ゲッターロボ―A EoD―   作:はならむ

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実は番外編(ギャグからシリアス)の構想もあるので気楽に見てください。
その一回目は本家の漫画版にて、ファンの間でも有名なエピソードを彼らでやってもらいました。ではどうぞ。



◆番外編
番外編①「ガンバレエミリア!」


――とある真夏日。朝霞駐屯地、とりわけベルクラスは緊急事態に襲われた。

そう、乗組員のほぼ全員が食中毒に冒された。

夏場なので料理が傷みやすくなっていたのか、何か仕組まれていたかどうか知らないが。

さらに運悪く、そんな時に恐竜帝国のメカザウルスがこちらへ向かってきていたのであった……。

 

朝霞駐屯地壊滅の危機に陥る中、一人の女子高生だけが希望である。

 

「みんな食中毒でゲロゲロ、お腹ピーゴロゴロでトイレに直球状態……。

ならアタシがやらねば誰がやる!!一番操縦のヘタッピなアタシの汚名返上の時、ワタシだってちゃんと役立つんだからっ!」

 

この朝霞駐屯地の命運は全てエミリア=シュナイダーに託されたのであった。彼女はベルクラス艦内の、世界の平和を守るSMB、ゲッターロボの格納庫へと向かっていた。すると前には食中毒で倒れたハズの同じチームメイトである空戦型パイロットの石川竜斗、海戦型パイロットの水樹愛美がすでにパイロットスーツに着替えて待っていた。

 

 

「エミリア、アンタじゃ心配だからマナ達も行くわよ……」

 

 

「二人とも、安心して。アタシだけで十分だから……」

 

二人が内股となっており、腹部からゴロゴロと鳴り響く不吉な音……。

 

「大丈夫?お腹がスゴい音してるよ……?」

 

だがついに、

「やだ、やだも、もれるーーーーっ!!」

 

切羽詰まった愛美は一目散に走り出して近くの女子トイレへ入っていった……。

 

「おい……なんでエミリアは無事なんだ…………?」

 

「……実は最近食べ過ぎで太っちゃったみたいなの……だから今ダイエットしてて、口にしたのは市販のカ〇リーメイトだけ……あれ?」

気づくとすでに竜斗の姿がなく、女子トイレでは……。

 

「マナミちゃん……あたしも限界来てるの……早くして……」

 

マリアも食中毒にやられたらしく、情けない声と腹を抉るカミナリのような音、そして全てをぶちまける破壊音で、まるで交響曲のようになっていた。

「マリアさんまで……これはヤバいわね、尚更無事なアタシが何とかしなきゃ!」

 

彼女はトイレの入り口前で愛美にこう伝える。

 

「ミズキ、今回アンタのマムチューのぬいぐるみを借りるからね」

 

返事は返ってこないが、時間はないので『承諾を得た』と解釈し、去っていった。

 

……一方、北極圏深海。恐竜帝国では帝王ゴールが勝どきを上げていたのであった。

「今日こそキサマらの最期だ!」

「朝霞駐屯地まであと十キロ!!」

 

「今回のメカザウルスは貴様と闘ってきた全てのデータを合わせて開発した、恐竜帝国最高にして最強の『メカザウルス・エルメウス』じゃあ!早く出てこいゲッター線の機体と浮遊艦!」

 

次こそはと自信満々な帝王ゴール――万事休す朝霞駐屯地。

 

愛美の部屋からくすねてきたビッグサイズのマムチューのぬいぐるみを他二機の座席に座らせ、自身も愛機に乗り込みシステムを起動する。

 

「空戦型と海戦型は特大マムチューぬいぐるみでオートパイロット、セット!」

 

彼女の乗るゲッターロボのモニターに、酷く顔色の悪い早乙女が映りこんだ。どうやら彼も食中毒にやられたようだ。

 

“……エミリア、それ本当に大丈夫なのか……っ”

 

 

「アタシ一機では流石に辛いですからね、まあ安心しててください」

 

“き、君一人でオートパイロットにしたゲッターロボをちゃんと誘導できるのか……”

 

「早乙女司令、心配しないでください。アタシの本気を見せてあげますから……あれ?」

 

 

しかし、いつの間にか早乙女の姿がいなくなっていた。

おそらくトイレに直行したのだろう。

 

「……いくっきゃないか、エミリア=シュナイダー、陸戦型ゲッターロボ発進します」

 

――そしてベルクラスから発進したゲッターロボは、二機のゲッターロボを誘導し、地上までのカタパルトに乗せると射出し地上に飛び出す。目の前にはメカザウルス・エルメウスが雄叫びを上げて立ちふさがった。

「出たな、貴様の戦闘データは全て入ってる、まずはその赤い機体で様子見だろう、いくぞ!」

 

メカザウルス・エルメウスはなんと腰の左右から両刃の実体斧を取り出した。

 

