真・恋姫✝無双 狐来々   作:teymy

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こんばんわです!
前回の内容を友人の発言にすべて持っていかれた作者です(泣)
いや、確かに内容は薄っぺらかったですよ…?
それでももっとこう…あるだろう!(困惑)

今回も閑話です。本編はもう少しお待ちくだされ…(汗)
ちょっと読むの面倒臭いかもしれません。重ね重ね済まない…


閑話 時には武器を置いて 其の二

○4.5話 言葉の壁○

 

芙陽には最近気になっていることがある。

 

この世界に来てからと言うもの、言葉や文字に苦労したことは無い。勿論それは良い。芙陽は長く生きており、また趣味である読書のために元の世界では何ヶ国語もの言葉を読み、書き、会話が十分に行える程には習得していた。

この世界の文字は勿論漢文である。当然ながら芙陽は漢文もマスターしている。この世界の本を読むにも苦労はしない。

 

問題は会話である。

 

この世界で初めて出会った人物は誰だったか。

芙陽は己の記憶に検索を掛ける。

 

星、凛、風。いや、その前に何かあったような気がする。

そう、その三人が来る前に盗賊の男たちがいたではないか。あまりにも影が薄い出来事であったためにすぐには思い出せなかった芙陽。

その三人は芙陽に向かって『武器を寄こせ』などと言っていた。

 

今思えば違和感しか感じない。

 

芙陽の出身は現代日本だ。当然母国語は日本語である。

しかし、あの三人は初めから日本語で芙陽に話しかけた(・・・・・・・・・・・・)ではないか。

 

そして、その後に出会った星、凛、風の三人も日本語で会話を行っている。少し前に出会った荀彧も、公孫賛も同様だ。

 

公孫賛の下で客将として働いている今、書簡に目を通すことも多い。

先にも述べたが、書簡に書かれている文字は漢文である。

 

ならば

 

 

 

この世界の住人は全て『日本語で会話を行い』、『漢文を読み』、

 

挙句には『漢文を見て日本語で読む』バイリンガルであるということになる。

 

 

 

識字率が低いことも納得である。

 

勿論、漢文とはある程度日本語に修正して読むことは可能である。英語等の外国語よりは翻訳が楽なのは確かであろう。

しかしである。『翻訳』とは、『原文の意味を異なる言語で表現すること』だ。

つまり、翻訳者は『異なる二つの言語』を習得していなければならない。

そして、『文字を読む』という行為。これは人間が本来持つ能力ではない。幼いころから触れることで訓練され、後天的に備わる能力である。

『言葉』と『意味』と『文字の形』、そして『文字の意味』。大きく分けてこの四要素を組み合わせ、脳内で情報が処理され、初めて『文字を読む』という行為が可能になるのだ。

 

余談ではあるが、大雑把に言ってしまえば『文字が読めること』と言うのは『泳げるようになること』や『楽器が弾けるようになること』と同じなので、訓練すればするだけ能力が上がる。

本を読む人と読まない人の読書スピードが異なったり、音読に詰まる人とスラスラと読み上げる人がいるのはこのためである。

 

話を戻そう。

この大陸の言語は一つ。日本語である。しかし、文字は漢文である。

こうなると『文字を読む』事の難易度は途端に跳ね上がる。何しろ、先程の文字を読むための四要素『言葉』『意味』『文字の形』『文字の意味』に加え、『文章の意味』という新たな要素が現れるからである。

これだけならば通常の翻訳と言えるだろう。

だが、本当に難しいのは追加要素である『文章の意味』の習得である。何しろ、『"日常では決して口に出さない(・・・・・・・・・)言語で表現された"文章の意味』なのだから。

通常、異なる言語の読み書きを習得する場合は、単語の発音などが重要な要素となる。口に出しての練習がかなりの効果を発揮するためである。

しかし、この大陸の住人にはそれが出来ない。『口に出す言葉の発音』は、決して文字の意味と重なることは無いからだ。寧ろ、この大陸の文章において、文字の発音という概念があるかどうかさえ怪しいものである。

