ゲッターロボ―A EoD―   作:はならむ

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◆日本編
第九話「ゲッターチーム」①


二ヶ月後……マシーン・ランドのメカザウルス開発エリアではガレリーがゴールを招き、新型メカザウルスを見せた。

 

「ゴール様、このメカザウルスをご覧ください。

私達が苦心し完成した、ゲッター線はおろかありとあらゆる攻撃を無効化する特殊金属『セクメミウス」の装甲を持つ最新鋭メカザウルス『セクメト』です」

 

ガレリーがゴールに見せるは、全長四、五十メートルはある白銀の……多数のスリットに別れた装甲を半円形になるように取り付けたような物体

。まるで虫のように無数の足、正面には奥に光る二つの眼と触角がうねうねと不気味に動いている。

まるでだんご虫のようなデザインだ。

恐竜など原始生物などが定義であったメカザウルスとは到底言い難い形状をしている。

ガレリーが指でパチンと鳴らすと、彼の部下達がある巨大な装置を運んでくる。。

 

「これも私達が開発した『ゲッター線放射装置』でございます。ゴール様、ここから離れた場所からご覧下さい。

仮にも我々が嫌がるゲッター線を照射するので万が一の時を考えて――」

 

――彼の言うとおり、隔離された部屋のモニターからその様子を確認するゴール。

そしてガレリー自身と部下も隔離した場所から遠隔で装置の操作を開始する。

 

「ゲッター線を照射せよ。但し一点方向に絞れ。放散せぬようにな」

「了解」

 

装置に取り付けられたアンテナ棒の先からエメラルドグリーンの光、ゲッター線が光線となり放射。セクメトにしばらく浴びさせる――。

 

「おお……これは……」

 

ゴールは驚きと、歓喜の声が響く、そのワケとは。

 

「おい、他の兵器を用意しセクメトに全弾浴びさせろ」

 

ガレリーの指示に、部下はライフル、火炎放射、ミサイル、バズーカ、果てにはマグマ兵器さえも用意させて全てをセクメトに集中放火する。

これだけ当てればただではすまないほどの攻撃であったがセクメトの装甲には何の傷をついてないどころか、新品同様のピカピカの金属光を放っていたのである。

 

「これはスゴい……これならゲッター線、いや人類など恐るるに足らん。

さすがはガレリー、恐竜帝国、いや爬虫人類きっての最高技術者の名に相応しい」

 

“滅相もございません、ゴール様のためだけでなく、これも爬虫人類の未来を考えてのことです”

 

「うむ。ガレリー、直ちにこの『メカザウルス・セクメト』を地上の、ゲッターロボのいる日本の第十二恐竜中隊、ラドラのいる大雪山基地に輸送せよ。

あの中隊は前の戦闘の敗戦から兵士達の士気が大幅に下がっているらしい。

これを届けて兵士達を戦意高揚、そして日本地区を蹂躙させるのだ。ラドラの最後のチャンスだ。戦果次第、量産化も視野に入れろ!」

 

“はっ!”

 

ゴールからの命令が轟音となり張り上がり、このエリア内に響き渡った。

 

――そして、それから数日後。

 

「石川竜斗、空戦型ゲッターロボ、スタンバイ完了です」

 

「エミリア=シュナイダー、陸戦型ゲッターロボ、OKです」

 

「……マナ、いいわよ」

 

朝霞から離れて富士山麓にあるSMB演習場。その平地には彼らの乗る三機のゲッターロボの姿が。

その上空一二〇〇メートルにはベルクラスが停滞浮遊していた。

 

「これより初の野外訓練を開始する、準備はいいか?」

 

艦橋では早乙女、マリア、そして黒田の三人がモニターで地上の様子を見ていた。

「約一ヶ月間、今まで地下での基本訓練ばかりで悶々としてた彼らも今日は思いっきり動かせるでしょうね」

 

黒田は彼らに期待を膨らませていた。

 

「竜斗君、あたしから言えるのは狙撃するときは風力偏差を考えて照準の調整を正確に行うこと」

 

“了解!”

 

「エミリアちゃんはこの2ヶ月間ホントよく頑張ったから、もの凄く上達したと思う。

落ち着いて、基本をしっかり守って行動すること、分かったわね」

 

“はい!”

