お久しぶりになってしまいました。
地元の祭典とその準備、片付けにより大分疲れてしまった作者です。
体力が…体力がもう、無いのです…。
今回はちょっとあっさり気味です。
「ハァ…遂に、遂にあの曹操様にお仕えすることが出来るのね!?」
興奮した荀彧が体をくねらせる。それを見た芙陽が呆れながら煙管の煙を吐いた。
「お主、その動きヤメロ。気持ちが悪い」
芙陽と荀彧が曹操に客将として雇われると、すぐに初仕事がやってきた。
先の戦闘で散り散りになった黄巾賊の残党が、近くの廃城に集結しているらしい。元々彼らの根城であったらしく、街を攻めた軍勢の他に駐屯していた部隊も含め、その数は膨大であった。
曹操はその城を攻め落とすため、すぐさま軍を再編成して出陣した。
芙陽は部隊を一つ任されているが、正直面倒くさい。そこで曹操に相談したところ、『荀彧を付けるから指揮をさせれば?』という返事が帰って来た。
「あら芙陽?どうしたの?」
体を傾けたまま芙陽の存在に気付く。芙陽の存在に慣れたのか、荀彧は己の内心を見せてしまうような場面でも取り繕うようなことが無くなってきた。
「お主部隊指揮はできるか?」
「袁紹の所で何度もやったけど?あそこはまともな武将が顔良以外にいないから私がやるしかなかったし」
「そうかそうか」
嬉しそうに笑う芙陽に、荀彧は今後の展開を容易に想像することが出来た。
「アンタまさか…「儂の部隊はお主が指揮することになった」って言わせなさいよ!しかもなんで決定事項みたいに言うのよ!?」
「曹操がそうすれば良いと言っての」
「曹操様が!?ならやるけど!」
瞬足の移り変わりにケラケラと笑う芙陽。
「アンタ部隊指揮できないの?いやそれは無いわよね、公孫賛の所でやってたし」
「伯珪のところでは多くて数百人の部隊じゃろ?それなら前線で指揮が取れるが、今回任された部隊は千人単位じゃからの」
「あら、できないの?」
「ウム。面倒くさいの」
「『ウム』じゃないわよ!我儘じゃないの!アンタがちゃんとやれば私は曹操様のお傍にいられたかもしれなのに!」
「それよりもしっかり働いて後で褒めてもらう方が良いじゃろ?」
「む……それもそうね」
すっかり言いくるめられた荀彧は早速部隊の状況を確認し始める。
「部隊の編制内容は?」
「儂らは左翼部隊を率いてまず上にいる弓兵を蹴散らす。その間に中央部隊が城門を開いて突入、儂等もそれに続く」
「追撃は?」
「儂らの部隊を突入部隊と追撃部隊として分ける。追撃部隊はお主が指揮をする。後方へ向かえ」
「結局アンタ突入部隊の指揮しなきゃなんないじゃない」
「そうおもうじゃろ?と言うことで補助武将を確保してきました拍手~」
ふざけて言う芙陽の指した方向を見ると、義勇軍として立ち上がりそのまま曹操軍に入った楽進、李典、于禁がいた。
三人とも緊張の面持ちで芙陽と荀彧(どちらかと言うと芙陽)を見ている。
「彼女たち?新米武将じゃない」
「指揮の経験はあるらしいからの。盗賊相手に実戦経験積ませるらしいぞ」
「というかなんでそんなに緊張してるのよ。私たちは所詮客将よ?」
近づいてきた三人に荀彧が訪ねる。
「いえ、芙陽様のお力は頼もしいのですが…嬉々として敵を切っていた様子を見て、失礼ながら…」
どうやら三人は芙陽の無双ぶりに恐怖してしまったらしい。
「カカカッ。そんなことでは武将としてやっていけないぞ?」
「いや、アンタがやったことでしょ。責任取りなさいよ」
「ふむ、閨にでも呼ぶか?」
「アンタ今女でしょ。しかもそれで責任取ったとは言えないわよ」
