真・恋姫✝無双 狐来々   作:teymy

18 / 43
パリってる?(フランス)

どうもです。何とか一週間で書き上げました…。
しかし……今回本当にぐだってます。多分これ書いてるときにかなり酒が入ってたのが問題なんでしょう…。
設定的にもちょっと無理があるかな、と。
もしかしたら書き直すかもしれません。その際は多分今回出てきた設定が大幅に変更になるでしょう。

取り敢えずは、大人気のあの人が初登場です!!


第十四話 狐の落胆、奪われる希望

「見送ってもらえるなど、世話になっておいて申し訳ないのぉ」

 

ある晴れた朝、芙陽と桂花は旅の荷物を万里に積んで城門へ来ていた。

短い間ではあったが、そろそろ呉を出立して旅に戻るのである。

 

「何言ってんのよ。貴方は私たちの盟友。見送りぐらい当然じゃない」

 

「クフフ…盟友か、伯符。唯の根無し草に良く言えたものじゃ」

 

芙陽と孫策は気さくに話をしている。

その一方、桂花は周瑜と話をしていた。

 

「荀彧、身体に気を付けてな」

 

「アンタに言われたくはないわよ」

 

「あれからは確りと休息も取っている。大丈夫さ」

 

「アンタの『大丈夫』は今一信用できないのよ。陸遜、ちゃんと見てなさいよ?」

 

「え~私がですかぁ~?無理ですよ~祭様に頼んでくださいよ~」

 

「黄蓋を付けたら心労が増すじゃないの」

 

「心外じゃの。儂は冥琳を休ませようとしただけじゃ。それなのに冥琳め、グチグチと怒りよって…」

 

「酒瓶片手に仕事の邪魔されたら誰だって怒りたくもなるわよ」

 

周瑜の隣には黄蓋と陸遜も立っていて、話の輪に入っている。

実は人見知りが激しく基本的に攻撃的とも言える態度を示す桂花だが、付き合ううちに慣れることが出来れば優しい一面を見せることもある。

 

「ねぇ芙陽、今度はいつ会えるかわからないけど、次に会った時はまた一緒にお酒飲みましょ!」

 

「ふむ、互いの道程を肴にやるのも一興じゃな」

 

「でしょでしょ!?なら、次に会う時私がどれだけ成果を挙げるか、楽しみにしておきなさい!」

 

「なら、こちらも話題を探しておかねばな」

 

楽しそうに約束事を交わす二人を、桂花は面白くなさそうに見ていた。

 

「おや荀彧、過度な嫉妬はやめた方が良いぞ?」

 

それに気付いた周瑜がニヤニヤと厭らしく笑いながらそう言ってくるが、桂花は顔を赤くしながら叫ぶ。

 

「別に嫉妬じゃないわよ!」

 

「嘘をつけ」

 

「あらぁ?荀彧~私と芙陽の仲がそんなに気に喰わないの?」

 

孫策までもが便乗して桂花を揶揄う。

 

「もう何もかも芙陽に捧げたんでしょ?もう少し余裕を持ったら?」

 

爆弾発言が孫策の口から飛び出し、桂花の顔を更に赤くさせた。

 

「なっ!?」

 

「『なっ!?』じゃないわよ。周瑜から聞いたわ。それに、芙陽の部屋に泊まった次の日に仕事休めばすぐにわかる事じゃない」

 

「ぐっ!?ぅぅぅぅぅうううう…!!」

 

桂花が唸るが、孫策はそれを見てニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべるだけ。

 

それを同じくニヤニヤと見ていた芙陽だが、そこに今度は周瑜が話しかけてきた。

 

「それで、芙陽殿。次はどこへ行くつもりで?」

 

「フム、そうじゃの……実は迷っておる。黄巾賊の活動が激しい北か、袁術の地を超えて広い西を目指すか…」

 

「北か、西……西は黄巾賊は少ないですが、最近では内乱の兆候が見られる。それも幼稚な理由とやり方でな」

 

「……それなんじゃよ…見に行っても面白くなさそう…」

 

「一択になったわね」

 

桂花を苛めていた孫策が帰って来た。

 

「しかしなぁ…そもそも儂らは北の曹操の地から来たんじゃが…」

 

「では芙陽様、海を見ながら徐州方面へ向かったらどうですか?」

 

「それも有りじゃのう」

 

徐州の方面には、最近ようやく噂を聞くようになってきた義勇軍の劉備も活動しているようだ。

 