 

各人に激励していくマリア、そして彼女にも、

 

「そしてマナミちゃん」

 

“……はい?”

 

「……あなたに関しては操縦については心配してないわ。だけど味方が周囲にいることを考えて行動すること。あなたは周りを省みないことが多いから」

 

 

「はいはい、わかってますよ」

ふてくされたような口調で返す彼女。

これまで訓練にしても何にしても自己中な発言、行動が多く、周りを困らせてきた愛美。

マリアはそれが一番不安であった。

 

「それでは今回の訓練内容を確認する。各人はそれぞれ機体の機能を活かしてこの一帯に配置されたターゲットを撃破すること。

空戦型ゲッターロボについては、ベルクラスから無数のターゲットを落下させる。

どれだけ地上に降下させずに撃破できるか、

そして地上の二機は周りに配置した各ターゲットを探して破壊、そして竜斗が仕留め損ねたターゲットも破壊対象だ、なるべく地上に落下する前に撃破しろ。三機共、ターゲットに触れると減点になるから気をつけろ」

 

“了解です”

 

「制限時間は十分間。では、始める」

 

――ベルクラス左右舷底部のミサイル発射管から二百を超える無数の黄色い丸い玉、ターゲットが落ちていく。

空戦型ゲッターロボは背中の滑空翼『ゲッターウイング』を左右に展開させて真上空に飛ぶ。

地上から約三〇〇メートル上空に一瞬で到着すると携行するライフルのセレクターをシングルショットモードにして両手持ちし、上に向ける。

「――来た!」

 

球体型レーダーを見ると無数の反応が降りてくる。

竜斗はすぐにターゲットに照準をつける。風の影響で銃身がぶれるも微調整し、竜斗は右レバー横の赤ボタンを押した。

ライフルの銃口からプラズマ弾が一発ずつ発射されて真っ直ぐ跳んでいく。

そのプラズマ弾が見事ターゲットを次々に直撃し、撃破していく。

竜斗は落ち着いて狙撃し落としていく。

「――九十一個撃破。まだまだいけるぞ」

 

的確に、そして冷静に最優先すべき行動をとりながらどんどん撃ち落としていく竜斗は一カ月前と比べて別人のような腕である――。

 

「アタシもリュウトに続くわよっ」

 

地上ではエミリアの乗る陸戦型ゲッターロボは地上を高速で移動できるローラーユニット『ターボホイール・ユニット』を展開、膝を軽く屈折させて、ブースターを点火させて発進する。

所謂ローラーダッシュのようにキャタピラーとブースター推進によって足を動かさず、辺り一帯を超スピードで駆け巡りレーダー上の各ターゲットを発見し、左腕の巨大ドリルをフル回転させて次々と貫いていく。

 

「うん、いい調子。焦ったらダメよアタシ――」

 

自分にそう言い聞かせる彼女はまるで自分の手足のように動かし、マリアの言うとおり、成長は素晴らしいものがある――。

そして問題人物、愛美はというと――。

 

「あ~あっ、めんどくさっ」

 

全身ピンクと黒の混じったラメ入りのド派手なピチピチのパイロットスーツ(早乙女達に色々駄々をこねて作らせた特注品)を着込んだ彼女は退屈そうに手前に設置された、ピストル型の攻撃用レバーをグリグリ動かし、

レーダーでターゲットを探し、動かずにその場からゲッターの手の全指先から実弾をばらまくように撃っている。

 

“水樹、武器で遊ぶな。危険だぞ!”

 

早乙女から注意されると彼女はムカッときて、

 

「ああもう、こうなったら――」

 

彼女は一体何を思ったか、右側レバー前のキーをカチャカチャ押しコンソール画面には、

 

『フルオートモード』

 

と英語で表示され、機体に内蔵された全武装の発射門が展開。

愛美はトリガーを迷わず引くと、発射門から全てのミサイル、プラズマビーム、バルカンを機体を取り巻く一帯に無差別にばらまいたのだった――。

周辺は一気に爆発で粉塵塗れに陥る。

 

「ちょっ、ミズキ!!?」

 

エミリアの機体にも直撃しそうになり、これには彼女も愛美に黙っていられなかった。

 

“何考えてんのよ、ジャマする気!!?”