「「「今?」」」
「ないでもないわよ。
そういえば、アンタ戦闘終了した後どこ行ってたのよ?」
唐突な話題の変更に三人は疑問を浮かべたが、芙陽は荀彧の意図に気付き話に乗る。
「戦場の跡地を見に、少しの」
「何しに?」
「東と北、それと街中に黙祷をしておった。この戦で散った、儂が散らした全ての命にの」
その話を聞いて三人は驚くとともに芙陽への恐怖心を消した。これが荀彧の意図したものだった。
芙陽は誰かを殺すことに躊躇いも、後悔も無い。元が野生の狐であるし、今まで散々命のやり取りをしてきたのだ。戦場で、決闘で、時には芙陽を討伐に来た人間を皆殺しにしたこともあった。
しかし、年を経て妖の力を付け、最後には戦うだけの日々に虚しさを感じ始めた時、芙陽は命を終えた者にある種の敬意を持つようになった。
どんな悪人であっても、命を散らせば地獄の沙汰を待つだけの存在。善人でもそれは同じ。皆無垢な魂となる。そして、沙汰を終え、罰を終えれば新たな生を受けるのだ。長い時を生きる芙陽にとって、それがどんなに羨ましいものであったのか。自ら命を終えることを選択しなかった芙陽には眩しく見えたのだった。
故に、芙陽は死者に敬意を持って接する。相手が善人だろうが、悪人だろうが関係なく黙祷を捧げる。
殺すことに躊躇いを持ったわけでは無い。根本から人間とは異なる芙陽なのだ。戦い自体が嫌になったわけでは無い。強敵の存在は芙陽にとっては幸せなことだ。
ただ、もう少し人間に近づいてみても良いと思った。芙陽がいたあの世界で、戦乱の世でできなかった生き方を、今度は少ししてみようかと思ったのだ。
人と言葉を交わし、人の隣で歩き、人と共に生きる。その暮らしを邪魔する者は、誰であっても排除する。
芙陽は今、退屈から抜け出して、『楽しく生きている』のだから。
荀彧は知っていた。芙陽が死者には必ず黙祷、祈りを捧げることを。
最初に出会った時もそうだった。荀彧を襲っていた男達を一人残らず殺し、煙管を吸う前に黙祷を捧げていたのを、彼女は見ている。ここに来るまででも芙陽達を狙った盗賊は全て殺した。芙陽は戦闘が終わると、例外なく死者を前に目をつぶって過ごす。
一度、『何故盗賊などに身を落とした人間にそんなことをするのか、意味が無いのではないか?』と言ったことがあった。
しかし、芙陽はそんなことを言った荀彧に、言い聞かせるように語った。
『人間も、獣も、妖も皆、死ねば無垢な魂じゃ。死人に鞭打つことは無いじゃろう。現世に住む儂等がその命を終わらせたのなら、そこで儂等の沙汰は済んでいる。後は死んだ先での沙汰を待つだけじゃ。その魂まで捕まえて罰するなど、烏滸がましいにもほどがあるよ』
芙陽の言葉に重みを感じた荀彧は、何も言い返さずに芙陽に並んで黙祷を捧げた。
自分はまだ芙陽のように達観することはできない。恨みがあれば忘れられない。憎しみがあれば殺しても足りない。そう考えてしまうこともあるかもしれない。
『―――だけど、いつか許せるように、目を逸らすことはしないわ』
小声でそう決意した荀彧の頭を芙陽は優しく撫でた。その時だけは拒否することはしなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
城の中では、様々な声が聞こえる。
男たちの怒号、悲鳴、小さく聞こえてくるのは倒れた男の呻き声や、生にしがみ付く泣き声だ。
楽進はそれらを聞きながら、目の前を駆け抜ける芙陽の行動を目に焼き付けていた。
(目で追うことも出来ない…!なんて速さ…!)
