ゲッターロボ―A EoD―   作:はならむ

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インターバル


第三十一話「新規一転」②

各ゲッターロボの整備の傍ら、ニールセンは兵器開発エリアの奥に安置されているアズレイに取り付けるもう一つの新型兵装『エリダヌスX―01』の最終的な調整を施していた。

各エンジニアにあれよあれよと指示している。

そんな中、彼の元にキングが現れる。

 

「精がでるのう」

 

「もう少しで完成じゃからな、ワシの最高傑作が――」

 

二人は、ウインチで吊り下げて固定されるその対物ライフルの形状したそれを下から眺めている。

 

「実験の結果、ゲッター線とグラストラ核エネルギーは共鳴せんかったな。

成功した暁にはゲッターロボのプラズマ反応炉を外して、グラストラ核反応炉にしようと思ったが残念だわ」

 

「ではこの兵器はゲッターエネルギーとプラズマエネルギーで……」

 

「ああ、ちょうどゲッターロボはその二つで稼働するからちょうどいいわい、後はその実験データを元に発射テストして成功を祈るだけだ、ところでおぬしの方はどうだ?早乙女の開発したあの『ライジング・サン』とかいうヤツの改良は?」

 

「とっくの間に終わっとるよ、パーツを組み替えてちょこっと改造しただけじゃからな」

 

「全く、お前の手際の早さにはワシも見習いたいのう」

 

「ふん、ワシはお主と違って基本的に何事も早く終わらすタイプだからな」

 

「けっ、嫌みたらしい早漏野郎め。よくそんなんで結婚できたのが不思議じゃわい」

 

 

「未だ独身の遅漏に言われたくないわ」

 

下らない痴話喧嘩になっている二人に誰も気にとめない。何故なら彼らはこういうのはしょっちゅうしているからである。

 

「なあキング、ワシらはこうやって楽しく兵器を作っているが、もし戦争が終わったらどうする?」

 

「子どもがいるしその時は隠居じゃのう、余生を穏やかに暮らしたい」

 

「ワシはそんなのはイヤじゃ。

ワシは兵器造りだけが生きがいじゃからな、平和になってお払い箱になったら自身の存在意義がなくなる」

 

「……それが怖いのか?」

 

「まあな。人間、存在意義を無くせばそこで終わりじゃからのう。実際アメリカ政府から大金積まれているから大人しくしてが、実際は他の国にも兵器を援助したい気持ちもある――」

「では、今の戦争が終われば今度は人類同士の戦争を再び引き起こすつもりか?」

 

「さあな。だがワシがそうしなくてもどの道平和と言うのは結局、一時的なもので永遠には絶対に続かん。

今では平和主義を掲げるヤツが沢山出てきているが、そいつらは理想主義で物事の表面しか見てないアマちゃんじゃよ」

 

「…………」

 

「戦争というのはどの世にも絶対に起こり、無くならん。これは神が我々人類に課せた重りみたいなものだ――」

 

すると、

 

「わしはそうは思わん、人類の英知を信じている。

ニールセン、もしもお前自身が戦争を引き起こそうものなら、その時はワシとて容赦はせんぞ」

 

 

「仕方あるまい、その時はその時だ――」

 

二人は互いに睨みつけ、間が険悪したような空気が流れたがすぐにそれが解け、再び老人らしい穏やかな顔になった。

 

「――さてと、早く開発するかのう。キングよ手伝ってくれ」

 

「よしきたっ」

 

……何事もなかったかのように仲良く開発に勤しむ二人。

果たして本当に仲が良いのか悪いのかが不明である……。

 

その夜のこと――竜斗はなぜか愛美の部屋に訪れていた。その理由とは。

 

「と、いうわけだからさ、教えてよ」

 

「へえ、アンタもついにその気になったのね、感心感心――」

エミリアの言っていた『恋人としてのステップアップ』について、男としてどうするべきか愛美に相談しにきている竜斗だった。

恐らく今度はキスだけではなく、一線を超えたあの行為についてであろう。

 

すると彼女はベッド下からダンボールを引きずり出す。開くと中から大量のレディースファッション雑誌やレディースコミックがあり、それを何冊かを彼に渡す。

 

「これは?」

 

すると彼女はとあるページを開いて差し出すとそこには『エッチ』についての色々なコラムや体験談などが書かれた特集が載せられている。純情な彼は顔を赤くした。

 

「今のファッション雑誌って凄いわよね、こういうの普通に載ってるし――これ古いしアンタにあげるわ、多少は勉強になるでしょ」

 

 

 

「あ、ありがとう」

 

彼女はベッド上に座り込むと、趣に彼にこう聞いた。

 

「ところでアンタさ、ちゃんとオナニーとかしてんの?つか、したことある?」

 

「…………」

 

直接そう質問されて口ごもる彼。

 

「ほら、ちゃんと答えるっ」

 

「……何回かは……」

 

「それを聞いて安心したわ。アンタがやってないと聞いたらどうしようかと――」

 

