きっとすごくノリノリで!!!!」

 

 叫び、次の瞬間にはIS学園勢全員が速やかに逃げ出した。

 

 

『大陸間弾道ロケットパ――――――――――――――――――――――ンチ!!!』

――!?!?!?!?!?!?!?

 

 

 その直後、うっかり迎撃を試みた朱蜂を10体くらい巻き込んで、飛んできた巨大なロケットパンチがメガフロートに着弾。45°近く傾かせ、反動で周囲にざっぱざっぱとすさまじい波を立てる環境破壊を巻き起こし、奴がこの地にやって来た。

 

 

◇◆◇

 

 

『よし、成功』

「成功、じゃないよ真宏!?」

『いて』

 

 強羅自身を推進力として、巨大なロケットパンチを食らわせるパッケージ<ビッグバン>で仲間たちのピンチを救っての合流と同時、俺はシャルロットに頭をひっぱたかれた。解せぬ。

 

『なんだよー、ピンチは救ったしコンテナは大体海中に落ちて敵の数減ったし、いいことづくめじゃん? これでも強羅的には最速の到着だったんだぞ』

「私達が巻き込まれかけたじゃないの」

「あれだけノリにノっている真宏を止めようとするなど、無人機も愚かなことをするものだ」

 

「簪ちゃん、さすがに今のは真宏くんにお説教するべきところだと思うんだけど……」

「どうして? あんなに、カッコいいのに」

「ダメだこりゃ」

 

 理解を示してくれるのはやっぱり簪だけだよ大好きだ。

 そんなこんなで合流して体勢を立て直しつつも、俺たちはじわじわと寄って来る朱蜂と名を変えたらしき無人機を迎撃している。

 セシリアのビットが周囲を旋回しつつフレキシブルで軌道をまげてまとめて数機を射抜き、シャルロットは次々に装備を持ち換えながら絶え間なく弾幕を張り、ラウラのワイヤーブレードが突き刺し切り裂き巻き付き、鈴の衝撃砲が炸裂する。

 

「……ちょっと待って、真宏。さっきから普通に動いてるみたいだけど、ISの出力が下がってないの?」

『出力? いや特に。……あー、でもロマン魂使ってる割りにパワーが出てないような気はする』

 

「これ、もしかしてコード・レッドによる出力低下をワンオフアビリティの出力アップで打ち消してますの?」

「裏コードの意味を無にしてるわねこいつ」

「真宏らしい……」

 

 聞くところによると、それでもみんなは本調子とは言えないらしい。ISの出力を抑制する裏コード、コード・レッドが発令中なのだとか。束さんってば、案の定ロクでもないもの仕込んでるな。

 なお悪いことに、こんな状況なのに一夏は構わず箒を助けに突っ込んでいったのだという。いくらサードシフトまでしたとはいえ多勢に無勢、援護に行かなきゃまずいかもしれない。

 

「決まりね。私たちが無人機を引き付けるから、その間に真宏くんと……シャルロットちゃん、ラウラちゃんで一夏くんを追って」

「わかりました!」

「嫁のことは任せておけ」

『引き受けました。……ということで、こっちに残る鈴にはこの装備を貸してやろう。最近蔵王重工が力を入れてる海戦用装備だ。多分鈴にぴったり』

「なんでIS用装備が海戦を想定してるのよってーかこれドリルじゃないのよどうなってんのよ」

 

 てなわけで、楯無さんの指示のもと、俺たち3人で一夏を助けに向かうことに。

 火力を集中して包囲が進みつつある朱蜂の群れに穴をこじ開け、一気に突破する。

 

『じゃあ、行ってくる。簪も気を付けて』

「うん、大丈夫。私も新しいパッケージ<黄金城(キングジョー)>を用意してきたから」

『めっちゃ馴染んでるなそれ。じゃ、帰ってきたら二人で夜明けのコーヒーでも飲もうか』

 

 やたら似合う新パッケージを装備した簪に後を任せて、俺たちは一夏を助けに向かう。

 一夏も、箒も、待ってろよ……!