「なら、北上するかの」

 

「分かりました」

 

桂花は芙陽の決定を聞くとすぐに地図を広げ、道程の確認を始めた。

 

「さて、そろそろ行かねば日が暮れてしまうな」

 

「そうですね」

 

芙陽は最後にもう一度孫策たちを見る。

 

「孫策、そしてその臣下たち。……世話になった。また会おう」

 

「えぇ、こちらも世話になったわね。また会いましょう?」

 

「周瑜、アンタも、その…ま、頑張りなさいよ?」

 

「そちらもな。今度会った時は臣下同士で酒を飲むのも良いかもしれない」

 

「武運を祈っておるぞ」

 

「お元気でぇ~」

 

それぞれの挨拶を交わし、芙陽達は孫家の城を出た。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

さて、孫家の地を離れた芙陽と桂花だが、進み続けて既に三日が経過していた。

 

特に大きな出来事も無く平和に歩んできたのだが、芙陽はふと立ち止まり、嬉しそうに笑った。

万里に乗っていた桂花が訪ねる。

 

「芙陽様?どうしたんですか?」

 

煙管に火を付けながら芙陽は笑う。

 

「いや、友との再会とは嬉しいものだ、とな。

 知っている匂いがしてきたよ」

 

「……?」

 

「このまま進めば会える。懐かしい、とも言えん程の別れだったの」

 

「誰なんですか?」

 

「行けば分かる」

 

首を傾げながらも進む桂花だったが、やがてその人影を見つけると、驚きながらも彼女の名を呼んだ。

 

 

「え……趙雲!?」

 

 

「フム、元気そうであるな、荀彧。……芙陽殿も、お久しぶりですな」

 

 

「久しいの、星」

 

彼女、趙雲――星は芙陽達を見つけて嬉しそうに笑い、芙陽に頭を下げた。

 

「アンタ…なんでこんなとこに居んのよ?」

 

「そのまま返すぞ荀彧。お主、曹操に仕えるのではなかったのか?」

 

星はニヤニヤと笑いながら桂花に言う。桂花は万里から降りながら顔を赤くした。

 

「い、今は芙陽様に仕えているのよ!華琳様…曹操様とは、友人として仲良くさせてもらったわ」

 

「まぁ、知っているのだがな」

 

「はい!?」

 

「私は伯珪殿の下を去り、芙陽殿を探して旅に出たのだ。そこでまずは曹操殿を訪ねようと思ってな、話を聞いてみれば荀彧を連れて呉に向かったと言われ、ここまで来たのだ」

 

「なら、なんで聞いたのよ…」

 

「決まっておろう。…お主を揶揄うためだ」

 

「私が非力なのは重々承知で言わせてもらうけど……殺すわよ?」

 

「おぉ怖い怖い」

 

「カカカッ…して星。儂を探していた、というのは?」

 

「はい。実は私も旅の共をさせて頂きたく…」

 

星は佇まいを直して芙陽を真っ直ぐに見る。

 

「ほう?」

 

「芙陽殿と別れて、我が槍を振るうに足る主に悩んでおりました。しかし、常に頭をよぎるのは芙陽殿の事。ならば己の直感に従い、芙陽殿にお仕えしたく参じました」

 

「儂はお主の主に足るか?」

 

「実力、器、どれをとっても逆に私が足を引っ張りかねないと不安になるほどですな」

 

星はおどけながら言うが、その瞳は覚悟に染まっていた。

『必ず役に立って見せる。成果を挙げて見せる』

その覚悟、決意…そして自信があった。

 

「ふむ。お主は儂の正体を知っている筈。人でない者に仕えることの意味は分かっておるか?」

 

「百も承知。寧ろ、それだけの事で意見を翻す者に、『自分が仕える主に器を求める』など言えますまい」

 

「それだけの事、か……カカカッ!『妖である』事をそれだけ(・・・・)とは、面白い!」

 

ケラケラと笑う芙陽だが、その笑みには"嬉しさ"が混じっていた。

 

「芙陽様?」

 

「桂花、星はお主と同じようなことを言ってくれるの。"人"でも"妖"でもなく、"儂"を選ぶと…」

 

「私にはそのお気持ちを理解することは出来ません。しかし、芙陽様が喜んでいるのなら、私はそれだけで嬉しいですよ」

 

「ほぉ、荀彧も素直になったものだな。時に芙陽殿、荀彧は芙陽殿になんと言ったので?」

 

