Fate/counterfeit lyric   作:垂柳

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毎度のことながら、文章が荒いです。予めご了承ください。

時間があれば、修正や補足のため追記します。


第五話

「……ただいま」

 

 暗くなっていた玄関の電気をつけ、小さく帰宅のあいさつをこぼしながら士郎は家の中に入った。夜遅くまで見回りをしていた士郎であったが結局、あの戦闘跡以外に何も得ることができないまま、家に帰宅することになった。

 

(イリヤは……もう寝ているか)

 

 なるべく静かに家に入った士郎は、念のためにイリヤの気配を探ったところ、どうやらもう就寝しているようで自分の部屋で寝ているだろうことが確認できた。ほっと一息した後、士郎はそのまま自分の部屋に行かず、庭につながる廊下から再び外に出て土蔵へと入っていた。

 

(時期早々だが打てる手は、今のうちにやっとかなければいかない)

 

 土蔵の中はガラクタばかりで、自転車の部品だとか、壊れたテレビ、プリンターなんてあったりする。その光景は一般人からしたらただの倉庫からか、何かの作業場にしか見えなかっただろう。ただ魔術師などからすれば、そのあたりの魔力の残滓などから奇怪であるがここで魔術が使われていたことを読み取ることができるだろう。場合によってはその異常さも感じ取れたかもしれない。

 

 士郎は、古めかしい箪笥を開ける。この箪笥はここを以前物置代わりに使っていた前持主が壊れてしまったために放り込んでいたものであった。それを士郎はまだ使えるということで直していた。

 

 引き出しの一つを開くとそこにはドロップサイズの鉱石がいくつか入っていた。士郎はそのうちの鉄鉱石を取り出し、その引き出しを閉める。

 

(これから何が起こるかわからないなか、一から魔術回路を作っているようじゃ間に合わない可能性がある)

 

 士郎が今回の破壊跡から解析するに、とんでもない化け物というわけではなさそうであったが、これがあれを起こしたものの全力だとは限らない。打てる手を打たず、後悔するようなことがあれば、悔やんでも悔やみきれない。せめて、ある程度魔術をスムーズに使えるようにしておかなければ拙いだろう。

 

 この鉄鉱石は士郎がこの何年か魔力を貯めていたものだ。長い年月をかけて形成される鉱石は魔力が通りやすく貯蔵庫としての相性がいい。できれば、天然の宝石であればよいが、衛宮家の家計では流石に用意することができないため妥協することになった。魔力をためる行為は、以前宝石魔術を得意としていたある魔術師に師事していた際に教わっていた。その師匠と違って士郎は鉱石魔術と特別相性がいいというわけではないため、貯蔵量がそれほど多くないこの鉄鉱石でも魔力を補充するのに相当の年月が必要であった。それでも、何かあった時のためにとコツコツ貯めていたものであった。

 

 もともと魔術回路のオンオフについては一度開いてさえいれば、自由に切り替えが可能である。しかし今まで、作っては破棄することを繰り返していたことで、体が回路のある状態に慣れていない。時間を掛ければ可能かもしれないが、いつどうなるかわからない今、この鉱石を使うことで意図的に回路を開きっぱなしにして体を慣らす方が手っ取り早いだろう。

 

 士郎はその手に握った鉄鉱石を飲み込んだ。暫くすると回路が起動し体が熱を持ち、頭がぼーっとなる。思考がまとまらない中、魔術回路のオンオフをイメージしながら、近くにあった鉄パイプに強化の魔術を掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

ジリイイイイイィィィィ

 

 目覚ましを止める。イリヤは大きく欠伸をこぼしながら体を起こす。べつに寝起きが良い方ではないが、いつもよりもベットが恋しいのは、昨日あったことに対する疲れといつもより寝る時間が少し遅くなってしまったためだろう。

 

「ふわぁ……。おはよう、ユーノ。」

 

 眠気目をこすりながらイリヤは、同じように今の目覚ましで起きた枕の横で丸くなっていたフェレットに声を掛ける。

 

「う、うん。おはよう、イリヤ」

 

 眠そうなイリヤに対しこちらは眠気があまりないようで、ユーノはしっかりと返事を返した。少し緊張気味ではあったが。

 