 

 

◇◆◇

 

 

「……箒は、どこだ」

 

 一夏は、赤い少女と対峙する。朱蜂がこちらに襲い掛かってこないのは、この少女もまた一夏との対話を望んでいるからか。

 隙は見せず、そして見逃さず、一夏は慎重に間合いと少女の真意を探る。

 

「そんなことを聞いて、どうするの? 箒がどこにいるかなんて、あなたはわかっているはず」

「……っ」

 

 ぎくり、と一夏の胸が痛む。

 白式と紅椿のつながりのせいか、箒がここにいることを突き止めた一夏だ。既に箒の居場所はおおよそがわかっている。

 だが、だからこそ認めたくなかった。「箒は目の前にいる」と白式が囁いてくることなど。

 

「一夏!」

「シャル! ラウラ! それに真宏も……!」

 

 そこに、乱入者たちが現れる。赤い少女は不満げにしているが、一夏は喜びつつも驚いた。ここに来るまでの間に朱蜂の包囲を潜り抜ける激戦があったのだろう、シャルロットとラウラはすでにボロボロに近かった。

 ちなみに強羅はほぼ無傷。いつも通りだ。

 

「一夏、貴様先走るとは何を考えている! 一人で戦っているつもりか!」

「仕方ないだろ! 箒が、箒が攫われて……!」

 

 慌ててシャルロットたちの下へと駆けつけた一夏に、ラウラの叱咤が叩きつけられる。これだけの戦闘の只中で勝手な行動を取ればどうなるか、今の一夏にはそんなことすら考える余裕がなくなっていた。

 そんな一夏は見たくない。そして言葉を尽くしている余裕もない。ここは一つ荒療治しかないか、とシャルロットは手を振り上げ。

 

『おっと、強羅は急に止まれないー』

「うごげ!?」

「い、一夏ー!?」

 

 なんか、あからさまに棒読みな強羅の体当たりを食らって、吹っ飛んで行った。

 しかも海に落ちた。ざぱーんと上がる水しぶきが高い。

 

『ふう』

「ふう、じゃなくて! 何してるの真宏!? 一夏海に落ちちゃったよ!?」

『頭を冷やすにはちょうどいいだろ。……状況は大体わかった。ずいぶん縮んだな、箒? ……いや、IFFによると「赤月」か』

「……やはり、来ましたか。忌々しい」

「なに!? 箒……あれが!?」

 

 かなり無理矢理一夏の頭を(物理的に)冷やさせた真宏が言う。目の前の少女こそが箒だと。幼い頃を共に過ごしたからこそわかるかつての箒の姿。紅椿っぽいISを纏う少女はまさに幼い頃の箒に瓜二つだった。

 

「あなたたちはいらない。……特に強羅はいらない。排除する」

「来るよ、二人とも!」

「私達3人を相手に1人とは、舐めてくれる!」

 

 幼い箒、赤月の先制。縮地のごとき機動力の接近に対し、ラウラがAICを放って捕縛を試みる。

 が、今の赤月には通用しない。斬撃は慣性停止のエネルギーさえ切り裂いて迫り、続く二刀がラウラの首を無慈悲に狙う。

 

 ラウラの細い首が飛ぶ。

 もしもその刹那、シャルロットのシールドが割り込んでいなかったらの話だが。

 

「……もう、いい。あなたたちの相手はこの子たちに任せる」

「くっ、無人機が、また!?」

「なんて数……! 篠ノ之博士はどれだけコアを隠し持ってたの!?」

 

 実力は知れた、もはや手を出すまでもないとばかりに赤月は距離を取り、そこに多数の朱蜂がなだれ込む。一気に引き離されたシャルロットたちはそちらへの応戦にかかり切りとなり。

 

『俺を忘れるなよおおおおお!』

「忘れてなどいない。あなたは念入りに始末する」

 

 上空に回り込んでいた強羅が、落下しながら容赦なくグレネードを乱射。

 しかしそんなのは知れたこと、と赤月は焦らない。振り向きざまに振るった空裂から放たれる幅広のビーム刃がその全てを無為に咲かせ。

 

『まだまだぁ!』

「……本当に、しつこい」

 

 自身の放ったグレネードと空裂の余波によるダメージを無視して爆炎を突っ切って来た強羅に心底呆れ顔になる。

 もう相手などしていられない。こちらも朱蜂に任せよう。言葉にすることなく配下の無人機にそう指示をして、すぐに馳せ参じる朱蜂数機に目を向けることすらなく。

 

 

――キュイイイイイイイイ!!

『ナイス白鐵ェ!』

 

「!?」

 

 そのうちの1機が反旗を翻すなど、完全に予想の埒外だった。

 

 

 赤月が目にしたのは、朱蜂が朱蜂を攻撃する光景。

 腕部内蔵ビームマシンガン<九十九針>を左右に乱射し、強羅の行く手を阻むはずだった壁に穴を開ける。

 本来ならばあり得ない反逆。だがそれは、緋蜂であったならばの話。

 あの機体は、違う。倉持技研製量産型紅椿とも言うべき緋蜂をベースに開発された無人機、朱蜂。

 

 本来人間が収まる部分にあるべき無人ユニットがそこにはなく、白銀の輝きも勇ましい、鳥の顔が生えていた。

 

