ゲッターロボ―A EoD―   作:はならむ

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あとがき

『ゲッターロボ―A EoD―』というこの作品、いかがだったでしょうか。

明らかな稚拙の文章、そしてこれまでのゲッターロボとは思えないような内容や要素ばかりでしたが、なぜこんなストーリーになったのかを、そしてテーマは何なのかを、このあとがきを通じて伝えたいと思います。

 

まず、元々自分だけのゲッターロボは前から書いてみたかったんですが、自身は他人と同じことをするのは嫌いなへそ曲がりです。

よく公式、二次創作界隈におけるゲッターロボには固定概念(石川賢風、竜馬達初代ゲッターチームが絶対的な風潮など)が溢れているため全て取り払い、一新したかったことにあります。

そこで考えたのは石川賢のゲッターロボとは真逆の設定で書いてみようと思ったわけです。

そうなるとまず、ゲッターロボの登場人物は結果的に、

 

・センスなどはあるが元から超人ではなく生身では非力で戦闘できない、だんだんと成長していくキャラクター。

 

・やむえず戦うがあくまで和平、共存ができるならそうしてほしい、戦いたくないと考える主人公。

 

・熱くない、なよなよした甘チャン人間達。

 

・ゲッター線に選ばれない主人公。

 

・ゲッターキック、パンチ、トマホークなど近接格闘戦よりライフル、ゲッタービームなどの飛び道具による高速、射撃戦闘が得意のキャラ

 

になってしまいます。ファンの人には「それもうゲッターロボでやる意味なくね?」と思われますが、それはそれでゲッターロボでやるのは斬新なんじゃないかなと思いまして、それを意図的に組み込んだのが竜斗達です。

 

自身は少女漫画やレディコミを見て育った人間でこの作品はそういったジャンルの要素を参考にして書いたつもりです(やたらと濡れ場などが多く、そこまで持ち込もうとしていたのはそのため)。

 

 

実は某所でゲッターロボ(正確にはチェンゲ)とライフ(おめーの席ねえから!と言うドラマのセリフで有名な、いじめを主題にした少女漫画)とのクロスオーバー小説を書いたことがありまして(完結済み)、それを完成させた後に『ライフの主要キャラ達でゲッターチームとしてロボに乗らせれば面白いんじゃないか』と考えたことが全ての始まりです。

あのクロス作品は書いていて凄く面白かったですし。

 

というわけで、竜斗達はライフの主人公や他の主要キャラをモチーフにしています。

 

竜斗はライフの主人公である、イジメの被害を受けてしまう女子高生、椎葉歩と途中で仲良くなる男子、薗田優樹というキャラを足して2で割ったキャラクターで、最初は気が弱く愛美にいじめられていたという側面を持つが、ゲッターロボに乗ること、仲間を通じて段々成長していく異色の一号機乗り。非童貞でメガネ系男子(設定上、実は話の合間にレーシック手術を受けているため、多少は視力はよくなっている。ちなみに早乙女が負担)。

動物で例えるなら何となく『ハムスター』とかの小動物系。

 

タイプは万能型。ゲッターロボや様々なロボットを難なく乗りこなすが器用貧乏。ゲッター1パイロットとしては異色の射撃戦に強く、近接攻撃は苦手なキャラクター。逆境に強く実は指導者としての才能を持ち合わせ、ある意味では隼人と共通点が多い一号機乗り。

 

立ち位置は『光として物語を作っていく存在』で物語の核心であるゲッター線に選ばれないながらも最も深く関わり、この戦禍の混沌とした世界で光明のような存在で、成長しながらその持ち前の優しさで爬虫人類との友好の架け橋に最も関わる人物。

 

 

エミリアは立ち位置的にライフの主人公、歩の精神的支えとなった主要人物、羽鳥未来をモチーフにしています(性格や容姿、ポテンシャルは全く違うが、努力家で主人公を支える存在という要素を持つ)。

そして、外国人がゲッターロボのパイロットになるという設定を前から考えていたので色々と他の要素を組み合わせて誕生したのが彼女だったりします。

そのおかげで大元の羽鳥とは似つかないキャラクターになりましたが。

タイプは努力型。不器用で三人の中で一番精神的に弱く、良いも悪いも女の子でありくじけたり弱音も吐いたりするがそれでも必死に努力してついていく健気で優しいけど、どこかズレていて少しお茶目なヒロイン気質のそばかす娘。竜斗一筋である