 昨日は結局なかなか帰ってこない士郎に、明日に支障をきたしてはと、イリヤは今日説明することを諦めて、先に眠ってしまっていた。お蔭でユーノがいることも説明出来ていない。とりあえず今日、起きてから話すことができれば簡単な概要程度は伝えるつもりである。

 

「ユーノって、朝強いんだね」

 

「慣れているからね。」

 

 夜遅くまで本を読んでて、寝る時間が遅くなることはよくあることだからと続けるユーノ。フェレットが真面目に難しい本を読んでいる姿を想像し、そして自分の私生活を思い出したことで(読んでも漫画)、賢いとわかっていながらも何か負けたような気分になった。

 

「……なんか複雑」

 

「何か言った? 」

 

「ううん。なんでもない」

 

 欠伸をもう一つ零した後、ベットから起き上がったイリヤは、着替えるためパジャマを脱ぎだす。

 

「!? イリヤ!! 僕、まだいるんだけど?! 」

 

「えっ? どうしたの? 」

 

「へっ!? な、なんでもない!! 」

 

「? 」

 

 慌てて顔をそっぽに向けるユーノにイリヤは、制服を持ちクエッションマークを頭の上に浮かべる。ユーノとしては男の前でなんの恥ずかしげもなく突然着替えだしたことに驚いたわけであるが、イリヤとしては賢いといっても人ではない彼の前で脱ぐことにさして抵抗があるわけがなかった。

 

(僕が意識しすぎなのだろうか……)

 

 横で再びイリヤが着替え出す音を聞きながらユーノは現実逃避のように思考を飛ばす。

 

 お互いの認識の違いによるこれは、ことが露見するまで続く。

 

「さあユーノ。とりあえず、わたしがお兄ちゃんへと話すから合図するまで待機していてね」

 

「うん。わかったよ」

 

 キュッと胸元のリボンを閉めイリヤは気合を入れる。ここで士郎を説得できるかで今後の予定が変わっていくだろう。朝から戦場に出るような気構えで部屋の扉を開けた。

 

 

 

 

「……と思っていたんだけどなぁ」

 

(お兄ちゃん、大丈夫かな。具合が悪そうだったけど……)

 

 学校へのバスの道、今朝の士郎の様子を思い出しながら歩く。朝食の席、もし隙があれば簡単に昨日あったことの概要だけでも話そうと思ったが、士郎の疲れている様子を見て、声を掛けることができなかった。一応、放課後話があるから早く戻ってほしいと伝えたがまだ体調を崩しているようだったら、もう少し先延ばしする必要があるかもしれない。

 

 そんなことを考えながら、今日の予定をユーノと念話で話し続ける。どうやらこの念話というのはある程度長距離でも会話できるようであった。

 

「イリヤちゃん、おはよー……」

 

 使用している者以外、誰にも聞かれることのないこれを利用して、学校で授業を受けている間、なのはと共にユーノから昨日よりも詳しい話を聞くことを企画していると後ろから肩を落としたなのはがやってきた。

 

「おはよう、なのは。どうしたの? 何か疲れているというか、元気がないような……」

 

「あはは……。お兄ちゃん達、わたしが出って行ったことに気づいてたみたいで、すっごい怒られちゃったの。イリヤちゃんは?」

 

「えへへ。わたしが帰ってきたとき、まだお兄ちゃんも出かけていたみたいでばれなかった」

 

「えー! ずるい! 」

 

 深夜遅く帰ってきたなのはは、案の定家族全員に出かけていたことがばれてしまっていたようで。こっぴどく怒られることになった。本当のことを話すわけにもいかず、つらい時間であった。イリヤも同じように怒られていたと思っていたがどうやら違ったらしい。

 

「えへへ」

 

「……あれ? ということは昨日あったことって、まだ伝えられてないの? 」

 

「うん。朝話そうかと思ったんだけど少し疲れていたみたいだから。とりあえずユーノとも話して今日の放課後にでも話そうと思って。だからユーノが家にいることもまだ話してないんだ。……ねぇ、なのは今日の放課後、一緒にお兄ちゃんの説得してくれる? 」

 

「もちろん! 」

 

「ありがとう、なのは」

 

 とりあえず今後についてなんだけど、と先ほどユーノと話していた念話の件を言い、バスが来るまでの間今日の予定を話し合った。

 

 

 

 

 

 

 