「ちょっ!?」

 

「ウム。『"男"でも"女"でもなく、"儂"に恋をした』とそれはそれは可愛らしく言ってくれての…」

 

「ファッ!?芙陽様!?」

 

「成程。見てみたいものですなぁ」

 

「駄目じゃぞ?桂花は儂のじゃ」

 

「ああああああああああ!!?」

 

一世一代の告白を暴露された驚きと、その恥ずかしさと、芙陽の言葉の嬉しさが入り混じった桂花は混乱して蹲ってしまった。慰める様に万里が桂花に寄り添っている。

 

それを笑って見ていた芙陽は、一息入れたところで星に向き直った。

 

「さて、星よ」

 

「はっ」

 

星も真面目な話に背筋を伸ばし、芙陽の言葉を待つ。

 

「お主の気持ちはわかった。"人に仕える"事への後悔は?」

 

「勿論、微塵もありませぬ」

 

即答する星。それに芙陽は嬉しそうに、優しく笑った。

 

 

 

「ならば良し。…趙子龍。その命と槍、儂が預かろう。存分に振るえ」

 

 

「…この"常山の昇り龍"、貴方の道を開く槍と成って見せましょう、芙陽()

 

 

 

星は一度槍を振るい、膝をついて深く頭を下げた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「のぉ、星。伯珪は元気にしていたか?」

 

「えぇ、芙陽様が旅立たれた後も賊の討伐や兵の調練に力を入れ、治安を守っておりましたよ」

 

星が芙陽に臣下の礼を取って、三人は再び歩き出した。

因みに、桂花と星は共に芙陽を支える臣下として真名を交換している。

 

「あら、人材不足は相変わらず?」

 

「残念ながらな。一時期は客将として雇われた者がいたものの、私が旅に出る少し前に出て行ってしまったからな」

 

「伯珪は個人の能力としては有能なんじゃがの…もう少し押しが強ければ人材も集まるだろうに」

 

それぞれ報告をしながら進む。ふと、星が芙陽に尋ねた。

 

「そういえば芙陽様。曹操殿から聞いたのですが、なんでも黄巾賊相手に無双ぶりを発揮したとか」

 

「ん?どれの話かの?」

 

「あれじゃないですか?芙陽様が一人で黄巾賊に背後から突っ込んだ時の」

 

「それです。聞いた時は驚きましたが、逆に納得も致しましたな。芙陽様ならやりかねない、と」

 

「カカカッ。そのせいで夏候惇と喧嘩になったんじゃがの」

 

「夏候惇は寧ろ誇らしげでしたがな。『アイツは本当に強いんだ!』としきりに語ってくれました。それと、許緒と楽進という者も一緒に自慢げに『憧れている』と言っていましたよ」

 

「おや、嬉しいことを言ってくれるの」

 

「私も是非また鍛えて頂きたいものです。お願いしても?」

 

「良かろう。これからは少し厳しくいかねばな」

 

「望むところです。……ところで、先程から妙な気配が…」

 

星が警戒しながらそう言うと、桂花もあたりを見回した。だが、芙陽だけは未だのんびりと煙管を吹かしている。

 

「気付いておったか。確かに少し妙であるが、敵意は感じぬよ」

 

「獣ですかな?それにしては大きな気配ですが」

 

 

 

「あっらぁ~ん?獣だなんて失礼しちゃうわね~」

 

 

 

「「!!!?」」

 

言いながら現れたのは、ふんどし姿に妙に色っぽいシナをつくる筋肉モリモリ、マッチョマンの変態だ。

 

この筋肉達磨には流石の芙陽も冷や汗を流した。と言っても姿に、ではない。その内から湧き出る存在感に、ではあるが。

芙陽がこの大陸で過ごしてから、様々な人間を見てきた。

しかし、目の前の変態からはこの大陸の誰とも比べ物にならない程の強大な"気配"を感じた。

 

「お下がりください芙陽様!!星、時間を稼ぎなさい!!」

 

「当然!貴様、何者だ!!」

 

桂花が叫び、星が芙陽の前に立ち塞がって槍を構える。

 

「桂花、星、落ち着け」

 

「「ふ、芙陽様!?」」

 

「そうよぉ~別に私はこのお方をどうこうしようってつもりじゃないから、安心していいわよぉ~」

 

筋肉達磨が警戒を解くように言うが、目の前の常識を逸脱した存在にそれを言われても安心できる要素など一つもない。

芙陽は仕方なしにそのままの状態で話を続ける。

 

