咲 -saki- 人狼編   作:九尾の狐

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舞台設定?時間設定?インハイの結果?っていうか麻雀?

なんですかそれ?


始まりは奈良の地にて

「・・・人狼ゲーム?」

 

 夏のインターハイが終わり数日、ここ奈良の地に数人の少女たちの姿があった。

 高鴨穏乃を初めとした阿智賀女子麻雀部と、竹井久率いる清澄麻雀部。

 今日は、原村和がかつて在籍していた奈良の地にて、残りの夏休みを利用しての練習試合を行っていたのである。

 

「そう。うちの面子は前に私が教えたから皆知ってるけど、そっちで知らない人っている?」

 

 竹井久の質問に対し、阿智賀女子の麻雀部で首を捻ったのは穏乃ただ1人であった。

 

「私は知ってるわよ?最近だと、テレビやネットでよく見かけるし。」

「お姉ちゃんと一緒に、テレビで見たことがあるよ!」

「うん。でも玄ちゃん、人狼の予想、なかなか当たらないんだよね?」

「あうぅ・・・だって難しすぎるのです・・・!」

「・・・私も、お婆ちゃんと一緒にテレビで・・・」

「え!?知らないの私だけ!?」

 

 知らないのが自分だけという事実に、穏乃は驚きの声を上げた。

 

「まぁ、シズはもろアウトドア派だしね~。」

「知らなくても、無理はな・・・。」

「うぅ・・・あ、赤土先生は知ってるんですか!?」

 

 助けを求め、穏乃は皆の輪から少し離れた場所でお茶をしていた赤土晴絵に声をかける。

 面白そうに皆を見つめていた晴絵は、そんな穏乃の様子に少し苦笑いしていた。

 

「悪いけど、私も経験者だよ。ネットでよくやってた。」

「し、知らないの私だけだ~!?」

「へぇ・・・晴絵はやったこともあるんだ?」

「さすがハルちゃん・・・!」

「(・・・前にネットの人狼ゲームで、レジェンドっちゅうハンドルネームのもんがおったが・・・)」

 

 小さく首を捻っている染谷まこを他所に、話はどんどん進んでいく。

 どうやら竹井久は、練習試合も終わったことだし、親交を図って一緒に遊ぼうという考えだったようだ。

 そして今はというと、知らない穏乃にゲームの説明をしていた。

 

「・・・つまり、参加者の中にいる人狼を、村人が見つけるゲームなんですね?」

「そうだよ。まず一日の会話の中で、怪しいと思う人物を多数決で処刑する。それで人狼がいなくなれば村人の勝利だけど、一匹でも残っていた場合は、夜に村人の誰かが人狼の襲撃を受けて命を落とす。それを繰り返していって、先に勝利条件を満たしたほうが勝ちってゲームだよ。」

 

 晴絵の説明に、ふむふむと頷く穏乃。

 

「・・・ちなみに村人の勝利条件は『人狼を全て処刑すること』だけど、人狼の勝利条件は『残っている人狼の数と村人の数が同じになること』だから、間違えないようにね?」

「他には、村人の中には特殊な能力を持った役職が存在するのぉ。代表的なのが、占い師、霊能力者、狩人。それと能力は持っとらんが、嘘をつくことで人狼の勝利を目指す狂人などじゃ。」

 

 占い師:夜の時間に誰か1人を占うことで、その人物が村人か人狼かを確認できる。確認できるのは村人か人狼かだけであり、村人が役職持ちであってもそれを知ることは出来ない。いなくなると人狼のヒントが増えなくなるため、狩人としては護りたい存在。

 

 霊能力者:通称『霊能』。昼に処刑した人物が、村人が人狼かを確認できる。占い師と同じく、村人であった場合にその役職を知ることは出来ないので注意。

 

 狩人:夜に行われる人狼の襲撃から、誰か1人だけを護ることの出来る役職。しかし自分自身を護ることは出来ないため、人狼に存在がばれると大変危険。

 

 狂人:誰が人狼かは分からないが、場を混乱させることで人狼の勝利を目指す役職。人狼の陣営ではあるが、その存在は村人であるため注意。

 

「人狼や狂人が役職を騙ることもあるため、複数の同職が出た場合にはその真偽をしっかりと見極めないといけませんね。」

「間違えると、人狼の思う壺だじぇ!」

「なるほど・・・難しそうだけど、面白そう!」

 

 ちゃんと理解しているのかいないのか、ともかく穏乃はゲームに乗り気のようだ。

 その様子に、久は嬉しそうに声を上げる。

 

「それじゃあやってみましょうか!ゲームの進行役なんだけど・・・」

「あぁ、それは私がやるから安心していいよ。」

 

 晴絵が進行役に名乗りを上げる。

 

「・・・すいませんけど、お願いできますか?。」

「あぁ、任せておきな。せっかくの機会だし、みんなで楽しみなよ!」

 

 進行役が晴絵に決まったところで、少し準備してくるからと晴絵が席を立つ。

 彼女の準備が終わり次第、ゲームはスタートだ。

 

「うぅ~!わくわくするね、和!」

「そうですね。頑張りましょう。」

「人狼を見つけて、村人勝利で終わりたいね!」

「咲ちゃんの言う通りだじぇ!怪しい人物は片っ端から吊っていくじぇ!」

「推理が上手いもんを、素直に信じるかどうかも大事じゃな。本当に推理が上手い村人か、それとも村を間違った方向に誘導しようとしとる人狼か、しっかり見極めねばならん。」

「間違えちゃうと、暖かくないことになっちゃうよ・・・!」

「お姉ちゃんは、私が守るのです!」

「宥さんが人狼だったらどうするのかと・・・」

「宥姉ぇが人狼だと、うちらはちょいキツイかもね。有姉ぇって、結構鋭いとこついてくるし・・・」

「・・・こっちでは、部長だね、それ。」

 

 どんどん楽しそうに盛り上がっていく。

 そして待つこと数分後、ついに準備を終えた晴絵が姿を現した。

 

「準備できたよ!さっそく始めようか!」

「よ~し!絶対人狼を見つけるぞ~!」

 

 穏乃の声が部室に響く。

 阿智賀女子麻雀部と、清澄麻雀部。

 計10人で行われる人狼ゲームが、今ここにスタートした―――。

 

 

 




ちなみに作者は一応麻雀うてます。
決して麻雀自体を知らないというわけではありません。
役だってちゃんと分かってます。



え、点数計算?



玄「ドラをいっぱい集めれば、常に満貫以上になるよ!」



つまりはそういうことです。

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