 

「うるさいわね、チマチマと一個ずつより一気にやった方が楽だからよ!」

 

“だからって味方まで巻き添えにする気?少しは周りのこと考えなさいよ、このバカ!!”

 

「バカですってえ!!もういっぺん言ってみなさいよこのクソガイジン!!」

 

ついに本気でエミリアの機体に向かってバルカンとミサイルを狙撃しだしてしまい、直撃させた。

 

「やったわねえっっ!!」

 

幸いシールドのおかげで事なきを得たが彼女もこれには思わずキレた。

 

――艦橋の三人は呆れかえっていた。遙か地上では人間同士でなく、今度はエミリアと愛美の乗る二機のゲッターロボ同士が辺り構わず取っ組み合いをする醜い姿が。そしてそれに気づいた竜斗が、仲介に入ろうと、慌てて地上へ降りていった。

 

「これでは訓練できないな。直ちに三人をベルクラスに帰艦させよう」

 

――未だに喧嘩が止まない二機に対し、早乙女は敵による悪用防止のために開発、内蔵しておいた緊急停止回路を発動させて二機の動きを止めた。

そのまま竜斗の機体と、艦に配備してある無人の小型輸送機を使って二機をベルクラスに格納したのだった――。

「何を考えてるんだ!ゲッターロボは君達の喧嘩に使う道具じゃないんだぞ!!」

 

すぐさま司令室に呼び出された三人、特にエミリアと愛美に待っていたのは黒田による厳しい叱咤であった。

 

「ミズキが周りを考えずに無差別攻撃したからですよ。アタシにまで直撃をうけたんですから!」

 

「アンタが避けないだけでしょ、勝手に人のせいにしないでほしいわね!」

 

「なんですってえ!!?」

 

「二人ともいい加減にしろ!!」

 

――怒号が響く中、竜斗は横で深く溜め息をついた。

しかし彼自身、絶対にこうなるだろうとは前からわかっていた。

これまでの訓練でも、いや生活内でも愛美はやはり自分達と合わないのか孤立していた。

早乙女からは、『最初は互いに気まずいだろうが一緒に行動しろ、そして互いを深く知れ。

そうすれば徐々にチームとしての機能、連携が取れるようになる』と言っていたが彼女だけ自ら枠から外れていた。

そもそも互いに敵対視していた人間同士が突然チームを組まされて「はい、分かりました」と納得するのはできないだろう。

 

「アタシはこれ以上ミズキと一緒にやっていけません、やりたくありません。彼女をチームから外して下さい!」

 

エミリアは彼女をチームとして認めるのを断固拒否。愛美はカッと顔を赤くする。

 

「ウッザッ!!マナより操縦下手くそなクセに偉そうなクチしやがって!!」

 

 

 

「アンタみたいに人のことを考えない自己チューな奴の方が足を引っ張るのよ!!」

 

懲りずにまた口喧嘩する二人に黒田ですら、疲れてため息をついた。

 

「もうやめろよ!黒田一尉が完全に呆れかえってるじゃないか!」

 

竜斗が大声で注意するが愛美は彼を睨みつける。

 

「石川のクセに口出すんじゃないわよ。

だいたい……マナはあんなブサイクなロボットに乗りたくなかった、だからやる気出ないのよ。

そうだアンタ、マナの機体と交換しなさいよ。

そしたら本気出せるのに、アンタだけ空飛べるのは卑怯よ」

 

「なあっ!」

「ワガママいうな、このバカオンナ!一体何様のつもり!?」

 

「ハァ?!」

 

……今度は竜斗も含む三人の喧嘩が始まる。もはやチームとして微塵もなにもない醜態な状況だった……。

 

その様子をソファーでもたれながら座り見ていた、無表情の早乙女と後ろに立つ不安げな顔をするマリアが。

 

「……司令、あの三人を組ませるのにさすがに無理があると思うんですが……こんな状況で、もし実戦時のこと考えるとゾッとしますよ」

 