「衛宮! このあと遊びにいかねぇ? 」

 

「わるいな。今日はちょっと疲れが取れてないみたいだから、少し早く家に帰るよ」

 

「んぁ? そういえばお前、朝からやたらだるそうにしてたな。授業中も珍しく眠そうだったし……。夜更かしでもしたのか? 」

 

「そんなところだ。それじゃあ、また明日な」

 

「おう! 早く治して偶には付き合えよ!! 」

 

 放課後。士郎は背中越しに軽く手を振ってクラスメートと別れる。誘ってくれた友人に少し申し訳なさを覚える。先ほどの具合が悪いというのはもちろん嘘であった。いや正確にいえば、確かに午前中までは魔術回路の生成の影響で少し頭がぼーっとしていたが、これだけの時間が経てば流石に問題はなくなった。

 

 本日も家に帰ったら、町の探索をするつもりであったし、またイリヤに今日相談したいことがあるから早く帰ってきてほしいとも言われていた。これからすることを考えれば、とても遊んでいる場合ではなかった。

 

 クラスメートと別れ帰路を急ぐ。

 

そんな時、魔力察知が苦手な士郎にも感じ取ることができるほどの魔力を感じた。

 

「これは?! 」

 

 足を止め、目をつぶって集中し魔力の流れを必死に探る。周りがいぶかしげな目を向けてくる頃、ようやく士郎はその発信源である方向をつかんだ。

 

 気づいた瞬間張り出す。イリヤとの約束が一瞬頭に過るが、そんな場合ではないと首を振る。

 

 魔力を感じる先にあったのは家の近くにあり、よくイリヤたちと遊び引きたこともある神社であった。士郎は階段を走り出そうとして、近くの木に立てかけてある箒を見つけた。掃き掃除をした後、そのまま放置でもされていたのだろうか。ちょうどいいと士郎はその箒を掴み、階段を走り出した。

 

 

 

 

 

 

「―――実体化して前より強くなっている?! 」

 

 もうすぐ家に前に着くというとき、ジュエルシードの発動を感じ取ったなのはたちは神社にいた。そこで、ジュエルシードに取り込まれたことで化け物へと変貌した犬の姿とその少し離れたところに飼い主らしき女性が倒れているのを見つけた。

 

「なのは、すぐにレイジングハートの起動を! 」

 

「う、うん! 」

 

 ユーノの指示に素早く起動呪文を唱え、バリアジャケットを生成する。変身するなのはの横で戦うことのできないイリヤは自分でもできることをと、とりあえず邪魔にならぬようなのはから離れる。

 

「あんな長いの、よく覚えていたねなのは」

 

「あはは。魔法少女と言ったら呪文でしょ。忘れないように昨日しっかり、予習しておいたの」

 

「……ノリノリだね」

 

 照れくさそうにいうなのはに、気持ちはわかるとイリヤが頷く。

 

 獣はなのはがバリアジャケットを纏うのを見て警戒したのか飛び掛かろうとしていただろう足を止め、低い唸り声をもらしながら睨んでくる。それになのは緊張した面持ちながら、精一杯睨み返す。

 

 相手の出方をうかがうように睨み合っていたが、先に動いたのは獣の方であった。しかし、その足はなのはの方に向いていない。

 

「い、いりやちゃん!? 」

 

 当然自分に向かってくるものだと思っていたなのはの挙動が一歩遅れる。獣を見れば、向かっているのは離れたところで見ていたイリヤであった。

 

「え、えっ?! 」

 

 イリヤは、なのはたちから離れたところに立っていた。近くにこの犬の飼い主だった人が倒れているのを見て、なのはたちがにらみ合っている横で介抱しよう近づいていたためであった。突然のことにイリヤは驚き固まる。なのはとそのサポートのために一緒にいたユーノは慌てて獣を追いかけるも間に合わない。

 

「キャアアアァァ!? 」

 

 この犬の願いは飼い主を守る力を欲した結果だ。そうであるから当然として敵対する者が自分を大切にしている存在に近づくことを黙ってみていることなどしない。その場から逃げ出すことができず縮こまるイリヤに、その鋭い爪が振り下ろされる。

 

「イリヤちゃん!! 」

 

 一瞬先のことがなのはの頭に過り、悲鳴をあげそうになる。思わず、目をつぶってしまったイリヤの耳に届いたのは、しかし予想していた自分の肉を裂く音ではなく、何か硬いもの同士がぶつかる音であった。