楽進では芙陽の動きを追うことは出来なかった。敵が芙陽に襲い掛かるが、次の瞬間には芙陽は敵の間を通り抜け、相手はそのまま崩れ落ちる。これまでその繰り返しであった。
しかも芙陽は切り付けるときにも気合の声を発さない。攻撃の瞬間の動作を読み取ることが出来ない。
「ハアッ!」
楽進の氣を纏った拳が敵を吹き飛ばす。
実力は一般人のそれを大きく上回る楽進でも攻撃の際には気合を乗せた声を出す。声を出さずとも攻撃の前には必ずと言って良いほど予備動作が存在する。
(それが全く見えない!速すぎるのか、それとも本気を出していないのか!?)
楽進の予想は両方とも正解である。勿論前者の『速すぎる』という点もそうだが、芙陽は全く以て本気を出していない。芙陽がこの世界に来てから、と言うよりも、芙陽はここ数百年ほど本気を出したことは無い。
そもそも芙陽は敵を倒すことに意識を向けてはいない。今芙陽が考えていることは、己の後ろをついてくる若き武将の事であった。
(この娘、鍛えればいっぱしの将になるの。先程から儂の動きを見極めようと必死じゃ)
後ろを見ないまま気配で楽進の様子を探る。背中からはずっと視線を感じていた。強くなるために芙陽の動きをどうにか読み取ろうとする気配に、芙陽の口は少しだけ緩んだ。
珍しいほどの真面目な性格。少しでも力を付けようとする素直さに、芙陽は少しだけ背中を押してやろうと考えた。
「カカッ、小娘よ。力が欲しければ儂が『何をしたのか』、理解に努めよ!」
楽進は突然声を掛けられ、内容を理解することが出来なかった。
しかし、すぐに思考を回転させる。
(動きが見れないことはバレている。なら、その"結果"から動作を理解しろ、と言う事か!)
芙陽は楽進がその強さを取り入れようと注視していたことに気付いている。そして、楽進が芙陽の動きに付いていけないことはわかっているだろう。
ならば芙陽のしたことは一体どういうことなのか。"どのような動きで敵を倒したのか"を理解することから始めろと言ったのだ。
しかしここは戦場。気を抜いていては怪我をするし、最悪の場合は死に至る。
(だが、盗賊如きで後れを取るようでは、そもそも力不足だ!)
「はぁぁああ!!」
強さを身に付けたければ、この程度の戦場は修行の場でしかないと言う芙陽の考えを理解した楽進は、氣の籠った拳を敵に放って駆け出していく。
「もっと強くなって見せる…!」
決意を口に出しながら、新たな目標となった芙陽の背中を目指し、若き武将は地を蹴った。
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戦闘が始まってすぐに荀彧は部隊を二つに分けて行動を開始した。
荀彧の下に配置された新米武将は李典と于禁の二人。
于禁には外壁上の弓兵を排除するように命じ、自分は李典と共に追撃部隊を率いて城を迂回しつつ後方の門へ向かう。
「なあなあ軍師さん、正面以外にも東側に門があるやろ?そっちはどうなっとるん?」
李典が気軽に声を掛けてくる。
「私たちの他に追撃部隊があるとは聞いてないから、芙陽が適当に追いつめて後方から追い出すんでしょ。
私たちの追撃部隊に弓兵が多く配置されてるから、出てきた瞬間を狙って一網打尽にするつもりなんじゃないかしら?」
「そこは詳しく聞いてへんの?」
「芙陽は追撃部隊を指揮しろとしか言わなかったわね」
「それでよお混乱せぇへんな。芙陽様の考えてることが分かっとるみたいや」
「アレの考えてることなんて理解できるわけないでしょ。ただアイツ説明の時『後方へ向かえ』って言ってたでしょ」
「言ってた…か?言ってたような気がしなくもないな」
「言ってたのよ。そして、アイツがそう言うなら追撃部隊は後方へ向かえば最大の効果を発揮できるのよ」
「信頼しとんなぁ」
「馬鹿言わないでよ。アレの無茶振りに慣れただけよ」