「関係あるのそれ……」

 

「大アリよ、オナニーするのは健全な人間のする証拠、恥ずかしいことなんかない。寧ろやらないのは異常なのよ、マナとかどんだけやってると思うの」

「…………」

 

「それにさ、セックスに対する抵抗感や羞恥心をなくするのに必要な要素だと思うけどね」

 

「そうなんだ……」

 

「毎日とは言わないからこれから進んでやることがいいかもね、アンタのチ〇コ皮被ってるし剥けさせるためにもいいし。

包茎だと女に嫌われやすいよ、それ知ってた?」

 

相変わらず下品に物言う愛美に辟易するも、彼女らしいと安心もする。

 

「そもそもエミリアってそういう気はあるのかな……?」

 

「さあね。けどあの子って性欲普通にありそうだけどね。

それに前といい、今日といいアンタにそういい寄ってきたのなら待ってるんじゃない?

だったら前も言ったけど最終的に石川次第ってこと」

 

 

「そうか……女の子ってよく分かんないしさ、そういう水樹みたいにエッチしたがるもんなの?」

 

「マナは生まれつき性欲が強いからかもしれないけどさ、エッチって男女が最も簡単にエクスタシーを感じることのできる行為だからね。

確かに女の子には男側がエッチについてのテクやアソコの大きさで男の価値決めるコもいれば、付き合うことも別れることも決めるコもいるぐらいだし、現に同じクラスにいたアヤカとかそうだった。

マナ達オンナって現金だしさ、エミリアはどうか分かんないけどこれが現実よ」

 

「そうか……っ、」

 

「少なくとも恋人同士なら避けて通れない道よ、そしてやるからには相手は何もつけてない全裸の身体をこちらに預けるわけだし気持ちよく、安心させてあげることが大事ね。そして絶対に自分だけが気持ちよくなろうなんて思って相手の扱いを疎かにしちゃダメね、それはただのレイプだから――」

 

「……水樹、そんなこと言う割には俺にしたこと覚えてる?」

 

「あ……すいませんでしたっ」

 

「なんてね、もう気にしてないよ」

 

「イシカワ~~っ!!」

 

二人はじゃれあうが、彼の笑う顔を見るとあの時のことはもう許しているようだ。

 

「まあともかく、マナから今言えるのはそれだけ。あと、ゴムつけるなり何なり避妊だけは絶対にしなさいよね。

もしエミリアとヤると決めたら事前にマナに言いなさい、失敗しないようにレクチャーしてあげるし――結局エッチは経験がものを言うし失敗を恐れず何度も前戯や体位とかのテクニックを試してエミリアのGスポットを探してあげたらいいんじゃないかな?」

 

「うん、ありがとう水樹。こういう時に限って頼りになるなあ」

 

「こういう時に限ってってどういうことっ?

いつもマナが役立ってないような言い方じゃないっ!」

 

「い、いや、そういう意味じゃないからっ」

 

「だったらちょうどこんな話してたからマナ、したくなってきちゃった。

だからさ、今から本番について直に教えてあげるからきなよ」

 

色気づいて見つめてくる彼女に、またやられると感ずいた竜斗は慌てて部屋から飛び出していった――。

 

 

「フフ、やっぱりアイツはまだまだお子様ね。出直してきなさい」

 

彼女はほくそ笑んでいた――。そして本人は部屋に戻るとベッド上にへたり込む。

 

(ホントにアイツの言った通りで大丈夫のかなあ?)

 

不安げになる竜斗。しかし一番そういうのには経験豊富である彼女の信憑を信じる他はない――彼は立ち上がり、デスク前に座り込む。

そしてティッシュ箱を横に置いて、パソコンを開く。手慣れた動作でとある無料サイトを開き、そこにある様々な18禁の無料動画や画像を漁る。

 

「………………」

 

そのイヤらしい動画や画像を見ているとムラムラしている。やはり彼もちゃんとした男であった――。

そして彼はおもむろにズボンを下ろして、下着に手をかけた――。

 

「リュウト、いる?」

 

その時突然、エミリアが部屋に入ってきて彼は心臓が止まりそうになった彼は慌ててパソコンを強制終了させて強張った顔を彼女に見せた。

 

「どうしたの?」

 

「い、いや……っ」

 

「司令が明日も操縦訓練やるとみんなに伝えてくれって言われたから」

 

「そ、そうなんだ……ありがとう……ははっ」

 

「……なんか邪魔したみたいね、ゴメンね」

 

彼女は気にかけてすぐに出て行くも、彼はすでに萎えておりその場で凍りついていた。鍵を掛け忘れていたことに後悔する竜斗だった。

そして先ほどの彼の顔を思い出し、何をしようとしてたかエミリアは何となく感ずいていた。

 

(リュウトが何かイケないことをしようとしていたのを妄想しちゃったけど……まさかね)

 

思い過ごしかなと割り切り、彼女はそれ以上は何も思わず去っていった――。

 


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