非常に嬉しい限りです。
これからもよろしくお願いします。
「もうすぐ二学年全体による強化合宿が行われますがーー」
愛子と代表が困ったことことがあったら助けてくれると言ってくれて気分的にはだいぶ救われた。
まだまだ質問攻めはされるだろうけど二人の手を借りればなんとかなりそうだ。
「(ねぇねぇ優子)」
そんな考え半分、先生の話半分で頭を働かせていると、隣の席の愛子が小声で話しかけてきた。
「(優子の弟君ってさ、水谷君仲良くない?)」
「そうだけど……どうして?)」
「(去年よく話してるの見てたからさ。それを思い出して思ったんだけど水谷君って優子とぶつかったときよく優子の弟君と見間違わなかったよね)」
「(どういうこと?)」
「(だって優子と弟君って瓜二つでしょ?優子が女子の制服来てたからとか、ボクが隣にいたからとか、色々理由はあっただろうけど普通は迷ったり見間違ったりしてもおかしくないと思わない?)」
「(そ、そういえば……)」
癪ではあるが、あたしと秀吉は女男の二卵性の姉弟なのにとっても似ている。
小さい頃は二人で入れ替わって周りの人を困らせたりと遊んでいたくらいだ。
そんなあたしと秀吉をぱっと見で見分けることのできる人は、あたしの知っている限り親か代表、愛子くらいだろう。
「(でも逆に秀吉じゃないって判断してあたしだ、って分かったんじゃない?)」
「(そうかなぁ……。ボクとしては実は水谷君、最初から優子ことを狙ってたりして……なんて思ってたんだけど)」
「(何よそれ……)」
「(そっちの方がおもしろそうじゃん?モテる男の一目惚れ。ツンデレ優子にアタックをしかけるっ!ってさ)」
「(誰がツンデレよ!まったく……他人事だと思って……)」
「(あはは……。ごめんごめん)」
ペロッと舌を軽く出して謝る愛子。
冗談はやめてほしい……。
というかあたしがいつツンデレした。
だいたい水谷君はあたしを彼女(仮)にすることで自分の女除けになると同時に、あたしを惚れさせてファーストキスは好きな人と、って条件を満たす魂胆だというのに。
…………………ん?
な、何かおかしくないか?
あたし
↓
水谷君に惚れる
↓
ファーストキスは好きな人と
↓
解決
うん、これはよし
水谷君
↓
あたしを彼女(仮)に
↓
女除け
↓
要は遊び
あっれ〜………?
もしかしてあれか?
これって水谷君の思惑通りになればあたしは好きな人にポイされる人になるってことか?
………………………マジ?
嘘だっ!昨日はイラついてたから気がつかなかったけど、まさかそんな罠があるとは!?
い、いやでも待て待てあたし。
元々あたしは水谷君に惚れるつもりなんてないわけで、惚れなければそんなことは一切ない。
つまりここに問題はなしということになるじゃないか。
だからあたしは最初から水谷君に対する別の要求を考えておけばいいってことよね。
そう思うとなぜか冷や汗が流れ、なんとなく水谷君の方を見てしまう。
先生の話を上の空で聞いている水谷君。
なのに突然こちらを振り向いて目が合った。
サッ
何故だ。
何故目を背けるあたし!
堂々と睨んでやればいいのに!
どうしよう……。
恐怖からなのか、心臓のバクバクが止まらない。
現在短編も公開。
タイトルは『あたしとあいつとバカップル』です。
本編とは関係ないですか一応甘さ100%で書きましたので読みたい方は是非。