武器名を叫ぶ、ある意味では一番ゲッターロボの主人公に一番近い二号機乗り。動物で例えるなら『犬』。

立場は「主人公達を精神的に支える癒し系的存在』でプラズマエネルギー担当(高い安全性イコール『優しさ』の象徴)。

彼女の名前であるエミリア=シュナイダーとは以前書いていたドラえもんのオリジナル小説に登場したオリキャラと同じ名前でありますが、性格や容姿は全く違います。つまり名前だけの流用です(理由は正直考えるのが面倒くさかったからと何となくその名がしっくり来たからです)。

 

 

愛美のモチーフはライフにおいて主人公、歩を幾度に渡って苦しめた悪役、安西愛海です。

色々吟味していますが、初めは主人公をイジメ、陥れようとする腹黒、実はかまってちゃんでセックスイコール愛と考える危険人物。

友達が沢山いると思っていたが、向こうからは単なる金づるとしか思われておらず寧ろうざがられていた模様。

ぶりっ子であり、おバカそうに見えて実はクレバーな性格でチームの中では姉のような存在で一番頼りになる。

口当たりはキツいが自分を大事にしてくれる、認めた相手にはどうにかしてあげようと手を尽くしてくれる性格。

彼女が三人の中ではゲッター線との相性が一番良く、力を最大限に引き出せる持ち主。

 

タイプは天才型。本家の弁慶と同タイプ。三号機乗りでありながらポテンシャルはチーム内ダントツ。アグレッシブで自信過剰、高飛車。敵を躊躇なく倒せる最強の三号機乗り。動物に例えるなら『猫』。

 

立場は『主人公達を(色んな意味で)成長させる存在』で、愛と情熱、破壊の象徴であるグラストラ核エネルギー担当。 本家では主要キャラなのに途中からかなり不憫な立ち回りだったので救済措置として、せめてこの世界で主役張らせてあげたいなという思いがありました。

 

 

早乙女のモデルは実は少女漫画からではなく、007ことジェームズ・ボンドをイメージしてます(各歴代俳優の持ち味、要素を組み込ませている)。

立ち位置的にゲッターチームのお父さんであり、その非常に高いポテンシャルと指揮能力を駆使して竜斗達を導き、そして陰から支えるが、ゲッター線の魅力に惹かれて追い求める裏主人公的存在。

 

 

マリアについては、元は早乙女と同じく007シリーズからマネーペニー的な女性像(イメージ的は二代目マネーペニー役だったキャロライン・ブリスと三代目のサマンサ・ボンドを足して二で割ったような感じ)。

イギリスの名家出身の元軍人で早乙女にも劣らぬ才女であり、美人で母性的優しさを兼ね備えたゲッターチームを支えるお母さんのような存在だが怒らせると実は誰よりも怖い。

 

このゲッターチームを家族のようなものとして死線、喧嘩などの様々な苦難を共に乗り越えながらも徐々に友情を団結力、そして愛を育んでいけたらなと思う気持ちで書いていました。

黒田やジェイド、ジョージ、ジョナサンは竜斗達ゲッターチームの上位互換的な存在であり、それぞれ日本、アラスカ戦線編での彼らの成長に関わり、頼れる先輩的存在として書き、そしてジョナサン以外は途中退場前提のキャラクターとして出しました(特筆すべき点はジョナサンは愛美と同じ三号機乗りの立ち位置でありながら一番最後まで生き残ったこと、これは原作と大きく違うところですね)。

 

最終後継機のエクセレクターとはそんなゲッターチームが乗ってこそ真価を発揮するように設定しました。つまりゲッター線最強な事はしたくなかったわけです。

 

敵について、なぜ恐竜帝国にしたかと言うと、今作のテーマに関係します。

そのテーマとは、

 

『ゲッター線は人類を贔屓する節があり、それは様々な作品でもいわれている。ならその逆もあり得るのでは。つまり「ゲッター線が人類を見限る」場合も考えられるんじゃないのか?」

 