「まさか……強羅の自律支援ユニット!? 朱蜂を乗っ取ったのですか!?」

『最近の白鐵の得意技だ! 思い知ったか!』

「くっ!? きゃあああああ!」

 

 まさかの無人機乗っ取りという想定外に、強羅の接近を許したのが運の尽き。

 ISらしからぬ重量に組み付かれ、赤月は抵抗の間もなく諸共に落下。メガフロート上に叩きつけられた。

 

『ッシャア! 捕まえた! おーい一夏、早く上がってこい。あとは多分お前でないとどうにもならん』

「くっ、うぅ……!」

 

 慌てて身をよじる赤月を、ただ腕力のみで押さえつける規格外のパワー。強羅を相手にこの状況は、たとえ赤月のスペックをもってしても容易には抜け出せない有様であり、真宏もまたこう見えて警戒を緩めていない。不審な動きを見逃しはしないだろう。

 

 だが、だからこそ。

 

「真……宏……」

『……ん?』

 

 良く知る箒のそれそのものと言える声が出てくれば、たとえどんなに小さな囁きであっても聞き届ける。

 

「真宏……私だ……助けてくれ……!」

『箒……?』

 

 そう、それこそは箒自身の声。

 赤月に乗っ取られかけながらわずかに残ったその自我が、友に助けを求めているのだと、誰もが思う。

 

 そんな時、神上真宏はどうするか。この男は、どんな行動に出るか。

 もちろん、決まっている。

 どんな時でも友を見捨てないこの男は。

 

 

『よっしゃ任せろおおおおおおおおお!!!』

「待て待て待て待てえええええ!? なぜ腕を思い切り振りかぶる!? 肘から火とか出す!? 私を殴ろうとするな!」

『え、だって助けて欲しいんだろ? じゃあまず一発ぶん殴って変身解除くらいさせないと。……それに、箒のフリした赤月かもしれない。いい声してるし』

「うっ」

 

 

 その程度でブレるほど、頭が良くないのが赤月にとっての運の尽きだった。

 

 

◇◆◇

 

 

『ちっ、引き剥がされたか。一夏が早く来ないからだぞ』

「真宏が俺を海に叩き落したせいだろうが!?」

 

 なんやかんやの格闘の末、結果として赤月の捕縛には失敗した。強羅のパワーを振りほどくとは、思った以上に厄介な相手だ。

 状況は振り出しに戻った……どころか悪化している。

 朱蜂の相手をしてくれていたシャルロットたちに加え、海水でたっぷりと頭を冷やしてISのあちこちからだばだばと水を滴らせる一夏も合流出来たが、敵にも体制を整えられてしまった。

 こちらに対する警戒レベルを上げたのか、朱蜂の包囲網が十重二十重。このままじゃ再び赤月に接近するだけでも骨が折れる。

 

 白鐵も朱蜂相手を切り上げて戻ってきてくれて、各機多少の損傷がある程度で問題なく戦闘を続行できるが、これだけの数を踏み越えていくとなると骨が折れる。

 

 こういうときには、そう。

 多数の敵を殲滅するようなISがいてくれると助かるんだけど。

 

 

『知っておるか? 収束されたマイクロブラックホールは、特殊な解を持つ』

 

 

 と、思っていると聞こえて来た通信を聞いて。

 

『……やっべ!』

 

 俺は、即座に逃げ出した。

 

「真宏!? あの声アイリス王女だよね!? またロクでもないこと教えたでしょ!!」

「よくわからんが退避、退避だ! ここにいては危険な予感がする!」

「み、道は俺が開く! みんな続け!」

 

「えっ」

 

 一夏たちも即座に察してなりふり構わない撤退に走り、赤月はそんな様子にあっけにとられ。

 

『むき出しの特異点は、時空そのものを蝕む』

 

 この空域に高速で接近するISの反応をハイパーセンサーが感知。

 数は2。識別反応は<セブンス・プリンセス>と<インペリアル・ナイト>。

 後発組の二人が、おそらくインペリアル・ナイトがセブンス・プリンセスを運ぶ形で追いかけてきてくれたのだろう。

 

『重力崩壊からは逃れられん』

 

 で、ほら昨日アリスと話したじゃん?

 その中で重力の有効な使い方について話したじゃん?

 アリスってば専用機の使い方には十分習熟してたんだけど、王族育ちのせいか能力をどうやって使えばいいかという応用面においていろいろと考え出された先例を知ってるわけじゃないみたいだったから、そういうの教えたじゃん?