 

口に出す言語は一つ。しかし、文字を読むためにはもう一つの言語形態を学ばなければならない。

何とも不思議な文化である。ある意味では高度な文明と言える。寧ろ文官などは良くもまあ仕事ができるものだと感心すら覚える。

 

と、ここまでつらつらと考えていた芙陽であったが、ふとある可能性に気が付いた。

 

 

『もしかしたら、自分には日本語に聞こえるだけで、本当は違うのではないか?』

 

 

これならば通常と同じ文化である。文字を読む行為にも支障をきたさず、必要な言語が二種類になる事も無く、識字率が低いのは時代のせいだ。

この可能性に気付いた芙陽は鳥肌が立つかと思えるほど爽やかな気分に浸ることが出来た。体中にこびり付いた重い綿や手足に絡まる蔦がすべて取り払われたかのような感覚であった。

 

元来この世界は管輅と言う管理者が"外史"と呼ぶ空想の世界。外来である芙陽と現住の住民の言葉の壁など術式やら設定やら魔法やらで解決してしまってもおかしくはない。

 

芙陽はこの可能性を確実なものにするべく、証明方法を模索し始めた。

『お主が喋っているのは日本語か?漢文か?』などと言えるわけがない。荀彧などに聞けば確実に罵倒が飛んでくるだろう。

ならばどうすれば良いのか?

芙陽の脳内で、ある一つの方法が天啓の如く舞い降りた。

 

早速その方法を試すべく、芙陽は行動を開始した。

一人でも良い。誰か一人でも人間に会うことが出来れば、芙陽の疑問は全て解決する。

 

化け物染みた嗅覚、聴覚、気配察知を利用してすぐさま一番近い人間の下へ急ぐ。

 

 

そこにいたのはこの街の長である公孫賛であった。

 

 

芙陽は迷わず公孫賛の目の前に移動し、狼狽している公孫賛をほぼ無視して口を開く。

 

 

 

「布団が吹っ飛んだ!!!」

 

 

 

「……は?」

 

 

 

そう、駄洒落である。

 

つまり、『同じ音、もしくは似た音の言葉で文章を作る』という駄洒落であれば、相手が口にする言語が日本語なのかがわかるのだ。

駄洒落の意味が理解できれば日本語、できなければそれ以外である。

 

しかし相手が悪かった。

可もなく不可もなく、あらゆる面において圧倒的な『普通』の道をひた走る公孫賛では、この芙陽の無茶振りに付いて行ける訳がないのだ。

 

それでも芙陽はめげずに言ってみる。

 

「布団が、吹っ飛んだ」

 

「ど、どうしたんだ?」

 

「……」

 

流石の芙陽でもこの結果には落ち込んだ。答えが分かる分からない以前の問題であった。

この無常な結果の苛立ちを公孫賛にぶつけるのは間違っている。そんなことはわかりきっているにも関わらず、芙陽は公孫賛を殴り飛ばしたいと思ってしまった。

 

 

 

結局、この時のことを思い出したくなかった芙陽により真実は闇の中へと沈んでいった。

 




はい。唐突に叫ぶ芙陽がやりたかっただけです。後悔はしていない。
公孫賛は実にリアルなキャラをしているね。この子みたいな友人は結構います。
あ、『普通』に悩んでるとかじゃなくてですね。キャラの薄さというか、言動というか。

さて、あんまりやりすぎると不評が出るかもしれませんけど…。
またまた友人の一言。(コーナー化しそうで怖い。しても閑話の時だけですね)

「なあ聞いてくれよ!」
「どうしたん?突然電話してきて」

「あのさ、う○こ我慢したら二次元に行けるかもしれん!」

「意味がわからないし、なんでそこそこの確信持ってんだ」


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