と、考えてました。

石川賢先生がもういないし結末は見れない、他作品でも『俺達の戦いはこれからだ』になってしまう……。

 

そこで考えたのは、

・この作品内として完結するゲッターロボ

 

・ゲッター線ではなく、『ゲッターロボ』として、そして世界観を広げたい作品にしたい(実はMSVのように本編に出てこないが設定上にはゲッターロボのバリエーション、SMB、メカザウルスが無数に存在する)。

 

・最近のゲッターロボ作品で前面に出している、『ゲッター線とは何か?』よりも人間関係、特にゲッターチームの友情や団結を前面的に押し出したテーマ。

 

・根底は生きるために、そして愛すべき者のために戦うこと。

 

知る人ぞ知るロックバンド、Janne Da Arc(今は休止しててボーカルがAcid Black Cherryというソロプロジェクトでやってますね)の『KissMe』という曲があるんですが、実は物語のテーマの一つとして組み込んでたりします。

爽やかなメロディラインで歌うのが恥ずかしいくらいの甘酸っぱい歌詞ですが、この作品のテーマでもあります。

生きるためと言うのは先ほどあげた少女漫画『ライフ』のオマージュであり、どんな苦難や辛い目にあっても乗り越えて生きていく主人公の生き様を書きたいと思ってました。

 

敵については、ゲッターロボって最近ではスケールがデカすぎても収拾つかなくなるのでそれなら地球圏内を舞台にしよう、そして『愛』が関わることで敵と和解できそうな(結局できなかったですが)初代の敵勢力である恐竜帝国を選び、結果的に無印のリメイクになりますが、ストーリー展開は基本的にファンから評価の高い石川漫画版ゲッターロボ號を下敷きにしています。そこはオリジナルゲッターでありつつもファンサービス的な要素を持たせようと思いました。

今作の爬虫人類は本家よりも自分なりに掘り下げようとして色々設定を組み込みました。

ゼオ・ランディーグによってゲッター線を滅ぼすために創造された種族であり、進化していずれはゲッター線に耐性を持つつもりがその途中、地球に気まぐれでやってきたゲッター線のおかげで失敗作で終わってしまった、地上人類はその時の恩恵を受けて進化した種族である設定。

爬虫人類にはDNAにゲッター線を忌み嫌い、憎悪する因子が組み込まれているが全てに行き届いておらず、その因子を持たない者も少なからずおり、ラドラやゴーラ、彼女の母親であるミュアン一族が例である。

ラスボスについては、本当は本家に登場した謎の存在、大魔人ユラーを出そうとも思っていましたが色々考えた結果オリジナルラスボスになっちゃいました。しかしユラーがラスボスならそれはそれで新たな展開を書けたのではないかと悔しい気持ちでございます。

 

今回のゲッターロボについては前半~中盤は一人乗り用、終盤は従来と同じくゲットマシンによる合体変形というアニメ版ゲッターロボ號初期のような体制を取ってますがその理由は、ゲッターロボを書くに至って『尺の都合もあると思うけどゲッターロボに乗るキャラクター達は唐突に合体変形を使いこなせるのはおかしい』と考えたからです。ならそれまでに至る過程(操縦技術、経験、チームワークの確立)を書いてみようと考えました。

 

一人乗り用のゲッターロボから従来のゲッターロボと同じ合体変形で完成する最終後継機であるエクセレクターに何とか持っていけたと思います。

 

各一人乗り用ゲッターロボは拡張性を重視した設定でこちらはストライクガンダムやインパルスガンダムなどをモチーフにしています(何故かは後述で)。

エクセレクターの設定は真ゲッターロボなどのような強さともに鬼、悪魔ともイメージのゲッターロボと真逆の要素として、ゲッターロボに優しさを込めて天使をモチーフにしてみました(上記のテーマ曲である『KissMe』の歌詞からも由来しています)。

あと竜斗に悪魔、鬼のイメージに似合わないですからね。

 