 

 ……だからって、まさかよりによって一番ヤベーイ奴を一晩でものにするとか思ってもみないわけよ。

 

『事象の地平に消え去るが良い!』

 

 

 

 

重力崩撃(ブラックホールクラスター)!!!!!』

 

 

 

 

 結論だけ説明しよう。

 一夏の突撃力を中心に死に物狂いで包囲を突破した俺たちは、目撃した。

 

 突如空中にぽかりと空いた虚無の闇に次々と飲まれていく無人機、とかいう大気圏下で起きちゃいけないレベルの現象を。

 

 

「どうじゃ真宏。わらわの力は」

『さすがアリス。俺たちも巻き込まれかけたぜ!』

 

 その後、アリスってば超自慢げでした。うん、自慢していいと思うよ。でも使いどころは選んで欲しかったな。バッチリのタイミングだったとはいえ、巻き込まれたらシャレにならないから。

 

 

「……色々言いたいことはあるが、今がチャンスだ。我々で残った朱蜂の相手をする。一夏は箒を救ってこい」

「いいのか、みんな……?」

「もう、いまさらそんなこと聞かないでよ。僕たちが絶対に守るから、一夏は箒を助けてきて」

『きっと、お前にしかできないことだ。行ってこい、一夏』

「……ありがとう!」

 

 とまあそんなこんなで色々あったけど、やはり箒を助ける最後の一手は一夏にしか任せられない。だからやることは決まっている。

 俺たちはこの場に踏みとどまって、朱蜂を一機たりとも通さない。

 

「まったく、貧乏くじじゃのう。じゃがかまわん。真宏から聞いて再現したわらわのもう一つの技、グラビティショックウェーブジェネレティング王杖で一機残らず光にしてくれる!」

「……あの、ジブリルさん。僕たち王女様と同じ空域で戦いたくないんですけど」

「……………………私は、この命に代えても王女と共にある」

『大変ッスね、近衛騎士団長って』

「主に貴様のせいでな……!」

 

 ルクーゼンブルク公国の未来は明るいね、多分。

 

 

◇◆◇

 

 

 その後。

 遥かな水平線まで夕焼けの朱に染まり、海面がギラつくころ、戦いは終わりを告げた。

 

『ん、なんだ?』

「無人機の動きが……止まった?」

 

 俺たちがそれを悟ったのは、無人機の機能停止によって。

 さっきまで激しい戦いを繰り広げていた朱蜂たちが、突如電源が切れたように動きを止め、ぼとぼとと海中に落下していく様はある種の恐怖で、なんかこの辺一体にISの機能を止めるヤバいワンオフアビリティでもかまされたのではないかと、俺たちは割と真剣に恐怖した。

 

「みんな……やったぜ」

「箒!……っていうか一夏!? その手はどうしたのその手! 穴開いてるよ!?」

 

 が、それも箒を抱えた一夏が戻って来たことで杞憂とわかった。

 箒を取り戻したことで、朱蜂を操っていた赤月が消えたのだろう。

 ……まあ、その代わり赤月との激闘で一夏は全身ズタボロになってたわけなんだけど。

 

 とはいえ、沈みつつある太陽の色を映した箒の顔色はいい。これなら、IS学園へ連れて帰ってしっかり休ませてやれば大丈夫だろう。一夏も、体を張った甲斐があるってもんだ。

 

「一夏! それに、箒も……!」

「よかったですわ、全員ケガはあっても健在ですわね」

 

 そんなこんなしてるうちに、鈴たちもやって来た。向こうでも無人機が機能停止したのだろう。ISは結構な損傷をしているが、体の方はかすり傷程度。

 簪も小さく手を振ってくれているし、どうやらしっかりと持ちこたえてくれたらしい。

 

 

 箒は助かった。

 みんな無事、とは言えないまでも全員揃ってIS学園に帰れる。

 

 

 ……だが、事件は解決したと言えるのだろうか。

 

 今回の一件が束さんの差し金であることはほとんど疑いの余地がない。だが結局のところ、こうして箒奪還に出向いてきた俺たちの前にさえ、束さんは姿を見せることがなかった。

 朱蜂を大量に導入してまで箒を攫ったのに、箒を救出に来た俺たちに対して束さん本人からの妨害はなく、ここで得られた情報だけを元に判断するなら、それこそ赤月の単独犯だと説明されても納得しうるものだった。

 

 この戦いで本当に事件が解決したのか。

 あちこちのコンテナが爆ぜ、ところどころ黒煙が上がってはいるものの沈みはせずに浮いているメガフロートを眺めながら、俺は何とも言えない不安を味わっていた。

 

 

「いやー、朱蜂が何機も集まって怒首領蜂(ドドンパチ)とかいう形態になったときは焦ったわ」

「すさまじい弾幕でしたわね」

「なぜかナノマシンの防壁が効かなかったから、回避に徹するしかなかったのよねー」

『……俺もそっちにいればよかった!』

 

 あと、途中でちょっと選択間違えたんじゃないかなとも思ったね!


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