「お主、異質な気配を纏っているの。もしかして管輅の仲間か?」

 

「流石は芙陽様、もう見破られちゃった。その通り、私は『管理者』管輅ちゃんの部下、と言ったところよぉ~」

 

それを聞いて芙陽は思い出す。芙陽がこの世界に来る前、芙陽の屋敷で管輅の話を聞いていたとき。

管輅が愚痴を零していた『言う事を聞かない筋肉達磨二人』とは、もしかして目の前の人物の事ではないか、と。

 

確かに問題児だと、芙陽は確信した。

 

「名前は貂蝉と名乗っているわぁ」

 

(嘘じゃろ…)

 

そしてこの筋肉達磨、貂蝉の名を聞いた瞬間芙陽は落胆した。

 

実は芙陽、貂蝉がいるとは思っていなかった。しかし、居るのならば是非とも一目会ってみたいと思っていた。

貂蝉とは創作の人物であり、実在はしていない。だが、ここは管理者、管輅の言う通り史実とは異なる三国志の世界。いたとしてもおかしくはないのだ。

ならば、その美貌と呂布、董卓を嵌めた智謀を確かめてみたいと、密かに楽しみにしていたのだ。

 

そして、目の前にはその『貂蝉』を名乗る変態。

儘ならない。…儘ならなすぎである。

 

だが、そうも言ってはいられない。芙陽は落ち行く精神を奮い立たせて貂蝉の話に戻る。

 

「それで貂蝉とやら。儂に何か用かな?」

 

「あら~その通りよ~ん。ちょっと伝えたいことがあるからお時間いただいてもよろしいかしら~ん?」

 

「フム、この二人はどうする?」

 

「そうね~出来れば外してもらいたいわねぇ」

 

「桂花、星」

 

「芙陽様!……大丈夫なのですか?私たちも一緒に居たほうが…」

 

「私も桂花に賛成ですな。芙陽様はお強い。相手に敵意を感じないのも確かでしょう。しかし、あまりにも怪しすぎる」

 

「まぁ、素性については儂も知っておるし、敵ではないことは確かじゃよ。

 安心せい、目に見えぬところまでは行かぬ。それで勘弁しておくれ」

 

ケラケラと笑いながらそう話す芙陽に、二人は納得するしかない。仕方なくその場を離れ、声が聞こえず、しかし目には届く範囲まで下がった。

 

「御免なさいね~」

 

「いや、管理者であるお主の話はあ奴らにとってちと刺激が強すぎるやもしれんからな」

 

「確かに、異世界の話なんて聞かされても混乱するしかないものねぇ」

 

「して、儂に伝えたい事とは?」

 

芙陽が先を促すと、貂蝉は表情を引き締めて語り始めた。

 

「まず、結論から言うとこの世界に侵入者が入り込んだわぁ」

 

「ほう?それは儂のような旅行者のようなものか?」

 

「いいえ。元・管理者の二人よぉ」

 

「元、とな?」

 

「この世界が生まれるきっかけとなった世界があるんだけれどね、彼らはその世界で違法に世界に干渉して封印されたのよ」

 

「違法?」

 

「詳しくは省くけど、管理だけの自分の存在に嫌気が差したみたいでねぇ…。結局、その騒動があったおかげでこの世界が誕生したんだけれど~」

 

「封印が破られた、と」

 

「その通りよ~。どうやら他の管理者が手引きした御蔭で封印から解放されたみたいねぇ。その手引きした管理者は既に割り出されて同じように封印されているわぁ。他にも色々とやってたみたいなんだけど、それらの処理で管輅ちゃんはてんてこ舞いよ」

 

「それでお主が来たのか?」

 

「そういう事~。本当なら管輅ちゃんがキチンとその二人を探し出して処理しなくちゃいけないんだけど、今はその管理者がしでかしたことで忙しいし、芙陽様の旅行記を旅番組風に編集したDVDの増販もしなくちゃだし…」

 

「お主等なに勝手に儂で商売しとる?」

 

後半に聞き捨てならない情報があった。管理者は意外と俗っぽいらしい。

 

「御免なさいねぇ~。管理者って娯楽が無いものだから…」

 

「絶対暇じゃろ管理者の連中。増販までされとるってことは人気…出たんじゃな?」

 

「正直ここまで売れるとは思わなかったわぁ…。今も第二弾の計画が進んでいるしねぇ」

 