他においても、エンペラーを覗き最強のゲッターロボと唱われる真ゲッターロボとは真逆の要素を組み込みました。

例えば、真ゲッターはゲッター線を最大限に生かそうと開発され、その結果オカルトな面に走った機体に対し、エクセレクターは戦火渦巻く混沌とした世界を平和へ導くものとして全世界の科学技術を結集して開発された結果、人類の叡智の域を逸脱してない状況で真ゲッターロボと同等の性能を持つ機体がエクセレクターです(一応、どちらも全てを終わらすために作られた存在、出力次第でマントから翼が変わるという意味など色々共通している部分もありますが)。

なので各武装も真ゲッターはシンプル且つ一撃が強力なのに対し、こちらは多彩な兵装をもって敵を圧倒するという要素を持っています。

 

メカザウルスについては設定的に非常に埋もれてはいけないような凄い魅力的な要素を持っていると思い、性能、各武装も念密に考えました。

基本的に自分は一部を除いて神話などから名詞を引用しません、つまり造語が大好きな人間でメカザウルスなどの名前は基本的に頭の中に思い浮かんだ言葉をそのまま使ったり、組み合わせて作ってます(ゼクゥシヴとかルイエノやらランシェアラなど)。

誰も考えないような名前ほど異生物、異文化、異言語の恐竜帝国の名詞にふさわしいだろうと思います。

 

 

スーパーロボットもさることながらガンダムやボトムズやコードギアスなどの有名なロボット作品からのアイディアも色々取り入れておりビームライフルやローラーダッシュ、騎士を模した機体があるなど。ゼクゥシヴシリーズに至ってはコードギアスのランスロットが元ネタです。

タイトル名の『A EoD』とはA Eternal of Distinyの頭文字で取った名です。

このゲッターロボ作品の構想は実は『機動戦士ガンダムSEED Distiny』の放映中に遡ります。

その時はゲッターロボSEEDという、恥ずかしいほどに身も蓋もない名で考えてました(笑)。その証拠に、

 

・普通の人間VSチェンゲのゴウみたいにゲッター線を浴びせられて誕生した新人類

・状況に合わせて兵装を変えるゲッターロボ

 

・親友が敵対して戦わざるえなくなる物語

 

・最後はビット兵器搭載でフルバーストするゲッターロボに乗り換える主人公

 

……などなど、明らかにSEEDをゲッターロボに置き換えたような物語でした、当時は。

 

そして、その構想もあきて終わるんですけど最近になって、最初にいったように、悪くはないですが最近の同じような設定ばかりに溢れたゲッターロボの作品を目の当たりした自分は「ならここいらで自分が一発、一味違ったゲッターロボを書いてやるか」と、その以前に構想したゲッターロボの設定を掘り返して、そしてもう一度練り直して書いたのが今作品です。なので、ゲッターロボやキャラクターにはその名残りが多く表れてます。竜斗は良いも悪いも色々とキラやシン、アスランに似てる部分がありますからね(笑)。

 

 

 

ラストの展開はゲッター作品至上で救いのないバッドエンドになりましたがこれは書く前の構成段階ですでに決めてました(テーマがテーマなんで)。

つまり、最初から破滅の道だったわけで、物語にちょくちょくあった竜斗のモノローグ部分は、全てを失い失意のままラストを迎えた彼の追憶なんですよね。

竜斗達には本当にかわいそうなことをしたなと思いますがこれもテーマを途中で変えないためでもありますし、あともう一つの理由に彼を絶対にゲッターロボの最終系であるゲッターエンペラーに絶対に合流させないために全てを終わらせたかったこともあります。ちなみにチェンゲもゲッター線を捨て去るという決意をした上で一応はハッピーエンドなんでじゃあこっちはその逆にしよう、と。

自分は創作物には良し悪しにも関わらず我が息子のように扱います。

確かに途中で辞めたくなることも沢山ありますしこの作品も幾度なくエタろうかとも考えましたが、作品を放り出してはせっかく愛を奏でて下手ながらも育てた息子が可哀想だ、そこは筋を通すべきだと思い直し、結果はどうあれ何がなんでもこの物語を一応完結させることができました(他作品も同じような感じで大体完結させてます)。

 

最後に一言、未熟さゆえに試行錯誤や誤字、脱字は長編のために沢山ありますが、曲がりなりにもゲッター作品として考えられる、行き着く一つの結末の書けたのではないかと満足の思いでございます。

 

『2016年3月21日、はならむ作』

 


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