「いや、これでいい。

チームワークとは、いきなり組まされた者同士、そう簡単にできない。

自分達の全てを知ってからこそ互いの絆が初めて生まれるものだ。

それに、あれくらいでチームが組めないのならこれから先、恐竜帝国を相手にしていけない、イコール自分達の命運は尽きたようなもんだ――私は賭けてるんだよ、フフ」

 

笑っている早乙女の様子にまたかと呆れるマリアである。

 

……その後、黒田から厳しい制裁(自衛隊名物の連帯責任)を受けた三人は司令室を出るとエミリアと愛美は互いに睨みつけ逆側の通路をそれぞれ去っていく。

扉前に立つ竜斗は無言で去っていく愛美の背を見ていた。

 

「リュウト、いこう!」

 

「あ、ああっ」

 

未だにムっとしてる彼女に呼ばれる。

 

「たくう。なんでよりによって、あんなヤツがゲッターロボのパイロットなのよっ」

そうブツブツと呟く彼女。

 

 

……二ヶ月前、司令室で愛美が最後の任命された時、竜斗はともかくエミリアはもの凄く反対した。だが、早乙女はこう言ったのだ――。

 

『水樹は私達が監視し、次に何かしたら彼女に処罰を与える。

彼女にも厳重に警告しておいたからもう君達に危害を加えることはしないだろう。

だが君達にも原因がある。

いくら嫌っているとはいえ、彼女を艦内で仲間外れにして自分達はイチャイチャしているのはどうかと思う。彼女は凄く寂しがり屋だ、なら君達が彼女を受け入れてみたらどうだ』

 

……と言い出したのが始まりである。

「受け入れろって言ったって……ミズキ自身がいつまでもあんなんじゃアタシは絶対に無理よ」

「……そもそも水樹は、学校でも俺達とは『別世界』の人間だったしなあ」

 

二人が彼女について話している一方で、本人の愛美は一人、何か考えにふけりながら通路を歩いていた。

 

(たくう……なんでマナがこんな目に遭わなきゃいけないの……あのオッサンを恨んでやるんだから!)

 

二ヶ月前。医務室での一件の次の日の午前中。

早乙女が司令室に自分を呼び出した時のことだ。

ここにはマリアはおらず、早乙女と愛美の二人だけであった。

 

『水樹、君に話がある』

 

『……なんですか、話って?』

 

『マリアから事情を聞かせてもらった。まあ納得出来ないことはないんだが、それ以上に君の犯した過ちは大きい――』

早乙女は突然デスク上に置いてあった拳銃を持ちスライドを引くと銃口を愛美に向けたのだった。

 

『…………え?』

 

『死んでもらおうか』

 

『……は?何いって……』

 

その時、銃口から爆発音と共に彼女の顔の真横に何かが一瞬で通り過ぎていった。

排莢された空の薬莢が早乙女の足元に落ち、後ろの壁に小さい穴、弾痕がひとつ残されていた。

 

『今のは試し撃ちだ、次は外さない』

 

『ーーーーーー!!?』

 

顔色一つ変えないで事に及んだ早乙女に対し、血の気が引いた。

 

『逃げようとしても無駄だ。

すでにドアロックしてある。君はどうあがこうと逃げ場はない』

彼の思惑が全く掴めない。ただ分かるのは自分に対する物凄い殺意、それだけは十分感じられた。

 

『君は竜斗とエミリアを陥れようとしたがあの子らはこれから、恐竜帝国から世界を救うために頑張ってもらう人間だ。

彼らを壊されては私達も困るんでね。目的達成までの障害になるものはいかなる手段をもってしても即排除する。

それがたとえ『人間』であってもな」

 

平然と、そして殺気のこもった言葉で脅迫する彼、早乙女。

 

『だからマナに死ねっていうの……いやに決まってんでしょ!』

 

『ん?痛みを気にしてるのか?それとも親が悲しむとか友達が悲しむとか気にしてるのか?