「はぁ…もう良い。それで、侵入者の話はどうなった?」

 

「まずは、芙陽様にご迷惑、ご心配をお掛けしたことを管理者を代表して謝罪させてもらうわぁ」

 

頭を下げる貂蝉だが、芙陽はそれを特に責めることはしなかった。

 

「まぁ、それについては良い。元々、儂の知る歴史とは異なるこの世界で何が起きようともおかしいとは思わんしの」

 

「それと、もう一つ謝らなきゃいけないことがあるの~」

 

芙陽は興味深そうに貂蝉に目線だけで話を促す。

 

「侵入者の二人、左慈と于吉という男なんだけど…芙陽様を狙ってくる可能性が高いわぁ。こっちが本当に伝えたい事、だからその注意をしておいてねぇ~ん」

 

「フム、理由は?」

 

「この世界に芙陽様が来た時点で、私達管理者とこの世界を繋ぐ鍵となるのが芙陽様という存在よぉ。だから、芙陽様という存在を消してしまえば私達は手が出しにくくなる…。

 元々この世界は芙陽様のような異世界の存在の影響を受けやすいの。そういう存在を受け入れるのがこの世界の性質、と言っても良いわぁ」

 

「儂を殺したとて、そ奴らは一体何がしたいんじゃ?」

 

「恐らくだけど、管理者の手が出しにくい期間を利用して、別の世界に逃げるための準備をしたいのではないかしら?」

 

「ま、別に儂は面白くなればそれで良い。儂を殺しにやってくると言うのなら楽しみにしておこう」

 

「流石ねぇ、こうやって注意を促すくらいしかできないのが悔やまれるわぁ~」

 

「お主は何もしないのか?」

 

「残念だけれど、私は私でやらなきゃいけないことが沢山あってねぇ~、管輅ちゃんが色んな処理で手が回らないから、私ともう一人で別の外史を見守らなきゃいけないのよぉ~。

 も~ぅ、せっかくご主人様と熱い夜を過ごそうと思ったのに、酷い話よねぇ~ん」

 

「……お主には思い人が?」

 

「えぇ、そうよぉ~。優しくて、かっこ良くて、とぉ~っても頼りになる人なのよぉ~ん!」

 

「そうか、まぁ…頑張ってくれ」

 

芙陽はもうどうでも良くなってきた。

早くこのクネクネと不気味に踊る変態から目を離し、桂花や星と話したいとすら思えた。

 

「あらぁ~応援してくれる人なんて初めてだわぁ~。

 それじゃあ芙陽様、また何か情報があればすぐに知らせるから、本当に気を付けてねぇん」

 

「ウム、ご苦労であったの」

 

「いいえ~、あ!そうだ、最後におまけで耳寄りな情報を教えちゃうわぁ~」

 

「ほう?」

 

「このまま北上して冀州に向かえば、新たな出会いが待ってるわよぉ」

 

「おや、誰かの?」

 

「それはヒ・ミ・ツ。その方が面白いでしょう?」

 

「そうじゃの」

 

最後にもう一度気持ち悪く体をくねらせてから、貂蝉は音もなく去って行った。

筋骨隆々の変態が音もなく素早い動きで遠ざかる光景は何とも言えない気持ち悪さがあった。

 

「「芙陽様!」」

 

芙陽が妙な疲れを忘れるために煙管に火をつけると、離れて見守っていた二人が走って近づいてきた。

 

「芙陽様、ご無事で何よりです」

 

不安だったのだろう、桂花が芙陽にしがみ付いて来る。

 

「なに、少し世間話をしただけじゃ。後はちょっとした占い、かの」

 

「占い、ですかな?」

 

 

「そうじゃの、取り敢えず……冀州へ向かえば良いらしい」

 

 

首を傾げる星だが、芙陽はケラケラと笑ってそう言った。

 




あぁーやっちまった感が否めない…。なんで出てきたんだ左慈ぃ、于吉ぅ…。

……そうだな、自分が出したからだな。
正直設定プロット見て『左慈と于吉が出てきて敵になる』って書かれているのを見た瞬間、
『…大丈夫かこれ?』って思いました。
やる気ナイチンゲールです…。

ちょっと設定見直して書き直すかどうかを決めたいと思います。


誤字、脱字報告、感想などお待ちしております。

2015/10/12 関羽の出身地についてご指摘があり、作者の知識が誤っていることが判明しましたので内容を一部削除しました。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、ご了承下さい。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。