「素直やないなぁ軍師さん。なんやろ、軍師さんみたいなのを表す言葉が生まれそうな気いする…!ツン…つん…、ここまで出とんのやけど…」
そう言いながら手を額に添えるが、残念ながらそれは口を通り越しているので一生出てくることは無い。
「訳が分からないこと言ってんじゃないわよ。ほら、そろそろ準備しなさい」
荀彧が準備を指示すると、李典はおざなりに返事をしながらも兵たちに弓の準備をさせ始めた。
大きな声を出して兵を急がせる。声は良く通って兵たちは迷わず行動しているし、間違ってる行動をとればすぐに李典から指示が飛んでくる。
于禁の様子は見ていないが、彼女も先の戦で街を守るために義勇軍を率いていた。
楽進は今頃芙陽が見極め、芙陽が気に入れば既に少しは指導を始めている頃だろう。
新たに曹操軍に入った三人は確かな実力を持っていると言える。曹操軍にとってもかなりの収穫だろう。
荀彧はこのまま正式に曹操へ仕えることになったら彼女たちをどうするか、既に考え始めていた。
彼女たちの実力は確かなものだが、まだまだ経験が不足している。兵への指示がどこかぎこちないのだ。他の軍であれば申し分ないが、よく訓練されている曹操の軍では兵の実力を使いこなすことは出来ないだろう。
街の防衛線と今回で大きな戦での経験を最初でしておけば、あとは回数の問題だろうと思い、これからは新兵訓練や街の警備で部下を持つことに慣れさせるのが最良であると判断した。
個人の戦闘力については芙陽や夏候惇、夏侯淵などの将が鍛錬を付ければ確実に伸びるだろう。精神的な面でも曹操の下にいれば育つ筈だ。
荀彧はこれらの事を考え、次に芙陽について考察を始めた。
芙陽は周囲の意見など聞かないだろう。自分が何をしたいのかで行動を決める。つまりは気まぐれに行動することがほとんどである。
当然曹操の命令など意にも解さない可能性がある。だからと言って完全に無視することは無いだろう。しっかりと誠意を持って頼めばある程度は思い通りに動いてくれる。しかし、芙陽が『つまらない』『気乗りしない』と感じてしまえばどんなに頼み込んでも実行に移すことは無いだろう。
ならばどのような立ち位置にあればいいのか。
ある程度の自由があれば文句は出ないだろう。そして、意外にも知識人であるため曹操とも話が合う可能性が高い。趙雲の話を聞けば誰かに鍛錬を付けるのも嫌いではないようだ。
つまり、ある程度任務に選択権のある客将としての立場が一番良いのではないかと考えた。これならば芙陽もあまり文句を言わずに仕事をしてくれるだろう。
楽進などは李典から聞いた性格によれば芙陽の鍛錬にしっかり付いて行くだろうし、曹操も芙陽と語り合えばその智謀や知識量、性格なども気に入るかもしれない。
問題は夏候惇だが、これはもう芙陽自身がどうにかするか曹操が良く言い聞かせるしかないのではないだろうか。
夏候惇の話を聞くに、どうやら脳筋なので芙陽の強さを理解すれば驚くほど簡単に解決するのかもしれないが、最悪を想定するのが軍師である。このまま芙陽が曹操軍を去ったり、何かの事故で再び夏候惇が芙陽に斬りかかって返り討ちに会うようなことがあれば荀彧までも去らなければならないかもしれない。それだけは避けたい。
夏候惇とはまだ直接会話をしたことが無いのでなんとも言えないが、荀彧はその問題点に頭を悩ませるのだった。
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戦闘はあっけない程に短時間で集結した。
芙陽や夏候惇が城内の敵を追いつめ、更に芙陽は二つある大門のうち一つを塞ぐように侵攻していたため、結果として逃げ惑う黄巾賊の出口は一つしかなかった。
城門を出たところで待っていたのは荀彧と李典の率いる追撃部隊。矢の雨によって門付近で集中砲火を受けた男たちは死体の山となった。