 

「お、お兄ちゃん!? 」 「士郎くん!? 」

 

 恐る恐るなのはが目を開けた先には、よく知る親友の兄の姿があった。

 

 

 

 

 士郎はイリヤへと迫っていた獣の爪をたまたま拾い“強化”した箒で防ぎながら全身から冷や汗を出した。

 

 あと一歩遅ければイリヤのその体を赤く染めていることになっただろう。守れたことへの安堵と、獣に対する怒りを同時に士郎は抱いた。

 

 何が起きているのかはわからない。なぜ、イリヤたちがここにいるのか、なのはの覚えのないその奇抜な服装や、感じる桁違いな魔力、そしてこの幻想種らしき獣のことすらも。しかし、それが動きを止める理由にはならない。

 

 ジリジリと押し込もうとするように腕に力を入れる獣に士郎は、一先ず距離をとるため強化した蹴りで吹き飛ばす。その蹴りの威力に、それなりの距離を吹き飛ばされた獣は僅かに苦悶の唸りを漏らしながらも、素早く態勢を整える。警戒をしているのか、唸り声を漏らしながら、すぐに飛び掛かれるように体を浅く沈める。

 

 それに士郎も手に握る箒に力を込め構える。

 

「ここは俺に任せて二人は逃げろ! 」

 

 その声につられるように獣が、再び飛び掛かった。その体重を生かした突撃は、なるほど普通の人間が箒一本を持っている程度では対処できないだろう。士郎はそんな突撃を先ほどと同じように受け止めて見せた。しかし先ほどとは異なり水平に構えた箒ははじかれ、士郎は少し後ろに跳ばされる。だが、それはわざとだ。相手の力を利用して両の足を地に擦るように後方へ下がるのと、素早く足を前へと一歩踏み出し、弾かれたと思われた箒を斜め下から切り上げるように獣へと当てる。

 

 鈍い打撲音が響く。獣はその衝撃にわずかに息を吐き出すが、すぐにそれを気にすることなく、その鋭い爪を振り下ろした。その様子に眉を寄せながら、その爪を後方に跳ぶことで避ける。

 

 獣はすぐに士郎を追いかけ、爪やその牙を士郎へと向けた。それを大きく避けることなく必要最低限に体をそらすように避け、時にはその手に持つ箒でその攻撃を弾いていく。そして無防備になった隙を突き、その手に持つ箒で獣の体を打つ。先ほどからぶつける箒はどう見ても普通のものであり、すぐに箒の方が折れてしまいそうであったが、それは不思議なことに鉄のように固くなっており獣の傷を残していた。

 

 しかし、次の瞬間にその傷はまるで何もなかったかのように消えてしまった。それに目を瞠るが、怯むことなく士郎はすぐに構える。

 

(回復力に任せた捨て身の攻撃。……動きは理性をもってそれを実行しているわけじゃなさそうだな。バーサーカーみたいなものか)

 

 厄介な相手だと目を細める。回復させる魔力を使いきるまでこのやり取りを続けるのは現実的ではないだろう。感じる魔力の量からこちらが先にガス欠になる可能性がある。宝具を使えればオーバーキルでやれるかもしれるが、その威力を引き出すほどの宝具を作った場合回路や体がついてこれるのか。一人であれば掛けてもいいが、イリヤたちや、離れたところに倒れる女性のことを考えれば、後がなくなる可能性があるこれはやめた方がいいだろう。

 

「駄目です! 封印しない限り止まらないんです!」

 

 冷静に士郎はこの状況を分析し勝つための手段を探す。そんな士郎の耳に、先ほどからの攻防に驚いて固まっていたユーノの叫び声が聞こえた。

 

「フェレットがしゃべった?! 」

 

 士郎それに驚くがしかしすぐに意識を立て直し、向かってきた怪物へと応戦するため切り替える。

 

 そんな様子にようやくイリヤたちも固まってしまっていた体が動いた。

 

「お、おにいちゃん。どうしてここに?!」

 

「話は後だ!! 封印というのをするにはどうすればいい! 」

 

 応戦する中イリヤたちの疑問を脇に置き、喋るフェレットに向かって叫ぶ。

 