「リュウトの機体に似てる……けど!」

陸戦型ゲッターロボはドリルをフル回転させて、あとの二機も突撃を開始。

 

だがその時、空戦型ゲッターロボのコックピットでは、固定されたはずの特大マムチューぬいぐるみ(定価6200円)のシートベルトが外れて、動く衝撃でコックピット内を縦横無尽に飛び跳ねて、ボタンやレバーをやたらめったら押しまくっていた。

 

すると空戦型ゲッターロボもそれに連動して突然飛び跳ねる、クワドラプル(四回転ジャンプ)などの不可解な行動をやり始め、腹部のゲッタービームをところかまわず撃ち出した。

 

「うええ、ベルトが外れたのかしら!?」

 

 

ゲッタービームであたり一面にばらまき破壊活動を始めるゲッターロボ。

そのとばっちりがエルメウスにも来て右手に直撃を受けて消し飛んだ。

 

「なんだこの動きは!!」

 

エルメウスは左腕をドリルに変形させて高速回転させて、エミリアに向けて突撃を開始する。

身を構える彼女。だが、今度は海戦型ゲッターロボがなんとメカザウルスに抱きつきいわゆる『地獄車』のような寝技を放った。

コックピットを見るとやはり、シートベルトから外れた特大マムチューぬいぐるみプレミアサンタver(定価9800円)が飛び跳ねておりあちこちのスイッチを押しまくってる。そして後ろでは相変わらず奇妙キテレツな動きをしながらゲッタービームを放ち、そこら中を焼き尽くす空戦型ゲッターロボが。

「どうしようこれ……」

 

彼女は困っていた……。

 

一方、ベルクラスの艦橋では、

 

「司令……エミリアは……?」

 

「……おしりがイタい……ヤダもう……っ」

 

やっとトイレから抜け出した二人はヨロヨロ駆けつけるも、早乙女は茫然自失し、醜態を晒していた。

 

「うわっ……漏らしてる……クサっ……」

 

「いっ一体何が……」

 

「わ、私のゲッターが……」

 

モニター越しに映る各ゲッターの行動を見た竜斗達は――その場で盛大に音を響かせて床を茶色い液体で染め上げた。

 

「司令……大丈夫ですか……」

その後にマリアも必死の思いで駆けつけるも、その異様な光景と同じくモニターを見た瞬間に、身も心も全て緩んだ彼女がへたり込んだ瞬間、凄まじく汚い音が彼女から聞こえたのだった。

 

――この場はブリブリと耳が腐るほどの排泄音と茶色の汚物にまみれた狂乱の宴と化したのであった――。

 

各ゲッターの奇怪な行動に翻弄されるメカザウルス・エルメウス。

 

「ガレリー、これはなんだ一体……」

 

 

「さすがはゲッター線の機体だ。ヤツの攻撃パターンを全て読んだメカザウルスをここまで翻弄するとは……恐るや、恐るべし!!」

 

「そうかなあ……」

ガレリーはうんうんと感心しているもゴールは酷く呆れている。

「このままじゃ駐屯地まで被害を受けるわ、なら!」

 

エミリアはコックピットから遠隔操作で二機の緊急停止回路を作動させて行動をストップさせた。

 

「今だ……!」

 

混乱しているメカザウルス・エルメウスに向けて『ターボホイール・ユニット』を起動しクラウチング・スタートの体勢をとる陸戦型ゲッターロボ

 

「行くわよっ!」

 

全速力で発進し、左手のドリルを引き上げた

 

「いけえーーっ!!」

 

全力で穿ち、見事貫通してズタズタにされて、粉々に爆散するメカザウルス・エルメウス。

「やったあ、勝ったわ!!」

彼女は(一応)ひとりでメカザウルスの襲撃からこの駐屯地を救ったのだった。

「ゴール様、また新しい対策を考えねばなりませんな」

 

「そっ、そうだな……」

 

無気力となったゴールとガレリーはトボトボモニターから去っていった。

 

「アタシだってやればできるのよーー!!アハハハハハハっっ!!」

 

その鮮やかな夕日の前に仁王立ちする陸戦型ゲッターロボ。

――こうして今回は彼女の手に救われたのであった――。

 

「ゲリがとまんないよお……」

 

「だ、だれかたすけて……っ」

 

「私のゲッターロボが……ハハハハ………」

 

「………………」

 

だがその頃、ベルクラスの艦橋内ではう〇こまみれとうめき声と嗚咽ばかりで誰もエミリアに注目しておらず、もはや色んな意味で地獄と化していた。

そして、マムチューぬいぐるみもコックピット内で所々酷くぶつかり、二つともぐちゃぐちゃに破れていたため、あれから1ヶ月以上愛美は口をきいてくれなかったという――。

 

 

『おしまい』

 




ちょくちょく時間があれば書いていきたいと思うのでお楽しみに。

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