それを見た黄巾賊は引き返そうにも、後ろから迫ってくるのは芙陽と夏候惇の怪物二人。進めば矢の雨。絶望に苛まれた男たちは曹操軍にひと飲みにされたのだった。
「芙陽…殿」
戦闘を終えて黙祷していた芙陽に後ろから声がかかる。
目を開けて振り返ると、気まずそうに立っている夏候惇がいた。
「…なにをしているのだ?」
「この場所で散って行った命を送っていたところじゃ」
芙陽は優しく答える。夏候惇の方はまだ少し緊張していたが、それでも会話を続けた。
「敵にも、か?」
「敵にも、じゃよ」
「…そうか」
なんとかと言ったふうにここまで会話を続けた夏候惇だが、結局言いたいことは言えずに黙ってしまう。
その姿がまるで悪いことをしたのに謝ることが出来ない子供の用で、芙陽は助け船を出すことにした。
「なにか、言いたいことがあって来たのではないかの?」
「う、うむ…。………済まなかった、芙陽殿!」
本当に軽く背中を押しただけで言い出すあたり、やはり夏候惇も本心から謝っているのだろう。
「華琳様からひどく叱られた。あの時の芙陽殿は何も嘘を言っていないし、悪いこともしていない。唯の私の勘違いであった。
それに、私も先程の戦闘で芙陽殿が戦っている姿を見た。秋蘭が『勝てない』と言った意味が分かったのだ。……本当に済まなかった」
頭を下げたまま語る夏候惇。
「夏候惇、頭を上げなさい」
芙陽の優しい声色に、夏候惇は言われたとおりにする。
「確かにお主はあの時冷静でなければならなかった。しかし、その沙汰は既に曹操から言われているのじゃろう?」
「あぁ、罰は受けることになる。出なければ示しがつかないからな」
「ならば儂はもう何もいう事は無いよ。謝罪は今お主がしてくれたし、曹操からもされておる。
これでこの話は終いじゃ、いいかの?」
「感謝する、芙陽殿」
「『芙陽』で良い。しばらく曹操に厄介になるからの、よろしく頼むぞ」
「ああ!よろしくな、芙陽!」
芙陽と夏候惇は笑いあった。
荀彧が心配していた二人の関係は、ただ夏候惇が芙陽の強さを認めただけで解決してしまった。
このことを聞いた荀彧は憤慨していたが、勿論良いことなので何も文句は言えなかったという。
感想にて、『空孤って尾は無いよね?』というご指摘がありましたので、説明させて頂きます。
まず、妖狐の分類は大きく分けて二つ。野孤と善孤に分けられます。
野孤と言うのは野生の狐です。この中で悪さをするものは悪孤と呼ばれます。
善孤は善良な狐。中にはよろしくない狐もいるようですが、将来の稲荷の狐予備軍です。
善孤の中で千年以上を生きた仙狐、更に神通力を持ち尾が四本ある、つまり稲荷の狐のことを天狐、そして稲荷の狐を引退し、尾の無くなった三千年以上生きた狐を空孤と呼びます。
有名な九尾の狐の玉藻前は仙狐です。コイツのネームバリューが凄すぎて『九尾=悪孤』と思われがちですが、善良な九尾もいます。
さて、空孤は『尾の無い三千歳以上』ということですが、この小説では『仙狐』『天狐』『空孤』の三つは単なる力の階級として扱っています。つまり、善孤だろうが悪孤だろうが三千歳以上で力が強ければ『空孤』になれる、という事です。
更に、この小説では『善孤=天に仕える狐で、尻尾は一本しかなく、体毛は白い』、『野孤=地上にいる妖狐で、力が増せば尾が増える』という設定です。
芙陽さんは管輅ちゃんという『天に属する人物』の指示を聞いてこの世界に召喚されたので、尻尾は一本になり善孤になりつつあります。あくまでも『なりつつある』の状態なので、神通力は少ししか使えませんし、体毛もそのままで白くなりません。
以上がこの小説内の設定となります。
分かりにくい設定となり、疑問に思ってしまった方々にはお詫び申し上げます。
これからもよろしくお願いいたします。
誤字、脱字報告、感想などお待ちしております。