安心しろ。脳天をぶち抜くから一瞬であの世だ、だから動くなよ。

それにその後についても私が闇に葬っといてやるから。

恐竜に踏みつぶされたとでも言えば何だって話はつくよ、こんな世の中だからな』

 

『あ、アンタマジラリッてんじゃないのーー!!?』

 

『ラリる?ちゃんとした日本語で話してくれ。少しはエミリアを見習ったらどうだ』

 

『アンタ……頭イかれてる……狂ってんじゃないの!?』

 

『私は誰にも理解されない異端児だから狂ってるよ。

だが別に何を思われようが、言われようが全く気にしない性格でね。

だから別に失望したり絶望することはないんだよ』

 

『…………』

 

彼女は平然と言い切る早乙女に恐怖を感じた。こういう人間ほど恐ろしいものはない。

 

『だが、私も人間だ。

君にも『生きる』チャンスを与えようではないか。

私の命令に従うのならな――』

 

『め、命令――?』

『ああ、それはな――』

 

――と、それでゲッターロボに乗れと、彼から言われたのであった。

 

(マジ殺されかねないからあのオッサンの言うとおりにしたけど……なんであんなヤツらと組まなきゃいけないのか――ムカムカしてくんのよ、ア

イツら見てると!)

 

彼女も二人について考えるだけで顔をプンプンさせている。そこまでして互いに組むのがイヤなのか。

これでは本当のチームとして機能する日がいつ来るのか全く検討がつかない――。

だがその時――。

 

“緊急事態発生、北海道方向より多数のメカザウルスと母艦が関東方面へ進行中。早乙女司令の指示で直ちにゲッターチームは艦橋へ急行して下さい、繰り返す――”

 

警報サイレンと共にマリアの放送が艦内全域に響き渡った。

竜斗、エミリア、愛美の三人はすぐさま艦橋へ向かった。

入ると早乙女とマリアが待ち構えていた。

 

「司令、メカザウルス達がまた……」

 

「ああ、今回は数が多い。流石に竜斗だけでは厳しい。

そこでついに君達ゲッターチームが出撃することになった」

 

 

 

ついにエミリア、愛美は初実戦参加である。二人は急な不安感に襲われて身震いする。

 

「他部隊も参戦するという報告があった。無論、黒田一尉もだ。

エミリア、水樹。女の子の君達には申し訳ないが、これが君達のデビュー戦だ。怖いか?」

 

しかし、エミリアはキリッとした態度で。

 

「い、いえ。ゲッターロボのパイロットになったからにはこの日を覚悟してました。

それに、これ以上ヤツらを日本で好き勝手にさせたくありません、ガンバります!」

 

気合いを充分に入れる頼もしい彼女。

 

「エミリア、君は頼もしいな。で、水樹は?」

 

「…………」

 

言い渋る愛美に早乙女はグッと睨みつける。すると彼女はビクッと怯む。

 

「わ……わかったわよ、やればいいんでしょやれば!」

 

愛美も渋々承諾する。

 

「……よし。それだけやる気があったらいいだろう。

竜斗、君がこの中で一番の経験者だが空戦型ゲッターロボだけは単独行動となる。本艦も援護するが何とか乗り切ってほしい、各武装は君の扱いやすいのを選べ」

 

「了解です!」

 

彼もまた、一カ月のとは思えないくらいに勇ましく頼りがいのあるハキハキとした声、表情だ。

 

『強くなる』と言ったことがちゃんと出ているように思える。

 

「エミリア、水樹の二人に対しては黒田のBEETが共に行動してくれるから多少安全になる。だがBEETはゲッターロボより性能が遙かに劣る。もし危なくなったら彼の助けに入ってくれ」

 

「はい!」

 

「よし。これより我々は、直ちにメカザウルスの侵攻を阻止するために発進する。

君達は直ちに各機に搭乗、待機せよ!」

三人はすぐさまゲッターロボのある格納庫へ走っていった。

「……司令。本当に大丈夫なんですか?今のあの子達で……」

 

やはりマリアは今の三人にすごく不安感を持っているようだ。

 

「心配するな。あの子達ならやってくれるよ、私が結成したんだからな」

 

彼のこの、ただならぬ自信は一体どこから出てくるのか彼女には理解できなかった。

 

「……なあマリア」

「司令?」

 

「あの子達を無理やりゲッターロボに乗せた私は……いつかその報いを受けるときがくると思う、必ず――」

 

「……え?」

 

突然、彼はそう呟いたのであった。

 


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