「今の僕たちの中では、なのはしかできません! 」

 

「それは無条件で発動することができるのか? 効果範囲は? 術者へのフィードバックは? 」

 

「え、えっと。なのはへの負担は魔力が減るだけで特別ありません。封印は対象にこちらの放った術式が当たればいいんです。」

 

 士郎は素早く今の話を吟味する。なのはを前線に出さなければならないことに気は引けるが、放つということはある程度距離を離して発動することができると判断する。また対象に当てるや先ほどの放つという言葉から、言霊などによるものではなくガントのように物理的な何かを対象に当てる必要があるということ。今の状況から見ればなのはに封印してもらう方法は、士郎自身が持つ手札をきるよりもベターであると判断できる。

 

「隙は俺が作る。なのはは俺が合図を出したら、その封印というのをしてくれ」

 

「え!? でも! 」

 

 その言葉にユーノが声を上げる。それを気にせず士郎は戦闘中にもかかわらず、なのはに視線を向ける。

 

「なのは、出来るか? 」

 

「は、はい!! 」

 

 そんな士郎の動きに余裕を感じたのか、獣がいら立ち交じりに今まで以上に腕に力を込め横殴りに士郎へと爪を放つ。それを士郎は今までと変わらず受け止めて見せるが、箒にわずかに皹が入った。それに気づいたのだろうか、今まで以上に苛烈な攻めを獣はしてくる。士郎はそれを危なげなく受け止め続けるが、使い手が問題なくても箒の方が限界だったのだろう。続けざまに繰り出されるその爪や牙による攻撃にとうとう耐え切れず砕け散った。

 

 理性などないだろうにそれはわずかに嘲笑ったような顔を見せ、その口を広げ士郎の体を噛み千切ろうとした。

 

「お兄ちゃん‼ 」 「士郎君‼ 」

 

 そんな獣の様子に木片が散る中、今度は士郎がわずかに口を歪めた。

 

『投影、開始(トレース・オン)』

 

 言い慣れた自身を作り変えるための言葉を口にする。頭の中で撃鉄が落ちる音が響く。イメージするのは無名の剣である。概念武装でもないそれは、今の自身の状態でも比較的ローコストで作ることができる。そのイメージ通りにその手にはいつの間にか抜身の剣が二本、両手に握られていた。

 

 その現象にユーノの目が驚きで見開く。

 

 武器を無くしたと思っていた獣はとっさのことで不意をつかれ反応ができない。士郎は逆手に持っていた右の剣を勢いよく上顎から剣を突き刺し、続き勢いで浮いた体を回転させそのままもう片方の剣を獣の右腕に同じく突き刺し地に縫いとめる。そしてそのまま後ろに下がって、ぽかんとした顔で再び固まっていたなのはの横に立った。

 

「なのは頼む」

 

「う、うん! れ、レイジングハート、お願い!! 」

 

「All Right. Sealling mode. Set up.」

 

 士郎の声に自分のやるべきことを思い出したなのはは、少し慌てながら封印の術式を発動した。回復能力をと持っていても突き刺された状態ではそれもおぼつかない。地に縫い付けられて動けない体はそのままなのはの放った術式を受けた。

 

 ジュエルシードの魔力が解けた犬は力尽きたように気絶する。その体には外傷が見られない。どうやらジュエルシードに取り込まれた後のダメージは、この程度であれば本体は負わないらしい。

 

 その様子を油断せず最後まで見ていた士郎は、どうやら問題がないと判断し緊張を解き構えていた剣を下す。

 

 それを見てなのはたちは安堵の息を漏らした。だがその安息も長くは続かないようだ。

 

「さて、約束通り話し合いと行こうか。まずは何が起きているのか話してもらうぞ」

 

 

こちらを見たお兄ちゃんの顔は笑っているのに、寒々しい何かを感じさせるものでした。

 

 一連の動きを本当に観客としてしか見ることができなかったイリヤはこれから起きる本当の試練に体を震わせることしかできなかった。

 




士郎戦闘。でも派手さないね。
描写も相変わらず全体的に足りてない気がするしね。グダグダ書かずにしようとしているんだけど、なんかなぁ。


いつの間にかお気に入り件数が500件突破!

マジか。

本当ありがとうございます。


何か感想・指摘などがあれば、是非お願いします。指摘については可能であれば改めます。

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